刀剣は誰かに出会いたい   作:コズミック変質者

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IVも創もそんなにキャラを出さないでくれよ・・・運命ないからベルグシュラインが塩撒くだけ撒いて半数位があっさり死んじまうよ・・・。


第14話

 神秘的な黄金の結晶が乱立する教庁内で刃をもって互いの必滅を願い殺し合うのは二人の男。一人は寡黙な斬空真剣(ティルフィング)。主君の敵を斬滅すべく、三人の神を滅ぼした終焉吼竜(ニーズホッグ)———否、竜人素戔嗚尊(ミズチノスサノオ)へと転生した人為的な奇跡の具現者を滅ぼしにかかる。

 

 与えられた命を果たすべく己の全霊を懸けて行われる、筋繊維の一本すらも支配している神域技巧。今も尚、飛躍的に成長を続ける底無しの才能。神を滅ぼした相手でも決して恐れず揺るがず、常時微塵も変わらない精神。

 

 刀剣として必要な心技体を修めた、あればあるほどいいという当たり前の残酷な理論の体現者は、人造の極晃を殺さんと身に秘められた修めた剣技やたった今編み出した剣技を次々と開帳していく。

 だが、しかし。

 

 斬空真剣(ティルフィング)の驚異性は光でも闇でもなく恐るべき総合力であり、故にこそ当たり前に総合力を上回られればいとも容易く押し潰される。既に技術以外は観測されて超えられた。絶死の殺し合いの最中に腹部へ受けた大剣の一撃がその証明だ。

 

 その攻撃に神殺しは混じっていないため、腹部の傷は間違いなく致命だが、神より与えられし不滅の恩寵により一秒もあれば即座に修復するだろう。何せ恩寵を授けたのは眼前の竜人と同じ起源を持つ絶対神なのだから。一人へ力を流し込むのは最も得意とすることである。

 

 しかし、遅い。

 

 一秒あれば?冗談だろう。修復に秒がかかる時点で遅すぎる。

 

 滅殺するべく創造されるは終焉兵装。幾度も目にしてきたそれは、しかし同じなのは外見だけで中身は全くの別物。神々の黄昏を終わらせるべく、神とその使徒を殺すために、あらゆる殲滅機能が追加更新された、神をもってしても規格外の代物。

 龍の如き咆哮を上げながら創造された超兵器の粋は、無慈悲に刀剣を撃ち抜いた。

 

 破滅の波より逃れる術は既になく。光のように気合いを叫び覚醒しようにも素質と出力端子があるだけで、前提であり最も大切な原動力が存在しない。こんな状況になっても、心は常に不動のまま。

 

 欠片も運命を持ち合わせることのできなかった刀剣は、そんな己に苦笑を浮かべながら結晶となって消えていく。

 

 

 

 

 

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 という、夢を見た。

 

 朝の目覚め。夏のジメジメとした感じではなく、涼やかな朝である。ここ最近、というよりシャロンより武器を貰い受けて新生したその日から、毎日必ず夢を見る。

 この己に降り注ぐ破滅の夢も、もう六度目だ。ウィリアム・ベルグシュラインの視点を持ち、身体は意思に従わずに勝手に動いてしまうが、しかし夢で体感した技巧は見る度に身体に染み付いていく。

 

 不思議な事だ。夢の中では常にハッキリとした意識があり、まるで訓練でもしているかのように繰り返される別世界の記録。時には主君たる神より学び、時には地獄の東部戦線を駆け、時には死ぬ。

 

 特に神より学ぶのは武技だけに非ず。神祖となって歩み続けた千年の研鑽。歩みの中で身をもって知った人類の可能性を、実体験らしき話も混ぜて教えてくる。

 

 夢という形で足りない部分を埋め、技巧、戦術面においてベルグシュラインはより斬空真剣(ティルフィング)へと近づいていった。それがベルグシュラインの視線の先に置かれている刀剣の影響なのは疑いようもないだろう。

 

 たかが刀剣が何を、なんて笑えないだろう。何せこの世は自分含めて不思議がいっぱいなのだから。更に極論な話だが、出来る者は心一つで新世界を作ることさえできてしまう。どころかそれ以前でも相当なものである。

 

 非難をすることはない。刀剣として己の糧になるというのならば喜んで何度も夢を見続けよう。世の中、あればあるほどいいのだ。経験であれ技巧であれ、地道に積み重ねた総合値が大切なのは言うまでもない。

 

 不平不満は一つもなく、これからも見るということならば歓迎するものなのだが・・・。

 

「寝坊か・・・」

 

 見る夢によって、これまで定まっていた起床時間が不規則になることだけは、あまり歓迎できることではなかった。

 

 

 

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 季節は既に6月を飛び越え7月の特別演習の時期へと差し掛かった。

 

 依然としてフィーとラウラの関係は修復出来ず、それどころか最初はラウラだけだったのが、フィーまでもが相手を避けるようになってしまった。

 

 ラウラが実技系の授業で幾度もフィーへ突っかかったのが問題だろう。軍人であれ遊撃士であれ猟兵であれ、戦うものにとってはあらゆる状況を想定しなければならない。時には泳いで逃げる等もだ。

 

 基本的にフィーは運動に関しては本気を出さない。余程のことがない限りは余力を残して行っている。これは本人が面倒臭がりというのもあるが、猟兵として身についた心得でもあるのだろう。

 しかしそれは真面目に挑んでいる者からすれば侮辱ともとれる行為であり、サラにも言及されていた。といっても、一概にフィーもそのことをなんとも思っていない訳では無い。寧ろ少しづつだが理解している。

 

 そしてもう一つ、《身喰らう蛇》の構成員であるシャロン・クルーガーはあの日以来、目立った接触はしてこない。他のクラスメイト達と同じ態度でベルグシュラインに接している。別段、ベルグシュラインはそのことに何か思うところがある訳では無い。

 少なくとも、あの日に釘は刺しておいた。不用意な行動をとって主君を傷つけるのは遠慮したいはずだ。

 

 問題はシャロンがベルグシュラインにだけでなく、他の生徒に対しても何らかの手を出そうとしているのでは無いのかという疑惑が、サラを通じて上がってきたのである。

 

 6月に行われた特別演習。A班の行き先であり、ガイウスの故郷であるノルド高原。その旅路で、中継点でありアリサの実家であるラインフォルトグループの本社があるルーレにて、アリサの母親でありグループの会長であるイリーナと共に待っていたのだ。

 

 そこまではいい。裏の顔はあれど、彼女は曲がりなりにもラインフォルトの人間だ。特別演習の期間は寮には誰もいないので、ラインフォルトに戻っていてもおかしくはない。

 

 問題は彼女がラインフォルトだけではなくその先であるノルド高原にもいたことだ。

 

 ただいるだけでも何かがあるかもしれないというのに、加えてノルド高原では不審な集団が何やら良からぬことを企んでいたらしい。その集団の統率者だったギデオンという男は、潜伏していた遺跡に潜む魔物を不思議な笛で操っていたらしい。しかも、今も記憶に残っている一回目の特別演習でのルナリア自然公園の巨大な魔物も操って嗾けてきたらしい。

 

 思わぬ縁に、羨ましいと思ってしまう。どうして己はそこにいることが出来なかったのか。できることならば縁が上手くつながり、運命になることを祈るばかりである。

 

 ともかくだ。そんなことが起こっていた場所に、メイドであるシャロンが来る必要などはない。いたということは、組織の人間として動いていたということなのだろう。考えられるのはギデオンという男の組織と何らかの繋がりがあったから、なのだが、本人は答えるつもりはない様でのらりくらりと躱している。

 

 ただでさえ、シャロンが執行者としてベルグシュラインに接触を試みたせいでピリついているサラは、時折リィン達の前でも遠慮なく危険人物であるシャロンの脳漿をぶちまけたくなる衝動に駆られている。

 その苛立ちのせいでベルグシュラインは放課後は何度も強制的に飲みに連れていかれ、しまいには教官達の会にまで同行させられていた。

 

 

 

 

 

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 足並みを揃えて列車より降りていく。鉄道に揺られる時間はそこまで長い訳では無い。少なくとも前回のノルド高原行きとは比べ物にならないほど短い。

 この駅に来るのは一ヶ月ぶりで、それ以前にも何度か通っているため特に思うことは無い。降車や乗車する人達の数は、相変わらず他の駅に比べると格段に多いことくらいか。

 

「すまんな、ウォーゼル。余分な荷物を持たせてしまって」

 

「いや、気にすることはない。そちらも気をつけて運んでやらねばならないだろう」

 

 声がした方に視線を向ければ、ベルグシュラインの背中にはフィーが担がれ、片手で支えられており、もう片方の手には自分の荷物が掴まれている。普段から手に持っている刀剣は、フィーのアレな部分が見えないように持つ手を丁重に配置しているために行き場を失い、珍しく腰に帯剣するという形がとられている。

 そしてフィーの分の荷物はガイウスが持っているらしい。

 

「えっと・・・フィーちゃん、もうヘイムダルに着いたので起きてください。ね?」

 

 返答はない。ベルグシュラインの背中で穏やかな寝息を立てて眠っている。

 

「どうやら昨晩寝付けなかったらしい。もう少し時間が経つか、何かしらが起これば眠気が覚めずとも起床はするはずだ」

 

「ウィリアムさんに迷惑がかかってないなら良いんですけど・・・」

 

 まるでフィーの母親の如きエマの対応は、もはや見慣れたものである。

 

 ヘイムダルに着いた時点で特別演習は始まっていると言っても過言ではないのだが、まさか開始前より眠りこけているのは予想外だ。思った以上に眠気と鉄道の揺れが相乗効果を織り成したのか、眠りの理由を聞くことさえ出来ずに、すぐさま穏やかな寝息を立てていた。

 

 起きていた方がいいとは思うのだが、保護欲を駆り立てられているのだろうか。起こすに起こせない。

 

「あ、あの人は・・・」

 

 とりあえず駅のホームから出ようとしていた時だった。向かう先より部下を伴って近付いてくる鉄道憲兵隊の女性。その顔には見覚えがあった。

 

「時間通りですね、リィン・シュバルツァー君とⅦ組の皆さん」

 

「えっと、確かクレアさんでしたよね」

 

「リィン達が世話になったという、泣く子も黙る鉄道憲兵隊か」

 

 何故この場にいるのか分からず、懐疑心と警戒心を混ぜたような感情がリィンの後ろよりひしひしと伝わってくる。鉄道憲兵隊は改革派であるギリアム・オズボーンの直属の部隊。彼らと実質的な敵対関係にある貴族派、その中心たる四大名門の一つであるアルバレアを家とするユーシスからすれば、仕方のない反応だろう。

 

「ん、なんかあった?」

 

 場の雰囲気の変化を察してか、先程までぐっすりだったフィーが反射的に目を覚まし、軽く欠伸を一つしてベルグシュラインの背中より飛び降りる。その顔には眠気などは一切見えず、いつでも行動可能であると示している。

 

「起きてくれたようで幸いした。どうやら知らぬ間に待ち合わせがあったらしい」

 

鉄道憲兵隊(TMP)と?」

 

「事前連絡がなかったことから鑑みるにバレスタインの悪戯か、それとも急遽決まったことか。もしくは彼ら(TMP)が態々出向く程の用向きがあるのか。ともあれ、考えられるのはこの辺りだろう」

 

 答えはすぐに分かるだろうがな、と軽く笑う。その言葉通り、正解は向こうからやってきた。鉄道憲兵隊が出向くほどの超が付くほどの大物が。

 

「やぁ、どうやら丁度良かったようだね」

 

 出口より降りてきたのはキッチリとしたスーツに身を包んで眼鏡をかけた壮年の男性。どこかクラスメイトの面影がある男性が現れた瞬間に、《Ⅶ組》に激震が走る。

 

「ん〜どっかで見たかも?それも結構」

 

「その記憶に間違いはない。何せこの御仁は———」

 

「マキアスの父、カール・レーグニッツだ。帝都庁の長官にして、ヘイムダル知事を務めている。よろしく頼むよ、トールズ士官学院《Ⅶ組》の諸君」

 

 フィーが見覚えがあるのも当然である。何せ帝国時報では毎週に渡って掲載されているし、初の貴族ではなく平民からのヘイムダル知事への就任ということもあって、動向の一つ一つの注目度はこれまでの知事とは桁違いである。

 改革派筆頭であるオズボーン宰相の盟友にして、平民の帝都知事。己の権益を第一とする貴族から見れば目の仇。就任時より貴族の息がかかったメディアは必死になって汚点を見つけようと探りを入れているだろう。そのせいで、良くも悪くも人気者になっている。

 

「さて、それじゃあ場所を変えようか。ついてきてくれたまえ」

 

 

 

 

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 カールによって直々に先導された場所は鉄道憲兵隊の司令所にあるブリーフィングルームの一室。中央に置かれた縦長の机に、左右にA班B班と分かれて座る。

 手元には宿泊場所と今回の依頼についての書類が並べられている。

 

 ここに来てから、何故カールが今回の件に関係しているのかと、血縁関係にあるマキアスが声を荒らげながら詰め寄っていたが、とても簡単な一言によって治められてしまった。

 

 カールはアリサの母親と同じトールズ士官学院の常任理事の一人であり、《Ⅶ組》の創設意義や内部詳細についても打診を受けて認可した者の一人として把握していた。

 

「では、時間もないので手短に進めよう。《特別実習》の期間は今日を含めた三日間。最終日が夏至祭の初日に掛かるという日程になっている。その間A班とB班には、それぞれ東と西に別れて活動を行ってもらう」

 

 東西に別けたのは単に帝都が広いというのがあるからだ。広大な敷地の帝都を奔走していては、移動だけでもそれなりの時間を食ってしまうし、動きにも制限がかかってしまう。

 

「A班には《ヴァンクール通り》から東側のエリア、B班には西側のエリアを担当してもらうことになる」

 

 帝都に伸びる大動脈であり、皇帝のいる皇都に通じる一本の道。確かに分割するとすればそこだろう。目安としても丁度いい具合になる。大雑把になったとカールは言うが、寧ろこういった場合においては、単純な分かりやすさを追求した方がいいだろう。

 

「それと、これを受け取りたまえ」

 

 カールの一番近くに座っていたA班のリィンと、B班のアリサにそれぞれメモと鍵が渡される。鍵の形は同一のものではなく、メモに書かれている住所らしき記述も違ったものである。

 しかし帝都に在住していたマキアスやA班のアルト通りに実家があるエリオットは、記載されている場所を知らないらしい。

 

「帝都滞在中の君達の宿泊場所とその鍵だ。まずはそれぞれ用意された住所を探してみたまえ。ちょっとしたオリエンテーリングのようなものだ」

 

 そう言ってカールは茶目っ気を出して微笑む。

 

「おっと、そうこうするうちに時間が来てしまったかな。それでは皆、頑張ってくれたまえ」

 

 先程忙しいと言っていたのは嘘ではないらしく、時計を見るとそのまま激励の言葉を送って部屋から出ていく。恐らくはこのまま帝都庁に赴いて執務にでも励むのだろう。

 

「中々な御仁だったな」

 

「・・・すまない、父さんは昔からあんな感じの人なんだ」

 

「帝都時報でも好意的な人だって言われてましたよね」

 

「あの人当たりの良さが擬態でなければそうなのだろうな」

 

 常時無表情を貫いていたベルグシュラインの言葉に、ゲンナリしたようなマキアス。公人としてのカールはともかく、私人としては常日頃からあのような感じなのだろう。エマのフォローが正しいとすれば、慕われるというのも理解出来る。

 しかしやはりというか、ユーシスは警戒心を解けずにいるのは仕方のないことだろう。本人の主義や思想はともかくとして、立場的には《四大名門》の一角なのだ。それに貴族として、嫌になるほど社交界などには参加している。そこで培った経験から、それなりの立場にいる者の顔というのが信用し難くなっている。ならば疑うことも無理はないだろう。

 

「お疲れ様です、皆さん。それでは駅の出口の方まで案内させてもらいますね」

 

 いつまでも話しているわけにはいかないだろう。あくまでここは鉄道憲兵隊から借りている場所。用が終われば即座に退室した方がいい。それに特別実習の時間は有限である故に、尚更である。

 クレアの先導に従いながら、速やかに駅舎を後にした。




ここから下、創の軌跡のネタバレ注意









プロジェクト・ティルフィング。
エリュシオン。
イシュメルガ=リィン。

なんて心が踊る単語が一杯あるんだ。特にリィン君はもうどこまで行っても運命に愛されるんだね!この調子でもっと運命しようぜ!
この作品でエリュシオンって名前が出ると、エリュシオンは全人類にエリュシオンポイントを導入してくる害悪システムになってしまう。

まだ詳細は分からないんだけど、可能性を実体化?することが出来るならちょっとだけ機能を改竄してベルグシュラインと繋げば閣下を始めとした光連中やタイムパラドックスで消えたグレンファルトとかの偽物を呼び出せる可能性が微レ存?

まぁそんなことやらなくてもシステムの管理者をギルベルトにすればいっか。
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