扉の向こうの   作:招代

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ようやく34話を書き終え、
そして修理予定だったパソコンが終わりました。
……修理不可能らしいです。

そうなると新しいのを買わないといけないのですが、
自分の一存で決められることではないですし。
一応家族共用の物ですからね……使用者はほぼ俺なんですけど。

……まぁ、
兎にも角にもそういうわけで暫くは快適なパソコンライフはできそうにないです。

では25話を久しぶりに投稿。


第25話 迷走する進路

平成25年12月19日13:46

 俺は現在、一枚の紙と対峙している。2択1問の簡単なものではあるが、それは確実に俺へ迷いを与えていた。

 

 その用紙の名前は「進路希望調査用紙」。

 

 と言っても就職か進学かを書くだけの簡易的なものであるため答えは決まっており、躊躇い無く就職に丸を付けた。

 しかし前にも悩んだ通り、どういう職につきたいかのビジョンがない。消去法によって選択肢は減るものの、やりたいものがないのだ。

 ……本当に就職で良いのだろうか。この前は気楽に考えていたが、この用紙を前にすると現実味が強くなって、より一層考えなくてはいけないような気がする。

 

 面倒ではあるが進学でもして、ゆっくりと本当にやりたいと思えるものを探すべきなんじゃないだろうか。やりたいものも分からないのに就職で良いのだろうか。俺がしたいことは何なのだろうか。そもそも面倒くさがりな自分がやりたいことなどあるのだろうか。

 真面目に考えれば考えるほど分からなくなる。だからと言って気楽に考えていいものではない。一生に関わることだ。

 なら俺は一体どうしたいのか……。

 

 今まで面倒臭がりながらも、どれだけ決められたレールに乗っているだけな人生が楽だったかを思い知らされる。高校選択と職業選択じゃ全然違う事がよく分かる。

 いわば、ある意味これはレールの最終選択なのだ。人によっては変える人もいるだろうけど、俺個人としては一度決めた就職先に最後までいたい気持ちは強い。選んだなら最後までその責任を果たしたい。そして責任を果たし終えてレールを外れ、良い気分で自由に悠々と暮らすのだ。

 ……まぁ、就職先が潰れたら仕方がないんだけど。そこまで考えていたらきりがないしな。

 でも将来のありそうな場所を選ぶのは大事か……その辺の下調べとかはしっかりやるべきだよな。でももしやりたいことが見つかって、その場所が将来性がなさそうだったらどうすればいいんだろう。

 ……いや、これについてはまずやりたいことを見つけてからか。今から考えたところで取らぬ狸の何とやら。意味が無くは無いが優先度が違う。

 でもやりたいことって言ってもなぁ……。

 

 そうこう悩んでいるうちに時間は過ぎ、紙が回収されてしまった。でも就職したい気持ちの方が強いのは事実だし、今のところはあの選択に嘘は無い。

 問題はもっと詳しく決めなきゃいけなくなる時だ。その時までにやりたいことを見つけないとな……はぁ、面倒だなぁ。

 

 そして人生に関わる事すら面倒に感じる自分が嫌になる。

 

 

平成25年12月19日15:16

 いつも通りの部活へと行く途中、溜井と何気ない会話をしながら歩く。どちらかと言えば溜井は部室よりも、この時に雑談などの話をしてくる事が多い気がする。

 俺としては歩きながらゲームも出来ないし、ゲームをしている時に話しかけられるよりはマシなのだ。が、話している分、部室への到着が遅くなりがちなのがネックだ。

「もう来週には冬休みね」

「そうだな」

「モリツネ君は初詣には行っているの? 面倒臭がって行っていなさそうなイメージだけれど」

「行ってる。というか行かされてる」

「『行かされている』って、御両親に?」

「いや、ムロがうるさくてな……」

「ああ……そういうことね」

 俺の言わんとすることを察したようで、憐れむような労うような同情するような表情で言う。

「しかも毎年毎年0時ちょうどにせがまれるんだよ……それも新年明けの変なテンションで。だから断るのも面倒でな、仕方なく寒空の下、初詣に行かされている」

「新年早々お疲れ様。でも色々言ってもモリツネ君、面倒見がいいわよね」

「いや……」

 面倒見がいいと言うか何と言うか……責任感的なものだと思う。

 何をするのか分からないペットを散歩させるのにリードを付けるのは、飼い主としての当然の責務である事と同じような感覚だと思う。

 

「……まぁ、無視しようと思うこともあったけどな。それはそれで、テンションのおかしいムロを1人初詣に行かせるかと思うと不安で不安で仕方ないんだよ。何かあったら俺がより、面倒な事になりそうだし」

「それもそうね……」

「……だろ」

 その場面を想像したのか、目を逸らしどこか遠くを見て言っている。

 俺もその気持ちは分かる。想像するだけで恐ろしい……というか面倒そうだ。

 

「……」

「……」

 疲れた空気に何となく黙ってしまう。

「……あ、そう言えば今日、進路調査があったわね」

「あったな」

「モリツネ君は就職と進学、どうするの?」

 何故そんなことを聞いてくるのか分からないが、空気を変えるための他愛のない雑談だろう。特に意味は無いか。

「とりあえず就職だな。そもそも大学に行ってまで勉強するとかありえん」

「あり得ないことではないでしょうけれど……何か就きたい職業とかはあるの?」

「嫌なのならあるな。やりたいことは――」

 ここまで言って気が付いた。やりたいことなんて決まっていないのだ。

 

 うっかりしていた……いや、それよりもどうして俺はこいつ相手に進路相談の様な事をされているのか? 意味が分からないな……気が緩んでいたか。反省しなければ……とは言え、ここまで話した以上は言葉を続けないとな。

 しかし、

「……」

「どうかしたの?」

「……いや、やりたいことは決まってないな。これから決めてくしかないだろう」

 続く言葉なんてこんなもんだ。

 だがこれでは本当に進路相談みたいな感じで、何故こんなことを溜井に言ってしまったのかと後悔する。

「ええっと、決まっていないのに就職は確定なの?」

「勉強したくないからな」

「はあ……何とも言えない理由ね」

 溜井に呆れられるが、これに関しては俺自身も同意だ。特にやりたいことも決まっていないのに勉強が嫌だから就職とか、どうしようもないまでに愚かな理由だ。

「でもそうね……」

「ん?」

 すると溜井がそう呟き立ち止まったので、俺も立ち止まる。

 別に、先に行くのも可能ではある。が、前に放置してったら色々と面倒だったので、それ以来待つことにしているのだ。

 

 少しして、考え込んでいた溜井が顔を上げてこちらを見た。

 ……嫌な予感しかしないな。

「それならこういうのはどう? 卒業したら私の探偵事務所に就職す――」

「却下」

「――まだ言い切っていないのだけれど」

「言い切っても却下だ」

 言い終わる前に断られ、溜井が不機嫌そうな顔をする。

 しかしあそこまで聞けば何を言おうとしていたかなんて分かるもので、そんなのは絶対にありえない。誰が好き好んでそんな不安定な色物職業につきたいものか。

 

「でも就きたい職業も特に無いのでしょう?」

「無いには無いが、少なくともそんな安定性の欠片も無い職場で働きたいわけないだろう。それに卒業してすぐに探偵事務所を始めるとか……アホなのか? 金とかどうすんだよ」

 あ、つい本音が出た。でも実際問題、大事なところではあるはずだ。

 対して溜井は、やはりむくれた顔をしている。

「失礼ね。しっかりとした資金の当てがあるから、卒業後すぐに始めるのよ」

「資金の当て?」

「ええ。この前部長に相談したのだけれど、条件次第で資金や機材を提供してくれると言ってくれたのよ」

「ああ、吹田さんか……」

 高卒の人間に資金提供なんて怪しいところではないだろうなと思ったが、吹田さんなら納得。あの人なら確かに金はあるだろうし、こういう変なことに資金提供してもおかしくない。

 ……いや、まぁあそこも怪しいと言えば怪しいんだけどな。それは置いておこう。考えるだけ無駄だし。

 

「それでその条件なのだけれど、簡潔に言えば『部長の興味の出そうな依頼が来た場合に知らせること』ね」

「つまり『興味のある依頼だったら関わらせろ』ってことか」

「そうね。あとは『人手が欲しい時に研究所の事を手伝うこと』とか」

「確かに悪くない条件だな……ま、仕事が来なければただの研究所のお手伝いになるわけだが」

「そうならない為にも、普段からの地道な活動が大事なのよ」

「そういうもんか」

「ええ、そうよ」

 だからあの探偵モドキの活動をしていたのか。ただ単に趣味っていうだけじゃなかったんだな。

 ……効果があるかは別として、こいつも将来についてちゃんと考えているんだな。それにひきかえ俺ときたら……駄目駄目だな。何とも情けない。

 

「……ん?」

 そこまで落ち込んで、ふと気づく。そういえばさっき「研究所」と言っていたが、それはつまり、

「吹田さんはあの研究所に就職――って言うか何と言うか、つまり吹田さんは今のまま自分の研究所勤めになるのか」

「そうね。それと副部長達も研究所で手伝いをしていくらしいわ」

「そうなのか」

 まぁ、よく考えてみれば順当ではあるか。特に、吹田さんが自分の研究所に勤めることなんて。あの人に限っては学校とかハローワークに出される求人票の場所で働くとかありえなそうだもんな。

 ……こんな学校に通っているってだけでおかしいのに。

 

「ちなみに、菅先輩は株式会社ULに就職が決定しているらしいわ」

「……株式会社ULって、あの『UL』か?」

「ええ。どのことか分からないけれど、恐らくそのULね」

「マジか……凄いな」

 「株式会社UL」と言えば、そういう事に対して詳しくない俺でも世界的な企業だと分かるくらいに有名な企業だ。よく分からないが何か色々とやっているらしい。

 そんな企業に菅さんは就職が決まったのか……ってか、高校生の求人とかとってるんだな。その事にも驚く。

 

「……」

 しかしそうなると、俺の周りの人間はみんな就職先が明確に決まっているのか……ムロは別として。あいつの将来を考えると、頭が痛くなるだけでプラスになる事が何もないから今は考えないでおく。今は考えるだけ無駄、とも言う。

 まぁそれはともかく、こうも周りの人間の将来が決まっているとますます焦りのような感情が芽生えてくる。そりゃあ他人は他人、俺は俺、特に溜井以外は学年が上なわけだしそこまで気にするものでもないんだけど……。

「……」

「モリツネ君?」

 ……いやまてよ? 確かにそこまで気にすることでもないかもしれないが、今のままだと俺はムロと同レベルという事になるんじゃないか? ましてや場合によってはムロの方がレベルが上の可能性すらあるわけで。あいつの将来なんて聞いたことないし、もしかしたらやりたいことくらいあるかもしれない。

「……」

「どうかしたの?」

 いや待て。良く考えたら今現在あいつは将来につながる可能性のあるやりたいことをやっているじゃないかっ! バスケにもプロはあった気がするし、可能性が低いがもしスカウト的なものでもあったらあいつは断ることなんて無いだろう。あいつがどれくらいバスケが好きかは俺がよく分かっている。間違いない。

 ともすれば俺はあいつ以下なのか……?

「……」

「ちょっと、大丈夫?」

 大丈夫なわけがない。

 ……それは不味い。非常に嫌だ。仮にあいつが就職して俺が就職できないとかいう状況にでもなってみろ、絶対になるわけにはいかないだろ!? 最悪でもそれだけは避けなくてはならない。

 早急にやりたい仕事を見つけなくては……せめて方向性だけでもっ……!!

 

「モリツネ君!」

「……! あ、ああ、何だ溜井か」

 急に勢いよく揺すられたことに驚き、顔を上げると目の前に何故か溜井がいた。というか俺は今何処で何をしていたのか……どういう状況だこれは。

「何だ溜井か、じゃないわよ。声をかけても反応しないから心配したのよ」

「……そうだったのか」

「それで、大丈夫なの?」

 どうやらかなり考え事に没頭していたようだ。そして大分頭が混乱してしまっているようだ。

 ……一旦落ち着こう。

「いや……問題ない。少し考え事をしていただけだ」

「少しってレベルではなかったけれど……大丈夫ならいいわ」

「ああ」

「それなら部室へ行きましょう。いつまでも立ち止まっているわけにもいかないわ」

「……」

「モリツネ君?」

「……いや、そうだな」

 うん、そうだ。ここでうだうだ考えていても事態が好転するわけでもないし、意味が無い。そもそも今まで生きてきた人生でやりたい仕事なんて見つからなかったのだから、少し考えるようになった所ですぐに見つかるわけがないのだ。

 一体何を俺は焦って難しく考えていたのか……これじゃ他人を馬鹿にできない。俺は俺らしく、自分のペースで面倒くさがりながら探していけばいいのだ。自分らしさを無くしてまで探したところで、本当にやりたいものなど見つからないだろう? きっと。

 まだまだ時間はある。このことについて深く考えるのは今日で終わりだ。

 

 そして俺は先を歩く溜井の後に続いて、部室へと向かう。

 最近悩んでいたことに一応のケリがついたせいか、足取りは軽かった。

 

 

 

第25話 迷走する進路 完。

 




これは一体いつ書いたやつなんだろう?
投稿しながらそんなことを考えています。

しかしそんなことよりも問題なのは35話の内容が思いついてないことか……。
ホントにどうしよう。
ホントに自分は何をやっているのか……。

……とりあえず次話がいつあげられるかは未定ですが、
ちゃんとあげるので気長にお待ちください。

それではまた次話で。




あ、紹介を書き忘れてましたので追記。

吹田(すいた) 廉都(れんと)(interest→インタレスト→すいたれんと)
・性別……男性。
・誕生日……7月24日。
・血液型……AB型。
・利き手……右利き。
・身長……170くらい。
・黒髪。
・家族構成……母、父。
・所属……2年2組18番。調査解決部。
・特技……効率化。
・好物……アセロラ・干し芋・ガム。
・趣味……興味対象の研究。
・好きな教科……興味が出れば何でも。
・嫌いな教科……興味が出ないもの全て。
・テストは赤点を余裕で回避できる程度までしかやらないので成績は良くない。もちろん頭はすごく良い。
・授業は受けているように見えて受けていない。
・変人であることは自覚しているが、変態と言われると機嫌が悪くなる。
・霊力は人並みの弱いものだったが、努力によって霊を普通に見れるようになった。ただし見る事しかできない。
・気も使うことができるが、身体能力強化に少し使えるだけである。

・常識ある興味至上主義者。
 興味に対する行動力・実行力が凄く、大抵のことをやってのける。しかし他所に邪魔されてしまうと効率が下がるため、ルールは破らない。
 また、様々なものの研究・製造をするために研究所を持っている。そこで作ったものをある人物? に買い取ってもらって興味追及のためのお金を稼いでいる。

・第六感があることを自覚している。
 対象が自分の障害となりえるかが直感的に分かる第六感がある。正確率80%。
 これのおかげで物を作る際も「どうするとエラーがでるか」「こうすると上手くいかない」と言うのが分かるため、かなり効率よく作れる。もちろん、豊富な知識があってこそではあるが。

 とりあえずこれでいいかな……。
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