最近はようやく仕事時間帯も戻ってきましたし、
気温も過ごしやすくなってきています。
精神も安定してきてゲームも捗るってものですね。
そういうわけで5話を投稿完了。
平成25年4月23日16:26
面倒な当番制の掃除を終えてようやく部活へ向かう。
火曜と金曜が7限授業のせいで部活動に出る時間が1時間半くらいしかないな……まぁ仕方がない。
「出ないわけにもいかなしな……ん?」
何やら前方に見覚えのある人間が……とりあえず立ち止まって様子を見ると、どうやら壁を背にして張り付く感じで曲がり角を覗きこんでいるようだ。
……不審者か?
「……いや、どう見ても溜井か。何してんだ? あれは」
ストーカー? ではないとは思うが……。
「……うむ」
何かよく分からんけど関わると面倒そうだ。気づかれる前に別ルートで部室へ行こう。
俺は回れ右をして先ほど通り過ぎた階段から部室に向かうことにする。遠回りになってしまうが「アレに関わる事への面倒そう度」と比べたら比べるまでも無い。
平成25年4月23日16:28
「あれ、溜井さんと合わなかったー?」
「……はい?」
部室に来た俺は、コーヒーを淹れていた船井さんに開口一番そう言われた。
あれ……なんか面倒そうな予感が……。
「レンが『一年に』って用事を頼んだんだけど、その時は溜井さんしかいなかったから『先にモリツネ君の通る場所でやっておきます』って言ってたんだけどー……」
「あー……」
あ、アレ、か。アレは頼まれた用事だったのか……まぁアレを用事だと思う人なんていないだろうしあの時点の判断は間違ってはいなかった、とは思う。思う、が……
「はぁ……探して手伝ってきます」
「よろしくねー」
俺はのんきに手を振る船井さんに見送られて、来たばかりの部室を出て行く。
平成25年4月23日16:30
まったく……二度手間になって正直メンドイんだが部活動なんだし仕方がない。仕方がないから、溜井を探さないと。いつも通りの道順を辿れば見つかるだろうか……。
「……はぁ」
とりあえず行こう――
「……いや、待てよ?」
――としたところで、ふと思い直し立ち止まる。
このまま道順を辿ると一回部室に来たことがバレるよな。あいつがムロ並みの馬鹿ならバレずに済むかもしれないが、それはあり得ない。
「なら普段通らないルートで戻って合流するしかないか……」
もし回避したことがバレれば何かしらの文句は言われそうだ。そっちの方が面倒だろう。
「最悪あいつがここに戻ってこないとも限らないし……あまりにも遅くなると不審がられるな」
それならとっとと行くとしよう。
そう心に決め、俺は迅速に行動に移すことにした。ただし、息を切らせない程度に。
平成25年4月23日16:31
さて……一旦教室まで無事に戻ってから再び部室に向かってすぐに見つけることはできた。またさっきと同じような格好で階段を覗いているようで、幸い気づかれていない。だから問題はこれからどう行動するか、だ。
「……よし」
とりあえず無視しよう。何も見なかったかのように通り過ぎ、声をかけられても一回目は無視。2回目以降の反応はその時その時でアドリブだ。
……無いとは思うがそのまま通り過ぎれてしまったら部室に行って戻ってくるしかないな。そうなると面倒なので引き留めてもらいたいところだ。
頭の中でこれからの行動を大まかに決めて、歩いて近づいていく。
「……」
溜井の反対側を無言で歩き近づいていく。
「……わざわざ教室まで戻ってから来たのね」
「……」
間違いなく俺に向けられた言葉だが、反応してはいけない。バレてる可能性もあるが……カマをかけられている可能性もある。
とにかく通り過ぎるくらいの感じで無視して歩くか。ホントに通り過ぎたら困るが。
「ちょっと……無視?」
と、思ってたらうまい具合に肩を掴んでくれた。これで反応を返せるし、部室まで行かなくて済むな。
後はいつもの俺のごとく返すだけ。
「俺にストーカーの知り合いはいない」
「違うわよ! 知ってるんでしょ? 用事を頼まれたこと。一回部室に行っているんだから」
「誰に頼まれたのか知らないが、付き纏い行為なんて面倒なことに関わりたいわけないだろ。わざわざ見て見ぬ振りしてやってんだから突っかかるなよ」
「一回部室に行った発言」からは話を逸らすべきだと判断し、溜井の奇怪な行動に話を持っていく。
「だから違うって言ってるでしょ!? れっきとした部長からの用事よ!」
「お前の個人的趣味の間違いじゃないのか? 吹田さんがストーキングを推奨するとは思えないが」
「だーかーらー!」
もちろん適当だ。吹田さんがそういうことをさせるのかどうかなんてわからない。
「で、何やってんだ? 俺は後1時間20分で帰りなんだが」
ただ話を長引かせすぎても余計に面倒なだけだ。頼まれごととやらを残り時間で少しでもやらないとな。
「む……そうね。今は時間が惜しいわ。追及は後にしましょう」
「そうか」
後で追及も何も帰ると言っているんだが……面倒事になる前に時間まで用事をやってさっさと帰るとしよう。
「それじゃこの紙のチェックされてない人を探して、連絡を頂戴。くれぐれも怪しまれないようにね」
「お前の連絡先とか知らないんだが」
「なら今交換しましょうか」
溜井が携帯を取りだした。
正直あまり他人に連絡先とか教えたくないんだが……どうする。つっても断っても意味ないしなぁ……。
「……まぁしょうがないか」
そう呟いて同じように携帯を取りだし赤外線通信。連絡先の交換を終えた。
まぁまさか呼び出しとかのメールは来ないだろう。
「それじゃ任せたわよ」
そう言われて紙の束をペラペラとめくると、中には顔写真と名前、クラスや部活などが書かれたものがリストのようにずらりと並んでいた。その中のいくつかにはチェックが付けられている。
よく見ると全部一年だな。
「何だこれは?」
「部長から渡されたリストよ。そしてこの中の人たちの指紋を採取するのが私たちの仕事よ」
指紋採取か……そう言えば入部した時の説明に指紋がどうとかの機械があった気がする。それ以前に指紋採取とかしていいのかとか、何で顔写真があるのかとかいろいろ疑問疑惑あるのだが……まぁ、一番の問題は、
「……言っておくが、俺は指紋採取とかできないぞ」
これだよなぁ。
「分かってるわよ。だから指紋採取の道具を渡してないのよ。モリツネ君はこの中の人たちを探して、触れたところを覚えておいて私に報告してくれればいいわ」
「そうか。なら時間もないし探してくる」
「頼んだわよ」
「あぁ」
俺はその場を離れリストに載っている生徒を探しに行く。
平成25年4月23日16:41
「ふぅ……」
何とか「一回部室に行った」ことを追及されないための離脱を成功できたか……にしても、あいつは指紋採取ができるってことだよな。自称探偵だし、そういうことができてもおかしくは無いのか。
「……」
おかしくはない、のか? まぁいいや。とにかく今はやる事をやらないと。
「とりあえずはあまり目立たないようにしないとな」
まさか正面きって「指紋採らせろ」何て言えないし、こんなことしてるって知られたら変人コースまっしぐらだ。なるべく隠密に行くべきだろう。
「と言っても残り時間でどれだけ探せるか……それに部活やってるならあまり一人でいることは無いよな……」
とにかく行き当たりばったりでいくしかないか。
「ただ問題があるとすれば一つ、か」
そう、重大な問題が一つある。
「俺、顔と名前憶えんの苦手なんだよなぁ……」
いまだにクラスの人間の顔と名前が一致しないどころか、ほとんど覚えていない始末。だからこれは物凄く俺に向いてない仕事だ。
「でも部活動だしちゃんとしないとな……」
そうして俺はリストの生徒を探し彷徨うのであった。
……まあ歩くのは嫌いじゃない。嫌いじゃないけど歩きながらだとゲームができないのは難点だ。
平成25年4月23日18:00
時間だな。
俺は携帯の時計を確認して、メールで溜井に『帰る。』と、それだけを報告し下駄箱へと向かう。
「それにしてもたった3人か……」
結局俺の戦果は3人。まぁ時間的に妥当かもしれないけど。
「けどあいつは6人見つけて指紋採取してたんだよな……これ今日中に終わるんじゃないだろうか」
ただ、時間が経てば経つほど校舎内の人は減るし明日も続行するのかもしれない。そうなったらそうなったでまた手伝うのだろう。
「……ま、とにかく帰るか」
そう。とっとと帰って風呂入ってゲームして飯食べて歯磨いてゲームして寝よう。どうせ他にやらないといけないこともないし。
平成25年4月24日16:48
案の定今日も指紋採取、する対象探し。
「これってこいつらの机とかから指紋採ればすぐ終わるんじゃないか?」
「もちろんできるところはやったわ。でも部活とかで使ってるとこもあるからできないのよ」
「それもそうか」
そりゃできたらこんな面倒なことにはなってないよな。
「……じゃ、探してくる」
「任せたわ」
じゃー残り少し、探すとしようか。今日は昨日の続きがある可能性を考えて音楽プレイヤーを持ってきた。ゲームは駄目だが音楽を聞きながら歩くのは問題ないだろ。
俺はいつも通りイヤホンを緩く付けて音量も控えめでリストの人物を捜し歩き始めた。
平成25年4月24日17:29
「……全く見当たらないな」
何の部活動をやっているのかが分かっても、何処で部活動をやっているのかもわからないし。だから生息範囲の見当もつかない。顔も全然覚えられないから見逃している可能性すらある。それどころか真面目に部活なんてやって無くて帰ってる可能性もあるわけだ。
ただしその間にも携帯にはちょくちょく『指紋採取完了』というような内容の報告が送られてくる。
今さっきも報告通りに顔写真にチェックを付けたばかりだ。
「はぁ……でも一人くらいは見つけないとな」
溜息をつきながら階段を下りていく。
「ん?」
すると階段の下を一人の体操着姿の男子生徒がスポドリの缶片手に歩いていた。
どっかで見たような顔だな。知り合いではないと思うが……あぁ、リストにあった奴だろうか?
「んー……ああ、いた」
片っ端からチェックをされていない顔写真を確認していくと、さっきの男子がいた。卓球部か……さしずめ休憩時間に飲み物でも買いに来たのか。どうでもいいけど。
どうやら僅かな違和感を感じるくらいには顔をうろ覚えていたらしい。
「と言っても指紋が取れないと意味ないんだが……」
とにかくばれない様に後をつけないとな。ようやく見つけたのに見失ったら話にならん。
平成25年4月25日17:30
曲がり角一つ分くらいの距離をあけて後をつけることほんの少し、男子生徒はスポドリを飲み終えたのか缶をゴミ箱に投げ捨てた。
「……缶から指紋って取れるんだっけか?」
そんなことも思ったが、まぁコップとかから採れるんだし採れるだろ。
なのでとりあえず缶はゴミ箱から取り出さずに、報告をする。
そしてすぐに溜井が来て、ゴミ箱を確認した。
「その後は誰も捨ててないし上にあるはずだ」
「そう。分かったわ」
ドラマの鑑識が使っているような白手袋をつけて、ゴミ箱から缶を側面に触れないように取り出し指紋採取を始める溜井。
「……」
俺は何をしているのか分かってるから良いが、第三者から見たらどう考えても「ゴミ箱を漁って何かしている変質者」もしくは「意中の相手の飲んだものを集めるストーカー」だよなぁ……まぁ、そう見られたくないからわざわざゴミ箱から缶を拾わなかったんだが。
もちろん、無闇に触れて指紋を消したりしないためって言うのも一応理由ではある。ただ万が一にでも人に見られる可能性は有るわけで、変人認定と変な噂が広まったら面倒になりかねない。
「採り終えたわ。これで後5人ね」
「だけどもう帰ってるとかは無いのか?」
「その可能性も高いと思うわ。もしそうだったら明日私が何とかするから、モリツネ君は明日は部室に行ってていいわよ」
「ならそうさせてもらう」
俺よりこれに関して優秀なこいつがそう言ってるんだし、お言葉に甘えて明日は部室でゲームだな。ただ残り時間はちゃんとしないとな。
俺たちは再び別れて捜索を開始した。
平成25年4月25日18:00
時間だ。
やることはやったし昨日と同じようにメールで報告だけして、下駄箱から帰るとしよう。
結局あれから一人も見つかってないし、報告も無いけど後は溜井が何とかしてくれるらしいからそれに期待しようか。
平成25年4月25日16:27
あのあと3人見つかったとの報告が来たが、どうやら全員は見つからなかったようだ。だから俺は廊下で対象を見張っていた溜井を確認してから、言われたとおり今日は部室に来た。
「あれ、指紋採取は終わったの? 昨日は終わってなかったみたいだけどー」
「残りは溜井がどうにかするそうで、俺は部室に行ってていいと言われました」
「そっかー」
「なら一緒にゲームでもしようか?」
と、ソファに座った津出さんがゲームを勧めてくる。
もちろん断る理由も無いので有り難くそのお誘いを受けることにした。
「はい。そうさせてもらいます」
そして俺と津出さんは部活時間をいつも通りにゲームにつぎ込んだ。
溜井が部室に来たのは体感ゲーム時間でおよそ20分後。聞こえてきた会話によるとどうやらちゃんと全部集め終わったそうだ。
良かった良かった……終わらなかったら責任を感じていたところだ。言われたとはいえ完全に任せてしまったわけだしな。
……だったら最初っから手伝えばいいのにとか思うかもしれないがそれはない。やる事はやったんだ。なのに何でやらなくていい面倒なことをわざわざしなくてはいけないのか? する理由が全くないな。
「……」
まぁ、何はともあれ無事に終わったんだし今はゲームに集中しよう。余計なこと考えていると死んでしまうからな……。
第05話 不審な行動と採取 完。
前に主要人物が8人と言いましたが、
その内訳はと言うとこんな感じです。
8人中3人が気を使えて、
その内1人は無意識に使っています。
8人中2人が霊力を使えて、
その内1人は限定的に使えるだけです。
8人中3人が第六感をもっています。
その内2人はまだ気づいてないです。
8人中1人が特異体質です。
8人中1人は何もありません。
こんな感じになっています。
誰がどれって言うのはそのうち分かる予定です。
次回の投稿は14話を書き終えたら載せる予定です。
……内容は決まっているんだけどなぁ。