乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったのに...さらに破滅フラグが舞い込んでしまった!?   作:オタクさん

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私の分身が暴れていました...

「お前なんか産むんじゃなかった!!」

 

「こんな奴を引き取りたくはなかったんだ!」

 

「この化け物!」

 

「お前みたいな化け物は出ていけ!」

 

「化け物」「化け物」「化け物」

 

前の家族が僕を取り囲み罵り責める。

ああ...また嫌な思い出が...。僕は義姉さんに出会って幸せになれたはずなのに...どうしてまた思い出してしまうのだろう?こんな思い出、思い出したくないのに...。

 

囲まれた僕はしゃがみ込んで縮こまる。

逃げたいのに逃げられない。耳を塞いでも聞こえてくる。恐怖で体が動けない。

 

誰か...

 

助けて...

 

 

「キース!」

 

愛しの義姉さんが僕に手を差し伸べる。

 

「義姉さん!」

 

僕は迷わず義姉さんの手を握る。

義姉さんの温かい手は僕の冷たい手を温めてくれる。体は動けるようになり、声は聞こえなくなる。

 

義姉さんに引っ張られて連れてこられた場所は、今住んでいるお屋敷だった。

 

「二人ともお帰り」

 

「お帰りなさいカタリナ、キース」

 

お屋敷の前に僕らを出迎えてくれたお義父様、お義母様。お義父様とお義母様は優しく語り掛けてくれた。

新しいお義父様とお義母様は、僕を本物の息子のように可愛がってくれた。僕はここで家族からの愛情、温かい家庭を生まれて初めて知る。

 

「遊びに来ましたよ」

 

「遊びに来たぞ」

 

「...遊びに来た」

 

「遊びに来ましたわ」

 

「遊びに来ました」

 

お義父様とお義母様の姿が消え、今度はジオルド様、アラン様、ニコル様、メアリ、ソフィアが現れる。

彼らは僕の初めてできた友達であり、負けられない恋のライバルである。言い争いをする時もあるけれど、彼らといられる時間は凄く楽しくて素の自分が出せる。

 

「キース!こっちよ!」

 

「待ってよ義姉さん!」

 

今度は義姉さんが先に走り出すいつもの光景。

畑を耕したり、川で魚釣りをしたり、一緒にお茶を飲んでお菓子を食べたり、義姉さんが木に登ったりして、僕はそれに振り回させれる。いつもの楽しい日常。

 

「キース、今日はこの小説を読みましょう!」

 

「う...うん」

 

場面は義姉さんの部屋に変わり、義姉さんは金のライオンが描かれた真っ赤な本を取り出す。

義姉さんが本を読むことはいつものことなのに、なんだか胸騒ぎがする。今すぐ取り上げないといけない気がする。

 

僕が義姉さんが持っていた本を取り上げようとすると...

 

 

本の中から白い大きな鳥が現れ、義姉さんの肩を掴んで飛んでいく。

 

「義姉さん?!!義姉さんを返して!!」

 

僕が急いで手を伸ばしても届かず、魔法で作り出した巨大なゴーレムの上に乗っても届かない。

さらに僕の真上から大量の水が落ちてきて、ゴーレムを泥にして跡形もなく崩れてしまう。

 

「義姉さん!」

 

魔法でまたゴーレムを作り出そうとしても、足元に広がる泡が足を滑らせて立てなくする。

 

「義姉さん!!」

 

転んだ僕に追い討ちを掛けるかのように、僕の影から巨大な人影が現れて僕を包み込む。

 

「義姉さん!!!」

 

僕は必死に抗って手を伸ばしても、影の中に沈んで差が広がっていくだけだった。

白い大きな鳥は僕を嘲笑うかのように、空高く飛んでいき、義姉さんとの距離が段々離れていく。

 

「義姉さーーーーん!!!!」

 

 

 

 

「...キース!!どうしたの?!しっかりして!私はここにいるよ!」

 

「はぁ...はぁ...なんだ...夢か......夢で良かった...」

 

悪夢にうなされた僕は、僕のベットで寝ていた義姉さんに起こされる。

義姉さんと目が合う。義姉さんの心配をしている姿を見ていると居た堪れなくなる。

 

「大丈夫だよ義姉さん。あれは夢だから...夢だから......」

 

これ以上義姉さんに迷惑をかけたくない僕は、自分に言い聞かせるように否定をする。

 

「なんの夢を見ていたのかはわからないけど...私は何かあっても、どんなことがあっても、いつだってキースの傍にいるわ!だから心配をしないで!」

 

「ありがとう義姉さん...」

 

義姉さんは太陽のような笑みで僕に抱き付く。僕はそれを苦笑いで受け止める。

悪夢を見るようになってからは、僕のことを心配して常に傍にいてくれる義姉さん。...心配をしてくれるのはありがたいけど、いい歳して異性のベットに入るのはいかがなものだろうか?悪夢を止めたければベットに入ることよりも、クロウカードとの縁を切ってほしいけど...。

 

「キース、最近顔色が悪いわよ。休んでいた方がいいと思うわ」

 

義姉さんが僕を本気で心配をしてくれる。

その心遣いはとても嬉しい。けど、本当に僕のことを思ってくれるのなら、クロウカードとの縁を今すぐ切って、僕の恋心に気が付いてほしい。

 

「大丈夫だよ、義姉さん。いつものことだから...」

 

「いつものこと?!!キースはいつも無理をしていたことなの!?そんなの駄目よ!」

 

しまった!つい本音を出てしまった!いつもはもう少し言葉を選んでいたのに...。こうして本音を出してしまうほど疲れが溜まっているみたいだ。

...やっぱりクロウカードの話を聞くべきではなかったのかな?...でも、わからないと何も対策ができないからなあ...。嫌な気持ちを抑えて、クロウカードに詳しいソフィアに話を聞いてみたところ、まだ始まったばかりのようでもっと危険なカードは他にもあるらしい。......本当に嫌になってくる...。

 

「キース!大丈夫!?」

 

考え込んでいた僕を心配する義姉さん。

 

「大丈夫だよ義姉さん。気にしないで。そんなことより朝ご飯を食べに行こう」

 

「キース!具合が悪いのならベットで寝てなきゃ駄目じゃない!お姉ちゃんがなんでもするから待ってて!」

 

義姉さんがそう言うと騒がしく僕の部屋を出ていく。

僕は取り敢えず大人しくするのであった。

 

 

 

 

義姉さんの手厚い介護から逃げた僕は、義姉さんがいつも登っている大きな木の下にいる。

これ以上義姉さんといたら何か言ってしまいそうで怖かったからだ。...これもやはり、過去が原因なのだろうか?

 

僕の名前はキース・クラエス。

この名前は本名ではない。二度目の名前だ。本当の名前は覚えていない。

僕がクラエス家に来た理由は、義姉さんに婚約者ができてクラエス家に跡取りがいなくなったからだ。

 

前の家ではろくにご飯は貰えず、三人の兄からは執拗な嫌がらせをされて父や義母、召使の人たちからは見捨てられて狭い部屋で独りで縮こまっていた。

 

そんな環境から救ってくれたからこそ、義姉さんやクラエス家には絶対に恩返しをしたい。義姉さんの傍にずっといたい。だけど...

 

 

時々クロウカード騒動から逃げたくなる。

僕は魔法が嫌いだ。あんな危険なもののどこが良い?僕達が何度も危ないからやめて言っても、義姉さんは止まらない。...というか義姉さんとソフィアは僕たちよりも詳しくて、危険だと知っているのに、なんであんなにやる気があるのだろうか?

 

僕の過去を知っているお義父様は時々「キース、君は無理をしなくてもいいよ。アスカルト家のように護衛の人を早く見付けたいけど、中々条件が合わなくてね。本当に無理をさせてごめんね。君が逃げても誰も文句は言わない。だから...無理しないでね」と、申し訳なさそうに僕に謝っていた。

 

逃げるのは簡単だ。

義姉さん、お義父様も、お義母様も、ジオルド様も、アラン様も、ニコル様も、メアリも、ソフィアも、誰一人して僕を責める人はいない。けど...

 

 

それだけは絶対に嫌だ!義姉さんを放って逃げたくはない!

どんなに怖くても、トラウマに苦しめられることになっても──

 

 

義姉さんを放って逃げるもんか!義姉さんは僕が守る!どんなに辛くなってもこれだけは譲れない!

 

どうしたらクロウカード...いや、魔法が危険なものだとわかるのだろうか?...義姉さんを傷付けてしまった僕を笑って許してくれる人だからなあ...。

魔法の恐ろしさを知っており、傷付けたことのある僕が止めないといけないものだけど...

 

 

義姉さんの笑顔を見ていると止められなくなる。

酷い目に遭わせる存在なのに、義姉さんは気にしないどころか、クロウカードをタオルで拭いたりして大事そうにしている。義姉さんのことを本当に思っているのなら、きっぱりと否定して取り上げないといけない。でも、義姉さんの笑顔を見るとどうしても躊躇してしまう。...本当に僕って駄目な人だな...。

 

僕が考え込んでいると、こちらに向かう足音が聞こえてくる。

...義姉さんが僕を心配して来てくれたのかな?

 

予想をしていた通り、僕が顔を見上げれば義姉さんが近くに立っていた。

 

「義姉さん心配させてごめんね。僕は大丈夫だから...義姉さん?」

 

僕の言葉が詰まる。義姉さんの様子がいつも通りではないからだ。

 

「.........」

 

義姉さんは無言で立っている。

...義姉さんはすぐに声を掛けてくれる人だからこんなに無言になるのは可笑しい。

 

「義姉さんどうかしたの?」

 

僕が心配をしても黙ったまま。...義姉さんが...怒った?...いや、こんなことで義姉さんは怒りはしない。じゃあ、なんで黙っているのだろうか?

いつもと違う義姉さんに戸惑っていると、義姉さんはどこかに行ってしまった。

 

「...あ...!待ってよ義姉さん!」

 

義姉さんの態度に疑問を感じつつも、僕はいつも通りに義姉さんの後を追い掛ける、いつもの日常に戻るのであった。

 

 

 

「義姉さん!冬なのに川の中に入っちゃ駄目だよ!風邪をひいてしまうから駄目じゃないか!」

 

ある時は川に飛び込んだり...

 

「義姉さん!土を耕す時はいつもの作業着を着ないと、またお義母様に怒られてしまうよ」

 

ある時は作業着を着ないで畑を耕し...

 

「義姉さん!廊下は走らない!またお義母様に叱られてしまうよ」

 

ある時は廊下を走り出し...

 

「義姉さん!勝手に厨房に入ってお菓子のつまみ食いはしない!またお義母様に叱られて、お菓子抜きにされても知らないよ」

 

「お、お嬢様!?おやつの時間に渡しますので、今は食べないで下さい!」

 

ある時は厨房に勝手に入ってお菓子のつまみ食いをする...

 

義姉さんの奇怪な行動が続く。

今日の義姉さんなんだか可笑しいよ。いつもなら...こんなこと...こんな...こと......うん...義姉さんならやりかねないな。今まで突拍子もない行動をしていたし...。人に意地悪をするような人ではないけど、自分の赴くままに行動をするからなあ...。義姉さんの考えていることには理解できない。

 

人前で平気で足を出そうとするし、お義母様に何度も注意をされても廊下を走ろうとしたり、自分の部屋に蛇を持ち込んできたりする。また、三秒ルールとか言って平気で拾い食いをする。...令嬢ってなんだっけ...?元気な義姉さんは好きだけど、将来が心配になる。

 

ガサコソ

 

また義姉さんが可笑しなことをしている。今度は何か物を探しているようだ。

無言で散らかすものだから、いつも助けてくれる使用人の人たちが少し離れた場所で戸惑っている。...いつまでもこうしてはいられないよね。...相変わらず困った義姉さんだ。

 

僕は思わず笑ってしまいそうになるが、笑いを堪えて義姉さんに尋ねる。

 

「義姉さん。探し物があるのなら手伝うよ」

 

僕がそう尋ねても義姉さんは無言で探し続ける。

かなり必死で探しているのか、僕の声が聞こえていないようだ。

 

僕は諦めずに義姉さんの話し掛ける。

 

「義姉さん...何をそんなに必死に探しているの?一人で探していても見付からないよ。一緒に探すから教えてよ」

 

「.........」

 

それでも義姉さんは返事をしない。

僕が立ち止まっていると、タオルや服などの洗濯物を抱えているステラが話し掛けてくる。

 

「キース様、お着替えとタオルを持って参りました」

 

「ありがとう。...あれ?義姉さんの分は...」

 

僕の質問に答える前に、ステラはしゃがみ込んで頭を優しくタオルで拭く。

...義姉さんといい、今日はなんだか無視されやすい...。

 

「キース様にしては珍しいですね。こういったことはお嬢様だけだと思っていました」

 

「...えっ?僕は巻き込まれただけなんだけど...」

 

アンの言い分に僕は戸惑う。

...僕は好き好んでびしょびしょになったり、泥だらけになったわけではないけど...。これも全部、義姉さんの奇行を止めていただけなんだけどなあ...。

 

「......巻き込まれただけなんですか?」

 

僕の言い分にステラは納得をしていないようだ。

......あれ?なんで納得をしてくれないの?僕は義姉さんみたいに騒ぎを起こす人ではないよ。

 

「いえ...キース様が嘘をつくような方ではないとわかっております。ですが......」

 

 

「お嬢様は綺麗なままです」

 

「.........えっ......?」

 

ステラの衝撃的な発言に頭の中が真っ白になる。

 

「お嬢様は水浸しになっておりませんし、お嬢様の着ているドレスには染み一つついておりません。朝の時のお姿と何一つ変わっておりません」

 

......そんな...。あんなにはしゃぎ回っていたのに...。それなのに...!!何一つ変わっていないとはどういうことなんだ!?...まさか!?!?

 

「キース様!しっかりなさって下さい!」

 

ステラに揺さぶられる中、僕の頭の中でとある答えに辿り着く。

そんな時だった──

 

 

「そのお嬢様は偽者です!」

 

アンが僕の思っていた答えを叫ぶ。

 

「そのお嬢様はクロウカードです!本物のお嬢様は...クラエス夫人に怒られております」

 

......本物の義姉さんの方も何かやらかしているのだけど...

僕が呆れている内に話は進んでいく。

 

「あのお嬢様は...クロウカード...?」

 

「クロウカードがお菓子を食べる!?」

 

「あんな......お嬢様らしい行動をしていたのに...」

 

「あれがクロウカード...そっくりすぎて怖いわ...!!」

 

義姉さんの姿をしているクロウカードは、自分の正体がバレてしまったのにも関わらず、なんの変化も示さない。ただ前をじっと見詰める。

...何を考えているのか全くわからない...。

 

クロウカードは逃げることもせずその場に立っている。

その間にアンはお嬢様とケロちゃんを呼びに行く。

 

僕もクロウカードが逃げないように見張る。

クロウカードの動きがなく、このまま義姉さんが来るのを待っていた時に──

 

 

事態は大きく動き出す。

 

 

「この化け物!」

 

怯えていた使用人の一人がクロウカードに罵る。

 

「お嬢様の姿をした化け物!」

 

「化け物なんかはさっさと封印されてしまえ!」

 

「もう二度と出てくんな!」

 

「化け物は消えて失くなってしまえば良いのに!!」

 

それに釣られて他の人たちも罵り始める。

今までの不満をこのクロウカードにぶつけるようだった。

 

僕が言われているわけでもないのに彼らの罵倒が...

 

 

クロウカードを罵る光景が今日見た夢の光景と被る。

 

わかっている...彼らは義姉さんに対して罵っているわけではなく、僕に言っているわけではない。だけど......

 

見たくない光景だ。

僕のことを受け入れてくれた優しいみんなが、誰かを罵る酷い光景なんて見たくない!みんなにはいつもみたい笑っていてほしい。そっちの方が良い。罵ってほしくない。みんなを傷付けるクロウカードであっても。

 

怖くなって嫌になって僕は手で耳を塞ぐ。

 

「キース様!」

 

すぐ近くにいたステラが僕を落ち着かせようとする。

ステラの方を何気なく見た時だった─

 

 

義姉さんの姿をしたクロウカードが悲しそうな瞳をしていた。

 

「......!!」

 

相手は今まで僕たちを苦しめてきた存在。これからも僕たちを苦しめる存在。だけど......

 

 

僕は自分でも気が付かないうちにクロウカードの前に立っていた。

 

「キース様!?」

 

「キース様危ないですよ!離れて下さい!」

 

「それはお嬢様ではありません!」

 

「危ないですからお下がり下さい!」

 

必死に僕を止めようとする使用人の人たち。

彼らが止めてくる気持ちは痛いほど伝わってくる。僕だって本物ではないとわかっている。それでも義姉さんの泣いている姿は見たくはない。

 

「みんなやめてよ!」

 

「キース様...?」

 

僕の叫び声によって騒ぎは一時収まる。

 

「確かにクロウカードは怖い存在だ!だけど、今日クロウカードが起こした騒ぎは......」

 

 

「いつも義姉さんがやっていることではないか!」

 

僕の言葉にみんなは唖然とする。

みんなが黙っている間に話を進める。

 

「川の中に入ろうとすることも、ドレスを着たまま畑を耕すことも、廊下を走るのも、お菓子をつまみ食いすることも、いつも義姉さんがやっていることだから!今回のクロウカードは怖がることないよ!!」

 

僕の言葉に納得をしているのかはわからないけど、騒ぎは次第に収まり落ち着いていく。みんなが落ち着いたところに義姉さんとケロちゃんが到着をする。

 

「義姉さん!」

 

「......キース...みんな...ちょっと...。私のことをどう思っているのかしら...」

 

「しっかりせい!お前さんの日頃の行いのせいで言われるやろが!あいつの正体が知っとるんだったら早く封印するんや!」

 

微妙な顔をした義姉さんにケロちゃんが渇を入れる。

ケロちゃんの言葉に気を取り直した義姉さんは、クロウカードに近付いてあの青い杖を振るおうとする。

 

「鏡(ミラー)!」

 

ミラーと呼ばれた瞬間、義姉さんの姿から薄青色の長い髪の毛に異国の服を着た少女の姿になる。手には鏡を持っていた。

...鏡になんの意味があるのだろうか?...僕にはよくわからないな。ただ、あそこまで義姉さんそっくりに真似ていたことは、正直言ってかなり凄い。

 

僕が関心をしているとミラーのカードは僕に近付いてくる。

...えっ!?なんで近付いてくるの!?

 

僕が身構えているとクロウカードと目が合う。

 

「キース様!」

 

ステラをはじめとした使用人の人たちは僕を助け出そうとする。

 

「待って!鏡(ミラー)は攻撃的ではないから大丈夫よ!」

 

義姉さんに止められて使用人の人たちは立ち止まる。

僕も義姉さんの言葉を信じてクロウカードの次の動きを待っていると目が合う。目が合った瞬間──

 

 

助けようとしてくれて...ありがとう...

 

!!!?!?

なんとクロウカードが僕にお礼を言う。しかも口ではなく、頭の中に直接お礼を伝えてくる。

 

僕にお礼を言ったクロウカードは義姉さんの前に立つ。義姉さんはすかさず杖を振るう。

 

「汝の在るべき姿に戻れ、クロウカード!」

 

青い宝石の部分がクロウカードの手前に当たると、カツンと甲高い音が鳴り響き、カードの形をした光が現れて本来の姿に戻る。

 

こうしてクロウカードは無事に封印をされた。

無事に終わったと思った矢先──

 

 

冬の川に入った僕は風邪をひいた。

どうしてこんなことに......やっぱり...着替えてから偽者の義姉さんを追い掛ければ良かった...。

熱にうなされた僕は夢と現実が曖昧となる。

 

「キースにお詫びをしたいのでしょ?大丈夫!大丈夫!その姿をしていれば怖がられないわ!」

 

「お嬢様!?病気のキース様を困らせないで下さい!」

 

元気いっぱいな義姉さんが、申し訳なそうにしている義姉さんを無理やり僕の部屋に入らせようとする。.........義姉さんが二人いるのは気のせいだ。これはきっと夢だ。夢に違いはない。

 

取り敢えず...寝て逃げよう...。




本物のカタリナが怒られていた理由は、キースのベットに入っていたことがバレたからです。
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