扉の向こうの   作:招代

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前回の投稿から一か月過ぎ……まだ書き終えていない。
でもそろそろ投稿はしておかないとと思い投稿。
こんなんで最後まで書き切れるのだろうか……。

なんて、
こんなんじゃ駄目ですね。
モチベーションが低下しているのも事実ですし、
他のやつを書きたい気持ちがあるのも大きい。

なので他のを少しずつ書いていきながら、
これも完結目指して書いていきたい……です。

では20話。


第20話 品種改造

平成25年10月31日16:19

 いつも通りの部室内。

 さっきまで津出さんとゲームをしていた俺であったが、互いに必要な材料を集め終わったので今は別々のゲームをしている。

 こういう日々だったらいくら続いても良いんだがな……なんて、思ってしまうくらいにはこの日常を気に入っているようだ。

 

 

 そんなことを思ってしまうのも、最近は非現実的な事件も無く、比較的精神が安定しているからだろう。覚えている限りでは夏休みのアレ以来遭遇していないはずだ。

 まぁ非日常的と言うか、非常識な事ならいくらか――――いや、結構あったわけだけど、非現実でないだけマシだ。そういう事にしておく。

 ……もしかしたら、俺の神経の許容範囲が広がってしまっているのかもしれない。けど今は常識を忘れなければ良しとしておこう。じゃなきゃせっかく安定した精神がまた不安定になってしまうだろうから。

 

 

 まぁそんなことは置いておいて、今はゲームに集中しよう。

「千利乃、これを切れ」

「はーい」

 そう思っていたのに……だがまだ諦めるのは早い。わざわざ船井さんに頼んで切ってもらうのだから、もしかしたら果物的な何かではないのか?

 そんな有り得もしない希望を妄想して、ゲームから顔を上げるとそこには……

「スイ……カボチャ?」

 カボチャ型スイカ模様スイカ色スイカ皮質のよく分からい野菜と思われるものを持っている吹田さんがいた。

 それを船井さんが受け取り台所へと持って行く。

「品種改良したカボチャだ」

「何故カボチャ……」

「ハロウィンだからじゃない?」

「……そう言えば今日はハロウィンか」

 流石にクリスマスよりは根付いてはいないが、東京とかでは大々的に一般人たちがコスプレしたり、こんな地方でもハロウィンフェアをやったりする程度には根付いているハロウィン。

 地域によってはハロウィンパーティーとかやるところもあるところもあるみたいだけど、俺の周辺ではそのようなイベントも無く平穏そのものである。もしあったらコスプレとかお菓子とか面倒だったんだろうなぁ……ホント、無くて良かった。

 と言うか、もはやただのコスプレパーティーやカボチャフェアの日である。元々は霊関係のなんかだった気がするんだが……。

 

 

「切って来たよー」

「……」

 そうこう考えているうちに船井さんがカボチャを切って持ってきた。しかしその見た目が……

「これは……カボチャ、ですよね? 何かメロンみたいな中身なんですが」

「果肉と糖度はメロンになるよう改良した。生でも食べられるはずだ」

「そですか……」

「味はカボチャなのですか?」

「そうなるように改良した」

 つまりカボチャの形と味で、スイカの皮色と模様、メロンの果肉と糖度か……改良と言うか改造だろこれ。

 

 すると船井さんが切り分けた分の少しを別の皿に移して、爪楊枝付きでこちらに持ってきてしまった。きてしまった。

「はい、これ。二人の分ねー」

「頂きます」

「ありがとう、ございます」

 俺たちにカボチャ? を渡した船井さんは津出さんや菅さんにも渡していく。

 ……ともあれ、味は甘いカボチャ(推測)なんだし食べても大丈夫だろう。食べないのも切ってもらったわけだから悪いし、流石に食べたらヤバいものを人に食べさせるとは思わない。

 気は進まないものの、とりあえず一口でいけそうなものを爪楊枝で刺す。刺した感じは確かに硬くなく、言われてみればメロンのようだ。念のため目の前でまじまじと視てみるが、特に変わったところも無い……いゃ、この食べ物自体が変わっているわけなんだがそういうことではなく。

 

「……そういえばコレ、皮ごと食べれるのか?」

「確か、品種によっては生で皮ごと食べられるものがあったはずよ」

「そうなのか」

「ええ」

「それで、食べられますか?」

「食べられる」

「そうですか」

 溜井の情報だけでは不安だったので一応吹田さんにも聞いてみたが、大丈夫なようだ。正直、皮ごと食べられないのはゴミが出るし面倒なので助かった。

 まぁ、横方向にいる約一名は吹田さんにも確認を取ったことに対して不服そうだがどうでもいい。触れたら面倒そうだし、触れられる前に口に物を入れて口封じをしてしまおう。

 俺は爪楊枝に刺した改造カボチャを一口にした。

「皮は防虫効果を加えるためにジョロキアと同様の成分で出来ている」

「……ジョロキア、ですか? それって確か物凄く辛い唐辛子では……」

「ハバネロの2倍近い辛さだ」

「えっと……」

「……」

 後悔した時にはもう遅く、すでに改造カボチャは一口の後に一回も咀嚼されてしまっていた。

 

「……」

 数秒に感じる一瞬の沈黙。冷や汗が頬を伝うような感覚。血の気が一気に引き、間もなく来るであろう辛的苦痛に備えてこれ以上の被害を出さない為にも口の中のものをそのまま飲み込んだ。

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……かっっっら!!」

「だ、大丈夫!? とにかく水を」

「ゲホッゲホッ……かっら! けほごほっ辛い!」

「水を持ってきたわ!」

「た、助かっゲホッ……た」

 慌てた溜井が持ってきた水を急いで受け取り一気に口に含む。そして被害を受けた箇所を重点的に冷やし、辛味を少しでも静めるように努める。それが今の俺の精一杯だった。

 

 10分近く経って。

「落ち着いた?」

「……あぁ、落ち着いた」

「大変だったねー」

「ホントですよ、まったく……」

 皿の上にあった改造カボチャは皮を残してすべて食べられていた。ただ、俺はようやく口内が落ち着きを取り戻したところなので、さっきの一口しか食べていない。それでもまだヒリヒリするというのだから恐ろしい。

「ホント、酷い目にあった……はぁ」

「……そうね。でも味は良かったわよ」

「味なんて分かるわけないだろう……全部吹き飛んだっての」

「そ、そう」

「……はぁ」

 あーテンション落ちる。何かもうゲームもする気が起きない。全てが嫌になってきた……寝ようかな。

 

「ですが、菅先輩は大丈夫だったのですか? 皮ごと食べていたようですけれど……」

「……え」

「……」

 その言葉に小さく驚き机の向こうを見ると、そこには皮も残っていない皿があった。そして何事も無かったかのように本を読んでいた菅さんが無事を示すように頷く。

「マジですか……」

 よく分かんないけどさらに気分が沈んだ気がする……もう帰ろうかな。でもまだ6時までは時間があるしな……でもいつ帰っても良いらしいし……でもなー……

 

「……寝よ」

 結局悩んだ末に俺は寝ることにした。

 やっぱり6時に帰るって自分で決めたんだし、テンションだだ下がりとは言えここで帰ったら後味が悪い……まぁ、部活動してない癖に何言ってんだって感じだがそこは大事ではないので気にしないでおこう。

 携帯の目覚ましを18時にセットし、振動するようにしておく。これで後は寝るだけだ。俺は自分の腕を枕にして机に突っ伏し、携帯を腕と顔の間に挟んで目を閉じた。

 

 暫くの間は口の中が気になって眠れなかったが、しだいに睡魔に襲われてそのまま眠りに落ちた。

 

 

 

 顔を刺激する振動に目を覚ます。携帯を見ればしっかりと18時を表示していた。

「ん……」

 体を起こして体を上に伸ばす。

 スッキリとした目覚めとはいかないが、落ちた気分はだいぶ復活したように思う。これなら大丈夫そうだな……やる気は出ないが。

「それじゃ、帰ります」

 「お疲れ様」などといった声を聞きつつ、席を立ちあがり携帯をポケットにしまう。そうして俺は部室を後にした。

 

 

平成25年10月31日22:43

「……はぁ」

 電気を消した自室で、俺は寝るためにベットで横になっていた。いつもならゲームをやっている時間なのだが今日はやる気がしない。これも全てアレのせいだ。アレが無ければ今頃ゲームをしていたんだろう……

「あ~……」

 それにしてもやる気が出ない。今日一日分の活動力をアレのせいですべて使い切ってしまったぐらいの感覚だ。ホントにやる気が出ない……だったら寝てしまえとも思うかもしれないが、どうにもこうにも眠れない。恐らく普段は余裕で起きている時間だから体が寝ることを拒否しているに違いない。それと、部室での仮眠も原因の一つである可能性がある。

「……」

 どうするかな……やる気が出ないのに寝ることもできない。寝るための定番である羊を数えようとも思ったが、それは何だか無駄な様な気がして止めた。どうせなら普段は面倒でやらないが、面倒な事を避ける以外の有意義そうなことを考えよう。

 例えばそう……少し未来の事とか。将来設計も今のうちにしておけば進路希望調査などの時に悩まずに済むはずだ。就職することは決めているものの、詳しいところは決めていないしな。理由さえつけてしまえば考え易い。

 

 そうだな……まず肉体労働メインのは無理だ。営業もやりたくない。書類仕事や事務はどうだろう? 単純作業なら楽そうだが人があまりいるところに行きたくないな。工場での機械仕事とか検査とか良さそうか。単純作業かつ、人も密集していなそう。うん、それがいいな。

 次は給料だな。高卒だし高くは無いことは前提としても、そこそこは必要だよな。相場を知らないから何とも言えないけど、安定性は欲しい。でも公務員は遠慮したいな。やっぱり工場作業か……でもなるべく潰れなそうなところだな。

 そして家からの近さも重要か。一人暮らしをする気はないし、家から通うとなると最低でも自転車で行ける距離が良い。一番いいのは歩いて行ける距離か。本当は車の方が楽かもしれないけど、その方が車のガソリン代とかが浮くからな。あとメンテナンスとかも面倒だし、事故なんて起こしたらたまったものではない。それに俺、歩くのは面倒だけど嫌いじゃないし。

 ……でもその範囲で今までの条件を入れると大分限られてきそうだよな。まぁ、でもできたらって話だし、まだ時間はある。希望方向を決めただけでも良しとしようじゃないか。いつもの俺を考えればここまで大した意味も無く面倒な事を考えただけで上出来だろ。

 それよりも……

 

「……眠れない」

 こんなにも不毛なことを考えたってのに頭は眠ろうとしない。何か他に……他に何かないか? もう不毛なことで良いから何か……

「あー……」

 ムロか。ムロの将来について考えるのが、一番不毛な気がする。

 あいつ頭悪しどうするんだろう。普通の会社には入社できなそうだし、かといって力仕事は出来そうだけど作業を覚えられるのだろうか? プロのスポーツマンとかなら一途の望みがあったんだろうけど、それこそ全国大会で目立ちまくる活躍でもしないと無理そうだ。ただでさえバスケって社会ではマイナーだし、稼げなさそうだよなぁ……第一うちの高校ってバスケ強くないし、ムロも体力運動馬鹿とは言え全国的には普通レベルだろう。

「……はぁ」

 何か考えていたら頭が痛くなってきた。流石にあいつの将来にまで俺は面倒を見たくないぞ……今のうちに何か対策を立てておかないと、か。でも対策っていっても一般的有効策の勉強が効かないとなると一体どうすればいいのか……

「……駄目だ。何にも思いつかない」

 どうしよう……マジでどうしよう。お先真っ暗だよ……そもそも何で俺がムロの将来を悩まないといけないのかが謎ではあるのだが。

 

 暫くの間、あーでもないこーでもない。と、考えているうちに俺の意識は眠りに落ちて行った。

 

 

 

第20話 品種改造 完。

 




皆さんはシルバーウィークをどうお過ごしでしたでしょうか?
自分は大変有意義な1連休でした。

……1連休でした。
仕事である以上仕方がないのは分かっているんです。
でも自分も元々は3連休はあったはずなんですよ。
それが他部署の応援に行ったら1連休に……ショックです。

社会人にはありがちなことなんでしょうし、
連休中ずっと働きっぱなしって人もいたでしょうから、
自分なんてまだいい方だと思うんですけどね……。

……とりあえず、
次回は30話を書き終えたら載せます。
秋になったしモチベーションあげていかないとな……。
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