ふわぁ〜、よく寝た。
森の中で寝たのは初めてだったけど、草花を積み上げた雑なベッドでも意外とよく眠れたね。
夕方くらいに寝たからちょっと早く起きたのかな?
時計がないから正確には分からないけど、周囲はまだ少し暗いし空気が冷たいから早朝だと思う。
ぐーっと頭から尻尾まで伸ばし、次に翼を大きく広げて2度目の伸び。
よし、体に問題なし。健康であります。
夜は思ったより気温が下がったから風邪ひかないか心配だったけど、ルーツの体毛がかなり暖かくて助かったよ。
……そもそも、古龍種がちょっと気温が変化した程度で体調を崩したりする訳ないか。
さて、今日は何しようか。
まずは朝ごはんに昨日返り討ちにした狼を食べるとして、その後は……食べながら考えればいいや。
腐ってはないけど、狼の生肉を食べるのはちょっとキツいよね。
仮に私がミラボレアスかミラバルカンに転生してたら、炎で焼いてこんがり肉に出来たのに。
ルーツだけ雷属性だから、お肉焼いたり出来ないのが残念。
……雷…………属性?
そうだ、そうだよ!
ミラルーツの代名詞と言えば、理不尽なくらいの攻撃力を誇る『紅い雷』じゃん!
祖龍に転生したくせに1番の武器を忘れるとか、私ってば意外と冷静じゃなかった?
うーん、記憶力には自信があっただけにちょっとショックかも。
でも思い出せたからセーフってことにしよう。
ともあれ、これで今日の目標は決まったね。
ミラルーツなのに紅雷が使えなかったら致命的だし、朝ごはんの後は能力が発動できるか試さないと。
そういうワケで、いただきまーす。
狼のお肉は人間じゃ絶対に食べられない味だったけど、味覚もモンスターなお陰で何とか完食することができた。
……さて、食事も終わったし紅雷を扱う練習をしよう。
とは言ったけど、具体的に何をどうすれば雷を落としたりブレスを発射したり出来るのかさっぱり分かんない。
確か、大多数の古龍種は角で能力を制御してるんだっけ?
じゃあ角を意識すれば何か分かるかな?
む、むむ、むむむむ……。
とにかく角に集中して精神統一すること数秒、大地からエネルギーのようなものが体に流れ込んでくる。
わっ、すご!
もしかしてこれが古龍が使う能力のエネルギー源だったり?
じゃあこれを口元に集めてチャージ……発射!
――刹那、視界が白く染まった。
放たれた紅の雷撃は音を置き去りにして突き進み、前方に立っていた巨木が赤の閃光に包まれる。
そして、轟音。
大気が震えるほどの破壊音が静かな森に響き渡り、近くで羽を休めていた小鳥達が怯えて一斉に空へ飛び立っていく。
そして光が収束した時には、先ほどまでは確かにあった巨木が消えていた。そこに残っているのは、煙を立ち上らせる黒ずんだ残骸のみ。
……何これやばい。
何がやばいって、これ生後2日の赤ちゃんが出して良い威力じゃないでしょう?
しかも今のブレス、試し打ちだからかなり威力を抑えたんだけど。その気になればもっと出力を上げて打てそうだし、何より今のは普通のブレス。
つまり、チャージブレスじゃない。
あっはっはっ、ミラルーツやばすぎでしょー。
いや、ないわー。
幼体の私でも、全力でチャージブレスを撃ったりしたら間違いなく大惨事になるじゃん。
平時は良いけど、戦闘中に焦って力加減をミスったら、それだけで地形が変わるってことでしょ? 何それ怖い。
確かに幼体でこれだけ生物やめてるなら、そりゃあ大人のミラルーツが本気になれば世界を滅ぼすことくらい簡単に出来るよね。
うん、確信した。
生後2日でも、下位のリオレウスくらいなら撃墜できる。
……はぁ。
自分が強いのは、正直嬉しい。
弱いより良いに決まってるし、昨日みたいに凶暴な猛獣に襲われても無傷で勝てるしさ。
だけどいきなり世界を簡単に壊せるだけの力を持っちゃったら、流石にちょっとビビるわ。
私の妹なら「私強えええ! これなら好き放題できるぜひゃっほー!」とか言って喜びそうだけど。
よし!
次の目標はミラルーツの力を完璧に制御すること!
命をかけた死闘の時は例外として、格下と戦う時や狩りをする時は最低限の力で相手を倒せるようにならないと。
何も考えずに力を使ってたら、それだけで大惨事になるでしょうし。
まず力加減をする時に大切なのは、謎のエネルギーの使用量だ。
このエネルギーを大量に使うと威力は上がるし、逆に少量だと威力は下がる。
要するに、この謎のエネルギーを制御することが能力を制御することに繋がるってこと。
……さっきからずっと思ってたけど、謎のエネルギーって無駄に長いしモンハンらしくないよね。
何か良い名前ないかな?
大地から流れ込んでくる古龍の力……龍脈。
うん、これからはこの謎のエネルギーのことを龍脈って呼ぼう。
まずはこの龍脈に干渉する練習からだ。
再び意識を集中して、大地から龍脈を体内へと吸収する。
……よしよし、ここまでは成功。
龍脈を血の流れに沿うように体の中で循環させて、自由自在に動かせるまでこれを毎日やろう。
素早く大量の龍脈を吸収する、そして反対にゆっくりと戻す。次はゆっくりと龍脈を吸収して、素早く霧散させる……。
その日は龍脈に干渉する練習を延々と繰り返して終わった。
〜Now loading〜
やっほー、大自然。
ミラルーツ生活も今日で3日目に突入しましたー。
……はぁ、話し相手がいないとちょっと暇だね。
目が覚めると相変わらず大木と草ばかりの光景で、私は思わず息を吐く。ついでに口からバチバチと静電気が散った。
テレビでしか見れないような大自然に最初は感動したけど、こう毎日見てると慣れてきちゃう。
その代わりにちょっと我が家のような愛着を感じるようになったけど。
それじゃあ今日も能力制御の練習、頑張りますか。
まずは昨日の復習として龍脈の体内循環から始めて、その後に本格的な訓練に入ろう。
今日のトレーニングメニューとしては低威力のブレスの獲得と、ゲームでミラルーツが使った攻撃パターンの再現……かな。
4Gのルーツの切り札である全体落雷は強力すぎるから論外として、普通の落雷と電球ブレス各種は習得したい。
余裕があったら、私オリジナルの技とか作っても良いかも。
……っ!
早速トレーニングを始めようとした私は、こちらに接近してくる無数の敵意を感知して動きを止める。
何これ、凄い数!
5、10、15、20……それ以上!?
私が咄嗟に臨戦態勢に入ったのと、茂みから次々に見たことがある巨大な狼が飛び出してきたのは同時だった。
しかも全ての個体が前の狼より大きい。特にデカいのだと小屋みたいな巨体の奴までいる。
何でいきなり私を……まさか、敵討ち!?
もしかしてこの世界の狼も群れで行動したりするの!? 狼なら仲間を殺した相手を臭いで見つけるのも簡単ってことか……!
マズい、流石に勝てるか怪しい。
タイマンならまず負けないだろうけど、これだけの数が一気にきたら流石に危ないかも。
能力の制御を優先して後回しにしてたから試したことないけど、ルーツの体を信じて飛んでみるか……?
いや、ダメだね。
墜落した時のリスクが大きいし、何より逃げても臭いで追跡されたらまた襲われる。
それに私はまだこの場所から離れられない理由がある。
チラリと後ろを見る。
そこには私が出てきた割れたタマゴの他に、まだ孵化してないタマゴが2つあった。
恐らく私の兄弟。
私の兄弟ってだけで何のタマゴが想像できるけど、まだ孵化してないなら中にいるのがどれだけ強力なモンスターでも関係ない。壊されたら死んじゃう。
モンスターが誕生してないこの世界では、唯一と言っていい同胞のタマゴ。2つあるけど、とにかく壊される訳にはいかないんだ。
きっとこの狼たちは、私が産まれるよりずっと前からこの森を縄張りにしているのでしょうね。
横から奪った挙句に仲間まで殺しちゃったのは申し訳ないけど、先に攻撃してきたのはあなた達だから。
弱肉強食。
モンハン世界における絶対のルールの下に、私は自分の命を守るため、あなた達を殺します。
龍脈に干渉開始。
大地から吸収した力を、私の体内で理不尽なまでの威力を持つ紅雷へと変換する。
……龍脈の充填、完了。
私を囲んで逃げ場を無くしたところまでは良かったけど、いきなり攻撃せずに様子見したのが失敗だったね。
あなた達が数の有利に慢心せず慎重に立ち回ってくれたからこそ、私は戦う覚悟を決めることができた。
体内の龍脈を解き放つ。
私の目の前にいた狼に紅雷が直撃して吹き飛び、それが開戦の合図となった。
「「「ウオオオオオオオオンッ!!」」」
仲間をやられた怒りか、狼たちが一斉に遠吠えして襲いかかって来る。
まずは左右から一体ずつ。
牙を剥いて迫ってくる彼らの狙いは、それぞれ私の首と足らしい。初手で急所を捉えれば理想、それが出来なくても足に傷を与えて私の機動力を削ぐのが狙いらしい。
……思い通りにはさせないよ。
まずは首を狙っている左の狼にブレスを発射、命中。最初の個体と同じく、ブレスを受けた狼は黒こげになって地面に倒れ臥す。
「――ッ!」
その隙を突くように右側からきていた狼が背を向けた私に飛び掛かるけど、不意打ちに成功したと思ってるそいつを尻尾でぶん殴った。
その結果は、2日目に単独で私を襲った狼と同じだ。
「「――ォォオオオオオオ!」」
くそっ、息をつく暇もないね……!
残りの狼達が絶対に休ませてやるもんかと言わんばかりに突っ込んできた。
単発のブレスじゃ押し切られる!
試したことないけど、こうなったらグラビームみたいになぎ払いブレスでまとめて倒すしかない!
龍脈を単発ブレスより多めにチャージ。
ただしいっぺんには発射せずに、息を長く吐くような感覚で!
「グルオオオオオオォォォッ!」
お腹の底から咆哮を放つ。
流石はミラルーツ、幼体でも多少のバインド効果はあったらしい。
私も自分でびっくりするくらいの声量に怯んだ狼達が一瞬だけ動きを止め、そしてその一瞬が決め手となる。
右から左へ。
ミラルーツの長い首を思い切り振って、まるでレーザーのように真紅の電撃を放つ。
私の前方に、真紅の真一文字が迸った。
包囲してから同時攻撃を行おうとしていた5体の狼達が吹き飛ぶ。
やばっ、思ったより射程が短い……!
予想の半分くらいしか倒せなかった!
最初から狙っていたのか、それとも偶然か。
私がブレスを放った直後のタイミングで、特に体が大きい個体がその巨体を活かして私に体当たりした。
いくらミラルーツでも、まだ生後4日。
ちょっとした小屋ほどもある巨大な個体と比べるとかなり小さいから、簡単に吹っ飛ばされてしまう。
ゴロゴロと地面を転がったから目が回る。
マズい。
早く体勢を立て直さないと追撃が……いや、うつ伏せの状態の今なら四足歩行モードで一気に駆け抜けられる!
二足歩行の状態には戻らずに、四足歩行モードで蛇のようにのたくりながら全力疾走。
追撃しようとしていた巨大狼の足の下を潜り抜け、その最中に単発ブレスをお腹に放つ。そのブレスは今までのように威力を絞ったものじゃなく、初めて私が放ったものと同威力を誇る。
一瞬で大木を消し飛ばすほどの力を受けた巨大狼は5メートル以上も真上に吹き飛んで、頭から思い切り地面に激突した。骨が折れる嫌な音がして、他の狼が怯えて一歩下がる。
きっと今の一番大きい狼がリーダーだったんでしょう。
今までの連携が崩れ、狼達は半狂乱になりながらバラバラに私に攻撃しようと突っ込んでくる。
こうなれば後は一対一を繰り返すだけ。数の差なんて関係ない。
2度目のなぎ払いブレスでまとめて倒し、撃ち漏らした個体には単発ブレスを放つ。
最初みたいに時間差をつけて波状攻撃をすれば、ブレスを撃った直後で硬直する私の隙を狙えたでしょう。
だけど、パニックを起こして一気に飛び込めば多くの数の個体が一度のブレスに巻き込まれるだけ。
残っていた十数体の狼達は私に攻撃を当てることもできず、紅雷を浴びて全滅した。
Q、文章が粗雑だぞオラァ!
A、私の文章力が低いのは間違いありませんが、この作品の文体はわざとです。基本的にはこの主人公の脳内をひたすら描写するスタイルを変えませんので、ご了承ください。
大切なものは――
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更新速度ではない、質だッ!
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質ではない、更新速度だッ!