刀剣は誰かに出会いたい 作:コズミック変質者
サボってる間にRWBYとギルティギアにどハマりしてました。RWBYはアクションが良い。ギルティギアはキャラが厨二心を掻き立ててくる。
GGは難しそうだけどRWBYは書くかも。
アマプラにRWBYの日本語訳版があるからみんな見てね。
以上、布教でした。
ここ最近でのマクバーンの退屈ぶりは酷いものだった。軽く戦闘狂の気がある彼にとって、気軽に遊べるような相手がいないというのは死活問題に近い事。
退屈に気がやられない為にも、必然的に発散するべく相手を求めるのだが残念ながらマクバーンは執行者最強で、大抵の相手は面白みもなく始まる前から勝負の行方が分かってしまう。
カンパネルラは求める方向性が違う。《痩せ狼》もまた別だ。己と同じく最強と称される《鋼》は戦ったとしても決着がつかないので、双方にやる気が起こらない。その配下の《鉄騎隊》では物足りない。少しくらいは楽しめる相手はいるだろうが、それでは中途半端に心に火がついても、満足するまで燃えなければ不完全燃焼でより酷い鬱屈へと陥るのは目に見えている。
自分にとっての様々な意味で最適な遊び相手だった《剣帝》が計画遂行の果てに没してから、溜まっていく意欲の発散場所を無くしていた。かといって無闇矢鱈に暴れ回り蹂躙することが楽しいことかといえば別である。
本格的に始動していく計画についても乗り気になれないのが現状で、暇と退屈に塗り潰された無意味な日々を過ごしていた。
だからカンパネルラとヴィータから入ってきた一人の剣士の情報に、多少の期待はしていたのだ。死に果てた《剣帝》よりも強い、最終的な実力は不明だが、武技なら《鋼》と互角かそれ以上。オマケに《死線》を通じて盟主が己や《剣帝》のように武具を授けたというではないか。
会わせてやる、戦わせてやる。その為にヴィータが面倒見ている者の計画の一助となれ。面倒だがそうでもしなければ会わせないし戦わせないと言われたので、仕方なくこの交換条件を受け入れた。
そしてついに、来るべき日が来たのだと。胸に期待を抱かせながら獲物との邂逅を待ち望んだ。
前情報が正しかったのか確かめる必要が先ずあると、《剣帝》と遊ぶ時と同じく威力重視で炸裂の仕掛けを施した炎弾を放ってみた。結果は大当たり、まるで手応えを感じなかった。
だから認めた。カンパネルラ達は正しかったと。今回用意された敵は、間違いなく《剣帝》と同等以上の性能を持ちえていると。
そして———
「ククッ・・・いいじゃねぇか。今日まで退屈を抑え込んできて正解だったぜ。まさか、ここまで強ぇ奴と遊べるなんてな。あぁ、レーヴェの奴には悪ぃが、こいつは完全に上位互換だな」
願いは叶った。鬱屈としていた心に風が吹く。久しく味わえなかった新鮮な感覚が堪らなく愉快だ。
常時爆撃とも呼べる砲火が降り注ぐ。全霊を絞り尽くすかのように連射される炎は紛れもなく全力だ。たとえ本当の意味での本気でなくとも、単一個人でここまでの規模の破壊を起こせる。燃料切れも見えてこない。間違いなくマクバーンは《結社》最強の執行者で、全体の括りでも双翼の最強の一翼。そこに異論を入れる余地はない。
だというのに、そんなものなど知らないと言うように炎の波を切り裂いて軽やかに接近しては、首の皮一枚を狙いに来る刀剣の存在は異常である。
戦闘開始からものの15分。マクバーンの炎によって予め整えられていた戦場は、塗り潰されたかのように影も形も残っていない。地面も天井も焦げ跡だらけで、元の色など忘れている。鉄板など各所が炎が内包する熱に耐えきれず融解している。そこから更に上書きするように刻まれた斬撃痕は、それだけで両者が人並外れている証拠となる。
獰猛に笑みを浮かべながら、全ての炎を切り裂き続けた無傷の刀剣を見る。 服の端が幾らか炭化しているものの、それだけだ。負傷の類は一切見えない。酸素の燃焼などで体力も減少しているはずだが、それすら見られない。
千を超える炎、それは何一つ届かなかった。魔剣でもなく《鋼》の馬上槍のように重厚でもない、特別性というものが欠片も無い細身の武器で一切を打ち払った。
同じ剣士として通常の武器でも出来たのかもしれない、しかしマクバーンの記憶の中では魔剣を以てそれを為しえた《剣帝》とは、もはや地力が違っているとさえ思えてくる。
「だがまだだ。こんなもんじゃねぇんだろ?分かりやすく隠してんなよ。お前さんならもっとやれるはずだ。俺の予測が正しけりゃ、今の俺を殺すのは容易いはずだ」
これだけの破壊を乗り越えながらも、しかしベルグシュラインは全力には程遠かった。常にマクバーンと互角以上に戦えるように性能を調整している。マクバーンが出力を上昇させれば、それに合わせるようにまた変化する。まるで意図して追い詰めようとするように。
実際マクバーンは幾度も追い詰められていたし、その度に余力を絞って凌いでいた。しかし決定的な場面において、ベルグシュラインは最適解を選ばずに、マクバーンを取り逃し続けている。
底の見えなさは堪らないし、この状態とはいえ自分を弄べる、しかしどうにも味気ない。きっとそれは自分の状態も影響しているのだろう。長く深く楽しみたいと、そう思った自分の不徳だ。
「それを言うなら貴公も同じだろう。よもや貴公程の手合いが、移動砲台に徹するはずもないだろう。寧ろ気性はその逆の筈だ」
「なんだよ、気付いてやがったか」
ベルグシュラインの言う通り、マクバーンも同じく全力を出していない。持ち得る技を出し尽くしたがしかしそれは《劫炎》としてであり、自らが認知している本気には程遠い。
そして今の中遠距離に徹する戦い方は手抜きも同然だ。やはり好みは正面からだ。
「しかし貴公の炎、実に興味深いのだな。恐らくは出力や形状、ありとあらゆるパラメータが意思と直結していると見たが。前例を知らんのは俺の無知故か、それとも真に貴公のみが持っているのか。どうか教えてくれないか」
「まぁ別に隠すことじゃねぇからな。ここまで見せてんだ。大方予想は着いているだろうが、俺は念じるだけで炎が出せる。お前さんの言う通り、頭ん中で思った通り自在にな。んで、使ってんのは俺以外には聞いたことねぇ。まぁ
そう言ってマクバーンより形作られるのは炎の獣。先程の戦闘でも使用した『ヘルハウンド』。ベルグシュライン相手には大した効果は得られなかったが、獣のように生物的、野性的に疾走する形ある炎という特性上、並の相手ならこれ一つで事足りるほどに強力だ。一体でも喰いつけば、そこから零距離で爆炎をお見舞することができるのだから。
そしてマクバーンが付け加えるように言ったことは、まだベルグシュラインには理解できない事だった。
「そうか、やはりか・・・」
「あ?」
だがマクバーンの炎の詳細を知り何を思ったのか、ベルグシュラインの声音が変わったように聞こえる。それは感情の見えなかったベルグシュラインの声に初めて心が宿ったのか、それとも声の大小や高低がそう聞こえさせたのかは定かではない。
だが一つ言えることは、ベルグシュラインが本腰を入れ始めようとしている。
「思いもよらぬ巡り合わせだ。正直なところ諦めるべきかという考えもあったが、やはり初志は貫くものだな。是非確かめさせてくれ、俺の運命が貴公であるか。どうか貴公のその炎で俺という刀剣を焼き尽くしてくれ。その熱に狂えるほどに」
ここに辿り着くのは、当たり前のことだろう。心と出力が密接に関係しているのなら、マクバーンには資格があるということで、彼は光ということだ。目指す目的の為に無限に強くなれる光の魔人、ベルグシュラインが追い求めていた運命となる条件の一つ。
この間のような落胆はないと確信できる。これまでの攻防と、本人の言によりそれが事実だと理解できる。ならばやるべきことは一つだけで、それ以外は必要ない。
自己完結したことで上昇していく剣気はマクバーンに然と伝わっている。これまで揺れることがなかった鋼の男がギアを唐突に上げようとしているのを悟ったのだ。ならば良しと、マクバーンもそれに倣う。もっともっと戦いたいし楽しみたい。心ゆくまで殺し合いたい。自身の熱の燃えるがままに、これまでの退屈を帳消しにする為に。
「何が言いてぇかよくわかんねぇが・・・まぁ要はお前さんも本気でやるってことだろ?ならいい加減こっちも真面目に全力を出してやらねぇとな」
《劫炎》ではまるで通用しなかった。だからここから先はさらに何歩か進めるべきだ。戦闘レベルが幾つか上昇するが問題ないだろう。何せあれだけの極上品だ。きっと全部を使った自分とも互角に戦える。
「おいおい、呑気に見物決め込んでいいのか?」
「次こそ全霊を出すのだろう?ならば止めることこそ俺の目的の妨げだ。貴公の本気と相見えることが出来るのならば幾らでも待つとも」
「ならそこで拝んで見てな。こっからが俺の全部だ」
動かぬベルグシュラインを睥睨しながら力を溜めたマクバーンの右腕が突き刺さる。何に。空間に。罅割れたかのように空間に亀裂が走る。割れ目より見えるのは夜空のような、宇宙のような漆黒。そこから先は何も見えない。そもそも何かがあるのかさえ不明な場所から、炎が漏れ出る。
普通の炎でないのは間違いない。なにせその炎は赤黒い。互いの色が絡みつくように相克し、喰らい合うかのように鳴動している。生物的な印象を受けてしまう。
空間より引き抜かれたマクバーンの手に持たれていたのは赤い剣。長さは長剣と大剣の合間ほど。炎のような意匠となっているが、それは果たして誰かがそうなるように作ったものなのか。
いいや、そこはどうでもいい事だ。注目すべきは一つのみ。即ち武装したマクバーンの変化である。
特徴的な若草色の髪は白く染まり、先程までは入っていなかった赤い紋様のような刺青が浮かび上がるように現れている。それだけでは無い。まるで本来の色がそうであったかのように、剣が放っていた炎と同じく、鳴動しながらマクバーン自身の炎も赤黒くなる。
「魔剣『アングバール』。レーヴェの『ケルンバイター』と対になっている。お前さんが盟主から受け取った剣と同じ、外の世界の理とやらで作られてるらしいが、まぁそこはどうでもいい」
小難しい理屈などは御免である。我と彼がいる、戦いに重要なのはそれだけだ。
「見ての通りだ。俺とは相性が良すぎてな。こうなっちまうんだ」
自身の変化さえも頓着しない。もしかすればこれが本来の姿なのかもしれないが、マクバーンに始まりの記憶はない。
マクバーンは過去を持たない。目を覚ました時から、すでに己は己であった。過去と呼べるものはあるのだろうが、あちらからやって来て思い出す時に思い出せばいい。態々自分で探しに行くほどではないと切っている。
「今の俺は《劫炎》じゃねぇ。《火焔魔人》マクバーン。人間を超えた遥かな怪物。どうよ、怖気付いたか?」
「まさか。寧ろこれでこそだ」
ベルグシュラインは確かにマクバーンの変化を感じ取れていた。寧ろ感じ取れない者など痴呆という他ないだろう。何も容姿のことではなく、内包する力のこと。暴力的なまでに上昇し、常時そうしていなければ破裂するとでも言うようにマクバーンの周囲を嵐のように渦巻き、そこにあるだけで周りを焼く。
底知れずの力は今も膨れ上がっている。すぐにでも暴れだしそうなほど。
「で、だ。お前さんはいつまでそれでやるつもりだ?」
「というと?」
「惚けて・・・いや、素面か。ならまずはレクチャーだ。そらよォっ!!」
言葉と共にマクバーンの姿が急接近する。消えたと思うほどの踏み込みはベルグシュラインのような技術というものが一切介在しない、ただ有り余る力を純粋に使用しただけという燦然とした事実。
先程までは不可能だった芸当も、《火焔魔人》ならば別だ。
しかしそれでもベルグシュラインは振り払えない。確かにその爆発的な加速は刀剣をしても驚愕ものだ。正面からという好条件や、マクバーンの言葉からこれから攻めるという宣誓じみたものがなければ、迎撃の刃は間に合わなかった。
そしてそれは一つの真実を告げるもので。
「・・・っ!!」
激突は二度起こらなかった。起こりようもなかった。マクバーンの魔剣の一撃を防いだベルグシュラインの長刀が、如何なる時でも敵を切り裂き続けてきた刀剣が根元より砕かれていた。
「得物の性能だけで単純に白黒つくってのはある程度までだろう。
ベルグシュラインの長刀は無名の名刀ではあるが、決して宝剣や魔剣といった類には位置しない。幾分かランクとしては下にある。そして名刀といえども長期に渡る使用はたとえ消耗を抑えるように使用していたとしても、確実に消耗を抱え幾度も修復を繰り返している。耐久力の限界はまだ先だったかもしれないが、マクバーンの有する炎と魔剣を前に有していた猶予は砕かれた。
砕かれた刀剣がベルグシュラインの手より滑り落ちる、と言うよりは要らなくなったから手放したと言うべきか。長きに渡る時間を共に過ごしていたとはいえ、この武装では反撃できる要素が欠片も無いという当たり前の判断。実際は無手で戦いが始まれば一撃で、それこそ炎の余技で殺されるだろう。
「俺に何を求める?」
「決まってんだろ。《死線》を通じて盟主の奴から俺やレーヴェみたいに『外の理』で創られた武器を渡されてあるってのは知ってる。
『外の理』で創られた武器の強力さは誰よりマクバーンが理解している。といってもマクバーンからすれば必須というわけではないが、より濃厚に
他にも剣ではなく魔導杖などの形で付与された者も結社にはいるが、今はどうでもいいことだ。
大切なのは今ここで『外の理』の武器をもってマクバーンと心ゆくまで戦うことのみ。
「貴公の言うことは尤もなのだろう。確かに受領したあの剣があれば、今の貴公とも互角にやり合えるはずだ。しかし生憎と、俺の手持ちはたった今貴公に壊されたこれだけでな。肝心の物はここには無い」
「ちっ、普段から持ち歩いとけよ。つーわけだ、カンパネルラ」
「はいはい」
声を辿ると、いつの間にかカンパネルラがベルグシュラインの隣に立っていた。気配をまるで感じなかったことから、ベルグシュラインを要塞へと送り込んだように転移の
《道化師》らしく飄々としているカンパネルラの手には士官学院の自室に立て掛けて置いてあるはずの刀剣が握られている。どうやって入ったか、などは疑問にするまでもない。
「はい、これ。黙って入ったことは許して欲しいな。まぁ君の部屋殆ど何にもなかったからあんまり気にしてないと思うけどさ」
ベルグシュラインに刀剣を渡すと、またねと気軽な声と共に霞のように消えていく。本当にただ持ってきただけで、再び観測者の役割へと徹するらしい。
「なんでも盟主の奴から俺とお前さんの戦いを観測するように言われてんだと。ここにはいねぇが、見てはいるんだろうよ。まぁそんなことはどうでもいい。お膳立ては揃った。そら、抜けよ」
いい加減限界だと、黒い炎が溢れんばかりに放出される。物理的な破壊を引き起こす炎は、ただそこに渦巻くだけで地面を削り取っていく。
「では、遠慮なく」
刀剣がゆっくりと引き抜かれる。それと同時に
「混ざっている・・・ってわけじゃねぇが。くくっ、そうか、こいつは変わってやがるのか」
その現象を一目でマクバーンは理解した。包まれているベルグシュラインへの感覚が少しづつだが変化している。自分のような混ざり物とはどこか違う、言うなれば基盤を別の存在へと新生しているかのような感じがするのだ。
「行き着く先は刀剣。やはりこの身は⋯いや、もはや言わずもがなだろう」
真実へと変化を遂げる好敵手の変化に歓喜をあげるマクバーンとは反対に、ことの中心は無感動にそう告げる。ベルグシュラインは自身の変化を鮮明に理解していた。マクバーンの考えている通り、ベルグシュラインはこの瞬間にも新たな存在へと生まれ変わっている。
こことは違う世界にて、神なる大和の遺産より生み出された超人創造。広き宇宙のどこかの星にあるかもしれない法則を身に宿し、
即ち
超新星への新生は数少ないベルグシュラインが持ち得なかったもので、持たぬ故にいつか己の道は違えると、その小さな差異から運命は芽吹くのだと信じていた。しかし長く短い旅路の果てに、今ここにウィリアム・ベルグシュラインは本来の知るべき姿、あるべき姿へと生まれ変わった。
シャロンの前で抜いた時に、別に何かが変わっていたわけではなかったのだ。あれは単なる認証のようなもので、本番は今このときだった。
斯くして、道は閉ざされた。刀剣は運命へと区切りをつけた。求めることは止めてはいないが、しかし運命が行動基準の位から大幅に下げられたのは事実である。それこそ、持ち主の命令を何より遵守するほどに。
偉大なる者の求めるままに、求める姿で鋼の星は紡がれたのだ。
「待たせて申し訳ない」
「ああ随分待ったが構わねぇ。まだ楽しめるってだけで十分だ。さぁ、続きをやろうや」
生来の怪物と、才能を持った後天的怪物。世界でも指折りの実力者が真の意味で合間見えたことでガレリア要塞は次の瞬間、最悪の地獄へと変わってしまった。
え、《劫炎》これだけ?って思うかもしれないけど、近距離しないマクバーンって要は性能のいいアンジェリカで、それで塩に勝てるか?って思っちゃうじゃん。
それにマクバーンの総合値が勝っていても中遠距離攻撃は剣士からすれば確実に備えておくべきもので、星辰飛び交う戦場やそれ以前の戦場にもであろう塩が対策しておかないはずがなく。
だから自分の中では《劫炎》<人間塩<《火焔魔人》。
加えてカットしたけど《劫炎》だと描写が炎撃つ、炎斬るの繰り返しになっちゃって面白みが無くなる・・・。塩にエンタメ性はない。