保健室に恋愛相談しに行った結果

　カチッ。

『……』

『コツコツコツ……』

　……

『……』

『すー……ふぃー……』

『よしっ』

『ガラッ』

『おはようございます佐倉（さくら）先生』

『ああ、おはよう西部（にしべ）くん。最近はよく来るな。体調不良が続くのか？』

『そういうわけではないんですが』

『では保健室が気に入ったのか？　授業をサボる口実にうちを使うのは感心しないな』

『そういうわけでもないので大丈夫です』

『ふむ……まぁいい。今日はどうした？　とりあえず熱でも測って……』

『いえ。体調不良ではないので大丈夫です』

『そうなのか？』

『はいっ。げんき―！！』

『……まぁ、元気なのは分かった』

『そうですか』

『だから別に袖をまくって腕の筋肉を見せようとしなくてもいいぞ』

『わかりました』

『では今日はなんだ？』

『はい。実は……相談に乗ってもらいたいことがありまして……』

『うん』

『……』

『……』

　……

『……どうした？』

『いや、緊張してまして……心の準備が……』

『顔真っ赤だぞ？』

『は、はい……』

『ギシッ』

『うーん……熱は……』

『ひあッ！？』

　！？

『手で測るの、や、やめて下さいよっ』

　……

『……まぁ、確かに熱はなさそうだ』

『……ッ』

『……で？　どうした』

『はい。その……笑いませんか……？』

『笑うわけがないだろう。生徒の真剣な悩みを聞くのも、私たち保健室の先生の仕事だよ』

『嘘だ！！　そんな“私はキレイな大人よっ”的なことを言って、本当は僕の悩みを今晩の先生同士の飲み会あたりでバラす気満々なんでしょ！！　そして面白おかしく尾ひれがついた話は先生たちの間で話題になり、僕は職員室に行くたびに、先生たちの、全身を舐め回すような好奇の眼差し、嘲笑と侮蔑の言葉に耐えなければならなくなるんだッ！！！』

『被害妄想も適当なところで止めておかないと相手に対して失礼だぞ西部くん』

『す、すみません……つい……』

『さて……ではそろそろ話してくれるな？』

『はい……実は』

『実は？』

『好きな人が、出来まして……』

『ほう……』

　！？

『……あ、別に先生ではないですよ！？』

『いやそれわざわざ言わんでもええよ？』

『僕は先生みたいなものすごい年上は好みではないですから！』

『キミ、友達から『一言多い』って言われないか？』

『言われたことないですね』

『そうなのか……まぁいい。相手は？』

『えっと……言わなきゃ、ダメですかね……？』

『相手のことがわからないと、相談に乗りようもないからな』

『はぁ……』

『うちの学校の生徒か？』

『違います。でも詳しくは分かりません』

『年齢は？』

『分かりません』

『どんな子だ？　どんな髪型してるんだ？』

『長髪をサイドテールにしてますが、それ以上は分かりません……』

『えーと……どういうことだ？　ネットで知り合った子か？』

『違います。僕は電車で通学してるんですが、電車の中で毎日一緒になるんです』

『おお……青春だ……』

『は？』

『……なんでもない。では一目惚れなのか』

『はい』

『一目惚れってあるよなぁ……先生も若かりし頃、同じバスに乗って通学してたカッコイイ他校の人のことが……』

『いや先生の遠い昔の話なんて聞いてないんで』

『保健の先生といえども人間なんだぞ西部くん』

『それが何か？』

『……なんでもない。では、話をしたことはあるのか？』

『ありません……』

『挨拶をしたことは？』

『ありません……』

　……

『では、挨拶もせず会話もかわさず、同じ車両に乗って遠目からただ見守ってるだけなのか』

『いえ。いつも彼女の隣りにこっそりと佇んでいます』

『怖っ！？』

『は！？』

『……あ、いや失礼。で、隣で彼女の横顔を』

『いえ、見ていません』

『では恥ずかしくてずっとうつむいたり視線をそらしたり』

『いえ、目はずっと閉じています』

『あー、恥ずかしくなると目を閉じるタイプなのかキミは』

『いえ。目を閉じて彼女の匂いを堪能しています』

『……』

　……

『彼女の匂いを胸いっぱいに吸い込むと感じるんです……目を閉じれば、そこはもう二人だけの世界……抱きしめずとも感じる、彼女のぬくもりと肌の感触……耳元で囁かれる彼女の言葉が、僕の心には何よりも美しく見えて……』

『なにこの変態』

『変態ではありませんが』

『ではキミは匂いフェチか』

『違いますが』

『そうか。でもそういう変態的な行為は控えた方がいいと思うぞ。彼女も決していい気分はしないだろう』

『そうでしょうか』

『そこに疑問を呈する時点ですでに自分は変態であるという自覚を持った方がいい』

『分かりました……不本意ですが仕方ありません……ッ』

『それがいい』

『明日からは胸いっぱいではなく腹八分目ぐらいにしておきます』

『キミ分かる気無いだろ』

『バカな……ッ！？』

『それよりも彼女と仲良くなってコミュニケーションを取る方がさらに楽しいと思うがなぁ』

『クソッ……やはり匂いは諦めなければならないのか……ッ』

『いい機会だから真人間に戻った方がいいと思うぞ西部くん』

『！？　先生は僕を差別するのですか！？』

『？　なんで？』

『だって今、『真人間に戻った方がいい』って！』

『うん。心からそう思うから言った』

『それではまるで彼女の匂いを胸いっぱいに吸い込んで二人だけの世界を妄想している僕が、真人間ではないみたいではないですか！？』

『自分の言葉に違和感を感じてないようなら、キミは真人間ではないと断言できる』

『そんな馬鹿な！？』

『そうだなぁ……例えば、私がキミの匂いをかいでハァハァ言ってたら、キミはどう思う？』

『ぇえ！？　先生は僕の匂いをかいで日々ハァハァ言って興奮しているのですか！？』

『例えばだよ例えば』

『なんてことだ……ということは、僕は校内随一の変態先生に恋愛相談をしてしまったことに……』

『釈然としないが言いたいことは伝わったみたいで何よりだ』

『ど、どうしよう……僕の童貞が奪われる……これが貞操の危機というやつか……ッ』

　！？

『そろそろその被害妄想止めてくれないと先生は泣くよ？』

『そして僕は責任を無理矢理取らされて退学……中卒の身で先生と生まれてくる子供のために身を粉にして働く羽目に……』

『キミの妄想力が羨ましい』

『そんな数十年のはて、たくましく育った子供も無事に嫁ぎ、僕と先生はささやかながらも日々の小さな幸せを大切にする、微笑みのたえない余生を過ごすことに……』

『なんか素敵な人生設計を聞いた気がする』

『そんな阿鼻叫喚な地獄絵図になってしまうッ！？』

『キミがどういう人生を求めているのかさっぱりわからなくなってきた』

『あああ……先生、どうか、どうか童貞だけはかんべんしてください……』

『心配しなくてもそんなこと考えてないって』

　……

『よかった！　安心しました！！』

『そこで今日一番の笑みを浮かべるのも私に対して失礼だと思わないか？』

『なぜでしょ？』

『……まぁいい。んで？』

『んで？』

『私に相談してきたってことは、何か悩みがあるんだろう？』

『ああ。そうなんです。現状、僕は毎日彼女のとなりで彼女の匂いを胸いっぱいに吸い込んで妄想することしか出来てないんですよ』

『そこだけ聞くと度し難い変態にしか聞こえないんだよなぁ』

『でも僕は、彼女ともっと仲良くなりたいんです。彼女と挨拶を交わし、談笑をして……』

『うんうん』

　……

『そしてドキドキするようなあれやこれやを彼女とやりたいんです！』

　……！？

『恋人にしたいとかではないんだ』

『……あ！　いや彼女を恋人にしたい！　そしてめちくちゃ……あいやイチャイチャしたりしたい！！』

『本音がにじみ出ているよー西部くーん』

『そこで、どうやったら彼女と話せるようになるか相談をしにきた次第なんです』

『なるほど。でも同級生とかに相談した方がよくないかな？』

『先生って、曲がりなりにも女じゃないですか』

『曲がらなくても女なんだが』

『僕は友達が男ばかりなので、女の佐倉先生に相談した方がいいと思いまして』

『なるほど。同じ女性に聞いた方がいいということか』

『……で、どうですか？　何かいいアイデアはありますか？』

『ふーん……』

『たった一言で彼女が喜びと感動で打ち震え、思わず僕にすべてをささげてしまいたくなるような、そんな一言を佐倉先生には期待しています』

『たとえ一流小説家でもそんな一言は中々思いつかないと思うよ？』

『チィッ……使えない先生だ……ッ』

『私はなんでこんな変態の相談に乗っているんだろう……』

『さっき自分で『これも仕事』って言っていたではないですか』

『確かに……』

『で！？　先生、どうですか！？』

『ふーん……』

　……

『……とりあえず、挨拶から始めてみたらどうだろう？』

『挨拶……』

『ああ。『おはよう』でもいいし、『いつも会いますね』でもいい。とにかく西部くんの方から挨拶してみるのはどうだ？』

『挨拶すれば、彼女は感激して身も心も僕に捧げてくれますかね！？』

『少なくとも、黙って匂いを嗅いでいるよりも挨拶したほうがその可能性は高いと思う』

『そうかぁー……！　挨拶すれば、彼女は僕のものに……ッ！！』

『なんかとんでもない勘違いをさせてしまっている気がしてならない』

『よし決めた！！』

『何を？』

『第一声です！　挨拶の第一声は『あなたの匂い、興奮します』で行きます！！』

　！？

『キミはホントにそれでいいと思っているのか』

『よしッ！　やるぞ！！　僕はやる！！！』

『どうしよう……止めたほうがいい気がしてきた』

『では先生、次の相談です』

『まだあるのか……乗らなきゃダメなのか……』

『だって佐倉先生、自分の仕事だって』

『はいはい……んで？　次は？』

『ラブホ……あいや、デートに誘うときはどうすればいいんですかね？』

『……まずにじみ出ている煩悩を抑えることから始めろ』

『そんなににじみ出てますか？』

『少なくとも無関係の私がドン引きするレベルでにじみ出てるな』

『おかしい……ちゃんと抑えているのに……』

『それで抑えているのか！？』

『はい。試しに全力で煩悩を開放してみましょうか？』

『お、おう……』

『佐倉先生、僕は彼女とあ』

『ガタガタッ！』

『ドサッ！』

『……をしたいと思っています』

『なななななな！？　なな、何を考えているんだキミは！？』

『いや、だから彼女と』

『いや言うな！　もう言わなくていい！！　よく分かった！！』

『先生、何をうろたえているんですか？』

『そんなこと聞かされて狼狽しないヤツなどいるはずがないだろう！？』

『……あ、さては先生』

『な、なんだ！？』

『ひょっとして、誰とも付き合った経験がなかったりして……』

『そ、そんなことないぞ！？　私だって！？　女子高生のときとか！？　大学生のときとか！？　彼氏いたし！？』

『ホントですか……？』

『う、うん……』

『……』

　……

『……な、何だ？』

『じゃあ、しょ』

『違うー！！　処女ちゃうわぁあああ！！　経験豊富な大人じゃぁぁああ！！』

『……』

『ハァハァ……』

『とりあえず先生、席について落ち着いて下さい』

『う、うん……ありがとう……』

『ギシッ』

『……』

『……では、処女の佐倉先生に改めて相談しますが』

『処女いうなぁぁあああ！！！』

『……失礼しました。では、処女改め生娘の先生に』

『生娘言うなぁぁあ！　余計に生々しいだろうがぁぁああアアア！！！　なに改めとるんじゃぁああアアア！！！』

『……』

『ハァハァ』

『……落ち着きましたか先生』

『もう帰れッ！　キミみたいな生徒の相談などッ！』

『佐倉先生？　仕事仕事』

『もう乗りたく……ハッ……そ、そうだ仕事だこれは……』

『ホッ……よかった……』

『えー……おほん。で、なんだっけ……』

『ある程度仲良くなったあと、どうやってデートに誘うか、です』

『そうだった。えーと……』

『……』

『……女の子は、意外と強引に迫られると弱い』

『ほう』

『だからデートに誘うというよりは、有無を言わさずデートに連れていくという感じで……』

『先生！』

『ん……んん？』

『好きです！』

『はあッ！？』

　！？

『初めて会ったときから、ずっと好きでした！！　あなたのその美しくキリリとした顔つき、サラサラで歩くたびにキラキラと美しくなびく長い黒髪……スラリとした身体……とてもキレイです！！』

『え！？　ぇええ！？』

『あなたの横顔、いつもドキドキしながら見ていました！　あなたと言葉をかわしたくて、いつもココに来ていたんです！！』

『そ、そうなのか！？』

『ガタッ』

『ちょ！？　なんで急に立ち上がってこっち来てるんだッ！？』

『先生！　僕のものになって下さい！！』

『近い近い！　顔近いッ！？』

『先生が僕のものになるのなら、僕は何だってします！！』

『いやでもだって！？　キミには好きな子が……ッ！？』

『愛してます……佐倉せんせ……いや、ちはる先生ッ！！』

『どさくさに紛れて下の名前で私を呼ぶなぁあッ！！』

『ちはるっ！』

　……ッ！！

　ガタッ！　ツカツカツカ……バタンッ！！

『そ、そら年下は守備範囲内だけど！　むしろキミぐらい歳の離れた子でも全然オッケーエビバディウェルカムだけど！！！　だけど先生と生徒はダメで！？　生徒には手を出さないって決めてるし！？　若い子からの強引な告白も悪くないとか思ってないしッ！　手がゴツゴツしてて高校生でも男の子なんだなぁってドキドキとか！！』

『ギシッ』

『してないんだからな！！　……て、あれ』

『なるほど。強引に迫るってのは有りですね』

『……へ？』

『佐倉先生の反応を見て確信しました。確かに強引に迫るってのは有効なようです。さすが先生』

『キミ殺すぞ！？　私の純情を弄びやがって！　この変態匂いフェチッ！！！』

『落ち着いて下さい先生ッ！』

『うるさいッ！　どうせ私なんかセカンドバージンだよちくしょう！！　大学卒業してから仕事忙しくて彼氏なんか出来ないよコノヤロー！！』

『せ、先生！　私生活をぶっちゃけすぎです！！』

『私だってなぁ！　私だってなぁ！！　仕事に疲れて帰ってきたら『おかえり、ちはる』て疲れ切った私のことをギュッと抱きしめてくれるような彼氏が欲しいよ！！　美味しい肉じゃが作ってくれて、優しく頭なでなでしてくれて、『いつも千春はがんばってるね。えらいよ千春。お疲れさま』って慰められたいよ！！　チューしたいしドキドキしたいよ！　することしたいよ！！』

『せんせ！　よだれ垂らしながら妄想を垂れ流す時間ではないですってば！？』

『だけどなぁ！！　そんな彼氏なんてどうがんばったって出来ないし！　仕事に打ち込もうと思えば保健室で待ち受けてやがるのはニヤニヤと薄ら笑いを浮かべて私に猥談を持ちかけるかわいさのかけらもない男子生徒ばかり……じゃあ職員室で仕事しようと思えばお茶くみを強要されるわ中年クソヤローからセクハラされるわイヤラシイ目つきでじっくりたっぷりねぶりあげるように全身を見つめられるわ……家に帰ってくるころにはヘトヘトて料理をする体力もなく女子力は下がっていくばかり……』

『そ、それ以上は！　自分で傷を広げてしまうようなことを言うのはッ！！』

『こんなはずじゃなかったのにぃい！　女子からは『なんてキレイな先生なの……』『私も先生みたいにキレイになりたい……』て羨望の眼差しで見つめられて、男子からは『素敵な先生だなー……』『俺、先生のこと好きだ』て憧れの気持ちを向けられて！　仕事が終われば東京スカイツリーの展望デッキで彼氏と素敵なディナーとエスプリの効いた会話を楽しんで！！　彼のおしゃれな部屋で一晩中目一杯愛してもらった翌朝は幸せいっぱいな気持ちで目覚めて！！　まだ眠そうな彼氏とチュッチュてしてハグしてもらって！！　また仕事をがんばろって思って出勤するような！！　そんな生活が待ってると思ったのにィィイイイ！！！』

『あ、あの……せんせ……？』

『うっさい変態！！　黙れ匂いフェチ！！！　私の純情をよくも弄んでくれたな！！！』

『え、ぇえ！？』

『責任取れ！！　私の理想の彼氏になれ！！　そして毎晩私の頭をナデナデしろぉぉおおお！！！』

『……』

『うわぁぁあああああああん！！！』

『ガラッ』

『ちょっとお兄ちゃん！？』

『ぇあ！？　そ、そのサイドテールは！？』

『お兄ちゃん！　その女の人、誰！？』

『き、キミこそ、なぜここに……？』

『誰だお前はぁぁあああ！！！　うわぁぁああああん！！！』

『相談していた、僕の好きな人、です……』

『知美はね！　いつもお兄ちゃんのこと見守ってるの！！』

『みまも、て、ええ！？　つーかお兄ちゃんて何！？』

『通学のときはいつもお兄ちゃんの隣りにいたんだよ！　お兄ちゃんが目を閉じて私の匂いをクンカクンカしてたのも知ってるし！』

『し、知ってたの！？』

『ガササッ！　ガサガサガサッ！！』

『こうやってお兄ちゃんのバッグに盗聴器仕込んで！！　いつもお兄ちゃんの声こっそり聞いて見守りながらハァハァしてたんだから！！』

『ぇええ！？』

『なんだよお前達変態同士お似合いじゃないかぁぁああああ！！！　私だけ一人ぼっちだぁぁああああ！！！　うわぁぁああああん！！！』

『えっと……その……』

『うわぁぁああああん！！！　私もぉぉおおおお！！！　彼氏ほしいよぉぉおおおお！！！』

『……お兄ちゃん、ちょっとまっててね』

『ちょ！？　カッターナイフなんか出して何する気なの！？』

『お兄ちゃんを惑わせるこのビッチ！！！』

『え！？　ぇえ！？』

『ナデナデしてよぉぉおおお！！！　誰か私をもらってぇぇえええ！！！』

『いますぐお兄ちゃんの前から排除するから！！！』

『うわぁぁあああああん！！！』

『ちょっとまって！！！』

『死ねぇぇぇええええ！！！』

『ガシャン！！　ブツブツッ……』

養護教諭の傷害未遂容疑で女子高生を逮捕

　○月✕日、□□市△△高等学校保健室にて、養護教諭の佐倉千春さん（25）への傷害未遂容疑で〇〇高校2年生の女子（16）が逮捕された。

　調べによると、逮捕された女子高生は今年4月からとある△△高男子生徒に対してバッグの中に盗聴器をしかける等のストーキング行為を働いており、今回も被害者の佐倉さんと男子高校生の会話を盗聴していたところ、その内容に逆上し、保健室を襲撃した。カッターナイフを振り回しその場にいた佐倉さんに怪我を負わせようとしたところを、通報を受け駆けつけた警官二人に取り押さえられ、現行犯逮捕された。

　調べに対し容疑者は『お兄ちゃんは身も心も私のお兄ちゃん』『お兄ちゃんの変態性を受け止められるのは私しかいない』などと容疑を一部認めており、警察では余罪を追求している。

（○月△日　□□新聞　地方欄に掲載）