天地神明の真祖龍   作:緋月 弥生

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第2章 真なる覚醒
第23話 反撃開始


 空を覆い隠すほどの竜機兵。

 数千にも及ぶ悍ましい生体兵器を、世界各地からその姿を現した古龍達が、それぞれが司る天災の力を存分に発揮して、大地へと叩き落とす。

 “竜大戦”

 歴史上最悪の戦争の1シーンにも関わらず、その光景は思わず息を呑むほど幻想的で美しかった。

 

 まだ、何も終わってない。

 ララの呼びかけに応じて集まってくれた古龍種の数は、空を覆い隠すほどの竜機兵と比べれば確かに少ない。

 だけど、個々の力はこちら側が圧倒的に上だ。

 そして地上なら自然破壊を考慮して力が出せない私達『禁忌』も、戦場が大空ならその心配はないよね。

 ――全力で、やれる。

 

 龍脈を再収束。

 各所バッテリーに再び紅雷を蓄積開始。

 普段は理性で封じている“龍の本能”を全開にして、意識を戦闘へと切り替えろ。

 ララと古龍達が作ってくれた反撃の機会を絶対に無駄にするな。

 今度こそ、全ての竜機兵を叩き潰す!

 

 私は翼を動かして加速し、1番近くにいた竜機兵を真上から襲撃する。

 紅雷を纏った鉤爪を一閃して首を落とし、残った胴体に装備されている鉄の鎧に磁力で干渉。浮遊する竜機兵の上に着地した。

 よし、これで即席の足場は完成っと。

 別に飛び回って戦うのも良いけど、せっかくの共闘だからね。私は邪魔しない方が良いと思うんだよ。

 

 『銀翼の凶星』の、ワールドツアーを。

 

「――――――――ッ!!」

 

 翼の先端から龍気を放出し、赤い尾を引く彗星と化したバルファルクが咆哮する。

 次の瞬間、私に攻撃しようと火球ブレスのモーションに入った2機の竜機兵が纏めて『凶星』に貫かれた。

 何が凄いって、バルファルクは戦闘が始まってから1度も止まってない。突進攻撃の後は減速して旋回するけど、その後はすぐ再加速して攻撃態勢に入るし。

 単純なスピードなら“鳴動”を使った時の私が勝つけど、ターンの精度が異常だ。あの独特の形の翼を変形させて、龍脈を前方に放つことで旋回してる。

 まるで戦闘機だね。

 

『ギュガアアアアアアアアアアアッ!』

 

 加速している時のバルファルクには手を出さないと理解したのか、減速するタイミングを狙って竜機兵がブレスを放った。

 学習機能まで備わっているのは凄いけど、甘い。

 この私の存在を忘れてるでしょ。

 バルファルクを狙って放たれた火球を落雷で消滅させ、雷球ブレスで反撃。火球ブレスを放った機体が跡形もなく消し飛んだ。

 

 今の落雷と雷球に反応して3機が私に向かって来たので、私は足場にしていた竜機兵を投擲。

 3、2、1……起爆。

 私が投げた竜機兵の自爆機能が作動し、私をターゲットしていた機体が爆発に巻き込まれてバラバラになる。

 実は宇宙まで竜機兵を飛ばした時に、壊れてから何分で竜機兵が自爆するのかカウントしてた。

 これでもう破壊した竜機兵は時限爆弾同然だね。

 

 遠くの竜機兵は雷球ブレスと落雷で撃墜し、接近してくる機体は物理攻撃で破壊する。

 中には味方を盾にして強引に攻撃しようとする竜機兵もいるけど、私の周囲を高速で飛翔しているバルファルクに貫かれて全て不発に終わった。

 

 よし、この辺りの竜機兵はかなり減ってきたね。

 だけど他のフィールドにはまだまだ竜機兵が残っているから、そろそろ移動した方が……ん?

 この付近にいた最後の竜機兵を倒したバルファルクが、私の前で軽く唸る。

 流石に同種じゃないモンスターの言葉までは分からないけど……もしかして、ついて来いってことかな?

 

「――――!」

 

 どうやら正解だったみたい。

 モンスターは表情の変化が乏しいから分かりにくいけれど、バルファルクがニヤリと笑った気がした。

 直後に、バルファルクが一気に加速する。

 い、いきなり!?

 

 慌てて私も加速して、流石のスピードで飛ぶ銀翼を追随する。

 うわぁ、普通にめっちゃ速い。

 祖龍だから何とか離されずについて行けるけど、これ他の古龍だと追いつくのは絶対に無理でしょ。

 この子ってば絶対にG級個体だよね?

 下位や上位でこの速度はあり得ないと思うし。

 

 ここまでの思考時間は僅か3秒ほど。

 一瞬で今までいた樹海の空から飛び出した私達は、広い平原の上にいた。そこには当然、平原を火球ブレスによる空襲で焼き払う竜機兵姿もある。

 なるほど、次の戦場に案内してくれたんだ。

 

「――――!」

 

 私の予想を肯定するようにバルファルクは猛り、竜機兵の大軍へと躊躇なく飛び込んでいく。

 オーケー、それならナビはあなたに任せたよ。

 私は竜機兵の破壊に集中しよう。

 

 銀翼の凶星を追いかけて、私もまた竜機兵の群れへ突っ込む。

 最初のターゲットは群れの最後尾にいる機体だ。

 上から下へ。

 リオレイアの得意技であるサマーソルトとは真反対に、空中で前転して尻尾を振り下ろす。私に殴打された竜機兵の背中が窪み、その巨体が隕石のような勢いで落下。大地に作ったクレーターの中で機能を停止した。

 

『『『ギュガガガガガガガガガガガガッ!!』』』

 

 周囲にいた機体が一斉に金属音のような咆哮を上げて、濁った眼球を私に向ける。

 うへぇ、改めて見ると気味が悪いね。

 イコールドラゴンウェポン。

 偽りの命でも確かに生きているはずなのに、その瞳には一切の生気がない。まるでガラス玉のみたいだ。

 

 纏めて距離を詰めてくる竜機兵の一群。

 雷球ブレスじゃ、流石にあれだけの数を纏めて倒すのは難しいか。

 それなら、さらに高威力のブレスを使うまで。

 2種類存在するチャージブレスの内、私が選択したのはMH4で追加された新規の方だ。

 

 膨大な量の龍脈が私の体内で渦巻き、空間を歪めるほどの威力を秘めた紅雷として世界に顕現する。

 超破壊の予兆として周囲が赤く染まり、同時にスパークが火花を散らした。

 不可視のエネルギーが私のアギトへ収束し――解放。

 

 空に、星が生まれた。

 

 そう錯覚するほど膨張した紅雷は、超新星の如き爆発を引き起こして100機以上の竜機兵が纏めて消滅した。

 余剰分のエネルギーが天空に大穴を作り、星の海にまで到達する。

 「嵐」や「竜巻」といった災害を司る古龍の一撃に匹敵する暴風が吹き荒れて、ギリギリ範囲外にいた竜機兵にも確かなダメージを刻んだ。

 

 ふ、ぅ……。

 チャージブレスの使用は体力を消費するけど、この平原の上空にいる竜機兵はこれでかなり減って……

 

「――ッ!」

 

 警告するように。

 私のチャージブレスを察知して距離を取っていた天彗龍が、鋭く声を放つ。

 チャージブレス使用時に強制停止するレーダーを咄嗟に再展開すれば、大量の竜機兵がこちらに接近していることが分かった。

 その数は50機オーバー。

 あー、もう……。

 頭では理解してたけど、実際に殲滅を始めると嫌になる数だよ。

 

 というか、バルファルクって凄いね。

 私でもレーダーを展開しないと増援の存在に気付かなかったのに、私よりも早く感知するなんて。

 MHXXのテキストに、バルファルクが索敵能力に優れているなんて情報はあったっけ?

 

 私が浮かび上がった疑問に首を傾げるのと、レーダーが捉えていた竜機兵の反応が纏めて消えるのは同時だった。

 増援がいた方角の空が赤く染まり、凄まじい熱波がここまで届く。

 その火力は、龍属性以外が苦手なバルファルクが私を盾にするほど高熱だ。

 

 いや、何サラッと私の後ろに隠れているのさ!

 私だって火属性は苦手だからね?

 体力が50〜20%の間は常時硬化状態になって斬打弾の各属性を90%、火氷龍は90%、水雷を95%カット出来るけど。

 今の私ってばそこまでダメージ受けてないし。

 

『援護。来た。ぞ。』

 

 余計なことを考える私の前に姿を現したのは、アギトから高熱の炎を漏らす漆黒の邪龍。

 弟のボレアスと、その後ろに付き従うテオ・テスカトルとナナ・テスカトリ夫婦だった。

 

 なるほどね、バルファルクはボレアスに反応したんだ。

 ラオシャンロンもかなり遠距離からミラボレアスの存在を感知出来たみたいだし、『禁忌』の存在に古龍はかなり敏感なのかも。

 まぁ、今みたいに共闘してなかったら普通に天敵だよね。

 

『考え事。してる。案外。余裕?』

 

 まさか。

 ここはボレアスと……あなた達に頼んで良いかな?

 

 視線で問いかけると、炎王龍と炎妃龍が同時に吠えた。

 それぞれ真紅と蒼白の炎を纏うと竜機兵に猛然と突撃し、赤と青の塵粉が空を覆う。

 それはMHWで披露し、多くのハンターの感動を呼んだ連携技。

 無意識のうちに息を呑んだ私の視線の先で、ナナ・テスカトリが最大の大技であるヘルフレアをぶっ放した。呼応するようにテオ・テスカトルも牙を打ち鳴らし、スーパーノヴァが放たれる。

 そして、大空と共に竜機兵が爆ぜた。

 

『ここ。は。任され。た。ルー姉。次。行け。』

 

 ボレアスに加えて炎王龍と炎妃龍までいるなら、この辺りの竜機兵を任せても問題なさそうだね。

 むしろ火力過剰なくらいだよ。

 火属性のスペシャリストであるこの3体の古龍種の共闘は凄く見たいけど、戦力は少しでも分散する必要がある。

 

 ボレアス、改めて後は頼んだ。

 

『了解。』

 

 私の指示に頷くと、ボレアスもまた竜機兵へと突っ込んでいく。

 ……ちょっとテンション高めな気がしたけど、私と離れている間に何かあったのかな?

 そんなことを考えながら、私は炎龍夫婦とミラボレアスの夢の共演から目を離す。

 

 それじゃあ、次に行こう。

 

「――――ッ!」

 

 私が目線でその意思を伝えると、バルファルクが再び私の先導を始めてくれた。

 『銀翼の凶星』と連なって、私は次の戦場へと向かう。







古龍オンパレード。
皆様の好きな古龍種はもう出てきましたか?

大切なものは――

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