乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったのに...さらに破滅フラグが舞い込んでしまった!? 作:オタクさん
キャラ崩壊、誤字脱字などを気を付けて書いていきたいです。どうぞ、よろしくお願いいたします。
私の名はカタリナ・クラエス。
今年で十一歳になるのだが、これまでのことを振り返ると、本当に色んなことがあったわ。
私はクラエス家の公爵令嬢の一人娘として生まれた。そこでは蝶よ花よとして育てられていたため、高慢ちきな我が儘令嬢になってしまっていた。そのせいで、使用人館にはよく迷惑をかけてしまっていた。
けど、八歳の時、運命が変わる。
それは婚約者のジオルド・スティアートの出会いだった。金色の髪に青い瞳をした天使のような姿をした王子。しかも私と同じ八歳なのに、大人のように落ち着いてしっかりしている人だった。
一目惚れした私は、相手のことを考えずにべったりと付きまとった。そのせいで私は、王子にぶつかり転んでしまう。
私の転んだ先には運悪く庭園の飾り石があった。そこに強くぶつかり、額をざっくりと切ってしまった。そんな私を見てジオルド王子や召使の人々は慌てふためいていた。
けど、私にとって、額の怪我はどうでもよかった。
だって....
前世の記憶を思い出したのだから!
前世の私は普通のサラリーマンの父、パートで働く主婦、兄二人のごく平凡の家庭で生まれ育った。
小学生の頃は兄二人と野山を駆け回り、中学生の頃は親友のあっちゃんに出会って、オタク街道を突っ走るという、どこにでもいる普通の人だ。
高校に入った私は、とある乙女ゲームに夢中になっていたのだが、攻略できないキャラがいた。
意地になった私は夜遅くまでゲームをしていた。そのせいで朝起きれなかった私は、遅刻しそうになって大慌てで学校に向かう。その結果......
交通事故に遭い、十七歳にして、私の人生は終わってしまった。
これが私の人生で今の現状と大きく関わっている。
実はこの世界...
私が嵌まっていた乙女ゲーム『FORTUNE・LOVER』の世界だった!!
『FORTUNE・LOVER』
中世ヨーロッパ風の剣と魔法の世界で、魔法学園を舞台に魔法を学び、恋を育む割りと王道的な乙女ゲームだ。
この世界で魔力を持つ者は大概貴族であり、平民でも魔力を持つ者もいるが、大変珍しく稀なことである。
そして魔力を持つ者は、貴族平民関係なく十五歳になると、魔法学園に入学することを義務付けられている。
平民出身の主人公は、そんな恐れ多い学園に入学をし、四人の攻略対象達と出会う。
一人目はジオルド・スティアート
おとぎ話にでも出てきそうな金髪碧眼の王子様。だが、しかし、その見た目とは裏腹に、性格は腹黒でドS。
なんでも簡単に出来てしまう故に、何にも興味を持てなくて退屈な日々を過ごしている。魔力は火。
二人目はアラン・スティアート
ジオルドの弟で、この国の第四王子様である。
出来の良い兄と比べられて育てられたので、ちょっとひねくれている。双子だか兄のジオルドとは似ていない。銀髪碧眼の野性的な風貌の美形。末っ子で甘えん坊気質の俺様王子。魔力は水。
三人目はキース・クラエス
カタリナ・クラエスの義理の弟。
クラエス家の分家の子で、カタリナ・クラエスがジオルド・スティアートとの婚約が決まった際に、魔力の高さから分後継ぎとして選ばれた。引き取られたが、義姉や義母から冷たくあしらわれて寂しい幼少期を過ごす。その反動で女誑しのチャラ男になる。
亜麻色の髪に蒼い眼の色気溢れる美形。魔力は土。
四人目はニコル・アスカルト
宰相の息子。ジオルドやアランの幼馴染みで、四人の攻略対象の中で一番の常識人である。鉄面皮で口数の少ないところが、いまいち近寄り難い。
黒髪黒瞳の美形。魔力は風。
このゲームは攻略キャラの他にも、ライバルキャラも存在する。
一人目はメアリ・ハント
アランルートのライバルキャラだ。赤褐色の髪と瞳の綺麗な女性で、第四王子のアラン・スティアートの婚約者だ。
幼い頃は姉達の影響でおとなしかったが、婚約者であるアランと出会ったことで、誰もが認める立派な令嬢となった。
植物を育てる緑の手を持っている。魔力は水。
二人目はソフィア・アスカルト
ニコルルートのライバルキャラだ。白髪に赤い瞳の絶世の美貌をもつ女性で、ニコルの妹だ。兄とロマンス小説が好きでいつも語っている。
魔力は風。
私、カタリナ・クラエスも、ライバルキャラである。
だが、この二人とは違い、正々堂々と立ち向かうのではなく、主人公に嫉妬して犯罪紛いの嫌がらせをする。そのせいでカタリナだけはハッピーエンドで国外追放、バットエンドで死亡。
そんな運命は嫌なので私は頑張った!
剣で切られそうになっても対抗できるように訓練をし、また魔力を鍛えた。キースを孤独にしない。国外追放されても生きていけるように畑を耕した。それに、ジオルドの弱点だって見つけられたのだから、それで隙を作って逃げるのよ!
頑張ったお陰で剣術も勢いだけは褒められているし、土ボコも数センチ上がったし、前世では朝顔やヘチマを枯らしがちだったけど、メアリの指導のかいあって、上手く野菜を育てられるようになったわ。キースだって、友達ができたからもう孤独ではないわ!
...あれ?なんで私、急に、今までの人生を振り返っているのかしら?
...思い出したわ!
朝食を食べ終えて自分の部屋に戻ると、机の上に物凄ーーく見覚えのある本が置いてあったのよ。それを思い出そうとして、前世のことを含めて振り返ったのよ。けど、思い出せなかった。それなのに、懐かしさを感じるのよ。...不思議よねぇ~。
真っ赤な本の表紙には金のライオン、裏面には月と太陽が描かれおり、題名らしきところにはTHE CLOWと書いてある。
先ほどまで開けられなかった本を開くと、何やらタロットカードのような物が入っていた。
裏面は月と太陽の魔方陣が描かれており、表面には羽が生えた女性の絵が描かれていた。絵の上下には漢字で風、ローマ字でTHE WINDYと書かれていた。
...ちょ、ちょっと待って!この字...
「日本語!?」
前世ではよく見な慣れた字で、この世界では使われていない文字だ。この世界の文字はローマ字と似ているが、この世界の字の方がもっと複雑に見える。
他のカードも見てみると絵柄は違うが、漢字とローマ字で書いてあった。
試しに、一番初めに手に取ったカードを読んでみる。
「風...ううん、なんかしっくりこないわ。読み方はあっているのに...なんでだろう?」
ふと私の頭の中で、このカードを持った少女の姿が思い浮かぶ。
....確か...あの少女は...
こう言ったのよね...
「ウインディ」
うん。この言い方が一番しっくりくるわ。
はあー、スッキリした。頭の中のもやが晴れて、気分良いわ。
「....あれ?室内なのに、風が...」
スカートの裾をそよ風がなびく。
窓開けていなかった筈なんだけどなあ...それに、床にうっすらと、魔方陣みたいな模様がある。...こんな模様書いてあったっけ?
「あ、カードが...」
そのうちの三枚のカードが壁の方に飛ばされてしまう。私は立ち上がって取りに行く。
目でカードを追い掛けていたのだが...
カードは壁を通り抜けてしまった!?!?
「う、嘘!?」
理解不能な現象に着いていけない私は、思わず叫んでしまう。
でも、この現象すらも何故か懐かしい。何故だろう?
FORTUNE・LOVERのイベント?でも私、カタリナ・クラエスは、主人公ではない悪役令嬢だ。そもそもゲームはまだ始まってすらいない。
私がカードが通り抜けた壁を見つめていると...
「あー、よく寝たわ。ここ、どこやろ?まあ、ええわ。お!こにゃにゃちわ!」
背後から、物凄ーーく聞き覚えのある声が聞こえてくる。私はゆっくりと振り返った。
そこには...
ぬいぐるみのような生き物が飛んでいた。
黄色の体に熊のような顔、背中には天使のような羽が生えていた。
この仔のぬいぐるみ持っていたような...でも、なんで、この仔はぬいぐるみ化されているのよ...。
「あー!カードをこんなに散らかし置いて!」
ぬいぐるみような生き物が、必死にカードを集めていた。
私がやったことなので、今すぐにでも手伝わないといけないのだが、かなり気になっていたので質問をする。
「ねぇ、あなたは一体何者なの?」
「わいか?わいはこの本の封印を守る獣、ケルベロスのケロちゃんや!」
ケロちゃん...?この名前も物凄ーーく聞き覚えあるのだけど...。どうして私は、こんなぬいぐるみみたいな生き物が喋ってもなんとも思わないのかしら?
なんだろう胸騒ぎがする...。何故?
「なんで、この本は封印をされているの?」
「この本の中にいるカードが悪さするからな~」
ケロちゃんはそう言ってカードを拾い集める。
「あとは...翔(フライ)と火(ファイアリー)と小(リトル)と風(ウインディ)やな。おまえさんなにか知らんか?」
「ウインディのカードなら...」
「おー、ありがとな。...で、他は?」
「わからないわ。...うん?もしかして...」
「なんか知ってるんことがあるんか?なんでもいい!教えてくれや」
考え込む私を見て、ケロちゃんは私が思い出すように必死に頼み込んだ。
私は頭を捻って思い出そうとする。
そういえば...壁を通り抜けたカードがあったような...それだ!
「その三枚のカードなら壁を通り抜けて、どこかに飛んでいってしまったわよ」
「なんやでぇ!?」
あっさり言う私と切羽詰まったケロちゃん。
...うん、この光景すらも見たことがある。
「なんでカードが勝手に.....そういえばおまえさん、なぜ風(ウインディ)のカード持っとんたんや?」
私がカードを持っていたことが気に入らないのか、ケロちゃんは少しきつめの口調で尋ねてくる。
「なんでって言われても、私の机の上に本が置いてあったから、気になってつい調べていたら...」
「そしたら、開いたと。...で、まさか、風(ウインディ)って唱えんかったか?」
「ええ、言ったわよ。あの言葉なんて言うのか気になって....」
「それや!...って!このアホー!!」
「えぇ!?私が原因?!」
急に怒鳴るケロちゃんに私は着いていけなくなった。
でも...心の隅では、とんでもないことをしてしまった、とケロちゃんの意見に納得していた。
「せや!おまえさんが原因や!責任を取って...なっ!?」
バァン!
ケロちゃんの話を邪魔するかのように、ドアが乱暴に開かれた。
「義姉さん!!」
ドアを乱暴に開けたのは義弟のキースだった。
キースの表情は何やら焦っているような、鬼気迫っているような表情をしていた。
なんでキースはそんな表情をしているの?そもそもキースは、人の部屋に勝手に入る子ではないのに...。
「義姉さんが何を仕出かしたのはわからないけど、責任を取れとか酷すぎるのではないか?そもそも義姉さんの部屋に部屋に入っている、君の方が可笑しいのではないか!」
キースはかなり怒って怒鳴っていた。怒鳴り終えたキースは何故か、私の部屋を隈なく見渡していた。
それとキース、私が何か仕出かすのは前提ですか...。あと、なんでそんなに怒っているの?
「義姉さん!」
「な、なによ!?」
キースの矛先が私に変わった。
「義姉さん!男の人はどこ!?」
「男の人って?」
キースの発言に意味がわからない私は首を傾げる。
男の人?そんな人はいないわよ。私が話をしていたケロちゃんは人間じゃなくて人形よ!
「惚けないでよ!今まで、男の人と話していたのではないか!」
「男の人とは話していないわよ。ケロちゃんと話していたのよ」
私は証拠として呆然としているケロちゃんをキースの目の前に突き出す。けれども、ケロちゃんを普通の男性と見なしているキースの目に映ることはなかった。
「そのケロちゃんが問題なんだ!と言うか義姉さん!また男の人と仲良くして!しかも部屋にまで入れて!いい、義姉さん。義姉さんはね、今年で十一歳だよ。もう年頃の女性なんだよ。それなのに、部屋に招待するのは非常識すぎる。それに君も、隠れてないで出てこい!義姉さんの部屋に入るとはどういうことだ!」
キースのお説教が始まったかと思いきや、物凄い剣幕で居ない存在の男性を探し出そうとする。
「キースあのね、ケロちゃんはね...」
私が説明しようとしたその時だった。
「へぇ~。カタリナ、婚約者がいるのに男の人を部屋に連れ込むのですか?」
「お嬢様いくらなんでも...男の人を部屋に連れ込むなんて...」
ジオルド王子と召使のアンがやって来た。
アンはかなり呆れていた。ジオルドはいつも通りの笑顔だった。
...いや、いつも通りの笑顔の筈なのに全然目が笑っていない。しかも青筋を立てている。こんなに怒っているジオルドは初めてだ。
「アン、ジ、ジオルド様、何故ここに?」
ジオルドの気迫に私はパニック気味になってしまう。
怖いんですけど....。ケロちゃん!ずっと黙っていないで何か言ってよ!
藁にもすがる思いでケロちゃんの方を見ても、ケロちゃんは固まっていた。
「応接室で待っていたのですが、キースの怒鳴り声が聞こえてきて、気になってこちらに来たのですよ」
「そうですか...」
「で、カタリナ。浮気をするとはどういうことですか?」
「浮気!?」
浮気って、付き合っている人がいるのに、別に好きな人ができて、そっちの方ばっか構ってしまう、あの浮気!?何故私がそんなことを!?大体私は、ケロちゃんと話をしていただけじゃない!
...あれ?ゲームのジオルド王子も、婚約者がいるのに主人公に恋をするなんて...浮気みたいなものじゃない?...でも、ジオルド王子にとってカタリナは、他の令嬢からの防波堤にすぎないから特に気にしなそうなのに...。
なのに...。ジオルド様はどうして、こんなにも怒っているの?
「あの、ジオルド様、何故そこまで怒っていらっしゃるのですか?...ひぃ!?」
私が質問をしただけなのに、ジオルドは先程よりも怒っていた。
キースもずっと怒っているし...。
ケロちゃんにいたっては「わい、修羅場に巻き込まれてしもうた...」と小声で呟いていた。
ジオルドは怖がっている私を無視して、ケロちゃんを乱暴に掴んだ。痛がってケロちゃんが少し叫んでいるのに気が付いていなかった。
「......そうですか。だから僕の気持ちに気が付かないのですね...。このプレゼントをくれた人が、意中の人ですか?その人はどこですか?...出て来なさい。人の婚約者に手を出しておいて、ただでは済みませんよ!」
「いっ、痛だだだだ!止め!そんなに握り潰すな!」
「えっ...?」
「えっ...?」
「嘘!?」
痛みに我慢できなくなったケロちゃんが叫ぶ。
先程まで怒っていたジオルドとキースも、呆れていたアンも驚いて動きが止まる。
ケロちゃんはその間にジオルドの手から脱出する。
「まったく!男の嫉妬ほど可愛くないもんはないで!」
プンスカ怒ったケロちゃんは、ジオルドとキースに対して説教をしていた。
ジオルドとキースは説教を聞いていると言うよりも、状況に着いていけなくてポカーンとしていた。
「ねぇ、ケロちゃん、嫉妬って...」
「お嬢様、これ以上話をややこしくしないでください」
ケロちゃんの発言に気になった私は質問をしようとしたけど、アンに止められてしまう。
「...あなたがケロちゃんですか?」
「なんや?急に...と言うか、話の最中に割り込んではいけへんやろ」
「そのことに関しては申し訳ございません。ですが、あなたについては、色々とお話を伺いたいのです」
ケロちゃんの説教の途中だったが、アンがキースとジオルドの前に立って話を遮った。まるでその姿は、キースとジオルドを守るようであった。
ケロちゃんは悪い仔じゃないんだけどなあ...。
「...まあ、ええわ。わいがケロちゃんや。おまえさんの名前は?」
「私の名前はアン・シェリーです。お嬢様の専属メイドでございます。...ところで、ケロちゃんは何故、お嬢様の部屋にいらっしゃったのですか?」
「う~ん...。わいにもわからん」
「わからないとは...どういうことですか?」
「わからんもんはわからん。わいはただ、本の中で眠っておっただけやのに...」
「本の中に眠っていた?それはどういうことですか?」
アンとケロちゃんの会話をジオルドが遮る。
「わいはな、この本の封印を守るケルベロスや」
ケロちゃんはそう言いながらあの赤い本を掲げる。
「なんで封印をしていたの?」
今度はキースが質問をする。
するとケロちゃんは神妙な顔付きに戻る。
「この本の中にはクロウカードというのが、入っておってな...」
クロウカード...ケロちゃん...カードを持っていた少女...。
......うん?まさか!?
「あーーーー!?!?」
「急になんやねん!?」
「義姉さん!どうかしたの!?」
「カタリナ!どうかしましたか!?」
「お嬢様!?」
屋敷中に私の叫び声が響き渡る。
この場にいる全員がかなり驚いているが、私には関係ない!
道理で見覚えがあるはずだ!
だって....
私が前世で大好きだった少女漫画『カードキャプターさくら』だもの!!
カードキャプターさくら。
アニメや映画化するほどの大人気少女漫画。その主人公である木之本桜はある日、父親の書庫で不思議な本を見付け、ひょんなことから本の封印を解いてしまい、封印の獣ケルベロスことケロちゃんと共にクロウカードを集める話。魔法と恋を扱った、女の子なら誰もが一度は憧れる内容だ。私の知っている限りではクロウカード編、さくらカード編、クリアカード編の三つの話がある。......って!今はそんなことを考えている場合じゃない!!
あーもー!どうしよう!?アニメのさくらちゃんと同じ失敗をしちゃったのじゃない!
クロウカードを捕まえるのって、物凄く大変なのよ!魔力がショボいカタリナが、どうやって捕まえるのこれ!?
と言うか、いつから、FORTUNE・LOVERとカードキャプターさくらはコラボしていたの!?そんな話聞いていないわよ!!
とにかく!
カードを見付けることが大事!
戸惑っているケロちゃんを連れて私は走り去る。
「おい!話を...って!どこに連れて行くねん!!」
「お嬢様!?」
「義姉さん!?待って!」
「カタリナ!?」
私は三人の叫びを無視して外に向かうのであった。