※ホグワーツ総務部 渉外・契約室長マートル・ウォーレン 発
・近年のマグル世界における学歴の重要性、プライマリースクールからの一貫教育などは著しいものがある
・ホグワーツもまた、従来の全寮制七年体制のみならず様々なエスカレーターを備えるべき
・魔法の素養が見られるマグル家庭には、2年前には学校案内、1年前にはホームステイを経て、魔法族の文化に触れてもらう
・その上で、マグル側の学校に通うか、ホグワーツに入学するかの判断を、委ねるものとする
・ホームステイ先については、ホグワーツOBの中から混血の家やマグル生まれの家に依頼する
・ホグワーツ短期講習コースを新設し、マグルの学校に通いながら、夏季休暇のみホグワーツで集中講義を行う
「おや、これは半年前に大失敗に終わった企画の名残でしょうか」
「うん? ああ、あの時のやつか。てゆーか、失敗に終わった原因の大半はアンタでしょうが」
「入学そのものを拒否されたわけではないので、被害は最小限で済んだはずですが?」
「あれを最小限と言うか」
「まあ、ダッハウ先生がやらかした中では、まだ被害が小さいほうかと」
例によって例のごとく、悪霊三人衆の跋扈する印刷室において。
いよいよ、“焼け残った男の子”の入学も半年後くらいにまで迫ったホグワーツのとある日。
(当然、学期中なのでダッハウには魔法史教師としての仕事があるが、こいつはいつもマイペース)
ハリー達が10歳の誕生日を迎える頃に起きた惨劇について、のほほんと酒の肴に悪霊どもは昔語りしていたそうな。
「リリーさんの時もそうでしたが、マグル世界の学歴の重みは増す一方です。ホグワーツへ通うにも今まで以上の配慮が必要になってきますし、相互理解は重要なことと校長先生もおっしゃっています」
「相互理解そのものは、とっても良いことだと思うわよアタシも」
「問題は、相互理解のための教育をダッハウ先生に任せていることだと思います」
戦後の暗黙の了解以来、マグルの“歴史”をホグワーツの生徒に伝えることに、魔法史の悪霊教師は力を注いでいる。
一応、マグル学のクィリナス・クィレル先生も彼なりに頑張ってはいるが、やはり“魔法族から見たマグル”の域を出ない。
一体どこが知識源なのか怪しくなるほどマグルの歴史に精通し、また、世界の魔法史についても網羅するノーグレイブ・ダッハウが、2つの世界の比較論の説明者としては適任なのは、実に嫌なことだが事実ではあった。
ただし、コイツが力を注ぐということは、碌なことにならないのと同義でもあった。
「入学の数年前からの説明は、既にマートルさんがペチュニア女史に行った例もありますし、ホームステイについては概ね高評価でしたね」
「来年に入学する候補者の中だと……確か三人だったかしら」
「トーマス君と、フレッチリー君と、グレンジャーさんでしたね」
事前の説明の充実からさらに一歩進めて、来年度に入学する候補のマグル生まれの生徒達を、魔法使いの邸宅にホームステイしてもらうという実験的試み。
ディーン・トーマス ⇒ ウィーズリー家
ジャスティン・フィンチ=フレッチリー ⇒ トンクス家
ハーマイオニー・グレンジャー ⇒ ポッター・エバンズ・プリンス家
この三名が最初の例として選ばれることとなったわけだが、まあ、ホームステイ先からもお察しいただけるように、色々とあった。
「アンタが受け入れ先にウィーズリー家も候補に入れたりするから」
「選んだのはディーン・トーマス本人です。曰く、“一番楽しそうな家が良い”と。確実に彼はグリフィンドールに組分けされることでしょう」
「カルチャーショックの度合いは、グレンジャーさんの方が大きかったと思いますけど」
普通に考えれば、自分と同じマグル生まれの魔女、リリー・ポッターの家を訪問するのであり、兄一人、妹二人を育てていることからも実績はある。
ただし、父親が二人いることについては、予想できることではなかったろう。
「中々に刺激的な三週間を魔法界で過ごした彼らも、半年後にはキングス・クロス駅からホグワーツへとやってきます。残念ながら用意した短期講座コースは誰も選びませんでしたので」
「当たり前よ。誰が選ぶかあんなもん」
「詰め込み教育の問題点を凝縮したような内容でしたわ」
悪霊教師の用意した“短期講座コース”。
マグル生まれの魔法使いだからといって、暴走の制御さえできれば社会生活を営むことは可能であり、必ずしも七年間全てを全寮制のホグワーツに通う必要はない。
そこで、基本はマグルの学校に通いながら、夏季休暇などにホグワーツで短期集中講座を受け、杖魔法を制御する術を学んだらどうか。
そこだけを聞くならば割りかしまともな提案と言えたのだが。
『ギャアアア!!』
用意された“短期講座コース”のチュートリアルを受けた被験者第一号(ディーン・トーマス)の第一声がこれである。
要するに、夜間学校のカリキュラムを受けさせられた訳だ。お出迎えに当たった生徒のラインナップは酷いものだったとだけ述べておこう。
魔法というものの危険性、心がけるべきこと、対処法、その全てが嫌になるほど詰まっている内容ではあるのだが、いかんせん密度が濃すぎる。薬も過ぎれば毒となるというが、毒が過ぎても猛毒にしかならない。
他二名については幸運というべきか、他者の口からその悍ましき内容を聞き知ることが出来たため、精神的拷問を受ける前に“しっかり入学して七年間勉強する”方を選んだ。
ちなみに、トラウマを負ったディーン少年の精神的ケアは、当然の如く小さな天使アリアナちゃんに委ねられた。糞教師は後のケアを幼女に丸投げするものなのである。
「ものは試しとやっては見ましたが、やはり七年かけて学ぶ内容を数週間程度に凝縮するのは土台無理があったのでしょう。こうして、失敗を糧にどんな制度も徐々に形になっていくのも歴史というもの」
「生贄にされた方はたまったもんじゃないでしょうけど」
「しかも、やった側は悪びれもせずにしれっとしてるのも憎らしいです」
「最初から失敗すると思っていたわけではありませんよ。悪戯仕掛け人達と同等の精神力があれば十分耐え抜けると閾値を設定したのですが、戦時中に生きた彼らとでは違いが出たのか、やはり、平和というのは子供たちを軟弱にさせるのか、何とも弱っちいものです。端的に言って雑魚」
「いつか生徒に殺されるわよアンタ」
「そういえば、セブ君にも一回焼き殺されてましたっけ」
例の黒太子同盟が発足した頃、セブルス・スネイプの放った渾身の悪霊の火で消失したことがある悪霊教師。
その日は、全生徒が喝采を叫び、死喰い人の子供たちだろうが何だろうが皆で仲良く臨時パーティーが行われ、教師たちも大喜びで生徒の活躍を讃え、スリザリン寮に200点が加点されたものである。
もっとも、翌日にはしれっといつも通りに悪霊が授業を行っており、皆を落胆させた。その上、悪霊からも“見事な手腕でした、スリザリンに20点を”と淡々と加点されたのだから腹立たしい。
「そのまま消えてなくなれば良かったのに」
「まったくですね」
「人類が愚かであり続ける限り、私が消えることなどありませんよ。それはさておき、あの取り組みの失敗は個人の資質頼みでしか基準を用意できないあたりですかね。夜間学校の拷問に耐え抜くだけの精神力がなければ厳しいですので、普遍的な教育システムとしては時間的制約がネックになってきます」
「拷問って言い切ったわコイツ」
「処刑じゃないだけマシではあるんでしょうけど」
ギロチン先輩、電気椅子後輩、アイアンメイデンなんでもござれの魔窟が夜間学校である。死喰い人の屋敷だって、ここまで酷くはなかろうに。
「一応、過去の似た事例も検索し、倣うべきところは取り入れようとしたのですが、あまり参考になるものはなかったですね」
「あら意外。アンタ以外にもこんなこと考えた教師がいたんだ」
「マグル側で清教徒革命が起こり、オリヴァー・クロムウェルがアイルランド侵攻を行い、虐殺が吹き荒れ、カトリック差別が猛威をふるった時代の頃です。時勢の急激な悪化に影響され、何とか短期間で仕上げられないかと模索したことがあったようです」
現代よりもマグル側の交通機関などが発達していない時代ならば、馬車や徒歩が移動の基本になってくる。
その中でホグワーツにマグルの生徒を招くというのはなかなか準備が必要なことで、宗教迫害が蔓延っている時代に下手を踏めば、子供の命が危うい。
大人の魔法使いは逃げられても、ホグワーツに招かれる子供の方は、まともに魔法が使えないのだから。
「逼迫した事情の為せるものなのか、一ヶ月という短期間で魔法を制御して使えるように教育することが出来たとか」
「へぇ、凄いじゃないの」
「それだったら、ひょっとしてわたくしでも習うことが出来たかもしれませんね」
メローピーさんはホグワーツに通えなかった。それは、今の彼女にとってもちょっとした未練の一つだ。
「ただし、魔法は尻から出るという弊害はありました」
「論外じゃないの」
「絶対に受ける生徒はいないと思います。わたくしでも絶対に習いません」
メローピーさんは思った。やっぱり通わなくて良かったかもしれないと。
「本当に、魔法というのは摩訶不思議でよく分からない代物です。弊害が出るのは仕方ないとはいえ、何がどうなればそうなるのか、さっぱり検討も付きません」
「創った本人が、一番嘆いてたと思うけど」
「というか、もし魔女の方だったら流石に可哀想過ぎます」
「製作者については、名誉を守るためか厳重に削除されておりました。この私をもってしても辿りきれませんでしたから、よほど厳重に消去したのでしょうね」
とはいえ、そういった黒歴史があったことは、こうして悪霊教師にサルベージされ拾われてしまっている。出来るなら、そのこと自体を抹消したかったろうが。
こと、サピエンスの黒歴史を蒐集することについては、ノーグレイブ・ダッハウの力量は計り知れない。人の恥の過去を暴露するのが生態になっているような存在だから。
「これもまた、ホグワーツの不思議の一つと言えるでしょう。何せ魔法界には興味深い逸話が多い。それらを紹介するのも魔法史の講義の範疇ではありますからね。タイトルを付けるなら、“ただし魔法は尻から出る”あたりでしょうか」
「止めなさいよ、そして間違っても授業で紹介するんじゃないわよ」
「多分無理ですよマートルさん。だってダッハウ先生ですから」
哀れ、ここにまた暴露されるホグワーツの黒歴史が追加された。
ダッハウに知られるということは、つまりはそういうことだ。
「失敬な、これでも私の講義において寓話語りはなかなか人気のある内容なのですよ。“ガリオン金貨の神隠し”や、“お爺さんの幸福の薬”などは特に」
「そりゃそうでしょ、アンタの糞ムカつく話聞いてるより億倍いいもの」
「どんな話なんですか? わたくしは聞いたことないですけど」
ゴーント家の小屋で過ごしたメローピーさんには、そうした話を聞いて育った記憶がない。
だからこそ彼女は、いつかそういった話を愛する息子へしてあげるのを夢にしている。
「ふむ、物語を謳うのは私の領分ではありませんので、ここは端的に概要を説明するに留めましょう。まずは“ガリオン金貨の神隠し”ですが」
“ガリオン金貨の神隠し”
1840年頃、マグル側で最先端の経済学や投資を学んでいた男がいた。
彼は身内からホグワーツ生徒が出たことから魔法界を知り、スリザリンに所属したその生徒とやってはいけないタブーに触れ、御伽噺になってしまった。
これは、スリザリン寮において“マグル生まれ”への蔑視が一層強まるきっかけになった事件としても知られる。
男はマグルの銀行業などに精通しており、“交換レート”を上手く利用し、魔法界の金貨を大量に持ち出そうとした。
折しも、清、インド、大英帝国の三角貿易が活発に行われており、茶と銀、陶磁器と綿と阿片が非常に高値で取引された時代。
「彼自身が、大英帝国の世界進出に資本家として関わり、膨大な利益を上げた一種の成金でありました。であると同時に、ユダヤ系であるためいくら金があろうとも上流階級にはなれなかった男。他国人から“ブリカス”などと蔑称されるほどに、この時代のイングランド人には、“自国の恥”と思えることをやらかしたのが多くおります」
祖国の圧倒的工業力と外交力の威を借るキツネ。
数々の入植地、植民地、不平等条約の相手国家に対して大いに傲慢をぶちかました時代。
そんな【大英帝国狂信者】が、ダイアゴン横丁とグリンゴッツを知ってしまえば、何を考えるか。
経済学の初歩も知らない未開のゴブリン共を騙し、莫大な利益を上げてやろうと実に傲慢なマグルらしく考えた。
「交換レートを用いた、詐術そのものは非常に上手くいき、彼は大量のガリオン金貨を己の貸倉庫へと持ち出すことに成功しました。しかし―――」
阿片との裏取引のため、いざ貸倉庫の扉を開けてみれば、持ち出したガリオン金貨の山は、消えていた。
別に、ゴブリンたちがそんな魔法をかけたわけではなく、スリザリンの卒業生は何度も調べ、魔法はかかっていないことを確かめた。
そう、魔法はかかっていなかった。
それはつまり、魔法世界の金貨が、マグルの世界に留まるための“アンカー”を、何も持っていなかったことを意味する。
それらの金は、正当な報酬でも対価でもなく、紙の上の交換手続きだけでここに来たもの。
二人の人間もまた、売り払って捌く以外の使い道を考えていなかった。
「魔法世界において最重要とも言える縁というものを、忘却とは何たるかを、彼らは理解していなかった。数時間で消えるレプラコーン金貨ほどでなくとも、ゴブリン金貨も所詮は人非ざる者の作りし幻想の貨幣。やがて幻と消えるのは道理でした」
“想い”も“縁”もなき魔法の金貨は、マグルの世界に長くとどまれず、当たり前に元の世界の“由来の場所”へ去った。
つまり、ゴブリンたちの鉱山、坑道の奥深く、掘り出された場所に誰も知らぬ間に戻ったのである。
ゴブリンの鉱山は、縁を失って戻ってきた金貨の再採掘、再加工も大きな仕事である。
そして、金貨の山を対価に“先物取引”という先進的なマグルの制度で阿片を横流ししていたその男は、全てを失い、ヤクザに追われ、自殺した。
欲望は身を亡ぼすという寓話として、存在を刻んでしまった。
「己の世界の常識だけを盲信し、魔法世界の都合の良い部分だけしか見なかった結果、転落が待っていた。マグルの無知を示す寓話と見られることも多いですが、逆に、魔法を盲信し、マグル世界で悪行を重ねた結果、転落した闇の魔法使いの寓話も数多いのです」
愛の妙薬
幸運薬(フェリックス・フェリシス)
万能魅了薬(アモンテルシア)
真実薬(ベリタセラム)
時に運命にすら干渉できる、強力な魔法薬であればあるほど、反動というものもまた大きい。
また、それは時に、善意で作った幸福の薬が、悲劇をもたらすこともある。
「他にも、“過ぎたる幸福”、“魅惑の愛”、“真実の心変わり”など、そうした寓話が数多く作られ語られた。ポリジュース薬にしても、悪党が美しい姫に成り代わろうとするものの、いざ本番の時に、監禁生活で“やつれた姫の姿”に変身してしまい、ばれたなどの話があります」
「あ、それは聞いたことある。姫を監禁してポリジュース薬の材料を採取しようとしたから、本末転倒に陥ったのよね」
「後これは、メローピーさんにとっては劇毒になるかもしれませんが、真実薬の扱いの難しさもよく寓話で語られます」
“真実の心変わり”
真実薬は、問いに対して真実を答える。
妻が夫の浮気を不安に思い、つい真実薬を使ってしまった場合、何が起きるか?
不倫をしているか? → いいえ
私のことを愛しているか → 愛している
不満はあるか? → はい
どこが悪い? → マイナス点が大量に列挙される
「結果、妻のほうが夫への愛が冷めてしまいました。夫は妻のマイナス点を言いましたが、それと同じかそれ以上に、プラス点も知っていたのだが、というオチです」
「“私の美点は?”と問わない限り、答えてくれないのよね。問いに答えるのが真実薬だから」
「不安に思っている部分だけを聞いてしまい、その結果もっと嫌な扉を開けてしまう。【答えを期待しない問いを投げれば、聞きたくもない答えが返ってくる】、という教訓を我々に伝えています」
「……わたくしは、どうだったでしょうか。わたくしの腕では真実薬の調合は無理でしたけど、もし出来たら、夫に使っていたでしょうか?」
「さて、それは何とも言えません。そしてそれが、貴女の幸せになったかどうかは別問題ですし。幸福の原料についてならば、“お爺さんの幸福の薬”が有名です」
“お爺さんの幸福の薬”
若き日に調合はしたものの、反動が怖くて結局使えず、生涯しまったままだった幸運薬のお話。
月日が流れ、お爺さんになったある日、孫が本当に困ったことに直面した際に昔に封印した箱を開け、幸運薬を孫のために使った。
それはとても良く作用し、孫は運良く困難から開放された。そして、危惧された反動もなかったという。
そもそも、長年しまわれていた薬は、とうの昔に成分が抜けきって、ただの液体になっていたはずなのだ。
にもかかわらず、それは本物以上の“幸福の薬”として作用した。
自分の人生にはその薬を用いず、孫の人生に幸あれと願い続けた祖父の想いこそが、フェリックス・フェリシスに対価を求めない幸運の力を与えたのだ。
先に自分の人生の幸福を得れば、対価として不幸がやってくる。その薬は、既に対価を得ていた。天秤は釣り合っていたのだ。
魔法とは、かくも不思議で、言葉にできない魅力に満ちたものである。
「この寓話は、幸運薬(フェリックス・フェリシス)の“本当の原料”とは、いったい何なのだろうか? というものを問いかけています。少なくとも、孫を犠牲にして自分の命が助かることをお爺さんが幸運と呼ぶはずがないことくらいは分かりますね」
「幸運の定義なんて、それこそ人それぞれだものね」
「私の、幸福……」
それは未練を遺したゴーストにとって、無視することが出来ない事柄。
自分の幸福とは、何であるのか、何を求めて自分はこうして彷徨っているのか。
メローピー・ゴーントという亡霊にとって、それを見つけ出すことがすなわち―――
「アタシは当然、リア充が爆発していく姿を眺めることね」
「語弊があります。リア充を己の手で断崖に叩き落とすこと、と思われますが如何に?」
「アンタにしては良いこと言うわね、その通りよ」
沈思黙考するメローピーさんを尻目に、クズな会話を繰り広げるその他二人。
基本が重い女である彼女はいざ知らず、嘲笑のゴーストと嫉妬のゴーストには、お伽噺から感銘を受けるような殊勝な心はないらしい。
「さあて、そんな不思議な魔法の城に、いよいよあと半年もすれば貴女達が強固な縁を結んだ子供がやってきます。私はいつも通りにいきますので、貴女たちもまた、お好きなように。私は何も止めはしない、時計とは回り続けるものですから」
マートル・ウォーレンとペチュニア・ダーズリー
メローピー・ゴーントとセブルス・スネイプ
いずれも、リリー・エバンズを軸とした縁であり、“二人の父を持つ少年”が、このホグワーツにやってくる。
さあ、いよいよ開幕の時。
時計塔が知る物語とは、違った歴史を辿る物語の結末を求めて。
この物語は、誰が望み、誰がための寓話となるのか。
観測者は黙して俯瞰を続ける。歴史の当事者となることは一度もないまま。
次話から、章が新しくなります。
ハリー達が入学し、悪霊たちとのホグワーツ生活が始まります。