【完結】お墓にお辞儀と悪戯を   作:トライアヌス円柱

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今回は少し長めです。
そして、悪霊の授業の中でも最も悪名高き一つとなります。

貧血さま、ずわいさま、誤字報告ありがとうございます!


3話 禁断の果実

『時計塔のオブジェクト記録』

 

 【愛の妙薬】

 

 魔法族にとって愛の定義とは何か?

 マグルと異なり、薬や魔法によって容易にその感情を操作できてしまうがために、常に付きまとい続けた問いである。

 

 ある学者は、愛を与えるもの、捧げるものと定義し、

 恋を欲するもの、奪うものであるとした。

 

 前者の分かりやすい例を挙げるならば、家族愛、祖国愛。

 共同体に対して忠誠を尽くすという概念は、捧げる愛の典型例とも言えるだろう。

 

 後者の分かりやすい例は、征服欲、侵略欲。

 略奪愛などという言葉もあるが、君主が敵国の領土や都市を欲する【お前が欲しい】、【必ずやお前を我が物に】という渇望は、国家単位で愛の妙薬を飲んだと言えるかもしれない。

 

 一部の言語における男性名詞、女性名詞などにそれらの名残は見られるともされ、ヒトの文化と根強く関わりながらそれらはあり続けた。

 

 愛にせよ、恋にせよ、これらが非常に定義が曖昧な境界線問題であることは事実であろう。

 まして、人の心は移ろいゆくもの。かつては愛していたものを憎むこともあり、その逆も然り。

 

 歴史は語る、愛の妙薬から始まった恋愛に、本当の幸せの結末を見た事例は極めて少ないと。

 全くない訳ではない、しかし、その僅かな希望があるからこそ目が眩む。

 

 『絶対に失敗する賭けと分かっているならば、人はそれを求めはしない』

 『だが、成功の可能性が見えた時、自制を保つのは困難だ』

 『ならば、愛の妙薬における本当の毒とは“希望”にほかならず』

 『希望を失ったとき、人は絶望に堕ちるのだ』

 

 

 

 

*----------*

 

 

 

 「古代から創始者の時代に至るまで歴史を紐解いていくシリーズ。今回は三回目となります。最初に不老不死の探究と魔女の若返り薬、二番目に割り切れぬ貨幣と人類最古の職業について語りました。今回はそこからより根源的な部分にも言及し、雌雄というシステムと性欲と社会性について見ていきましょう」

 

 クィディッチシーズンもそろそろ開幕が近づき、ハロウィンへ向けて活気づいていくホグワーツ。

 

 同時に悪霊達が活気づく季節でもあるため、去年のスクリュート騒動を忘れるはずのない上級生たちは、今日も今日とて予襲復讐(誤字に非ず)に余念がない。

 

 つまり、やられるまえにやれ(予襲)、やられたらやりかえせ(復讐)の精神である。これもまた悪霊達の悪影響と言えるだろうか。

 

 

 「今更語るまでもなく、純血、混血、マグル生まれと言ったそれぞれの出自は、婚姻において切り離せるものではありません。また、結婚に至る経緯においても、家と家が決める例、愛の妙薬を飲まされた例、ヴィーラにかどわかされた例、小鬼への借金で売られた例、巨人に略奪された例など多岐に渡ります。雌の狼人間に噛まれて変異することも、求愛行動の一種ととれるかもしれませんがここでは除外します」

 

 なぜそこに普通の恋愛を入れないんだコイツは。

 

 思春期を迎える子供達に対して、性的な知識の絡む話というのは常にデリケートなもののはずだが、この悪霊がそんな配慮をするわけがない。

 

 生徒達もこの二年目の講義の傾向を徐々につかめてきた、一年目は“物理的”に危険なものが多かったが、二年目は“精神的”に負荷が多いのだと。

 

 いやまあ、皆殺しだの虐殺だの、一年目も大概ではあったのだが。

 

 

 「それでは、雄と雌が番となる根本的な社会性の変化を見ていきましょう。まずは100万年前のホモ・エレクトスですが、これは現在ではホモ属に含められており、マグルと魔法族に分離するよりも確実に前の形ですので、共通項を見ていくには最適です」

 

 そして、予想の遥か上をいき、まさかの100万年前の人類からスタート。

 

 そりゃあ、雄と雌の繋がりを遡ればそこまでいくのは事実なのだが、まさかアフリカの現生人類期にまでたどり着くとは生徒の誰も予想できまい。

 

 唖然とする生徒を尻目に、説明用の魔法文字が次々と空中に描き出されていく。

 

 

ホモエレクトス

 形態的特徴として、身長は成人男性で140cm~160cm、体重は同50kg~60kgと現代人よりかなり小柄でがっちりしているが、頑丈型と華奢型が存在していた。

 体毛は濃く、背中までびっしり体毛が生えていたと思われる。体色は黒色、体毛も黒色と考えられている。

 大きな頭蓋の容量を持つ。脳容量は950ミリリットルから1100ミリリットルで、現生人類の75%程度。

 

 

 「今ここにいる生徒の全員は、少なくとも彼らよりは頭蓋骨内に脳みそが入っていることを期待します。性欲のままにくっつき、冷めたら分かれ、生まれた子を捨てるなどはサピエンスが歴史と共に繰り返してきた所業ですが、進歩していないどころかエレクトス時代よりも退化したとも言えましょう」

 

 例によって、人類の歴史を嘲笑っていくスタイル。

 

 特にサピエンスという種族は政略結婚や不倫などにおいて黒歴史が多いだけに題材には事欠かない。

 

 

 「彼らとの種の分離は50万年前あたり。彼らは約20万年前には中東地域でホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)との生存競争に敗れて絶滅し、約7万年前にはホモ・サピエンスとの生存競争に敗れて他の地域でも絶滅。これぞ、我らが皆殺しの種族たる由縁、魔法族とマグルに分離する前に、既に他種族抹殺は経験済みというわけです」

 

 一万年前から少し経過し、サピエンスから魔法族が分派する。

 

 この分離をホモ属の亜種への分派と見るかは難しく、少なくともDNA鑑定で区別できるかは怪しいところだ。

 

 

 「サピエンスがまだエレクトスであった時代から、雄と雌の身体的特徴の分化はほぼ変わっておりません。種としての肉体余命もおよそ40~45歳程度で、これはチンパンジー、ゴリラ、ボノボといった類人猿とも大差のあるものではない。当然、肉体の性成熟や性欲の発達時期もそれに見合ったものとなってきます」

 

 

最も性欲の強くなる時期(エレクトス時代からの肉体由来)

 サピエンスの雄  14~17歳

 サピエンスの雌  22~28歳

 

 

 「ここで特徴的と言えるのは、寿命は同じ程度の同種でありながら、雄と雌で繁殖欲が旺盛になる時期に明確に差が見られることです。サピエンスの雄はちょうどホグワーツ四年生から七年生あたりに性欲がピークを迎えるのに対し、雌は成人後から5~10年あたりがピークとなる。当然、これにもそれぞれの由来と理由がありますので見ていきましょう」

 

 雄の性欲が早期に高まる理由

 ・ゴリラが群れを率いる“アルファ雄”を必要とするように、エレクトスも同様の群れ形態を持つ

 ・アルファ雄を決めるための淘汰の原理

 ・そのための要として「競争意識を煽る仕組み」、異性からの愛情とは原初の貨幣であり、戦利品の要素を持つ 

 

 

 「これらは非常に原始的で分かりやすい理由です。遺伝子を残すべき雄を決めるために戦うというのは大型哺乳類においては珍しいものではなく、単独で縄張りを持つ虎や熊においても見られます。プライドと呼ばれる群れを形成するライオンにおいても、雄はリーダーの座を巡って争う要素を持ちます。それに対し雌はというと」

 

 雌の性欲が22歳~28歳に高まる理由

 ・猿人時代に比べ、脳が肥大化

 ・股関節は狭まり、産道は縮小。骨盤が胎内の子の全体重を支えるので雌の負荷が増大

 ・出産の危険性が高まる。産後の肥立ちが悪く死ぬ個体も増える

 ・文明発展以前においては、出産において頼りになるのは雌の肉体的頑健さのみ

 ・生まれた子供の5人のうち成人まで育つのはよくて2人

 

 

 「二足歩行による脳の肥大化、人類最大の武器である知恵を得た代償に、ヒトは産みの苦しみを持ちました。マグルのとある神話ではこれを禁断の果実を食した人の原罪と呼びます。以後、女は産みの苦しみを持ち、妊娠時の女に労働を負わせるのは不可能であるため、男は労働の苦しみを持った。社会的分業における最初の始まりがここにあります。まさに、歴史の原点と言えましょう」

 

 以後の古代国家の市民と奴隷という階級別においても、その本質は変わらない。

 

 奴隷男は労働を担い、市民権を持つ男は戦争を担う。

 

 奴隷女は出産を担い、市民権を持つ女は教育を担う。

 

 

 「つまるところ、性欲ピークの雌雄の違いは一種の生存戦略です。17歳の時に美少女であったとしても、最初の出産時に死んでいては、それは良質な母とは言えません。爬虫類と違って哺乳類の子供は自分で餌をとれないのですから、産んだだけでは片手落ち。育てられなければ産む意味もない。文明発展後はその限りではありませんが、100万年前では確実に適者生存の原理が適用されました」

 

 産んだ経験がなければ話にならないから、17~19歳程度の雌は、性欲の強いだけの未熟な雄と交わった子でも良い。ともかくまずは産んで生き延びること。

 

 そして、二、三度は出産した経験があり、“産んでも生き残れる”ことを証明した雌は一人前とされ、“本命”である強いアルファ雄と交わり、より強い子を産むことを期待する。

 

 環境による淘汰で死ぬ子供も、若い雄も多いのだから、生涯で一人の番としか交わらないほうが確率論的にも珍しくなる。鶴などの鳥類にはそういう例もあるが、群れで生きる類人猿は基本的にその戦略は取らなかった。ボノボなどは最たる例だろう。

 

 

 

 「ここまでならば話は単純でした。100万年前から10万年前までの生活では、雄と雌の人生における性欲ピークはその頃は都合が良かった。しかし、7万年前の認知革命以後、特に、BC10000年以後となってくると、群れの構造がより複雑化し、社会性を進歩させたことから不整合が目立ち始めます」

 

 

BC10000年より以後のサピエンス。(旧石器時代の末期、狩猟採集生活。農業革命以前)

 

 雄の生殖適齢期  24~36歳

 雌の生殖適齢期  15~22歳  (群れで生きるを前提とする)

 

 

 「都市が発達し、城壁の中でヒトが生まれ、その中でのみ生きていくような者達も現れ始める。となればそこにサバンナの原野の掟は通用しない。男の権力者が王となり、多くの若くて美しい寵姫を求めるように、新たな社会の枠組みの中で生殖適齢期にも大幅な変化が訪れました」

 

 “人間の文化的な愛や恋”と“生物種としての性欲”に、明確な不整合が生じ始めるのがこの頃であり、同時に、マグルと魔法族の分離時期でもある。

 

 農業革命が僅か数千年とあまりにも急速に進んだため、数万年かけておこなうべき【人生における性欲ピーク期】の変更が済んでいない。

 

 

 「ちょうど、雄と雌のピークが入れ替わるような形になっていますが、要点はそこではありません。100万年前から持っている肉体の性欲ピークと、社会文化的に子供を産むことが期待される時期に合理的な理由は最早ないということ。ならばこそ、恋愛に合理性を求めることに最初から意味などないのです。“農業革命による新たな合理性はまだ肉体のシステムに根付いていない”のですから」

 

 遺伝子として性欲システムの革新が済んでいない以上、恋愛はどこまでいっても脳が信じる虚構のものだ。

 

 しかし、認知革命以後のサピエンスとはあらゆる虚構を駆使することで発展した種族でもある。歴史、貨幣、宗教、法律、全てはサピエンスの脳内にしか存在しない虚構なのだから。

 

 

 「そして、そのアップデートにまごついている間に、マグルは“産業革命”という第三の革命を迎えてしまい、今度は数千年どころか200年程度で急速に行った。ならば状況は最早混沌です。古代からの純血、中世からの混血、そして近代からのマグル生まれが、たった一つの恋愛観で結びつくなど夢のまた夢というものでしょう」

 

 さらにそこには、異種族との共生の種族と皆殺しの種族という違いが加わる。

 

 純血名家は、相手が家の都合で決まりきっているので雌を巡った闘争を同年代と行う必要がない。

 

 混血の場合、交わる相手が同種族とは限らない。 人間の雌に好かれない = 子孫を残せない とはならない。

 

 

 「マグルの男は、人間の雌に拒絶されたからといって、チンパンジーと交わって子を残すわけにはいきません。マグルは皆殺しの種族故に、人間以外と交わることが禁忌とされる文化を持つ。しかし、魔法族の男は、魔法族の女だけが交わる相手ではないのです。中世いらい、この違いは両者を隔てる壁となり続けてきました」

 

 一つの事実として、マグル生まれの男子は14歳から17歳の頃に性欲を持て余す傾向が強い。

 

 悪戯仕掛人の中でも最も“濃い純血”であるシリウス・ブラックが、実は性的欲求においては最も衝動が薄かったという事実も、時計塔は観測している。

 

 まあ、だからといって彼が聖人君子である訳ではないのだが。

 

 

 「マグル生まれの男子が、14歳を超えた辺りから女子に性的な興味を強く抱くことに対して、純血の男子はかなり批判的です。彼らの家の長い歴史の生き方はそういうものではなく、特に“屋敷しもべに育てられた”子供達は、基本的に性欲が薄い傾向がある。“家に契約でやってきた異性”以外に、子を残したいという欲求が薄いのです。ある種の嗜好操作とも言えますが、これ自体は何ら珍しいものではありません」

 

 貴族の婚姻は、家と家の結びつき。それはつまり、“魔女の家”と“魔女の家”の結びつき。

 

 ブラック家の屋敷しもべに育てられた娘が、レストレンジ家に嫁ぎ、屋敷しもべから「奥様」と呼ばれるようになる。

 

 ブラック家の屋敷しもべに育てられた娘が、マルフォイ家に嫁ぎ、屋敷しもべから「奥様」と呼ばれるようになる。

 

 

 「歴史的に述べるならばレストレンジ家などが代表的な事例ですが、服従の呪文などを用いて“家に攫ってくること”は魔法使いの屋敷の禁忌ではありません。しかし、家の者が外の者と自由恋愛し、外へ性的欲求を向けて飛び出すことは禁忌なのです」

 

 マグルからすれば、妖精の血だの、小人の血だの、巨人の血だのが混ざっている【穢れた血】など、容認できるはずもない。

 

 そうした意味では純血名家こそが、一番マグルらしい文化を持つのだから面白い。

 

 

 「また、魔法族の女に処女信仰はありません。マグル側では文化圏を問わず、処女は清らかな乙女、聖なるものという信仰はあちこちにありますが。異種族異文化の入り交じる魔法族とは元来無縁のものです。当然。中世以降、マグルとの境界線で生活し、マグル生まれを受け入れるうちに徐々にそうした風習も混ざりつつはあります。でなくば、マグル生まれが拒否感を示し続けますから」

 

 特に、ホグワーツ特急が創設された近代の頃から、魔法族の貞操観念やらにも随分と“マグルらしさ”が現れつつある。

 

 

 「結局の所、私の夜間学校を除き、ホグワーツに人間以外の生徒がいないのはそういうことです。マグルと寄り添い、交渉できるのが魔法族だけである以上、マグル対策は魔法族の専売特許。魔法族とは、“マグルという異種族”と最も異種婚が多いのですから」

 

 マグルの男性は当然ながら、巨人や小人と交わったことのある魔女を好かない。キリスト教の教えを受けて育った純朴な農民ならば猶更だ。

 

 ホグワーツの長き1000年の歴史を紐解けば、悪霊曰く“詰まらないありきたりな男女の悲劇”など、まさに掃いて捨てるほどある。そして悪霊は言うのだ、「平凡です、面白くありません」と。

 

 

 

 「キリスト教の辺鄙な農村に生まれた普通の男、普通の女が、魔法族との結婚を受け入れるかどうか。シチリアならば、イスラームとの共存もありましたし、人頭税などさまざまありましたが、ブリテンにイスラームはない。ではここで、本日の課題を出すこととしましょう」

 

 

【レポート課題】

忘却術

錯乱呪文

愛の妙薬

服従の呪文

 

1200年~1500頃における、国教会以前のカトリック時代のイングランドにおいて、マグルの男女と魔法族の男女の結婚例において、これらの魔法がどのような役割を果たしてきたか。

宗教の違いや貞操観念について誤認させる錯乱呪文、あるいは忘却術。そして、愛の妙薬。

これらの魔法や薬の力を一切使うことなく、果たして魔法族は“キリスト教世界の敬虔な信者たち”と結婚することは叶ったか。

 

 

 「自分の想像でも構いません。図書館で事例を調べるもよい。そして、中世の頃にそれらの行為を“不純なもの”と“血を穢す悍ましきもの”と見た純血名家の者らの倫理観は、果たして非難されるべきものかどうかを自分の頭で考えてみるとよい。無論、純粋な愛から駆け落ちした例も、生まれ育った常識を捨ててまで添い遂げたという事例もあったでしょうが」

 

 しかし悪霊は告げる、人間の生の現実を直視せよ。

 

 性欲とは、そもそもそれほど尊い衝動か?

 

 マグルと魔法族の混血とは、本当にそんな尊い愛の物語から始まっているのか?

 

 トム・マールヴォロ・リドルという混血の少年は、どのようにして生まれた?

 

 セブルス・スネイプという混血のプリンスは、どのようにして生まれた?

 

 キリスト教の洗礼を受けていることが、“人間の証”であった時代に、混血のデフォルトはいったいどちらであった?

 

 

 「答えは私が知っております。このホグワーツ1000年の歴史は時計塔に収められておりますので、卒業生が誰と交わり子供を作ったかくらいは歴史に蓄積されている。そして、この私が、ノーグレイブ・ダッハウが、これをレポート課題に出したということを、改めて考えてみるとよろしい」

 

 そこで一つ呼吸を置き、悪霊はかく語る。

 

 

 「綺麗で尊い愛の物語が、そこにあると思いますか?」

 

 悪霊教師は嫌われる、これで嫌われないはずがない。

 

 純血名家が表に出したがらないそれぞれの歴史、これはある種の暗黙の了解であり、と同時にマグル差別が蔓延っていたことも事実。

 

 だが、時計塔の悪霊は暴き立てる。

 

 純血のみならず、混血も、マグル生まれも。それぞれの暗部を、黒歴史を。

 

 マグルの血が入っている混血とて、同じ穴のムジナであろうと。祖先が行った“子孫を残す行為”が、純血名家のそれに比べ、上等なものであったと一体何を根拠に信じているのか。

 

 700年前に生きた人間たちとて、今と何ら変わらない、差別や戦争が大好きな愚かな人類であったのだ。

 

 純血主義は分かりやすい差別であるが、だからといって混血の始まりが、上等な愛の物語だとでも思っていたのか?

 

 

 「現実を、歴史を直視なさい生徒達。綺麗な物語を見たいのは人情でしょうが、冷徹な遺伝子の二重螺旋構造もまた人類社会の回す重要な機構なのです」

 

 魔法にせよ科学にせよ、もうすでに原始的な繁殖方法から脱却出来る可能性はいくらでもあるというのに、いつまでもそれに執着する人類をノーグレイブ・ダッハウは醒めた視線で俯瞰する。

 

 例え人間から見れば陰惨な性犯罪が起ころうとも、それを相も変わらず学習せずにチンパンジー以下に堕ちた惨めなホモ族の汚点として記録するだけだ。

 

 加害者の雄には『サピエンスは虚構の共有と社会性により進歩したというのに、何故脳の容量を自ら減らし、社会から排斥されることを望むのか。エレクトスより遥かに劣るその脳構造。ただ精子を振りまきたいだけなら、魚類にでも生まれ変わることを願うのですね』と嗤い。

 

 被害者の雌にすら『繁殖可能な若い雌が、単独で隙を見せればどうなるか。なぜそれを学ぼうとしないのか。出産を困難にしてまで大きくしたはずの脳に詰まっているのは藁ですか。来世は繁殖時に雌が雄を捕食する昆虫にでも生まれ変わることを願うのですね』と嗤う。

 

 いつまでも愚かなままに同じことを繰り返す人類を、この悪霊は観測し嘲笑し続ける。

 

 

 

 「純血主義を批判する混血の生徒達よ、よく覚えておきなさい。先祖の行ってきた罪悪を、その末裔が自分であることを。呪われた、穢れた血の意味を」

 

 「家に囚われし純血の子らよ、忘れるなかれ。その愛に最早、自由など微塵もなきことを。血の濃縮が畜生まで堕ちるその宿命を」

 

 「そして、マグルの世界よりやってきた新たに加わりし者達よ。性欲から逃れられぬ原罪の宿業を知りなさい。その衝動もまた、新たな愛の妙薬の材料となる」

 

 純血も、混血も、マグル生まれも、全ては等しく愚かな人類。

 

 悪霊教師は差別の具現であり、であるからこそ差別をしない。

 

 

 

 「互いの欠点を、負の歴史をあげつらいあうのは簡単です。しかしその先には何もない。差別と蔑視の果てに何が残るか、幾度なりとも言いましょう。“私のように成りたいですか?”」

 

 歴史に学ばぬ人類を、悪霊は嘲笑う。

 

 今現在のマグル国家であっても、世界最強を自負する国はいつまでも白人と黒人の差別と蔑視と迫害は消えず、永遠に啀み合っている。マグルも魔法族も大差など無い。

 

 そうとも、こうして魔法史の授業を受けようと、どれだけ実害があろうとも、死喰い人のマルシベールは間違えた。

 

 新たな仲間は確実に加わり、悪霊たちは大喜び。

 

 ならば今こうして授業を受ける子供達の中に、第二、第三のマルシベールがいないと誰が断言できようか。

 

 

 「私は何時までもここにいる。待っていますよ子供達、貴方たちが無様に死に果て、私の手駒となる時を。嫌だと言うなら唯一つ、歴史に学び回避なさい。その脳味噌が、100万年前のホモ・エレクトス以上にはあると自負するならば」

 

 出来ないのであれば、100万年ほど生まれるのが遅すぎたのだ。

 

 サバンナの原野を駆け回っている頃であれば、禁断の果実を食す前であれば、こんな悩みを持たずに済んだものを。

 

 ああ、だからこそ、サピエンスは時の遡行を願うのか。

 

 我々は進化の道筋を間違えた、どうかあの時に戻り、もう一度だけやり直したいと。

 

 

 愚かなり、人類がサピエンスである限り、何度やり直そうとも破滅の未来しかありえまい。

 

 

 

 

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 「出たわね禁断の果実問題。アンタの数多い嫌われ課題の中でも、上位に位置する例のやつ」

 

 「そのことからも、サピエンスという生き物がつくづく直視したくない現実を避ける傾向にあるのが分かるというもの。どれほど目を塞ぎ、耳を閉じたところで己に流れる血の歴史が変わるわけでもないというのに」

 

 「それでも、時に目を逸らしたくなる時があるんですよ。ダッハウ先生を直視したくないように」

 

 曰く付きの魔法史授業を終えた夕闇の這い寄る頃。

 

 生身である生徒達が大広間で中で摂る間にも、今宵も三人の悪霊はいつものように駄弁っている。

 

 二年生全員を悪戦苦闘させている例の課題が出されてから日も経っていないが、その凄まじい内容は新入生にまで届いているらしい。

 

 

 「それを直視し、偽ることなく歴史を語る国家こそが大成するというもの。地中海世界のマグルの歴史において、最も長きに渡り繁栄した大帝国ローマ。建国王ロムルスによるローマ建設の次に来る“偉業”は『サビーニ人の女の略奪』です。ローマ人はその蛮行を隠すことなく、自らの強さと敗者の血であろうと同胞として認める寛容さの証として誇りとした」

 

 「それはまたとんでもないわね」

 

 「略奪愛が良いものということについては同意しますわ」

 

 さらりと掌を返すメローピーさん、やはり彼女もクズである。

 

 

 「民族の移動に伴う集団と集団の混血とはおよそそういうものです。ゲルマン人とケルト人などの例もしかり、マグルは略奪と支配という形で血を混ぜてきた。ならば当然、魔法族には魔法族らしい、“マグルとのスムーズな血の混ぜ方”というものがあっただけの話。生徒達も今頃考え込んでいるでしょうが、少し考えれば誰でも辿り着ける歴史的経緯というものですから」

 

 マートル・ウォーレンの時代であってすら、マグル生まれの彼女と純血の魔法族の間にある“常識の違い”、“文化の違い”は大きなものだった。

 

 ホグワーツという学び舎で共に過ごすだけでも軋轢が生じていたというのに、それが家と家を繋ぐ結婚となれば、社会常識の違いは凄まじい断崖になる。マグル同士においてもおよそ貴賤結婚と呼ばれるものは恋の熱に浮かれて敢行するも、子供が生まれて教育のあり方などで悩み、最後は冷え切った夫婦関係となった例も数多い。

 

 アイリーン・プリンスという純血名家の娘と、トビアス・スネイプというマグルの男の結婚も、貴賤結婚の類に含まれる。そしてかなり変則的ではあるが、地主の息子であったトム・リドルと、ボロ小屋に住んでいたメローピー・ゴーントの例もまた然り。

 

 ならば、産業革命の遥か以前の中世のキリスト教世界であれば、両者の価値観の違いはどれほど隔たりがあったろうか。

 

 

 「誰しもが玉の輿の貴賤結婚に夢を見ますが、現実とは何処までも冷酷で厳しいもの。今に続く混血の家の歴史を紐解いても、先祖の結婚の際に大騒動があっただの、駆け落ちして没落しただのの話はほとんどありません。しかし当時の社会情勢や宗教の現実を考えるならば、魔女や魔法使いとの結婚において流血を伴う騒動が“無いほうがおかしい”。にもかからわず先祖の結婚がスムーズにいったならば、そうなるだけの理由があったという逆説的な証明となる」

 

 それを自分達の頭で考えさせるのが、悪霊教師の課題の中でもとりわけ悪名高き、“禁断の果実”問題だ。

 

 つまるところは、失敗したメローピー・ゴーントとは異なり、“上手く騙しきった”、“誤魔化しきった”からこそ、混血の家は今に続いているのだと。

 

 

 「マグル生まれのアタシから見ても、純血のメローピーから見ても酷い課題だと思うもの。混血の生徒達だって変わらないわよ絶対」

 

 「例外があるとすれば、近代に入ってから純血の家とマグル生まれで結ばれたケースですかね。半ば駆け落ちに近いことが多いだけに、ここから生じた混血は恋愛結婚の成果であると言えましょう。代表例を挙げるならば、テッド・トンクスとアンドロメダ・ブラックの間に生まれたニンファドーラ・トンクス。これも貴賤結婚の一種ですが、上手くいっている好例です」

 

 「ジェームズ君とリリーちゃんの場合は?」

 

 「貴女にそれを言う資格があるとお思いですか、大戦犯のメローピーさん」

 

 「すみません、忘れてください」

 

 「生憎ですが、忘却術の講義は私の管轄ではありません」

 

 「ご無体な」

 

 悪霊の詰問に対しても、中々軽いノリで返せるようになってきたメローピーさん。

 

 正規の事務員に昇格したことといい、精神的には徐々に鍛えられているのは間違いないらしい。

 

 

 

 「ところで、ダッハウ先生は純血も混血もマグル生まれも差別しないと言ってましたけど、実際のところマグルと魔法族のどちらが種族として優れていると考えているのですか?」

 

 「それは愚問というものですよメローピーさん。私から逆に問いますが、貴女はチンパンジーとオランウータン、どちらが優れた種族だと考えますか?」

 

 「……すみません、やっぱり忘れて、いいえ、なかったことにしてください」

 

 「ええ、なかったことにいたしましょう」

 

 要するに、それが悪霊の答えである。

 

 

 「またアンタらしい皮肉な言い方だわ。要するに、人間は類人猿以下って言いたいわけでしょ」

 

 「別に全ての面で劣っていると見ているわけではありませんよ。総合的に見て勝る要素に乏しいだけです。特に、苦労して産んだ子供を感情的理由で捨てる辺りなどが特に」

 

 「子供を捨てるというのは、わたくしも許せません。ええ、そうです、例え母親失格の弱さで、寄り添うことすら出来なくても、捨てるなんて絶対に」

 

 惨めに死んだだけの、重い女のゴーストであっても、譲れぬ念というものはある。

 

 むしろ、短い人生の中で得たものが少ない彼女だからこそ、子は最大の宝物であった。

 

 

 「私の評価では、上からゴリラ、ボノボの順に来て、その次にオランウータン。チンパンジーとサピエンスはほぼ同格ですが、“チンパンジー以下”という表現を使うためにもここは便宜上サピエンスを上にしますか」

 

 ゴリラ > ボノボ > オランウータン > サピエンス ≧ チンパンジー

 

 悪霊の評価では、こういう図式になっているらしい。

 

 確かにこれでは、サピエンスの中でマグルと魔法族のどちらが優れているかを競うことに大した意味はない。まさに五十歩百歩というものだ。

 

 

 「酷い図式ね」

 

 「これを魔法史の授業で示される生徒達が不憫でなりません」

 

 「ゴリラとボノボはどちらも優れた種ですので比較にはかなり迷いましたが、最終的にはアルファ雄を有し、天敵となるヒョウ属にも武力で立ち向かえる要素を持つゴリラを上位としました。群れの融和性に関してはボノボが優れているので生存戦略においては必ずしも劣っているとも言えず、本当に難しいところです」

 

 「なぜそこで真面目に比較するのがゴリラとボノボなんですか」

 

 「アンタの中でどれだけ人類の評価が低いのかだけはよく分かるけどね」

 

 「当然でしょう、人類の歩んだ結果が私なのですから。このような悪霊を生み出してしまうような種族が、万物の霊長を名乗るのは恥知らずというもの。もっとも、その厚顔無恥は私の好むところではあるのですが」

 

 人類の黒歴史を嘲笑う、黒歴史の塊。ある種これは、自嘲とも言えるのだろうか。

 

 

 「その人類の恥の代表例が、マートルさんもよくご存知“イジメ”というものです。ただまあ、今のレイブンクロー生徒は貴女の時代に比べれば自省、自罰というものを知ってはいたようで」

 

 「それってルーナのこと? アンタはあの子が孤立するって言ってたけど」

 

 「ええ、過去の傾向から貴女がレイブンクロー寮で孤立していたように、ルーナ・ラブグッドという少女も同寮の女生徒たちから陰湿な虐め、あるいは消極的な無視などをされると踏んでいたのですが」

 

 「デルちゃんがやってくれましたものね。彼女はスリザリンの誇りですわ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 「いったい何をやっているの貴女達。ルーナ一人を大人数で寄ってたかって、ああ嫌ですこと。レイブンクローが陰湿で腐った寮だという話はどうやら本当だったみたいですわね」

 

 貴族めいた高慢な態度でありながらも、威風堂々と物申すはデルフィーニ・スナイド。

 

 スリザリンは基本的に集団主義で、他寮の内輪もめには関わらない信条だが、彼女は身内を重んじるだけの蛇ではないらしい。

 

 

 「な、何よ貴女。関係ないでしょ!」

 「そうよ、スリザリンのくせに!」

 「これは私達の問題なの、勝手に口出さないでくれる?」

 

 「はあ、本当に浅ましくて惨めですわ。あの穢れた血のグレンジャー将軍閣下なら言われずとも分かることでしょうに」

 

 彼女も当然、ドラコ・マルフォイと共に対悪霊戦線に参加しており、その中心人物であるハーマイオニー・グレンジャーのことは知っている。

 

 純血主義者であるデルフィーニにとっては鼻持ちならない相手ではあるが、その学識の高さと何よりも行動力は認めている。あの悪霊に常に真っ向から挑みかかる姿は、まさに獅子寮の女である。

 

 

 「そうね、今回ばかりはスナイドに私も同意する。グリフィンドールの私からも言わせてもらうけど、貴女達、それじゃあまるでダッハウ先生みたいよ?」

 

 そこに加わるは、獅子寮の赤毛の娘、ジニー・ウィーズリー。兄達と同じく彼女も当然対悪霊戦線には参加しており、不倶戴天ながらもデルフィーニとは顔を合わせることも多い。

 

 普段ならば対立するというか、デルフィーニから一方的に絡むような間柄だが、今日は違う。

 

 仲間のために戦うことは、獅子と蛇の共通項なのだ。

 

 

 「え…」

 「あ、あのダッハウと、」

 「私達が、おんなじ……」

 

 そして、その一言は万の説得よりも鋭い刃となって心に届く。

 

 ルーナ・ラブグッドを意図的に無視し、陰湿な虐め紛いを行っていた彼女らは対悪霊戦線には参加していない。つまるところ、嫌な悪霊の相手を他人任せにしていたのだ。

 

 

 「あの腐れ…いいえ、ドクズ悪霊はわたくしも当然好むところではありません。ですが、彼は常に言っていますでしょう、“陰湿な虐めなどありふれていて詰まらない”と、まさに今の貴女達そのものでしてよ」

 

 「仮にルーナのことが気に入らなくても、文句言うなら堂々と言いなさいよ。そんなんじゃ本当に、来年度の魔法史の題材にされちゃうんじゃないの?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 「改めて思うにちょっとおかしいわね。わりと感動的な友情のために寮を超えて駆けつけるシーンなのに、何で出てくる名前がアンタばっかりなのよ」

 

 「それだけ、ダッハウ先生が全生徒に嫌われているということじゃないかと」

 

 「そして肝心のルーナ・ラブグッド嬢は、さっさと飽きてナーグルを探していたというオチがつきます」

 

 何とも締まらない感じだが、それが今のホグワーツの日常風景でもある。

 

 今回は勇敢な少女たちの介入によって、レイブンクローの女生徒達は自分達の過ちに気付けたわけだが、仮にそのままだったら悪霊の餌だ。(この場合の意味は来年の授業の題材、黒歴史の暴露である)

 

 マートルさんは嫉妬のゴーストであって、虐めに対しては優先度は高くない。重い女であり執着のゴーストであるメローピーさんも、率先してこういう時に動く存在ではない。

 

 

 「少しばかり残念でした。ああした陰湿な行為の匂いをどこまでスクリュートが嗅ぎつけられるか良いテストになりそうだったのですが」

 

 「このクズ」

 

 「ホントに最低です」

 

 まさにゴミを見るような眼を向ける二人だが、当の本人はケロッとしているのが憎らしい。

 

 

 

 「まあなにはともあれ、グレンジャー将軍を筆頭とした二年生の三人組も面白いですが、この一年生の少女三人もなかなか観測し甲斐があり、実に好ましい」

 

 「グリフィンドールに、スリザリンに、そしてレイブンクロー。なかなか無い組み合わせよね」

 

 「デルちゃんもドラコ君以外に話す相手が出来て、良かったです」

 

 セブルス・スネイプが寮監であるため、メローピーさんはスリザリン寮にわりと多くいる。

 

 セブルスを介して縁のあるドラコ・マルフォイ少年らとも、多少は話すことのある彼女だが、最近ではデルフィーニという少女と話す機会がかなりあった。

 

 

 「あら意外。あのタイプで純血なら、スリザリンで孤立するってこともないでしょうに」

 

 「デルちゃん、好き嫌いがはっきりしているところがありまして、あれで結構特定の人にしか話しかけないですよ」

 

 別に他人を拒否しているわけではないが、彼女は自分一人でも常にガンガン進むため、単独行動になってしまうことが多い。

 

 その結果、夜にスクリュートに噛まれ、アクロマンチュラに救われたりすることになる。普通ならそこで友人を頼ったりするのだが、プライドがとっても高いのがこの子である。

 

 

 「なるほど、血統に誇りを持ち、本人の実力も高い故に“頼る”ことを苦手とするタイプですね。傲慢に基づく孤高さとも言えますが、少なくともスリザリンでは蔑視の対象にはならず、むしろ尊敬の眼のほうが多いはず。あのポンコツ具合がなければの話ですが」

 

 「まあ、同級生からもどこか生暖かい目になるでしょうね」

 

 「そこもデルちゃんの可愛いところなんです。きっとドラコ君もその辺にメロメロにされちゃってるんじゃないでしょうか」

 

 「ほぼ間違いなく、メローピーさん以外の人間はその感情を“メロメロになる”ではなく“ハラハラする”と表現するかと」

 

 ドラコからすれば、まさに目の離せない子である。

 

 例え、母のナルシッサからあの子をよろしくと頼まれていなくとも、世話を焼いていただろう。

 

 

 「さて、例によってそろそろハロウィンが近づいてきます。今年は無害なるニックさんの絶命日パーティーもありますし、何かと賑やかになることでしょう」

 

 「楽しみだわ。やっぱ子供達を驚かせてこそのゴーストの本分ってものだから」

 

 「そうですわね。一年生の子達も良い思い出になってくれればよいのですけど」

 

 2つの三人組が交差し、そしてドラコという少年が関わるホグワーツの日々。

 

 悪霊たちのハロウィンにて、きっと何かが起きるだろうて。

 

 

 

 

 

*----------*

 

 

 

 

 

とある生徒の部屋の記録情報

 

 

『情報もだいぶ揃ってきた、そろそろ動くべきだろう』

 

『夜に動くのは骨が折れるが、秘密の部屋の入り口は分かっている。辿り着くのは造作もない』

 

『課題はむしろ、あの娘にどうやって日記を潜ませるか』

 

『ホグワーツに入る前に出来れば最上だったのだが、あれは仕方あるまい。まさか書店にすら悪霊の見張りがいるとは』

 

『とにかく、厄介なのは悪霊共だ。怪物たちは正体さえ分かれば出し抜く術はある』

 

『特にあの悪霊教師、アイツだけは絶対に避けねば。アレの行動基準が全然読めない』

 

『となれば、やはりハロウィンの夜か。悪霊たちの宴の日だからこそ、むしろ読みやすいはずだ』

 

『絶命日パーティ、狙うならそこだ』

 

『愚昧なるグリフィンドールの者共、闇の帝王の分霊箱の力を思い知るがいい』

 

 

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