言い訳は色々とあるのですが、
それは後書きで書きます。
それと先に書いておくのですが、
次回の更新も大変遅くなりそうです。
その辺も含めて後書きに書きますので、
今は後編を投稿します。
「なんか……噂には聞いてたけど凄そうな人たちだな」
ムロが呆然としているがこればっかりは仕方がないと思う。
「俺も今それを改めて実感しているところだ」
「運ぶことは予想してたけれど……このまま運ぶつもりですか?」
同感だ。このまま運ぶつもりですか吹田さん。
俺はそんな思いを込めてジッと視線を向ける。
すると上から紐……これはロープかな、ともう一本細い紐が下りてきた。
「ロープを角につけ浮かべ、袋で覆う」
電話を閉じた吹田さんが戻って来てそういった。
「袋?」
「このまま運んだらもしかしたら砂が落ちる可能性もあるでしょ? そーなるとルート上の人たちに迷惑がかかるから落ちても大丈夫なように、袋で覆うってわけ」
「なるほど……それなら多少崩れても大丈夫ですね。こっちに運んできたときもこの方法ですか?」
「違う。念を入れ崩れない様に板で覆い、細かい模様はこっちでつけた」
「こっちに運ぶ時は崩れないようにしないといけないから念のためにしっかりと固めてきたけど、もう捨てるだけだから崩れようが問題ないからねー」
「『念のため』、ですか?」
……? よく分からないが溜井はその言葉に疑問を持ったようだ。
「そう、念のため。実はあれ、大まかな形や模様は磁石で型を作ってそこに砂色に染めた砂鉄をくっつけてあるのよー。で、運んでから普通の砂をまぶして模様を付けたってわけ」
「あの作業、重機も使うし結構時間かかって大変だったよ。ゲームみたいで楽しかったけどね」
それに対し船井さんと津出さんが答える。
……あぁ、なるほど。確かに崩れやすそうな砂の城に対して「念のため」は違和感を感じる。つまりそういう事か。
にしても、ヘリが出てきてその上自動操縦な以上、重機程度では驚かないが物凄い金の掛けようだよな。
「そうだったのですか……それらのお金も部長が全額出しているのですか?」
「レンは興味の為にお金を惜しまないからね」
「そして惜しまなくても大丈夫なほどの金があるってこと」
「そうなのですか」
その会話を聞いて溜井は何かを考えている。
「……と言うことは部長は砂の城を作ることに興味があったのですか?」
「んー、それも少しはあったかもしれないけど一番は『突飛なモノを目撃した際の新入生たちの反応』に興味があったんだと思うわ。ずっと部室の屋上から観察してたしねー」
「そだったのですか」
こんな大がかりなことをそんなことの為に行なったって言うのか、吹田さんは。
凄いけど方向性を間違えている気がしてならない。
「にしたって金持ちすぎだろ……吹田先輩」
「これに慣れてしまうのかと思うと怖くなってくるな」
ムロは呆れ顔でこちらを見ている。
とは言え、オーバーな技術よりはまだ現実味があると思うが。
「そろそろ作業を始めるわよー。まずは太い方のロープを四隅に取り付けて。とりあえず浮かべるから」
「「「わかりました」」」
俺たちは返事をして、自然と菅さん以外が二人一組になって四隅に向かう。それにしてもこれが浮かぶ様は想像できない。
「なぁホントにこれ浮かぶんだよな」
言われた場所に向かう途中、横を歩くムロが珍しく心配そうに聞いてくる。
「そう言ってるんだし浮かぶんだろ。というか、ここまでして『浮かびませんでした』じゃあ話にならないだろ」
「でもふと思ったんだけどさ、これこの時点で倒れないよな……?」
「あ……」
そう言えば……そうだよな。 まだ袋で覆ってないし、崩れなくてもそのまま倒れる可能性はあるわけで……最悪死ぬんじゃないだろうか。えっと……ヤバいその可能性を考えたら一気に不安になってきた。
「お前そういうこと言うなよ、想像しちまったじゃないか……」
「わ、わりぃ」
だがいまさらだ。ここまで来たら腹をくくるしかないか……アレ? 俺は部活動で腹をくくらないといけないのか?
「まぁいい。考えるだけ無駄と言うか面倒だし、吹田さんの技術を信じるしか無い……しか無い」
「……だな」
でも何となく命の危険は感じないんだよな。不思議と。もしかしたらどこかで大丈夫だという確信でもあるのかもしれない。
「こっちは付け終ったよー」
おっと津出さんのほうは付け終ったらしい。
「……で、この紐をくっつければいいんだっけ?」
「違うだろ。太い方だ」
「……」
無言で太い方を持ち直し、取り付けるムロ。記憶力なさすぎだろ。
「よし、付いた」
「そうか。なら報告だな」
ただ、どっちを向けばいいのか分からないので中央に向かって報告しよう。
「付け終りましたー」
「りょーかーい。じゃーレンーお願いねー。持ち上げるから皆は少し下がっててー」
俺の報告に船井さんが答える。
「わかりましたー」
さて、ついに砂城が浮くのか。期待はしたいところだが先ほどの会話が面倒なことに頭をよぎってしまう。
……そういえば菅さんはいつ報告をしたんだ?
「とうとう浮く……のか」
「らしい。とりあえず離れるぞ」
俺たちは十五歩下がる。下がり過ぎだって? 怖いとかそういうのでは断じてない。
「……安全のためだからな」
「何が?」
「なんでもない。つい心が漏れただけだ」
「そっか」
「あぁ」
そんな会話をしているとロープが次第に張りつめていくのがわかった。
「そろそろ、だな」
まるで世紀の瞬間を見るような気分だ。実際、一生に一度見ることもないかもしれないしな。
それから暫くしてロープが完全に張るのが分かった。周りがシンッと静まり返った気がする。
そして――
――城が、浮いた。
「マジで浮いたな……」
「おおぉ……」
俺たちは唖然として見ている。まだ低空飛行ではあるが異常に非現実的な光景だ。映画で家が浮かぶのは見たことがあったが、城が、しかも砂の城が浮かぶというのは現実はもちろん、空想の産物でも見たことが無い。
正直、感動ものだ。
「「……」」
「じゃー袋で覆うからーみんなこっちに来てー」
「……ハッ!」
いかん、ボーッとしていた。まだ作業はあるんだったな。
俺は船井さんのほうに行こうとしたが、ムロがまだ呆けていることに気づく。
「……」
放っておいても良いがそう言うわけにもいかないか。
――ったくこいつは面倒な。
「……!」
「グュッ!!」
仕方がないので、心苦しいが俺はムロの背中に肘鉄をかました……なんか異音がしたが気のせいだろう。
「お……お前イテェよ……」
さー無視して船井さんのところに行くか。後ろのは勝手についてくるだろ。
にしても俺の肘も痛いとかどうなってんだこいつ。筋肉馬鹿め……。
そうして全員が船井さんのところに集合し、吹田さんが前に出た。二人の後ろには巨大なビニール袋がある。
どうやって作ったんだろう、繋ぎ合わせた感じではないのに……。
ちなみにムロは背中をさすっているが誰にも何も聞かれない。こいつの存在は認識されているのだろうか? 友人として少し憐れに思えてきた。面倒だから触れないが。
「袋を紐につけ、俺に報告。上から引き上げる」
「じゃあ皆は袋の隅を持ってさっきのところに移動してー」
「引きずることで破けたりはしないのですか?」
確かに。だがここでそんなヘマをするとは思えない。
「何か特殊素材らしいから平気みたいだよ」
「まぁ、ビニールにしか見えないよね。でも特殊素材らしいから」
「ちなみに特殊素材って何なんです?」
「特殊素材だ」
「……そうですか」
教える気はないようだ。企業秘密ってやつか。単純に言われても分からないだけかもしれないが。
「ちなみに俺たちもそれがなんなのか何か分からないよ」
「問題ない。ウォーターカッターでも切れない」
「凄っ」
「謎は深まるばかりだわ……」
深まるだけで解決できないんだろうな、とか思ったが言わない。
「だって面倒なことになりそうだし」
「ん?」
「イヤナンデモナイ」
「……そう?」
危ない危ない。
そして再び俺たちは先ほどと同じ位置に袋の端を持って移動した。
「これにつければいいんだよな?」
自信なさげにムロが訪ねてくる。
「何で疑問形なんだよ。これしか紐無いだろ」
「あー言われてみれば確かに」
「いいからとっとと付けろよ。船井さん達は付け終えたみたいだし」
ふと何かが光った気がして、光源の方を見る。あっちは菅さんか。だが特に光も変化もない。
「……気のせいか」
「付け終ったけど何が?」
「何かが光ったように感じたが気のせいだったようだ」
「そっか」
「終わったなら報告するぞ」
俺は今度は吹田さんの方に向かって報告する。
「終わりましたー」
「りょーかーい」
津出さんの声がした。吹田さんは大声出すタイプではなさそうだし妥当か。
そしてその声の後、紐が巻かれ始めた。少し離れていた方が安全だろうか。
「少し離れておくぞ」
「おー」
紐はどんどん巻かれていき、ついに袋が城を覆う。何か工事中みたいだな。
そう思っている間にも城の高度はどんどん上がっていく。
「これで作業は終わりだからーみんな集まってー」
暫くして、遠くから船井さんが集合をかける。
ようやく終わりか。携帯を見ると1時になっていた……結構かかったな。
いや、むしろ作業内容だけを見れば時間はかかってない方か?
「まぁいいや。俺たちも行くぞ。とっとと帰りたい」
俺の帰りたい宣言を聞いてムロも携帯を取り出して時間を確認した。それを放っておいて歩き出す俺。
「たしかにそろそろ帰らないと明日に響くかもなー……って、置いてくなよ!」
「言っただろ、とっとと帰りたいと。お前の為に立ち止まっている時間は無い」
「帰りたいのは分かるけど携帯を確認する友人を待つくらいは良いんじゃないか?」
俺に追いついたムロがそういう。
「携帯くらい歩きながら確認できるだろ」
友人のところを否定すれば面白かっただろうか? まぁ、時間を取られると面倒だから言わないことにしよう。
「まぁ、確かに……そういわれるとそうだな」
「だろ?」
「だなぁ」
「理解したところで少し急ぐぞ」
「おう」
ムロが納得したのを確認してから俺は早歩きにチェンジする。この程度の距離を急いだところで時間に大した変化はないんだが。
集合場所に到着。
「みんなお疲れ様」
「お疲れー」
「以上、解散」
「え」
「早っ」
集まった意味があるのか分からないが早いことはいいことだ。今すぐ家に帰ってベットに沈みたい。
「じゃ、ムロも帰るぞ」
「おう」
――おっと一応挨拶はしておかないとか。
「皆さん、お疲れ様でしたー」
「お疲れっしたー」
「うん。二人ともお疲れ様ー」
それにしても、今のに反応したのを考えるにムロの存在には気づいてはいたみたいだがわざと触れなかったみたいだ。憐れな……。
平成24年4月11日1:04
早歩きで家に帰る中、いきなりムロが話しかけてきた。
「それにしても」
「ん」
「今日は楽しかったな」
こっちを向きながら同意を求めるムロ。
「まぁ、否定はできないが……楽しさよりも驚きの方が大きかった。今日の事は忘れられないかもしれない」
「ははっ、確かに。高校に入っていきなりいい思い出ができたぜ」
俺の言葉にムロが笑いながら肯定する。
「あぁ。これからあの部活でやっていくと思うと、今まで通りのつまらなそうな学校生活よりは多少面白そうだ」
正直不安もあるが……何だかんだあの部活を選んだことは正解だったのかもしれない。そう思うと自然と笑みがこぼれそうになってしまう。
「珍しいな、めんどくさがりなモリツネが」
「確かにメンドい部分もあるが、入部した以上ちゃんとやるつもりだし、真面目にやる以上は楽しまないと損だろ? それに楽しいことを面倒だとは思わない」
「そういえばモリツネはそーゆー奴だったな」
「何だ今まで忘れてたのか」
「忘れてた」
「そうかそうか、つまりお前はそういう奴だったんだ」
俺が吐き捨てるように言ってやると、ムロは慌てる。
「いゃいゃ! 嘘だって。ただ実際珍しいだろ? お前が学校の事で少しでも楽しそうにするのは」
……こいつ、元ネタが分からないのか? まじめに返されて少々恥ずかしいんだが。
と言うか、こいつが小学校の時の国語の教科書の内容を覚えていると思ってしまった俺の失態か。
「……」
そう思いつつもムロの発言にふと、小・中学時代を思い出す。たしかあの頃はー……確かに学校関係で楽しいってのはなかったな。
体育祭とか音楽祭とかサボりはしないしやる事はやっていたが面倒な気持ちの方が断然完全大きかったし、文化祭は無かったし、修学旅行は楽しかったが行くまでが特に面倒だったな。正直、旅館や電車やバスでのトランプとかのほうが楽しかったかもしれない。
部活はもちろんやってなかったし。勉強も楽しくは無い。そう考えると確かに珍しいな。
「そう、だな。こんな気分は珍しいな」
俺が気付かなかったことに気づくこいつはやっぱり幼馴染でし――友人だな。改めてそう思う。ま、思うだけで話さないけど……ハズイし。
「だろ?」
「ああ、そうだな」
そうしてその後も俺たちは夜道を自宅に向かって歩くのであった。
……それにしても腕と腰が疲れた。
平成24年4月11日1:06
家に着いた俺は階段を音を立てないように登り切って、部屋にたどり着くとそのままベットに突っ込んだ。
「明日は筋肉痛だな……」
あ、今日か。
第02話 財と技術の片鱗 完。
言い訳を書く前に一つ。
まだ13話どころか12話も書ききれていません。
不甲斐なく思います。
なのになぜ今回投稿したのかと言いますと、
さすがにこんなに期間が空いたら不味いだろうと思ったからです。
なので今後も期間が空きすぎたら書けていなくても投稿します。
なるべくそんなことは無いようにしたいのですが……。
そしてなぜこんなにも書けていないかといいますと、
まずモチベーションが上がらないというのがあります。
正確には他のことに対するモチベーションが上がることで相対的に下がっている状態です。
これに関しては「他のこと」をやり終えれば解決します。
ですがこの先、
夏から春にかけて気になるゲームが出すぎて不味いです。
どうにかしたいとは思っているのですが……。
……だからって一話目も書いていない話の最終話前の話を書くとか論外ですよね。
いくらモチベーションを上げようとしたからって……。
次に身内の関係で。
前作の時もありましたが身内がいることで書き辛い状況が続いています。
これに関してはいっそのことバラしてしまえば吹っ切れると思うのですが、
自分からバラすのもおかしな話のように思えてしまって。
自慢できるものでもないですしね。
その他にも土曜出勤や残業に時間帯変更などなどのことで気力が削がれてる感じもあります。
それに関しては今は通常状態に戻っているので安心ですが。
と、
主な言い訳はこのくらいです。
言いわけなのですべて自分が悪いのは分かっています。
第一、
モチーベーションが上がらないからって書かないのは駄目ですよね。
投稿した以上最後まで責任を持たなければ……。
最後に、
今ままで全然書き進められていないというのは紛れもない事実なのですが、
投稿した文章の訂正改正を地味にですけどしました。
だからなんだって話ではありますが。
それでは次回の投稿は13話を書き終えてからか、
今回と同じくらい期間が空いてからになります。
申し訳御座いませんでした。