扉の向こうの   作:招代

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今回の話は可能性の示唆とういうかなんというか……。
そのうちそっちの話も書ければいいんですけどね。
ある程度は内容も考えていますし。

でもまずは目の前のコレを書ききることを第一にしたいです。

そういうわけで、
後編を投稿しました。


第22話 RubyDiary 後編

平成25年11月20日15:56

 隠し階段を上がると、外からの光の入らない、下よりも薄暗い部屋に出る。辺りにある本棚には本が閉まってあるが、下の物とは明らかに違う本が所々にあった。

 例えば鎖や紐で巻かれているもの、表紙が異質なもの、紙束を纏めただけのようなもの、お札の貼ってあるものなどなど……とにかく下とは明らかに違っている光景であった。

「ここにある本は下の古書とは違い、主に妖書……妖怪の書いた本ですね。なかでも一般には出回っていないものですね。それと、妖怪に成りかけている本などもしまわれております」

「妖書、ですか。どのような内容のものがあるのですか?」

「やっぱり呪術的な物とか?」

「おどろおどろしい感じの妖怪の絵とかかもよー?」

「いえ、確かに交霊術をまとめたものや、さまざまな妖怪を記したものもありますが、基本的には人間の書くようなものと変わらないものが多いですね。妖怪たちの歴史や生活など、一般の人には見せられないものばかりですが」

 ランプをテーブルに置き、隠し階段をしまう。すると下からの明かりもなくなり、先ほどより部屋は暗くなった。

 

「それでは日記帳を見せていただいてもよろしいですか?」

「ああ」

 吹田さんが日記帳を渡す。

「どうやって調べるのですか?」

「私は日記に触れることで、その日記の歴代の持ち主や経てきた歴史、書かれていた内容を知ることができます」

「そうなのですか」

「はい。それでは――」

 直後、日記帳が紅く光だし辺りを包み込んだ。

 

 

 声を上げる間もなく紅い光に包まれ、次に目を開けた時に広がっていた光景は意味が分からなかった。

「なっ――」

「これは……」

「何かファンタジー系のゲームの世界みたいだね」

「そーねー」

 呑気な声を聴きつつ、慌てて様変わりした部屋を見渡す。新飯田さんの手には紅く輝く日記帳があったが、そんな些細なことは気にする余裕がなかった。

 何故ならそこには元々の薄暗い、怪しい本のしまわれていた部屋の面影は全くなかった。共通点を強いて上げるとすれば木製の部屋と言うくらいか。

 ……しかしそれ以外は全てが違った。

 

 まず部屋の広さが違う。先ほどの部屋より明らかに狭く、一般的な教室の半分ほどの広さだろうか。

 次に部屋の明るさが違う。元の薄暗い部屋ではなく、電球のようなものはないものの外からは太陽の光が差し込み随分と明るい。

 さらに窓から見える風景は明らかに2階のものではなく、1階から見る高さで、外には草木が生い茂っているのがよくわかる。

 そして部屋にある物の配置以前に物自体が違う。本の入っている本棚はなく、栓のされた空のフラスコや試験管のようなもが入った引き出し付きの棚が3個置かれている。木製のテーブルの上にはよく見ると、吹田さんが買ってきたものと同じ日記帳が置かれている。しかしよく見るとその表紙にはタイトルが書かれていなかった。

 

 まさかこれも新飯田さんの力なのだろうか。だとすれば前の人体模型なんかより凄く見える。

「こ、これも新飯田さんの力、なのですか?」

「いえ……私の力ではありません。恐らくこの日記帳自体の力では無いかと思います」

「え、マジですか」

「もしかして本当に魔道書、なのでしょうか?」

「分からない……だが周りの物には触れないようだ」

「あ、ホントだー」

 船井さんの腕が棚を貫通する。

 俺も恐る恐る試してみるが、突き抜けるだけで触れる感触はなかった。どうなってるんだ一体……。

 

「これは一体……幻などの類なのでしょうか」

「分かりません。ですが日記帳は開いたようですので、ページをめくってみますね」

 今も光り続ける日記帳の表紙をめくる。すると今まで誰もいなかった椅子に、一人の男性が突然現れた。

「だ、誰でしょうか?」

「どうやらこの日記を書いていた人のようです」

「元の持ち主か」

「はい。前の前の前の持ち主のようです」

「……そうなのですか」

 男性が日記帳の表紙をめくり、鉛筆だと思われるもので日記帳に何かをかき始めた。それと同時に聞き覚えのない男性の声が流れ始めた。

 

『新暦293年 12月19日 晴れ

 私の名前はクレイブ。今日から日記をつけることにした。まだタイトルは決まっていないが、急ぐことでもない。思い付いたらつけようと思う。

 それよりも記念すべき初日は、そもそも私が何故、日記を付けようと思ったのかについて書きたいと思う。

 それは私の固有魔法である「破壊」の魔法が理由である。この固有魔法はその名の通り物を壊すことに特化している。故に私は、この「破壊」の魔法を何か、物を壊す以外の事に使えないかと考えた。

 こうして考え付いたのが固有魔素による魔法薬の研究である。これならば他の使用用途が見つかるかもしれないと思ったのだ。

 しかし固有魔素による魔法薬の研究は結果が分からないために危険を伴う。その為、私は町を離れ一人で魔法薬の研究を進めることにした。

 生活も変わり、魔法薬の研究をする。このことを私は人生の転機と考え、日記をつけていくことにしたのだ。

 心機一転。魔法薬の研究も、日記をつけるのも継続できるように努めよう。とりあえず明日は魔法薬の材料探しからだ』

 

 男性の声が終わり、男性が消えた。

 何と言うか突っ込みどころが多すぎると言うか……可能性を考えると頭が痛い。

「今の声は……クレイブ、と言う人の声なのでしょうか」

「内容はこの日記帳に書かれていることと一致しています」

「どうやら持ち主が書いていた状況を映し出す力があるようだ」

「いや、そんな事よりこの内容の真偽が怪しいんですが……」

「魔法だもんねー」

「でもあったらいいよね。ゲームみたいで」

「……そっすか」

 この人たちには同意は得られないようだ。俺が一般的な反応なはずなのだが……。

「今考えても分からないのだから、今考える必要もないんじゃない?」

「……まぁ、そうだな」

 溜井の言う通りではある。確かに今考えても仕方のないことか……今は「あの日記帳にはこういう力がある」という現実のみを受け止めよう。

 

「ふうり、続き。後は最後までめくっていい」

「分かりました。それでは次のページをめくりますね」

 吹田さんに促され、新飯田さんが次をめくる。するとまた、同じ男性が現れた。

 ……心なしか部屋の中の物が増えた気もするが、恐らく実際に増えたのだろう。

 

『新暦293年 12月22日 晴れ

 いくつかの材料がそろったため、一回目の実験を行った。とりあえずは既存の汎用魔素における魔法薬と同様の材料で実験を開始。

 しかし、結果は失敗。爆発もしたし、どれもこれも魔法薬とは呼べないものになった。ただの不味い水や材料の塊である。改めて固有魔素による魔法薬の作成の難しさを知ることとなった。

 ……せめて毒にでもなれば使えるのかもしれないが、試飲の事を考えると毒にならず良かったとも思う。

 さすがにいきなり飲みはせずに草木や石や虫にかけているが、飲まなければわからないこともある。そして、いくら解毒薬などを常備していても「もしも」はあるかもしれない。

 恐怖心がないと言えば嘘になる。しかしそれでもやると決めた以上は続けようと思った。暫くは汎用魔素における魔法薬と同様の材料で続けようと思う』

 

『新暦293年 13月9日 曇り

 実験は失敗が続いているが、材料収集と実験ばかりでは良くないと思い、畑を作って野菜を育てることにした。

 貯蓄は十分にあるが、節約するに越したことは無い。なんといっても現在の収入はゼロなのだから……。

 とりあえず、今日はこれから街に出て野菜の苗と、畑作りの本を買ってくるとしよう。それが成功したら果物に挑戦してみるのも良いかもしれない。

 現在29歳。時間はまだまだあるからな』

 

 

 どうやらこの日記帳は1ページにつき1日分のようで、声はそこで途切れた。文章量は関係ないらしい……というか13月? ナニソレ。

 しかし誰も口を挟むことなく、新飯田さんが次をめくる。すると部屋の中に女性が一人増えた。だがその女性は動く様子は無く、力無く椅子に座っている。何より目を引くのは日記帳の表紙の様に紅い髪。

 作り物だろうか……?

 

 

『新暦293年 13月18日 晴れ

 今日、魔法薬の材料を採取しに行った時にとんでもないものを見つけた。それは……なんと、魔法人形である。

 文献で見たことはあったが実物を見るのは初めてである。そもそも魔力器が宿る事自体、稀なのだ。今までの人生で、魔道書ですら見たのは4・5個しかない。比較的に魔法道具の中でも数の多いとされる魔道書で、だ。

 しかもあの魔法人形は人間と変わらない大きさである。見た目も人間と見間違うほどだ。

 特に、その瞳はまるで宝石のルビーのように綺麗で美しい。相当腕のいい人形師が作ったのだろう。

 しかしどうやらこの魔法人形は何かしらの魔法により封印されているようで、動かなかった。是非とも動いている所を見てみたいと思い、市販の解除薬を試したが効果が無かった……これ高かったんだけどな。

 封印の魔法は汎用魔法の中でも難しいとされてはいるが、解除薬で解除できないとなると固有魔法の類だろうか。そうなると解除は厳しい。

 ……さて、どうするか』

 

『新暦293年13月19日 雨

 一晩悩んだ末に、この封印の解除を私の固有魔素を使った魔法薬で解除してみることにした。イメージとしては封印を破壊するイメージで。

 その為には様々な解除薬の材料を集めるところから始めよう。もちろんそれ以外も必要にはなってくるだろうが、材料による効果の方向性は固有魔素も汎用魔素も変わらない場合が多いらしいのでそれでいこう。

 ……とはいえ、固有魔素の魔法薬の例が少なすぎて何とも言えないのが現状ではある。しかし何もとっかかりがないよりはマシだろう。そう思うことにした。

 これからの指針も決まったことだし……よし、頑張ろう』

 

 

 それからも実験に失敗しただの、野菜を収穫できただの様々な事が日記から読み上げられていった。

 ……ちなみに、16月の後に1月が再び来ていた。訳が分からない。

 

 

『新暦294年3月18日 雪

 何度も何度も失敗して、ようやく完成した解除薬。やればできるものだと自分を褒めてやりたいが、ここで一つ問題が発生した。

 確かに効果としては封印の解除――いや、破壊か。それはできた。確かに魔法人形は動き出した。それこそ人間と同じように。

 ……ただ、薬の副作用か、記憶も同時に破壊してしまったらしい。自分で試した時はそんな効果は出なかったのだが、まさか魔法人形に対してそんな副作用が出るとは思わなかった……反省してもしきれない。

 しかし幸い、と言っていいのか分からないが魔法人形である彼女は気にしていない様だった。しかも私の実験の手伝いやらをしてくれるつもりのようだ。

 正直な話、後ろめたさとかもあってあまり危険なことはしないでもらいたい。だが後ろめたさもあって断りづらいのも事実。純粋に考えれば手伝いが増えるのは良い事なんだけど……』

 

『新暦294年3月20日 曇り

 あれから彼女は家事や実験を手伝ってくれている。嬉しい反面、申し訳ない。

 しかし、そんな事よりもここにきて彼女の名前を決めていなかったことに気付いた。名前も薬の副作用で忘れてしまったらしいので、新しく名付けてあげなくてはいけない。いつまでも無名のままでは良くないだろう。

 そして一晩考えた末、彼女の髪もそうだが、それよりも瞳が宝石のルビーの様に紅く綺麗だったことから、「ルビー」と名前を付けることにした。

 安直かもしれないが、こういうのは固有魔素の魔法薬を作るのと同じで、ある程度の情報からの直感的なひらめきが大事だと思う。

 それと、ついでと言ってはなんだが、この日記帳のタイトルを「RubyDiary」とすることにした。由来は彼女と同じ紅色の表紙だからである。

 こうして名前を付けると、この日記帳を買ったことは運命的なもののように感じる気がしないでも無いな」

 

 

 さらに日記帳は進んでいき、男と魔法人形とやらの日常や実験の日々が綴られていく。楽しかったことや落ち込んだこと、嬉しかったことに驚いたこと。様々な出来事が読まれていく。

 何処の誰だか、ましてや実在するのかも分からないような他人の事ながらも、幸せそうだと十分に感じられる内容であった。実験もある程度成功し、儲けが出るようになってきたみたいだしな。

 

 そうして、一緒に暮らすうちに男は魔法人形を愛するようになり、魔法人形もまた男を愛するようになる。

 人間と魔法人形とやらの間に恋愛が成立するのかは知らないが、まぁ、そういうのは本人たちが良ければいいのだろう。基本的に互いに了承しているなら自由であるべきだと思うし、考えるのも面倒臭い。というか馬鹿らしい……いや、アホらしい? どっちでもいいか。

 

 ただ、日記が進むにつれて分かってきた事だが、男は人間なのでどんどん歳を取っていき、どんどん老いて死が近づいてくる。

 反対に、彼女は魔法人形なのでまったく歳を取らず、まったく見た目も変わらない。おそらく壊れない限り「死」というものは無いのだろう。

 新飯田さんの手元を見ると、日記帳のページは残りわずかとなっていた。

 

 

『新暦348年16月10日 雪

 今日は彼女に怒られてしまった。

 きっかけは彼女が「クレイブと同じ棺に入って死ぬ」と言ってくれたことだ。

 私はその言葉に嬉しく思うと同時に、彼女には死んで欲しくないとも思っていた。私が死んだ後も、自らの幸せを探してほしいと思っていた。自分勝手な想いだと知りながらも、どちらも偽りない本心だった

 だからその事を彼女に言ったのだが、もの凄く怒られてしまった。あそこまで感情をあらわにした彼女を見たのはいつぶりだったか……それすらも懐かしい。

 そして、それほどまでに私の事を想っていてくれているのだということを実感し、嬉しくなった。

 ……だから、私が死んでしまった後の彼女の事は、その意思を尊重したいと思う。想いを受け入れようと思う。どのような選択をしても、私が彼女を愛しているという事は変わらないから。

 今は、それが偽りのない本心だ』

 

 

 ページがめくられると、そこには男の姿は無く、魔法人形が日記帳を書いていた。そして、女性の声が流れ始める。

 

 

『新暦348年16月21日 雪

 昨日、彼が死にました。

 ですので、私が代わりに書かせていただきます。

 私は彼と一緒に死ぬことにしました。

 同じ棺に入り、自らの核を壊します。

 壊してしまえば私は二度と動かないでしょう。

 ですからお願いです。

 この日記帳を見た人は、彼と私が入った棺を庭に埋めて欲しいのです。

 それだけを、お願いします』

 

 

 その言葉を最後に日記帳は閉じられ、光を無くし、部屋は元の薄暗い部屋へと戻っていた。

 沈黙が辺りを包む。

「終わったか」

 そんな中、吹田さんが最初に口を開いた。

「ふうり、日記帳を」

「……あ、はい」

 新飯田さんから日記帳を渡され、外観を確認した吹田さんは、目を瞑って何かを考え込み始めたようだった。

 見ると、日記帳は再び閉じられていた。

「それで……その日記帳の内容は真実、なのでしょうか?」

「真実だったら良いよね」

「内容の真偽は分かりませんが、持ち主は『クレイブ』と言う方から『ルビー』と言う方に変わっています。それと……どうやらその名前がフルネームのようです」

「フルネーム、ですか? つまり苗字と名前の区別がない、という事ですね」

「そうなりますね。あと『新暦348年』とありましたが、どうやら西暦に直すと1672年のようです」

「……一体、この日記帳の書かれていた場所は何処なのでしょうか?」

「異世界だ」

 溜井の疑問に、今まで考え込んでいた様子だった吹田さんが即答した。

 とんでもない単語を。

 

 自分の耳と相手の頭を疑いたくなるような言葉に、思わず聞き返す。

「……はい? 今、何と?」

「異世界。または別世界、平行世界、異次元、別次元、パラレルワールド、アナザーワールドと呼ばれるものだ。その可能性が高い」

「……」

 返ってきた内容は頭の痛くなるものだった。

 またか。またこの展開か……全く以てこの「世界」は、どうやら俺が思っていた以上にヤバイものだったらしい。何も知らなかった平穏な日々が懐かしいなぁ……。

 などと、在りし日の日常に思いをはせている間にも会話は続いていたようだ。

 

「ですが異世界があると仮定しますと、その世界に行く方法もあるという事でしょうか?」

「分からない。だがコレを売ってた奴はその世界から来た可能性が高い」

「魔道書って言って売ったんだものねー」

「確かにそうですね……ですが、もう何処にいるのかは分かりませんよね」

「ああ」

「何か、異世界に行く方法に心覚えは無いのですか?」

「……『神隠し』には異世界への転移が含まれる場合が有る」

「神隠し、ですか」

「何かしらの原因により異世界へ飛ばされる超常現象の事だ。だが滅多に起こらず、行き先を決められない。意図的に起こすことは無理だ」

「意図的に起こせないとなりますと、それは違いそうですね」

「でも神隠しとかで魔法のある世界にワープって定番だよね」

「あー、しかもその世界で重要な役割を担っちゃうのよねー」

「そうそう、伝説だったりなんだったりしてさ。いいよねーああいうの」

「それよりも、ふうり」

「はい。なんでしょうか?」

 よく分からんけど色々と盛り上がっている中、吹田さんが新飯田さんの名前を呼ぶ。

 

「さっき『1672年』と言ってただろ」

「はい、言いましたが……どうかされましたか?」

「その計算だと『293年』は『1617年』」

「確かにそうだね」

「日記帳は現代の文字で書かれていたのか?」

「……あ」

「1617年は元和。1672年は寛文。どちらも江戸時代になる。しかも異世界」

「確かに……そう考えますとおかしいですね」

「ですが書いてある文字は確かに現代の日本語でした」

 確かにそれはおかしい。そもそも異世界の言語がどんなものかなんて知らないが、現代の日本語と全く同じなどということは無いだろう。

 仮にこちらから言語が伝わっていたとしても、江戸時代では話が違ってくる。

 だが新飯田さんが嘘をついているとは思えない。メリットがないし。そうなると一体どういう事なのか……。

 

「……言語を合わせる機能があるという事か」

 悩みかけた俺とは対称に、吹田さんはすぐに仮定を出す……いや、これ結論か。それ以外に考えられないしな。

「用事は済んだ。帰る」

「それでは階段を降ろしますね」

 新飯田さんが再び階段を降ろし、全員が一階へと下りる。

 

 ……その際、そう言えば今は何時なのかと携帯を見たら、現在の時刻は18時46分。日記帳の内容に聞き入っていたせいで時間の経過をさほど感じなかったが、自覚した瞬間に立ち続けていたことによる疲労が押し寄せてきた。

 色々とあったが今はとにかく帰って休みたかった。

 

 

平成25年11月20日18:51

「今日は珍しい日記帳を拝見で来て楽しかったです。それでは、またのご来店をお待ちしております」

「ああ」

「また来ますね」

 新飯田さんに見送られ、吹田さんの呼んだタクシーで家路へとつく。

 タクシーに揺られながら今日の事を考えたが、「まぁ異世界の話だし関係ないだろう」と結論付けてそれ以上は魔法に関して考えることを止めた。

 そもそも異世界があるという事実で頭が痛いが、面倒臭いので諦めた。というか、疲労のせいで今はなにもかもが面倒臭かった。

 だから俺は溜井に家に着いたら起こすよう頼み、そのまま眠りにつくことにした。

 

 その最中「タクシーだし起こされるか」と思ったが、眠りに落ちかけた頭にとってはもうどうでもいいことだった。

 

 

 

第22話 RubyDiary 完。

 




今回の内容で触れたことのまとめみたいなものですが、
2人の紹介を。

クレイブ(破壊→break→ブレイク→クレイブ)
・RubyDiaryの書き手。
・「破壊」の固有魔法を持つ。
・固有魔法を純粋な破壊以外に使えないかと、町から離れて魔法薬の研究をしていた。
・材料を調達していた際に封印された魔法人形を拾い、封印破壊の魔法薬を作成を試みる。
・封印の破壊に成功するが、魔法人形の記憶も破壊してしまう。
・魔法人形に「ルビー」と名付けた。
・理由は瞳が綺麗なルビーのようだったから。
・ルビーと過ごすうちに惹かれていく。
・現在はルビーとともに家の庭に埋葬されている。

ルビー
・クレイブに拾われた魔法人形。
・封印されていたが、クレイブの魔法薬で封印と記憶が破壊された。
・封印される前の記憶は破壊された為に無い。
・魔法人形なので固有魔法は「人間化」。常時発動していて人間に近い存在になれる。
・紅い髪にルビーのような綺麗な瞳をしている。
・RubyDiaryの最後の書き手。
・クレイブと過ごすうちに惹かれていく。
・半永久的に動くが、最期はクレイブの死を見取った後に同じ棺で自ら命を絶った。
・死ぬ前にRubyDiaryを読んだ人に自分たちを埋葬してもらえるように頼んだ。
・現在はクレイブと共に家の庭に埋葬されている。

こんな感じです。
では次回は33話を書き終えたら。
33話でようやく主人公が2年生になります。
つまりはやっと半分か……。

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