今日は2話更新です。
アルバトリオンが赤黒のスパークを纏いながら、物凄い速度での突進を繰り出す。
龍属性を纏ったその攻撃は被弾すれば大ダメージは免れないけど、その動きは単調だから鳴動を使えば避けるのは難しくない。
紅雷と一体化し、私は左へ移動して余裕を持って回避する。
「――ッッ!!」
直後、アルバトリオンが私を追っていきなり方向転換した。
まるで私が避ける先を予想していたのか、回避直後の私を狙って一気に加速する。
フェイント!? しまっ……ッ!?
相手の策に嵌ってしまった事に気付くけど、もう鳴動を使っても回避するのは間に合わない。
アルバトリオンの角が私の胴体に突き刺さり、凄まじい激痛に視界が揺れて意識が明滅する。
気を失わなかったのは、この体がミラルーツだったからだ。そんな簡単に気を失うのは許さないと、ミラルーツが私を引き戻す。
口から血が溢れるのを無視して、私はアルバトリオンの首に食らいついた。
アルバトリオンの逆鱗を噛み砕きながら、右前脚にあるバッテリーを励起。
右前脚が真紅のスパークに覆われるのを確認して、私は思い切りアルバトリオンの翼に爪撃を放つ。
「ガァァァァッ!?」
片翼を破壊された激痛にアルバトリオンが怯み、私に突き刺さっていた角が少しだけ抜ける。
その隙を見逃さずに今度は左の前脚でアルバトリオンの頭部を殴り、大きく仰け反らせた。
さらに尻尾で殴打して吹き飛ばし、一度距離を置いて私とアルバトリオンが再び向かい合う。
くっそ、刺されたところがめっちゃ痛い……!
私の損傷は、全身の浅い切り傷と左の胴体に空いた穴。
このままだと出血多量に陥って死んじゃうから、長期戦は無理っぽい。
アルバトリオンって多数のエネルギーを宿す代償としてその管理が不安定だから、そのうちエネルギーを扱いきれなくなって自爆すると思ってたんだけどなぁ。
さっきの突進で受けた傷の深さから、相手のエネルギーが限界を迎えるより私が倒れる方が早そう。
対してアルバトリオンの損傷は最初に受けた雷球ブレスによるダメージと、頭部及び片翼の部位破壊。
確かに私より損傷箇所が多いけど、そのどれもが浅くてそこまでのダメージにはなってない。私みたいに致命傷は与えられていないね。
やっぱり、ここは一気に決めるしかないか。
私の体が限界を迎えるより早く、全力でアルバトリオンを倒す。
体内に存在するバッテリーをフル励起、龍脈エネルギーを供給。
莫大な紅雷バッテリーに注ぎ込まれていき、そして飽和する。私の全身から真紅のスパークが弾けて、空に無数の紅雷が発生し始めた。
全身の体毛が逆立ち、角、牙、爪、翼、尻尾、前脚、後脚、全ての部位が紅の光を纏う。
私が本気になったことを悟ったのか、アルバトリオンも咆哮する。
全身の色が赤黒から蒼白へと変化し、全身に青白いスパークを纏い始めた。
……ようやくミスしたな、煌黒龍!
この私に向かって雷属性で勝負を仕掛けるなんて、流石に悪手でしょう。
確かに全属性を自在に操れるのは凄いよ。
だけど出来ることが多いからこそ、それぞれの属性単体で見た時の熟練度は甘い。
あなたの強みはどんな相手にでも有利属性の攻撃を繰り出せること。
そして次々と属性を切り替えることで、他のモンスターとは比較にならないほど多種多様な攻撃を繰り出せることだ。
有利属性を使うならともかく、同じ雷属性でこの私に勝てるとでも?
あまり
アルバトリオンが大きく翼を広げて、全身から蒼白のスパークを放出しながら突っ込んでくる。
それに対して、私は頭を軽く右から左へ振った。
――雷閃。
MH4Gで追加されたモーションの1つで、相手がいる空間に横一文字に紅雷を発生させる攻撃だ。
前触れなく横から雷撃に襲われたアルバトリオンは体勢を崩し、錐揉み回転しながら地面に墜落する。
本来のあなたならともかく、片翼が破壊された今は滞空し続けるのは難しいよね。
空中戦では私が有利だ。
地上のアルバトリオンに向けて雷を落とし、私自身も雷球ブレスをひたすら連射する。
もはや一切の手加減はしない。
フランシスカさん相手に使った様子見の「落雷の雨」とは違う、ミラルーツ渾身の落雷とブレスだ。
アルバトリオンも自分の周囲に氷塊を発生させて紅雷を防御するけど、その程度で渾身の連撃を防がれてたまるか。
私の紅雷はあっさりと氷塊を砕き、真紅の光がアルバトリオンを貫く。
『禁忌』であるアルバトリオンは消滅こそ免れているけど、孤島の方は耐え切れない。
煌黒龍の足元が遂に消滅し、孤島に大穴が空いた。
「グルアアアアアアアアッ!?」
雷撃を浴びたアルバトリオンが激痛で咆哮し、一気に龍脈を解放する。
孤島よりも巨大な氷塊が一瞬で生成され、それを盾にアルバトリオンは私の攻撃範囲から離脱した。
……逃げられたか。
だけど、次はもう逃がさないよ。今度は防御する余裕も生まれないほど高密度の落雷で押し切ってあげるわ。
アルバトリオンが蒼白の光を纏って飛翔し、私も鳴動を発動させて煌黒龍の後を追う。
お互いに一瞬で音の壁を突き破り、空中に蒼白と真紅の軌跡を残しながら何度も激突した。
古龍の巨体が音速以上の速度でぶつかる度に衝撃波が発生し、世界そのものが怯えるように震える。
ぐ、ぶつかる度に傷が……!
龍脈を傷口に集めて再生を続けているけど、まだ出血は止まらない。
このままだと本当に失血死しちゃう!
焦燥に駆られる私の前でアルバトリオンが翼を閉じ、一気に急降下しながら大気に氷の息を吹きかけた。
空中の水分が瞬時に凍結し、生成された無数の氷塊が私に放たれる。
大質量の攻撃は確かに脅威だけど、私の命には届かない。
翼に龍脈を収束させ、咆哮。
私を中心にドーム状に真紅のスパークが展開されて、無数の氷塊をまとめて破壊した。
真紅のドームは迎撃だけでは留まらず、さらに拡大してアルバトリオンを襲う。
対して、アルバトリオンも周囲に蒼白のスパークを生成して相殺。
その程度の電撃で私に対抗するとは、笑い話にもならないよ。
文字通り、格の違いってヤツを見せてやる!
私とアルバトリオンは同時に龍脈を収束させ、空に向かって咆哮する。
今から繰り出す技は共に同じ。
原作ゲームでも数え切れないほどのハンターを打ち砕いてきた、敵対するもの全てを蹂躙する破壊の雨。
――全体落雷!
今までで最大威力の落雷が発生し、真紅と蒼白が互いを討ち滅ぼさんと暴れ狂った。
蒼白のスパークが天を貫き、真紅のスパークが大地を穿ち、凄まじい電撃で海が蒸発する。
無数に発生する落雷の1つずつが、国1つを跡形も無く破壊する大災害だ。だけど蒼白と真紅の光が乱舞するその光景は、御伽噺の1シーンのような美しさがあった。
しかし、永遠に続くように思われたその美しい光景はすぐに終末を迎える。
紅雷に撃ち抜かれたアルバトリオンは小さな岩場と化した元孤島へと落下し、私もそれを追随して急降下。
そして完全に墜落したアルバトリオンを抑えつけると、抵抗する気を失ったのかアルバトリオンが目を閉じる。
……はぁ、はぁ。
初めて、限界近くまで、力を……使った……よ。
視界はぼやけて霞むし、身体は弱々しく震えて力が入らない。
帯電状態を持続させる龍脈すらも身体に残ってなくて、私の意思に関係なく帯電状態が解除された。
全身が痛いし、未だに流血も止まらない。
けど、私は。
――勝った。
その勝利をボレアスとバルカンに伝えるように空へ向かって咆哮し、私はゆっくりと倒れる。
だけど完全に倒れこむ前に、今までで最高速度じゃないかと思うくらいの速さで降りてきたボレアスとバルカンが私を支えてくれた。
転生してから初めて経験する同格との戦いを制した私は、弟達に体を預けて目を閉じる。
はは、これでやっと休めるね……。
大切なものは――
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更新速度ではない、質だッ!
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質ではない、更新速度だッ!