遊戯王GX~精霊の抱擁~ 作:ノウレッジ@元にじファン勢遊戯王書き民
「違うか、バランサー。いや、
ゲフィオン。
それは北欧神話に名を連ねる、アース神族の一員の名。
時にフレイヤの別名とも見做されるその女神は、運命を見通す女神とも考えられ、コペンハーゲンのあるシェラン島を一晩で作ったという逸話もある。
それこそがフィオの前世、女神ゲフィオン。
フィオという名は、ゲフィオンから一部を貰った名だったのだ。
「ゲフィオン、そうかだからフィオは『フレイヤ』を相棒に……」
「神様!? 神山さんじゃなくて神様さんって事ッスか!?」
「では彼女がここにいるのも、島であるアカデミアにいるのも、神話のそれに準えての事なのか?」
「……22年前、お前はどこからともなく現れ、世界に不幸をまき散らし始めた」
「ククク」
「『私』達は、それに対処する方法が分からず、実に1年も手をこまねいてしまった」
血達磨のまま、フィオが淡々と語る。
ここで彼女が言う『不幸』とは、文字通りの意味だ。
特定の誰かをどうにかしたのではなく、世界中の運気を下げたという意味である。
例えば、自宅で眠っていた誰かに暴走トラックが突進して頭部が潰れたり。
例えば、何の落ち度も無い一般人が突然不審者に誘拐され無道な人体実験のモルモットにされたり。
例えば、100年は耐えられると豪語できる頑丈なビルが翌日には火災で焼け落ちたり。
そういった『不幸』『不運』をもたらす。それが邪神の成した事である。
「あらゆる不運、不幸をもたらす災厄。『薄幸』や『不遇』といった物理的に実在しない概念や怨念を司る超自然的な意志。それがお前だった、名も無き邪神」
1年かけて邪神が原因であると判断した神々は、それ故に後手に回った。
何せ1つ1つの件はただのハードラックやバッドラックでしかないからである。
例えそれが連続して起きたとしても、しかし大いなる何某かの存在と判断する事は難しい。寧ろたった1年で原因を特定できただけ上々だと言えた。
「お前が諸悪の根源だと分かった時、ただでさえ元々危うかった世界は更に危うくなっていた。すぐに手を打つべきだと判断した『私』達は、お前を消そうとした」
「だが消せなかった、消せなかったからこそ俺様はここにいる」
「そうだ。そして消す方法も問題だった」
神話においてゲフィオンは運命を見通す。見通せるのなら手を加えて改変するとて可能だ。
そしてその手の神は世界中に複数存在する。彼ら彼女らはそれを使い邪神を消去しようとした──邪悪な方法で。
「思えば、既に『私』達ですらお前の手中にあったんだろう。それが最善と思わされた。神の意志すらお前の邪道に染められ、その選択を疑う事すらしなかった。
「クカハハハ、さてな。一々撒き散らしたモノの末路なぞ見ちゃいねぇんでなぁ?」
「だろうね。自分の吐いた息が見えないのと同じ、お前にとって人も精霊も神も不幸になって当たり前の事なんだから。その後どうなったか毎度気にするだけ徒労だろうさ。そうして『私』達が黎に何をしようと、お前にとっては愚者が無様に踊ってるようにしか見えないだろうさ」
「その通りだとも! 貴様らが嘆き、怒り、苦しむ姿こそ俺様にとっては最高の娯楽! あのクソが妹を守れずに死んだ事も、その原因が貴様である事も、俺様にとっては最高に楽しい余興だったぞ!」
「下衆が……!」
「何? 何なの? フィオ、貴女達はどんな方法を取ったの!?」
「教えてくれ、黎に何があったんだ!」
「……『私』達は、邪神を殺そうとしたんだ。その方法は至ってシンプル。外部から強制的に邪神を生物に取り憑かせ、殺そうとしたんだ。実体も逸話も無い神を殺すには、それが最も有効だから」
「まさか、その憑依させた生物って……」
後ろからの指摘に、天使は神妙に頷く。
「『私』達は、黎ごと邪神を殺そうとして失敗したんだ」
神々に慈悲が無いワケでは無かった。
最初は黎の人工受精卵に邪神を憑依させ、この世に産まれないようにする事で抹殺を企んだ。
魂の目覚めていない卵の内なら、苦しみも悲しみも無く天に召されるだろう、と。
しかし。
「黎は
邪神の能力は、その時既に神の認識を凌駕していたのである。
一度この世に赤子として送り出された命は、神であろうと奪う事は許されない。それはフィオの同僚である別の存在が3人の転生者を送り込み裁かれた事から明白だ。
それでも災害や人災で黎ごと邪神を殺そうと何度も手を打ったが……。
「結果はご覧の通り。邪神はもう黎や都ちゃんという依り代が殆ど要らないレベルまで成長した。神々の与えた死の呪いを乗り越え人類を恨んだ彼らは、結果として邪神という存在を育てる苗床になってしまった。そしてその苗床を提供したのは──他ならない『私』達だ。運命を見通すゲフィオンが、そしてそれに率いられた他の運命の神々が、邪神によって運命を狂わされた1人を救えなかった。そんなクズ女の話さ」
神と人にとって不幸だったのは、邪神が発生した世界が既に荒廃し、恨みや怒りを誘発しやすい環境だった事。
主たる世界の感情が負に向いている事で、邪神はそれに同調し力を溜める事ができた。
結果『黎が生まれる不幸』が発生し、『神が止められない不幸』に発展。そして今『破壊者として降誕する不幸』が生まれかけている。
「あの世界は、黎が死んで半年後に滅亡したそうだよ。赤星っていう黎の死因になった女が調子に乗り、世界中に戦争を吹っ掛けたんだそうだ」
「ククク、俺様もそれは聞いたぞ? 何もしなければ5年は慎ましく暮らせただろうに、世界征服という幻想に夢を見て破壊を繰り返した、とな」
「愚かな事だよ。人間も、そしてそれを止められなかった神も」
「人間の本質は悪だ。自分さえ良ければ良い、それを突き詰めた結果だ。俺様はそれによって育てられた因果応報の結末に過ぎん。俺様は不運と不幸を齎す神、俺様がいるから不幸なのではない、不幸を加速させるからこその俺様なのだ」
「確かに、そうだ」
邪神によって黎に不幸が向き、その源泉たる世界にも大きな疵を与えたのは確かだ。
その点については、まさしく人間達の自業自得。邪神の不運不幸はそれを加速させたに過ぎず、邪神がいなくとも遠くない未来にあの世界は滅んでいただろう。
何も間違っていない結論だ。
だが。
「だが、この世界は違う。お前が気紛れで選んだであろうこの世界に、それは当て嵌まらない」
「ほう」
「お前は完全に覚醒する前に黎が死んだ事で、彼が死ぬより僅か……ほんの数秒だけ長く生きた血縁者の都ちゃんに移動し、雌伏の時を過ごす事にした。そしてここにいる。
黎と都ちゃんに咎は無い。この世界にも無い。前の世界が人間の愚かさによって滅んだと言うのなら、この世界で今こうして暴れようとしているお前に正当性は無い! だから『私』は『わたし』を生み出し、お前を止めるためにこの世界に送り込んだ! 今こそ、その使命をここで果たす!」
この世界は黎と都のいた世界ではない。
破壊と憎悪の渦巻く世界ではない。
ここはデュエルモンスターズの世界であり、元の世界とは違う。
ならば、邪神の不幸をばら撒いて良い理屈はここにはない。
「嘗てゲフィオンはお前を追いかけるため、自分の力の一部を切り離して天使の力を持つ人間に転生させた! 子供がいなかった神山家にわたしという子供が生まれる運命を作り出した! ならわたしがこの世に生まれた理由はここにある! この命に代えてでも、お前を討つ!」
「貴様にそれができるとでも思うか!」
神がこの世界に降りる事はできない、如何なる神であろうと大きな権能や天候の化身であるからだ。そのまま世界に踏み入れば、たちまち異常気象等で大地も天空も壊れてしまう。
降誕するには依り代や器が必要だ。
ゲフィオンはそのために人間の赤ん坊を作り、更に神ではなく眷属の天使にする事で周囲の被害を抑えるようにしたという。
女神が司るのは運命、目に見えないもの。万が一が起きれば、前世にあった邪神による不運発生と似たような災いに繋がってしまうためだ。
故にフィオは、否、故にでなくともフィオは苦戦を強いられていた。この邪神の力は既に、神々に肉薄し、或いは凌駕する程にまで成長している。女神からグレードダウンさせた天使では、既に互角にすら及ばない。
「できるかどうかじゃない、やらなきゃいけないんだよ!」
それでも天使として制限されたその力を、今ここで全て使い尽くしてでも、この邪悪な神を滅ぼす。そのために神山フィオはこの世界に生まれ落ちたのだから。
そのためにフィオは、全力を以てデッキトップからカードを引き抜く。
「行くぞ、ドロォーッ!」
引いたカードは──『豊穣のアルテミス』。
☆
遠き世界の話をしよう。
かつてそこではレイと呼ばれた男とミヤコと呼ばれた女が生み出された。
2人は試験管ベビーと呼ばれる人工生命体で、戦争を有利に進めるという人間の黒い欲望から作られた生物兵器だ。
しかし兄であるレイが反旗を翻して妹ミヤコと共に逃走。人間に化けて市勢に溶け込み、20年程過ごし、殺された。
これは彼の回想からも知っているだろう。
ではそれ以外を語ろうか。
赤星と呼ばれた女が黎と都を殺した後の事。
既に世界規模で枯渇しかけていた化石燃料を取り合いを行い、貧しい者も富める者も等しく苦しんでいた世界。
そこにトドメを刺したのが件の赤星だった。
赤星は黎と都の研究結果から生物兵器の製造を再開。
彼らのような『人間のような兵器』は作れなかったものの、『人間を改造した兵器』は作れた。
ヒトがヒトを作るのは紀元前から遺伝子に刻まれた原初の方法、素材の確保には困らなかったという。
実験に実験を重ね、幾重にも素材に悲鳴をあげさせ、赤星はとうとう生物兵器の軍団を作り出す事に成功。それらを以て疲弊した世界中に攻撃をしかけた。
結果は成功し、世界全土は日本の領土になった。
赤星は歓喜の声をあげ、こう宣言した。
『今日から世界は全てワタシ様のモノ! 世界はアカホシ神聖国よ!』
果たしてこの発言がどこまで本気だったのかは分からない。
1つハッキリしているのは、この発言の後に世界は滅んだという事。
当然だ。
国があってもインフラの『イ』の字も無い状況なら、人間は原始的な生活を送る事を余儀なくされる。
ましてや人殺しのため科学が進み過ぎた世界なら環境の汚染も酷かろう、身一つで放り出された人間が住める余地は無い。
或いは、この状況を見越して赤星がサバイバルに役立つ人造人間を生み出していれば、或いは生き残れたかも知れなかったが……。支配欲に狂った女にそのような予見はできなかった。
斯くして人間同士の醜い争いの果て、待っていたのは自滅。
最初は誰かの卑しい欲望は伝播し、邪神の力を以て増幅。人間の制御できる欲を遥かに超えたそれは、人種も性別も年齢も超えて『自分さえ良ければいい』というような価値観を生み出す。
そうやって傷付け合い、黎という怪物を生み出しては対処に更に力を削がれ、討伐した女は欲に溺れ……。
敢えて言おう。
黎と都の生まれた世界は滅ぶべくして滅んだ、と。
邪神はそれを加速させただけに過ぎず、遅かれ早かれ件の世界は似たような結末を辿っていただろう。
『滅び』という結果の責任は邪神には無く、人間の自業自得だ。
それ故にフィオを始めとした神々は前の世界の崩壊について邪神に責任を取らせるつもりは無い。
黎に寄生したのはゲフィオンを中心とした運命の神々の手によるもので、都はその次の
だがフィオが言った通り、この世界は違う。
この世界と邪神の覚醒は関係が無い。
よしんば関係があったとしても、前の世界と異なり滅びに立ち向かい乗り越えるだけの運命がある。
それを壊し、食い物にして良い道理はどこにも有りはしないのだ。
前の世界では邪神は食物連鎖の1ピースだった。
ならば邪神にも理がある。
今の世界では邪神は食物連鎖ごと食い尽くす破壊者だ。
ならば邪神には理は無い。
あの黒より黒き黒をここで討つ。
それが、神の一部として人間に生まれ変わった神山フィオの役目なのだから。
☆
邪神ミヤコ:LP 18500
手札:0枚
フィールド
:EXモンスターゾーン無し
:混沌幻魔アーミタイル(ATK 10000)
:伏せカード2枚(片方は『トラジカル・デスショック』)、ノージアス・スケアコード(装備魔法・『混沌幻魔アーミタイル』に装備)
天使フィオ:LP 50
手札:2枚(『堕天使の戒壇』『豊穣のアルテミス』)
フィールド
:モンスター無し
:伏せカード1枚(『魅惑の堕天使』)、光芒のパイプオルガン(永続魔法)、パーシアスの神域(永続魔法)
「わたしのターン、ドロォーッ!」
手札に新たに加わった『豊穣のアルテミス』は、カウンター罠が発動すると1枚ドローする効果を持つ。
後の先、待ちの効果では状況を改善する事はできない。
それに骨が軋み、肉が熱を放っている。
恐らくフレイから貰った横紙破りは後1回が限度。それを超えたら、この体では耐えられない。
ならその1回で最高の火力を叩き出す。
(──落ち着け、
落ち着いて目を閉じ、思考を巡らせる。
デュエル中にEXデッキから召喚したモンスターは8体、『ロードパーシアス』『マスターフレア・ヒュペリオン』『黎明の堕天使ルシフェル』『グローリアス・ヘイロー』『ノーブル・デーモン』『承影』『カオス・アンヘル』『黄昏の堕天使ルシファー』。
残る7枚では奴を打ち倒す事はできないだろう。
ならもう1度、
だからこその16枚目。
無法と違法と不法に対抗するための外法が必要である。
そのためにもまずは、それを出すための下準備だ。
「はぁ……、はぁ……っ! ふぅーっ! ……魔法カード『堕天使の戒壇』を発動! 墓地から“堕天使”モンスターを特殊召喚する! 蘇れ、『スペルビア』!」
『オ゛ォォォォ!』
「続けてその効果で蘇れ、『アテナ』!」
『はぁっ!』
堕天使スペルビア:DEF 2400→2700
アテナ:DEF 800→1100
「『アテナ』の効果発動! 『スペルビア』を墓地に送り、墓地から『ルシファー』を特殊召喚する! そして天使族が召喚された事により、相手に600ポイントのダメージを与える! “アサルト・シャイン”!」
「装備魔法『ノージアス・スケアコード』の効果発動! 装備モンスターの攻撃力以下の効果ダメージを受けない!」
ダメージを防がれる事は承知の上、反射されないだけ御の字だ。
攻め手を緩めず、フィオは続けてディスクのボタンを押す。
「トラップ発動、『魅惑の堕天使』! 手札かフィールドの“堕天使”モンスターを墓地に送り、ターン終了時まで『アーミタイル』のコントロールを奪う!」
「『ノージアス・スケアコード』第2の効果! 装備モンスターが敵の効果対象になった時、それを無効にし破壊する! この効果で破壊されたカードがモンスターの場合、貴様にその攻撃力と守備力の合計値分のダメージを与え、同じ数値分だけライフを回復し2枚ドローする! トラップで良かったなぁ!」
「くっ!」
「ただし2回続けてダメージを与えられない場合、装備モンスターは除外される!」
ダメージを受けないのならばと伸ばしたコントロール奪取も失敗。
打てる手はこれで2枚減った。
魅惑の堕天使
【通常罠】
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、「堕天使」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。
相手フィールドの表側表示モンスター1体を選び、エンドフェイズまでコントロールを得る。
ノージアス・スケアコード(オリジナル)
【装備魔法】
(1):自分が受ける装備モンスターの攻撃力以下の効果ダメージは0となる。
(2):このカードを装備したモンスター1体が相手の効果の対象になった時に発動できる。
その発動を無効にし、破壊する。
この効果で破壊したカードがモンスターカードの場合、その攻撃力と守備力の合計値分のダメージを相手に与え、同じ数値だけ自分のLPを回復する。
その後、自分のデッキから2枚ドローする。
この効果で2回続けてダメージを与えられなかった場合、装備モンスターを裏側表示で除外する。
(3):装備モンスターが破壊以外の方法で相手によって自分フィールドを離れた時に発動する。
このデュエル中、相手は魔法・罠カードを発動する場合、自分の墓地から同じ種類のカードを10枚除外しなければ効果が無効になりLPを3000失う。
「永続魔法『光芒のパイプオルガン』の効果発動! 『アーミタイル』の攻撃力は1万、よってデッキから攻撃力の合計が1万以下になるよう天使族を手札に加える! 攻撃力2500の『堕天使イシュタム』と攻撃力1800の『堕天使アムドゥシアス』をサーチ! そして3回効果を使った事で、『パイプオルガン』は消滅する!」
「チッ、『ノージアス・スケアコード』の効果で連続してダメージを与えられない場合、装備モンスターは消滅する。その効果は通さざるを得ねぇ」
「手札の『堕天使イシュタム』のモンスター効果発動。このカードと手札の“堕天使”カードを墓地に送る事で、カードを2枚ドローできる」
墓地ポケットに『イシュタム』と『アムドゥシアス』が呑み込まれる。
これが最後だ。
奴の墓地にある『邪悪なる幻魔の背教者』は自身の効果でサルベージできる以上、ターンを明け渡せば自由な魔法・罠がデッキから飛んで来る。もう猶予は無い。
今ある3枚の手札を回し、あの巨大クリーチャーごと邪神を討たねば待っているのは敗死だ。
このターンにドローした1枚とこれから引く2枚のカード、それで全てが決まる。
堕天使イシュタム(効果モンスター)
星10
闇属性/天使族
ATK 2500/DEF 2900
自分は「堕天使イシュタム」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、その(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札からこのカードと「堕天使」カード1枚を捨てて発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
(2):1000LPを払い、自分の墓地の「堕天使」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
その魔法・罠カードの効果を適用する。
その後、墓地のそのカードをデッキに戻す。
この効果は相手ターンでも発動できる。
堕天使アムドゥシアス(効果モンスター)
星6
闇属性/天使族
ATK 1800/DEF 2800
自分は「堕天使アムドゥシアス」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、その(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札からこのカードと「堕天使」カード1枚を捨て、自分の墓地の「堕天使」カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
(2):1000LPを払い、自分の墓地の「堕天使」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
その魔法・罠カードの効果を適用する。
その後、墓地のそのカードをデッキに戻す。
この効果は相手ターンでも発動できる。
集中。
右手に残った気力の全てを集め、指先でデッキトップに触れる。
「神山君、頑張れ!」
「大一番の賭けッス……!」
「神よ……!」
「勝て、ここが踏ん張り所だ!」
集中。
この2枚で全てが決まる。
思えば20年以上の因縁、黎が前の世界で産まれる事が決まって以来の、仏教用語で言う
「ふぅー……」
集中。
嘗ての自分は愚かだった。効率的ではあったが、その効率が全てだと思っていた。
そして……、効率はどこまで行っても効率でしかないと、邪神に思い知らされたのである。
結果、この場で血達磨だ。如何に愚かしいのかはもう語る必要すら無い。
「ククク」
集中。
悪い事をしたと言えば、黎もそうだが都もそうだ。
あの義兄妹は本来あのタイミングで死ぬべきだった。だが
本来、生きるという事は幸福だ。辛い環境で不幸にもなるが、それでも幸福に根付く。何故なら幸不幸とは、生きていてこそ初めて感じるからである。
それでもあの時、彼らは死んだ方がマシだった。
それを捻じ曲げたのが……。
「行くぞ、諸悪の根源」
奴は許さない。許してはならない。
運命を知る者として、不幸を嬉々として与える者は排除する。
その決意と共に右腕の筋肉に力を入れ、引き抜いた。
一瞬だけ、カードが光ったような気がした。
「ドロォーッ!」
親指で支え、人差し指と中指で抑えたその2枚を、裏から表にしてカードを見る。
引けたカードは……、罠カードと魔法カードの2枚。これで手札は3枚、モンスター・魔法・罠が1枚ずつ。
後は当たって敵ごと砕けるまで。
「……最後の勝負だ!」
「良かろう、無意味に絶望に挑むが良い!」
「わたしは手札から『豊穣のアルテミス』を召喚!」
豊穣のアルテミス:ATK 1600→1900
「続けて魔法カード『異次元の啓示』を発動! 自分フィールドの天使族モンスター1体を墓地に送り、墓地または除外されている属性の違う天使族を2体まで、墓地に送った天使族のレベル合計と等しくなるよう攻撃表示で特殊召喚する! レベル7の『アテナ』を墓地へ! そして墓地のフレイと、融合素材として除外されている『堕天使グルガルタ』を特殊召喚!」
「カウンター罠『トラジカル・デスショック』! 相手がモンスターを特殊召喚する効果を発動した時、その発動を無効にして破壊する! そして貴様のデッキの上からカードを20枚除外し、その中にあるモンスターカードの攻撃力の合計値分のダメージを与える!」
「20枚も除外だと!?」
「おい、残りライフ50なんだぞ!?」
「フィオ!」
槍と盾を持った天使が消え、異界への門を開く。
対する黒の塊は断末魔のような音の衝撃波を放ってそれを妨害しに来た。
カウンター罠によるトドメの一撃、伏せカードを失ったフィオには致命傷となりうる。
だが、既に豊富なカードプールには例外はたっぷりと蓄えられているのだ。
「手札のカウンター罠『レッド・リブート』を発動! ライフを半分払い、その発動を無効にしてセット状態に戻す!」
「何!?」
レッド・リブート
【カウンター罠】
このカードはLPを半分払って手札から発動する事もできる。
(1):相手が罠カードを発動した時に発動できる。
その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。
その後、相手はデッキから罠カード1枚を自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。
このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない。
異次元の啓示(オリジナル)
【通常魔法】
このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、どちらかしか発動できない。
(1):自分フィールドの天使族モンスター(表側表示)1体を墓地に送って発動する。
墓地・除外状態の天使族モンスターを、レベルの合計がこの効果で墓地に送ったモンスターと同じになるよう2体まで特殊召喚する。
(同じ属性は1体まで)
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。
手札から光属性以外の天使族モンスター1体を墓地に送り、デッキから2枚ドローする。
このターン、この効果で墓地に送られたカード及びその同名カードの効果は発動できず、特殊召喚できない。
トラジカル・デスショック(オリジナル)
【カウンター罠】
(1):相手がモンスターを特殊召喚、または手札に加える効果を含む魔法・罠・モンスター効果を発動した時に発動できる。
その発動を無効にし、破壊する。
その後、相手のデッキの上からカードを20枚除外し、その中にモンスターカードがあった場合、その攻撃力の合計分のダメージを相手に与える。
(2):このカードが相手の効果によって墓地に送られた場合に発動できる。
相手の墓地から罠カードを全て除外し、同じ枚数だけ自分のデッキからカードをドローする。
「ぐ、うぅぅぅ……!」
天使フィオ:LP 50→25
「そ、そして相手はデッキから罠カードを1枚セットできるが、このターン相手は罠カードを発動できない!」
「チッ! ならばデッキから罠カード『
「『アルテミス』の効果発動! カウンター罠が発動した時、カードを1枚ドローする! そして帰還せよ『グルガルタ』! 蘇れ、相棒!」
『オォォォォォォッ!』
「ぜぇ、ぜぇ……、もう1回行きますっ! 老骨最後の見せ場ですよ!」
「特殊召喚に成功したこの瞬間、『グルガルタ』の効果発動! 自分フィールドに『堕天使トークン』を2体特殊召喚する!」
勝利の導き手フレイヤ:ATK 100→400→800
堕天使グルガルタ:ATK 2400→2700→3100
堕天使トークン:DEF 0→300→700
堕天使トークン:DEF 0→300→700
異界の門を通ってチアリーディングの天使と黒い天使が、そして青色のサイバネティックなゲートを通り赤と青の黒翼を持つ魔性がフィールドに現れる。
敵の罠を全体的に封印しつつ、天使を複数展開。メインモンスターゾーンを埋め尽くす軍団はいずれも『アーミタイル』には及ばないが、それでも準備は万端に整える事ができた。
「これで、フィオのフィールドにはモンスターが5体!」
「来るのか、最後の召喚が!」
「頑張って下さいッス、神山さん……!」
EXデッキを入れるホルダーに力を送る。
創成するのは長方形のカード。86ミリ×59ミリの1枚。
そこに注げるだけの女神/天使の力を全てカード化させ、16枚目のカードを生み出す。今できる限りの最強の『無法』を。
「マスター、行きますよ……っ、ぐ、がぶっ!」
「フレイ! げほっ、ごぼっ!?」
途端に全身に耐え難い激痛が走る。
フレイが用意してくれたシンクロやエクシーズを使う許可証が既に効力を失い始め、持ち主のフィオと協力者のフレイの肉体を破壊しているのだ。
嘗てフィオがいない場でエクシーズを使い消滅した『サイコ・ショッカー』がいたらしいが、恐らく自分にも同じ現象が起きている。
世界からの拒絶、修正、追放。時代の流れに合わないカードを使う事で、彼女達もまたこの次元への造反者と見做されていた。カーミラの影やラースと戦った際に反発が無かったのは、それが精霊界だったからである。当然人間界では許されておらず、更に邪神により許可証を構築する光の魔力も弱まっているのだ。
──それでもフィオもフレイも止まるつもりはない。蝕むと言うのなら、いくらでもやれば良い。
その程度で腰が引けるようなら、そもそもここに立っていないのだから。
「げぼっ! い、今更血ィ吐いたくらいで止まれるワケ無いでしょう! 突っ切りますよ!」
「っ、勿論! はぁぁぁぁ……っ!」
イメージするのは、スキル『Storm Access』。
ライフが1000以下の時、風の中から新たな力を得る。
それを風ではなく光から導く。
この1回だけで良い。
敵を打ち倒す、奇跡を。
「奇跡を掴め、ゲフィオン!」
血を吐きながらフィオが叫ぶと同時、腰のホルスターと掌に一条の光が差し込み、天使の輝きが1枚の札と化す。
これが最後。
全身全霊以上を燃やした、天使の全力全開だ。
「はぁ、はぁ……! これがわたしの、最後の召喚だ! 現れろ、天光の煌めくサーキット!」
「これが本当の本当の本当に最後の特例! 我々が持つ正真正銘の最大出力です!」
「アローヘッド確認! 召喚条件は『勝利の導き手フレイヤ』を含む、天使族モンスター3体以上!」
ボロボロの指先から紫電を飛ばし、銀色に輝く回路を呼び起こす。
2人の天使は堕天使とトークンを紫、チェスの駒のような白い天使を黄色、相棒を白い光に変え、そして手を思い切り振って指先から滴る血ごと回路に組み込んだ。
マーカーが赤く灯り、召喚ゲートを開くべく光の門が開く。
「
『トォッ!』
『ヌオォォッ!』
「はぁぁぁぁっ!」
「清き乙女を守護する煌めきよ」
いつだって奇跡は届かなかった。
運命は残酷で、幸運なんてあって当たり前だから。
人間なんてそんなもので、だから幸運を失ってやっとあの世界は不憫であると分かる。
「輝くその指先の元、罪深き穢れた魂に」
それは神とて同じ。
人々が安寧に生きているという事が神々にとっても当たり前となれば、それは大昔にあった幸運が日常化したという事。
命が脆かった時の焦燥も奔走も忘れて平穏を当然とすれば、幸運を認識できない。
「安息を許さぬ裁きを下せ!」
人間が幸福な内は幸運を噛み締める事なんて無理で、不幸になって漸く有難みが身に染みるのだ。
だがそれで良い、不遇な人間が大勢いるより遥かに良い。
泣き顔より笑顔であれば、それは神が庇護した命が間違ってなかったという事なのだから。
「リンク召喚!」
だからそれを嗤う者に鉄槌をお見舞いするのが、神々の役割なのだ。
神とは代弁者であり、先導者であり、守護者であり、そして時に隣人でなり。そしてやはり命を見守る大いなる存在。
であるのならば、彼らを害する以外に何も無い邪神は排除する以外に無い。
「我、
人の世を乱す人の敵は人が倒す。
ならば人の世を乱す神は神が倒そう。
「リンク5! 『運命の導き手ゲフィオン』!」
『ハァアアアアアアアアッ!』
舞い降りるのは神々しい威光をまとったフレイ。
しかし顔立ちこそ『フレイヤ』だが、その髪はチョコレート色に染まって腰まで延びている。衣装も普段のチアガールからローブとショールによる女神然としたものに変わっていた。
無手だった彼女の手にはランタンのような優しく温かい明かりを灯す杖が握られており、オープンバックの肩甲骨からは真っ白な翼が生えている。
「この瞬間、永続魔法『パーシアスの神域』の効果で攻撃力300がアップします!」
「更にリンク素材として墓地に送られた『グルガルタ』の効果により、デッキから『禁じられた聖杯』を手札に加える!」
運命の導き手ゲフィオン:ATK 1500→1800
その姿はさながら、現世にあって不足していたフィオとフレイ、2人の天使の力を合わせ、可能な限り元の“女神ゲフィオン”に可能な限り近付けたような印象すら受けた。
攻撃力はフレイが自身の効果で得る500に、更に1000を追加した値となっている。
「あれが、フィオの新たなモンスター……」
「本来なら黒蠍の連中みたいに本人が場に出たのかもな」
「カッケェぜ!」
「『ゲフィオン』の効果発動! このカードを特殊召喚した時、墓地の天使族モンスターを除外する事で、その除外した枚数と同じレベルの天使族モンスターを手札に戻す事ができる! わたしは墓地から『ネプチューン』を除外し、墓地からレベル1の『ハネワタ』を手札に戻す!」
「除外された『ネプチューン』の効果も発動します! このカードが除外された時、デッキから『天空の聖域』を手札に加えられます! そのまま発動なのです!」
羽型のディスクを開き、周囲に雲の上の古城を広げるフィオ/フレイ。
これでフィオは戦闘ダメージと効果ダメージの両方に対策を打てた。邪神の迎撃を受けても即死する可能性は低い。
「更に手札から『エクスチェンジ・ガード・ローブ』を発動し、『ゲフィオン』に装備! 攻撃力500アップ!」
運命の導き手ゲフィオン:ATK 1800→2300
手首から背中側を回って反対の手首に通っていたショールが消失し、代わりに肩から黄金の外套がはためくようになる。
そしてこれはただの上昇ではない。
「『ゲフィオン』の効果発動! 1ターンに1度フィールドの攻撃力が上昇しているモンスター2体の、その上昇値の合計値分のダメージを相手に与える! 受けてみろ!」
「装備魔法『ノージアス・スケアコード』は装備モンスター1体のみが対象になった時に無効化できます! 2体同時に対象にする場合、その効果は使えません!」
「上手いぞ! 『アーミタイル』の元々の攻撃力は0だ!」
「『ゲフィオン』の上昇値800と合わせれば10800の大ダメージになる!」
「これで奴のライフを大きく削れるんだな!」
天使がランタンのような錫杖に光を集め、その射出先として邪神に狙いを定める。
これに対抗するべく、邪神も禍々しく捻じ曲がったディスクのボタンを指で押した。
「ならば俺様は速攻魔法『怨恨の
「メインフェイズに戦闘を行うカードだと!?」
「有りかよそんなの!?」
「『アーミタイル』を奪われた時の対策までしていたのか!?」
エクスチェンジ・ガード・ローブ(アニメオリジナル)
【装備魔法】
装備モンスターの攻撃力は500ポイントアップする。
装備モンスターの攻撃力がこのカード以外の効果で変化した時、その変化した数値分のダメージを相手ライフに与える事ができる。
怨恨の非屠柱(オリジナル)
【速攻魔法】
このカードはメインフェイズでのみ発動できる。
(1):相手フィールドの元々の数値より攻撃力が500以上高いモンスター1体を対象に発動できる。
そのモンスターの効果を無効にして攻撃力を0にする。
その後、そのモンスターと自分フィールドの最も攻撃力の低いモンスターで戦闘を行う事ができる。
自分フィールドにモンスターが存在しない場合、相手は500LP失う。
(2):自分が1000以上の戦闘ダメージを受けた時に発動できる。
このターンのエンドフェイズに、墓地のこのカードを手札に加える。
発動するのは強制戦闘、しかも攻撃力をゼロにする事で実質直接攻撃を行うカードだ。
『アーミタイル』の攻撃力は自身の効果と前のターンに補助された『
だがフィオとフレイには秘策が残っていた。
「それを!」
「待っていた!」
「何!?」
「『ゲフィオン』の更なる効果! 互いのターンに1度、相手の魔法・罠のどちらかの効果を無効にする!」
「更に互いのフィールドにある封印したカードと同じ種類のカードの枚数×400、攻撃力がアップするのです!」
「「“破邪天堂光明”!」」
「今、無効にしたのはマジックカード!」
「フィオのフィールドにある魔法カードは『エクスチェンジ・ガード・ローブ』、『パーシアスの神域』、『天空の聖域』の3枚!」
「奴の場には『ノージアス・スケアコード』と『怨恨の非屠柱』の2枚だ!」
「合計で攻撃力、2000アップ!」
運命の導き手ゲフィオン:ATK 2300→4300
「攻撃力4300だと!?」
「この瞬間、『エクスチェンジ・ガード・ローブ』の効果発動! 今変化した数値だけダメージを与える!」
「ぐぉおおおおおおお!?」
邪神ミヤコ:LP 18500→16500
女神の羽織るマントから金色の閃光が雨のように放たれ、黒い衣装に染まった都を穿つ。
2000の大ダメージに加え、この数値の変化は別の効果にチェーンして使われたもの。その処理はまだ終わっていない。
「そして改めて互いの変化してる攻撃力の合計値分のダメージをお前に撃ち込む!」
「合計12800のダメージです、受けなさい!」
「「“ディエストロ・デ・ムエルテ”!」」
「ぬ、ぐ、ぉあああああああああああああああああっ!?」
邪神ミヤコ:LP 16500→3700
今度は構えた錫杖から破壊の一撃をお見舞いしてやる。相手の戦術と性格を利用して底上げされたダメージは、邪悪な神に大きな損害を与え全身から焦げた煙を発させた。
18000もの回復の8割をこの一瞬で削り取り、更に速攻魔法の効果は無効になった事で強制戦闘は行われない。邪神の場に残った伏せカードは2枚あるが、片方は『レッド・リブート』によって伏せられたカードで、もう片方はそれによってセット状態に戻されたカード。つまりどちらも罠カードであり、『レッド・リブート』により発動を封じられている。
もしデッキから伏せられたカードが発動封印を無視できるのなら、このダメージを無視する道理は無い。寧ろこれを反射してフィオをフレイごと蒸発させられた。
であればあのカードにそのような無法は備わってないと見て良いだろう。
そして手札はゼロ、墓地で発動できるカードも無い。
「わたしは速攻魔法『禁じられた聖杯』を発動! お前の『アーミタイル』の効果を無効にし、攻撃力を400アップさせる!」
混沌幻魔アーミタイル:ATK 10000→400
「これで攻撃力は9600ダウン!」
「お、おんのれぇ!」
そしてその頼みの綱のキメラの攻撃力も、装備魔法の守りを失った上に効果を潰された事で大幅にダウン。
敵のライフは残り3700、攻撃が通ればダメージは3900、そしてその戦闘を防ぐ手立ては無い。
「邪神! お前との因縁、これで断ち切る! そしてこの勝利を以て、今度こそ黎に償う!」
「バトルです! 我々自身で『混沌幻魔アーミタイル』を攻撃!」
「ぐ、うぉおおお!?」
盛大な光が集まる。
赤い光が、青い光が、緑の、黄色の、紫の、橙色の光が集まり、巨大な白い輝きの刃に姿を変えていく。
まるで神話にあった神獣の牛達に島を耕させた時のように命を導き、安らかな眠りを守るための守護者としたの決意を見せつけるように。
それで思い切り一刀両断するかのように、邪神に向けて振り下ろした。
「「“ガイアフォース・ジャッジメント”!」」
「ぬ、ぐぉおぁああああああああああああああああああああああああああっ!」
防ぐ手立ては無い。
魔法は全て無効化され、罠も発動できない。
手札は0枚、墓地や除外ゾーンで発動できる有効な効果も皆無。
紛れも無くチェックメイトが邪神を飲み込み──
「──などと言いつつ」
「!」
「伏せカード発動! 『
その直前で邪神はデッキから引きずり出したカードを発動し、止めた。
しかしその発動は許されないし、許されても通らない。そのようにフィオは布陣を敷いている。
「無駄だ! 罠カードは『レッド・リブート』の効果で発動できず、魔法カードはわたし達の効果で無効になっている!」
「その伏せカードは『レッド・リブート』によってデッキからセットされた罠カード! 発動は不可能なのです!」
「このカードは墓地から通常魔法と速攻魔法以外の魔法カードを5枚除外し、速攻魔法として発動できる! 無効になっていても発動そのものは可能だ!」
「何だって!?」
「更にこのカードは墓地から除外しても同じ効果を発動できる!」
「マジックカードに化けるトラップだと!?」
「聞いた事がある、デュエルモンスターズは構想段階では魔法・罠は同じ種類のカードだったと……!」
「つまりあれは、それを疑似的に再現できるカードだと言うのか!?」
「既に奴の墓地には大量の永続魔法があるんだな!」
「でも魔法はこのターン無効だし、罠も発動できない! 完全に無駄な足掻きッス!」
「……いや、違う!」
本来なら発動できないカードだが、それでも意味は無い。
罠カードは発動自体が封印され、魔法カードはどこであっても無効化されている。罠カードから魔法カードに書き換えたとて、カードのカテゴリそのものから逃げる事はできないのだ。
であれば無駄な足掻きと言える。
普通なら。
「俺様は墓地から『
「っ、しまっ!? ラースと同じ効果か!?」
「そうだ!」
だが、ここに抜け穴がある。
「『レッド・リブート』が封印できるのは罠カードの発動のみ、墓地から除外する事による
「まさか、こんな対処方法があるなんて!?」
「この布陣にそのような隙があるとは……!」
カウンター罠は有り体に言えば『発動済みのカード』や『フィールド以外の魔法・罠カード』に対応できないカード。
墓地や除外された事で発動するのなら兎も角、自力で墓地から除外されてしまう効果はスルーしてしまうのだ。
「女神から堕天した天使よ、貴様は悪くない玩具であった。だが既に俺様には不要、目障りな小物だ!」
「くっ!」
「これで死ね!」
そしてこの効果によって発生するのはライフコスト。『
叩き込んだ光の柱はそのまま反射され、天使達に瀑布となって降り注ぐ。
「おのれ、おのれ邪神ッ! おのれぇえええええええ!」
「ク、ッソォオオオオオオオオオオオオオオォォォッ!」
全身全霊を込めた最大出力。
それらを歯噛みしながら睨む事しかできない天使達は──
フィオ:LP 25→0
ライフが尽きるブザーすら聞こえない光の中に飲み込まれた。
邪神ミヤコ:WIN
天使フィオ:LOSE
運命の導き手ゲフィオン(リンク・効果モンスター)(オリジナル)
リンク5
光属性/天使族
ATK 1500
【リンクマーカー:左上/左/上/右/右上】
「勝利の導き手フレイヤ」を含む天使族モンスター3体以上
このカード名の(3)(4)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードは相手モンスター効果の対象にならず、相手の効果では破壊・除外されない。
(2):EXモンスターゾーンのこのカードが破壊された場合に発動できる。
このカードをEXデッキに戻す。
(3):このカードの特殊召喚に成功した時に発動できる。
自分の墓地からこ天使族モンスターを任意の数だけ除外し、除外したモンスターの数と同じレベルを持つ天使族モンスター1体を墓地から手札に加えるか守備表示で特殊召喚する。
(4):1ターンに1度、天使族Lモンスターのリンク先に天使族モンスターが特殊召喚された時に発動できる。
自分はデッキから1枚ドローする。
(5):このカードが「勝利の導き手フレイヤ」を素材としてL召喚されている場合、以下の効果を得る。
●このカードの攻撃力が元々の数値より高く、相手フィールドに攻撃力が元々の数値より高いモンスターが存在する場合、そのモンスターとこのカードを対象として発動できる。
その2体のモンスターの攻撃力と元々の攻撃力の差分の合計のダメージを相手に与える。
●1ターンに1度、魔法または罠カードを宣言して発動できる。
ターン終了時まで相手の宣言した種類のカードの効果は無効となる。
その後、このカードの攻撃力はフィールドに表側表示で存在する同じ種類のカードの枚数×400アップする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
【通常罠】
この効果は自分の手札・フィールド・墓地から通常魔法・速攻魔法以外の魔法カードを5枚除外する事で、速攻魔法として発動できる。
(1):お互いのモンスターが戦闘を行う場合に発動できる。
その戦闘でお互いのモンスターは破壊されず、ダメージは0となる。
ダメージ計算終了時、その2体のモンスターの攻撃力の差分だけ相手はLPを払う。
この時にLPがその数値未満だった場合、LPは0になる。
(2):このカードを墓地から除外して発動できる。
このカードの(1)の効果を発動する。
to be continued