それでもかなり遅いわけですが……申し訳ない。
部長に関してですが、
何でもできるわけでは御座いません。
できないことはできる人に頼みます。
つまり何が言いたいかと言うと、
この部活内だけで全てが解決できるわけがないということです。
では後編をどうぞ。
あ……13話が3編になったので今回は2話投稿しますので。
平成25年4月17日23:27
二年の3人を先頭、菅さんが最後尾で歩いているんだが……
「確かに多いな……」
「ん?」
「いや、なんでも」
強風が吹けば何かしらが飛んで来たり転がってきたりするし、木の下を歩けば虫が落ちてくる。地面のでっぱりに転びそうになるし、丁度いいところにガムが落ちてたりする。さっきは曲がり角で自転車が飛び出してきた。
ただ、その全てが菅さんによって防がれたので被害が出ることにはなっていない。あぁ吹田さんも自分で避けていた……避けたせいでこっちに来たが。
「何ていうか俺のせいで……すまない」
「いや一応これが活動みたいだし、気にするな」
そして今となっては菅さんがどうにかしてくれることが分かっているので、俺たちは特に何も気にすることなく歩いている。
「それにこの現象の謎が分かると思えば、安いものよ」
「現象」か……確かに偶然にしては重なり過ぎてるよな。偶々だと思っていた俺もこの頻度はいくらなんでもおかしいと思う。もしかして福間には本当に何かがあるのだろうか……なんて、あり得ないあり得ない。
「そう、ですか。そう言ってもらえると嬉しいです。でも、いつもはここまで酷くないのですが……」
「そうなの?」
「はい。ここまで続けざまにというのは珍しいです」
「と言っても、もう中学から亜希以外の人と会ってないけどな」
「「「……」」」
空気が一気に重く……。
「あ……すまない。変なこと言っちまって……」
「いや……まあ……」
「で、でも! それなら買い物とかどうしていたの? 髪も切ってあるみたいだし」
やけにわざとらしく話題の転換をしようとする溜井。
まぁ気持ちは分からないでもない。
「あ、それは私がやってます。お金は昂の家から送られてくるのでそれで」
「流石に掃除とかは自分でやってるけど、買い物とかとなるとどうしても人と合わないといけないからな……」
「最近はセルフレジ? だったかもあるんだし、深夜とかなら人に会わずに買い物もできるんじゃないか?」
「この辺りにセルフレジのお店は無いわよ?」
何故か呆れ気味に言われた。
「……そうなのか?」
「ええ」
「そうか」
買い物何て近所のスーパーか、遠くのショッピングモールに荷物持ちで行くくらいだからな……そうか、無いのか。
「まあ……あったとしても『もしも』があるかもしれないから……いかなかったと思うけど。やっぱり部屋から出ないのが一番安全だし」
確かにこうなっている原因である「何か」があるとするなら、用心するに越したことは無いが……。
「でも聞いた話だと偶に外に出ているのよね」
「……まぁ、そのー……あれだ。ずっと部屋にいるとどうしても気分も落ち込むし、引きこもりになりたいわけでもないし、アパートの前の道路は曲がり角まで遠いからバッタリなんてこともないし」
俺でも分かるくらい凄く言い訳がましく理由を並べていく。
どうやら言いづらい本当の、もしくは一番の理由があるようだ。言いたくないようなので聞かないけど。
「それでも最初の頃は外に出なかったんです。けど、今は少しでも出てくれるようになってくれていて、私も安心してます」
「ふーん……」
津軽は胸に手を当てて本当に安心したような表情を浮かべている。
つまり何か外に出ようと思うきっかけがあったってことか。何かは分からないけど。
「なるほどね……」
「ん?」
「いえ、なんでもないわ」
隣から呟きが聞こえた気がしたんだが……気のせいだったみたいだ。
平成25年4月17日23:38
結構歩いた俺たちは、ぐるっと一周して元のアパート前に戻ってきた。
道中でどれくらいの「よくないこと」が起きたのかはもう数えきれない。なにせ途中で気にするのを止めたんだから分かるわけがない。分かるとしたら菅さんだけだな。
そして新たに分かったこととしては、菅さんは只者じゃないということ。何か格闘技系のものでもやっているんだろうか? あの動きは普通ではないと思うんだけど。
「……それで、『コレ』の原因は分かったんでしょうか? 何とかできるんでしょうか……」
……あ、そうか。本題はこっちだった。
「できる」
「「ホントですか!?」」
声をそろえて目を輝かせる二人。
まぁ「アレ」が原因でいろいろあったみたいだし当然の反応か。そもそも「アレ」に理由や原因があるのかは不明だが。超能力ではないらしいし。
「結局、福間君の周りで起きる現象の原因はなんだったのですか?」
「不幸体質だ」
「「「……は?」」」
「正確には『周りの人間に死なない程度の避けられる不幸を与えやすい不幸体質』」
いやいや、何言っちゃってるんだこの人は。確かにそうだと言えばしっくりくるけど、どう考えても非現実すぎるだろ。
「不幸体質……そのようなものがあるのですか?」
呆気にとられる俺たち三人を余所に、溜井が吹田さんに問いかける。
「ある。特異体質の一つだ」
「……あるのですか。分かりました」
考える仕草をして、どうやら納得したようだ。
「いゃ……信じるのか? こんな非現実的な話」
「非現実的だろうと、あらゆる可能性を柔軟に考えてこそ探偵ってものよ」
「あ、そう」
何言ってんだこいつ。
しかしこれ以上の発言は面倒になりそうだから控えておこう。
「信じられないのも無理はないけど、確かにあるのよ? 例えばー……ほら、雨女とかみたいに」
「ゲームとかの二次元に在りがちで非現実的に思えるけどね。でもそう考えるとしっくりくるでしょ?」
「いや……まあ……」
しっくりはくるけど納得はできない……納得はできない、が、しかし。
「……まぁ、そですね」
表面上でも認めてしまった方が楽だろう。この場合は。
「あの……」
と、後ろから声が聞こえた。
そういえば依頼人を放って置きっぱなしだったな。
「つまり……やっぱり今までのことは全部俺のせいって、ことですよね」
「あぁ」
「体質だし仕方ないとは思うけどねー」
「そうですか……」
福間は誰でもわかるぐらいに表情を沈めてしまう。
「で、でもっ! どうにかできるんですよね!?」
「二人でこの場所に行け」
「二人で?」
そう言って吹田さんから渡された紙を、街灯の下で二人は確認する。
「長野県……の、神社? ここに行ってこの人に会えばいいんですか?」
「話は通ってる。お前等の名前を出せば会える」
どうやら紙には場所と名前が書いてあるようだ。
「この人に会えば『コレ』を、本当にどうにかできるんですね……?」
「できる」
吹田さんは表情も変えずに即答する。
「……分かりました。亜希、一緒に行ってくれるか?」
「うん。でもどうやってここまで行くの?」
「金曜の深夜か土曜の早朝に電車で……バスだと運転手が近いし。深夜か早朝なら人も多くないだろうから……でも俺と一緒に出掛けるなんて、大丈夫か? 親御さんとか……」
「大丈夫! 頑張って説得してみせるし、できなくても抜け出して絶対に一緒に行くから」
「そっか……ありがと」
優しく頭をなでる福間。
まーた俺たちは空気役か。
そう思ったら、再び福間が吹田さんの方を向いた。
「でもどうして俺と亜希の二人なんですか? 原因は俺なのに……」
「必要だからだ。幸福体質である人間が」
「私が……幸福体質?」
また何か非現実的な単語が……いゃもう何も思うまい。
「おそらく『自分のみに不幸を受け付けにくい幸福体質』。だからそいつの不幸体質の影響を一人だけ受けない」
「だから俺の近くに居ても大丈夫だったんですね」
「今回不幸が一気に起きたのも、幸福体質によって発散されなかったものが一気に発散された為だ」
「本当に誰にも会ってなければここまでのことにはなってないからねー」
つまり今回のは溜まりに溜まったものが溢れ出た感じなのか?
「そうだったんですか……私が幸福体質……それが私が今まで何もなかった理由なんですね」
「そうなる」
「……そうですか。ちょっとだけ『幸福体質のおかげ』だったって言うのは残念ですけど、私のこの体質が昂の体質をどうにかするのに必要って言うのは……凄く、嬉しいです」
「亜希……」
「……うん」
互いに見つめあう二人。
「それじゃー私たちはここで解散しましょうかー」
「え」
「ふぇ!?」
「そうですね」
「これ以上ここにいるのは野暮だよね」
「ですね」
「あぁ」
「……」
ニヤニヤしながら言った船井さんの言葉に俺たちは同意する。
「あ、あの!」
「違うんです! これは――」
「どうにかできたら部室に報告に来い」
「じゃあねー」
「末永くー」
「……」
「皆さんおやすみなさい」
「お疲れ様です」
慌てる二人を余所に俺たちはそれぞれ帰路へと着いた。
いやー暑い。なるほど、あの時の「外に出た理由」はそーいうことだったのか。ようやく理解できた。
これで不幸体質とやらが本当にあるなら、それをどうにかできれば万々歳って感じだな。
にしても、
「……はぁ」
帰ったらもう明日だよな……さっさと寝よう。全ルート制覇は明日でいいや。
俺は若干の眠気と気だるさに襲われながらさっさと家に帰って寝たいと思うのであった。
平成25年4月18日17:34
授業と掃除が終って今日も部室でゲームをする日々。
あの二人は明日の深夜か明後日の早朝に行くと言っていたから、報告に来るのは来週だろう。連続であんな依頼が来るとも思えないし……思いたくないし、だから今日はゲームに徹することができるはずだ。
「昨日二人に渡した紙に書いてあった場所ってどこだったのでしょうか? 部長」
「本物の巫女の所」
あっちの方では溜井が吹田さんに何やら質問しているようだ。
「本物、ですか?」
「その辺のかっこだけの奴等ではないということだ」
「なるほど……部長は巫女さんと知り合いだったのですね」
「違う。友人が知り合いだ」
「友人、ですか。それは前に飛行許可を取った友人さんですか?」
「あぁ」
同一人物なのか。何者なんだろうその友人は……巫女と知り合いで飛行許可を取るとか。
「ですが巫女さんが不幸体質をどうにかできるのですか?」
「できる。方法は知らん」
「知らないのですか?」
「知らん」
「そうなのですか……」
……報告待ちか。それにしても不幸体質をどうにかする巫女さんとかファンタジーチックすぎる。そう言うのは二次元だけで十分だ。面倒だしもう深くは考えないが。
とにかく。質問も終わったみたいだし、今は二次元であるゲームに集中しよう。深く考えないために。
……納得できない非現実な現実から逃げるために非現実に逃げるとは、何とも言えない状況だな……ハァ。
平成25年4月22日16:46
「皆さんおかげでこの体質もどうにかすることができました。本っ当にありがとうございます!」
「ありがとうございます! これはつまらないものですけど」
「気にしなくて良いわよー。私たちは紹介しただけだから。あ、でもこれは貰うわねー」
週明け、津軽と福間の二人は部室のソファに座って早々に頭を下げていた。反対側には吹田さんと船井さんがいる。菅さんと津出さんは相変わらずで、溜井は同じテーブルの向かい側にいる。
「で、どうやった」
「よく分からないんですが、これが俺の不幸体質を抑えてくれるそうです」
福間は首元に下げていた菱形の木? で出来たものを手に持って見せる。
「見た目はただの木のペンダントねー」
「その、ですね。この木には私と巫女さんの血を混ぜたものを染み込ませてあるそうです」
「そうか」
「血を?」
「はい。幸福体質である私の一部が必要だったみたいです」
溜井の疑問に津軽が答えた。
だったら血でなくても良かったんじゃないだろうか? いや血じゃないと染み込まないのか。混ぜられないし。
……そうする意味は分からないが。
「巫女の存在は神聖なもの。その血と幸福体質の血と混ぜることで不幸体質を抑える効果が出るようだな」
「そうなのですか?」
「仮説だ」
そう言った吹田さんは何やらブツブツと言って考え始めた。
「でも実際に不幸体質の影響は出てないのよね?」
「今の所でてないです」
「ならそーいうことでいいんじゃない?」
「……そうですね。この体質がどうにかできただけで俺は十分です」
「私もそれだけで充分です」
本当に安心したような表情の二人。
「そう。それなら報告は以上で良いわよー」
「わかりました。今回は本当にありがとうございました」
「ありがとうございました」
立ち上がって礼をすると、二人は部室を出て行く。
「お幸せにー」
「千理乃、今回のをまとめておけ」
「りょうかーい」
立ち上がって指示を出した吹田さんは向こうの部屋へと行った。
「あ、私も手伝います」
溜井が椅子から立ち上がって船井さんの所へと向かう。
「そう? ならお願いねー」
「はい。任せて下さい」
二人は何かよく分からないが今回の依頼内容をまとめる仕事? に入った。
……さて、俺はゲームに戻るとしよう。そしていつも通りの時間に帰ろう。
あ、今日から帰りは一人か。だからって何でもないが……まぁ。
第04話 半引きこもりの特異原因 完。
間違えてULに投稿してて……凄く焦りました。
気持ちを切り替え大した事はないですが今回の二人の名前の由来とかを。
福間昂→ふくまこう→ふこうまく→不幸撒く
・周りに死なない程度の避けられる不幸を与えやすい特異体質。
・家族とは色々あり暫く声も聞いていない。
・中学の途中から不登校になり今は半引きこもり。
・引きこもっていたときはネットで稼ぐ方法を模索していた。
津軽亜希→つがるあき→つきがある→ツキがある
・自身に良いことが起きやすい特異体質。
・外にほとんど出ない昂の世話を自主的に行っている。
・そのことで両親とはたびたび衝突している。
このくらいでしょうか。
おそらく1話限りでしょうし細かく設定は作ってないです。
次回は日常回なのかな……微妙なところです。
今日中に投稿できると思います。