乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったのに...さらに破滅フラグが舞い込んでしまった!?   作:オタクさん

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クロウカードとの交流を始めることにしました...

『これより、クロウカードと皆さんが仲良くするための会議を開幕します。では、何か良い案がある方はいらっしゃいますか?』

 

私の脳内で議長カタリナ・クラエスが宣言をする。

 

『何か良い案があると言われても...。カタリナ・クラエスが一人で立ち向かえられない限り、みんなに迷惑をかけますから無理ですわ...』

 

『魔力を鍛えれば良いだけの話よ!』

 

『でも...魔力のしょぼいカタリナ・クラエスでは一人で立ち向かうことなんてできませんわ...』

 

『そんなことやってみないとわからないわ!前はカード一枚捕まえただけで、すぐに眠くなってしまったけど、今は起きていられるようになったじゃない!この調子で魔力を鍛えていけば、いつかきっと、一人でも立ち向かえるようになるわよ!』

 

『でも......あのさくらちゃんでさえも、誰かに手伝ってもらわないといけない場面があります。それなのに私だけでは到底不可能ですわ...』

 

『ぐぬぬ...!!』

 

弱気なカタリナ・クラエスと強気なカタリナ・クラエスが口論を繰り返す。あの強気なカタリナ・クラエスが弱気なカタリナ・クラエスに負けていた。

 

『カタリナ・クラエスさんの言う通り。私一人では捕まえるのは不可能です』

 

真面目なカタリナ・クラエスが弱気なカタリナ・クラエスに同意する。

 

『それは...そうだとしても...』

 

強気なカタリナ・クラエスが弱気になったことにより、会議の雰囲気も暗くなる。

 

『そう気を落とさないで下さい。こればかりは仕方のないことです。本当は...怖がっているのならば、逃げてくれた方が、こちらとしても心が痛まないのですが...。特にキースに関しては逃げてほしいですね。あんなに夜中うなされるなんて...。せめて怖がらせなくなる方法があると良いのですが...』

 

真面目なカタリナ・クラエスは強気なカタリナ・クラエスを励まそうとしていたが、真面目なカタリナ・クラエスも落ち込み気味になっていた。

 

『最初は怖くても遊んだりをしたらきっと、仲良くなれると思うわ~。殺されるかもしれないカタリナ・クラエスだって、みんなと仲良くできたわ~。みんなも、ゲームでは仲が悪かったカタリナとも仲良くできたのだから、クロウカードだって仲良くできるわよ~』

 

『そうです!ハッピーなカタリナ・クラエスさんの仰る通り!カタリナ・クラエスでもできたのですから、皆さんもクロウカードと仲良くできることは確かなはずです!』

 

ハッピーなカタリナ・クラエスの話により、徐々に元の明るい雰囲気に戻る。

 

『そうよ!ゲームのカタリナ・クラエスはみんなと仲良くしていなかったけど!今のカタリナはみんなと仲良いわ!一緒に遊んだり、本を読んだり、お茶を飲んだりしている!こんなこと、ゲームではあり得ないことだったもの!だから交流を深めれればクロウカードと仲良くできる!度が過ぎたいたずらっ子だけど、みんないい子だもん!』

 

『そうだよねぇ~。みんなも一緒に遊んだりすればきっと、いい子だとわかってくれるわ~』

 

『だと良いのですが...』

 

『まあ...心配をする気持ちはわかりますが、ご安心下さい。今は鏡(ミラー)のカードがいます。彼女はクロウカードの中でも人の言葉を話せる貴重なカードです。交流ならできます。仲を取り持てば多分、問題ないでしょう』

 

『鏡(ミラー)はどんな性格の子なのでしょうか...』

 

『確か...。大人しい子でした...。言葉を話せると言っても、話すことはほぼありません。そもそも、クロウカードは、知世ちゃんや小狼君などの特定の人前で使うことが滅多にない故に、出番は少ないので情報も少ないです』

 

『鏡(ミラー)はいい子だから大丈夫よ~。だって、大人しく封印してくれたし~キースのことも気にかけてくれたのだもの~。それよりもどうやって仲良くする~?お茶会?一緒に本を読む?それとも遊ぶ~?』

 

『お茶は...飲むのでしょうか?お菓子は何が好みなんでしょうか...。というか...お食事自体いらないですし...』

 

『本も...わかりませんな』

 

『遊びも...何して遊ぶのか全く想像できません』

 

答えが出ない議論に会議の雰囲気はまた暗くなる。

この状況に強気なカタリナ・クラエスが机を叩いて、みんなに活を入れる。

 

『そんなの!これからわかっていけば良いだけの話じゃない!』

 

『確かに...そうですね...。私としたことが、そんな当たり前のことに気が付かないとは...』

 

『そうよ~。これから知っていけば良いわ~』

 

『でも...。姿を見ただけでも怖がられているのに、どうやって仲良くするのですか?』

 

『だったら...姿を変えてもらえば良いのよ!』

 

『姿...誰の姿に変えてもらうのですか?』

 

『姿は...私の姿に変えてもらいましょうか』

 

『そしたら~、私と鏡(ミラー)は双子みたいになるねぇ~。弟も欲しかったけど、妹も欲しかったのよ~』

 

『双子も中々良いものですな』

 

会議の雰囲気がほのぼのとしたものになる。

暫くの間、ぽけーとしていたが、真面目なカタリナ・クラエスが咳払いをして話を元に戻す。

 

『ゴホン...。いつまでもこうしてはいられません。会議に戻りましょうか』

 

『取り敢えず、遊んだりお茶会をして交流をするということでよろしいですな?』

 

『それは良いのですが......。どのようにして、皆さんを説得しましょうか...』

 

弱気なカタリナ・クラエスの質問に、真面目なカタリナ・クラエスが答える。

 

『ご安心して下さい。そのことに関しては、たった今、良い案が思い付きました』

 

『良い案...。良い案とはなんでしょう?』

 

弱気なカタリナ・クラエスが尋ねる。その質問に、自信満々になっている真面目なカタリナ・クラエスが、眼鏡をくいっと上げて意気揚々に話し出す。

 

『今の話と少々関係はありませんが、クロウカードを封印する際には、気配を感じ取る必要があります』

 

『そう言えば、そうだったよねえ~』

 

『それは...そうですけど...。でも、なんで、このタイミングでその話をするのですか?』

 

『それと何が関係あるのよ?』

 

弱気なカタリナ・クラエスと強気なカタリナ・クラエスを筆頭に、真面目なカタリナ・クラエスを見詰める。

みんなに見詰められているなか、真面目なカタリナ・クラエスは一呼吸を置いて叫ぶ。

 

 

『隠れている人を探す遊び......かくれんぼ。その遊びで鏡(ミラー)と遊びながら気配を感じ取る訓練をし!楽しんでいる姿をみんなに見せて、自然に遊びに誘うのです!』

 

真面目なカタリナ・クラエスの名案に、場の雰囲気が盛り上がる。

 

『それは名案だわ!訓練と言えば、鏡(ミラー)がいても文句を言われないはずだわ!』

 

『遊んで訓練なんて凄く良い案だわ~』

 

『今は無理ですけど...一緒に遊んでいるうちになんとか...』

 

『中々の名案ですな。では、皆さん...。訓練をしながら遊んで、みんなと仲良くできるように努める...。この案でよろしいですな?』

 

議長カタリナ・クラエスが最後に問い掛ける。

口論をすることもなく、その結果...

 

 

『異議なし!』

 

この議題は満場一致で終わるのであった。

 

 

 

 

 

「...というわけで、今日から、鏡(ミラー)が仲間入りよ!私の妹だと思って可愛がってね!」

 

みんなが集まってくる時間となり、頃合いを見計らって庭に集まってもらい、鏡(ミラー)を呼び出して話を進める。

私の姿をした鏡(ミラー)は、どこか居心地悪そうに立っている。みんなが何かを言う前に、脳内会議で思い付いた案を話す。

 

「.........どういうわけなのか、全然わからないよ義姉さん......」

 

「そもそも、クロウカードの気配を感じ取るのに、かくれんぼをする必要性がありますか?」

 

「ソフィア、あのサクラという人は、クロウカードの気配を感じ取るためにかくれんぼをしていたのか?」

 

「いいえ。そのようなことはしておりません」

 

私の思い付いた良い案はあっさりとソフィアに否定される。

ソフィアが否定したことにより、アランとニコルの表情が暗くなる。

 

「やっぱり関係ねえじゃねえか!」

 

「カタリナ...君には悪いが...。俺たちはクロウカードと仲良くすることはできない」

 

案の定、反対意見が出てしまったのだが、私の代わりにソフィアが反論をしてくれる。

 

「アラン様!お兄様!確かに、クロウカードは、知らない人たちにとっては怖い存在かもしれません!ですが!クロウカードは主を好きになるから問題ありません!」

 

「あのな...そういう問題じゃねえんだよ!」

 

「ソフィア...。お前もどうして......カタリナと同じ考えになるんだい?」

 

「ソフィア......ありがとう!」

 

庇ってくれたソフィアに、思わず私は抱き付いてしまう。

やっぱり!知識がある人には危険ではないことがわかってくれるわ!

 

みんなが私達に対して、非難めいた目線を向けてくるが、私は気にせずにソフィアを抱き続ける。

 

「ソフィア様はなんで、カタリナ様と同じ意見なのですか?お二方の考えを...あまり否定したくありませんが...。なぜ、危険ではないと思っているのですか?私ははっきり言って......とても怖いです...」

 

気まずそうにメアリが否定しながらも尋ねてくる。

メアリの意見にみんなが賛成をする。

 

「メアリの言う通り、お前らのその考えはなんだ!?迷惑は掛ける!殺そうとしてくる!そんな奴らと仲良くできるか!!」

 

「僕も...アランと同じ意見です」

 

「僕もクロウカードのことを信用できません。普通の人であれば、クロウカードを拒否することは当然です」

 

アンも何も言っていないが、首をこくりと頷いて同意をしていた。

味方はソフィアしかいない...。うーん......思っていた以上に状況は最悪だ。説得なんてできないし、私がみんなを守ると言っても、今の私にそんな魔力は持っていない。そもそもそこまで強くなれるかはわからない。はっきり言って、魔力のしょぼいカタリナ・クラエスでは不可能だ。私にできることと言えば、持っている知識を使って手早く封印をすることだ。

 

私とソフィアは一緒に考える。

危険。危ない。怖い。信用できない。殺そうとしてくる。迷惑を掛けてくる。迷惑を...掛ける......?

 

 

これだわ!!

反論を思い付いた私は拳で手を叩く。その様子にみんなは驚いて戸惑っていたのだが、テンションが高くなった私はみんなの様子を無視して語る。

 

「私だっていつもみんなに迷惑を掛けているわ!だから!クロウカードも仲良くできるはずだわ!それに!クロウカードが本当に殺してくるのなら、一枚ずつではなくて、一気に襲い掛かってくるはずだわ!」

 

「そういう問題じゃねえだろ!大体!お前が普段掛けている迷惑と、クロウカードが掛けてくる迷惑は全然違うだろうが!!」

 

「アラン様の仰る通り。義姉さんの掛けている迷惑は人の話を聞かない、拾い食いをする、木に登る、お菓子をつまみ食いをする等々...。それに比べてクロウカードが掛けている迷惑は鳥になって大暴れをする、川を氾濫させる、床を泡だらけにする、本棚の本を滅茶苦茶にする、義姉さんとジオルド様を木の枝からすり抜けさせて落とそうとする、使用人の影を集める、他人の歌声を真似る、義姉さんの姿でいたずらをする...義姉さんの掛ける迷惑は子供のいたずら程度で、クロウカードが掛けてくる迷惑は...最悪の場合、誰かを殺しても可笑しくないもの。比べ物にならないよ。それにね...義姉さん......。義姉さんは殺してくるのなら、一気に襲い掛かるって言うけど、そのたった一枚で手一杯になっているのは義姉さんだよ。そのことをちゃんとわかっている?」

 

「カタリナやソフィアには、クロウカードは危険ではないと思っているけど......。どこが危険ではないのか、全然説明できていない。それでどうやって信じろと言うんだ」

 

怒鳴るアラン、呆れながらも長々と否定するキース、静かに私たちを怒るニコル。メアリとアンも口に出していないが反対派だ。

 

険悪な雰囲気が流れるなか、ジオルドは何も言わずに考え込んでいる。

...ジオルドも反対をするのだろう...。でも、だったら、なんで、あそこまで考え込んでいるのだろうか?今までジオルドの意見だと、今のみんなの意見と何も変わらないのに...。どうしてかしら?

 

私がジオルドの様子を伺っていたら、ジオルドと目が合う。ジオルドは爽やかな笑みを浮かべていた。

......?今笑うところ?こんな状況の中で何を考えているのかしら?

 

私達が驚いていると、ジオルドはいつもの笑みを浮かべながら、とんでもないことをさらりと呟く。

 

「そうですか...わかりました...。では......」

 

 

「僕も好きなようにやらせていただきます。クロウカードのせいで僕が怪我をしたりしまっても、気にしないで下さい。僕は好きでカタリナを守りますから」

 

ちょっ!?いきなりなんてことを言うの!?そんな恥ずかしいことを!と言うかこれ!抜(スルー)のカードの件を使って、何気に私たちのことを責めていない?!

 

私が驚いて何も話せないうちに話は進んでいく。

 

「それは良い案ですねジオルド様。僕もそうします」

 

「そいつは良い案だ!俺もそうさせてもらうか」

 

「.........二人の好きにするといい。俺も好きにさせてもらうから...」

 

「私だって!カタリナ様を守ります!例え、死んでしまうことになったとしても!私はカタリナ様の傍を離れたりしません!」

 

「私もこれまで通り、お嬢様のお世話をさせていただきます」

 

ジオルドが話をしたのだろうか?どうやらみんなは、抜(スルー)の件を知っているようだ。......と言うか...。鏡(ミラー)と仲良くしてもらう話だったのに、いつの間にかカードキャプター活動をやめろという、話になっていた。

なんで!?そこまで話が飛躍しているの!!?

 

「では...。カタリナの望みのままに、クロウカードと遊んでいきましょう。カタリナ、ソフィア、クロウカードの気配を感じ取ることは必要なんですよね?」

 

「え、ええ!必要ですわ!」

 

ソフィアも話の展開に着いていけなかったようで、ジオルドの質問に大慌て答えていた。

 

「そうですか......。かくれんぼで鍛えられるのかはわかりませんが、必要とあればやりますよ」

 

言い終えたジオルドは鏡(ミラー)に近付く。鏡(ミラー)を見詰めるその眼差しはとても真剣だった。

ジオルドの行動に、私達は訳もわからず首を傾げる。

 

ジオルドはそんな私たちのことを気にも止めずに、真剣な表情で語り出す。

 

「カタリナとソフィアは貴方達のことを信じておりますが、僕達には到底信用できません。だから......」

 

 

「貴方の口から聞かせて下さい。カタリナを守ると」

 

 

ジオルドの問いは私に関するものだった。

鏡(ミラー)は数十秒間の間、ずっと黙っていたが、ゆっくりと瞬きをして口を開ける。ジオルドからの問いに鏡(ミラー)は......

 

 

「迷惑を掛けている私達のことを、好きでいれてくれている、大切にしてくれる、そんな主が大好きです。私たちも全力で力をお貸しいたします」

 

 

「力を貸すか...。そこは守ると言っていただかないと、とても信用はできません。好きと言うとならば、何故、守ってくれないのですか?」

 

鏡(ミラー)の答えにジオルドは不満げであった。

不満げなのはジオルドだけではなかった。キースも、アランも、ニコルも、メアリも、アンも不満げであった。

 

不満げに見詰めてくる彼らを見て鏡(ミラー)は、さらに申し訳なさそうに体を縮こませる。

 

「どうしたの?鏡(ミラー)」

 

私が尋ねても鏡(ミラー)は返事をしない。

...本当にどうかしたのかしら?そんなに答えられないことなの?

 

時間だけが過ぎていく。

今度はソフィアが尋ねようとしたその時、意を決した鏡(ミラー)がぽつりと小さな声で呟く。

 

「............主はまだ.........正式な主ではないからです」

 

鏡(ミラー)の衝撃的な発言に私たちは言葉を失う。

正式な主???ケロちゃんに認めてもらっただけでは駄目なの!?!?私に一体何が足りないの?!やっぱり魔力!?

 

「正式な主?それは一体どういうことですか?」

 

すぐに気を取り直したジオルドが鏡(ミラー)に尋ねるが、何も答えない。ただじっと下を向いているだけだった。ケロちゃんも黙っているままだった。

そこでジオルドは私とソフィアに視線を向ける。私もわからなかったのでソフィアの方に見る。

 

「ねえ、ソフィア。私は知らないのだけど、ソフィアは何か知って......」

 

思い出せない私はソフィアに訊いてみたのだが、そこで驚きの光景を目撃する。それは......

 

 

 

大粒の涙を流すソフィアだった。

 

「?!!ソフィア!どうしたのソフィア!!」

 

私が声を掛けるとソフィアは呆然としながら語る。

 

「...私にもわかりません。ですが...とても......ここまで...悲しい気持ちになるのは初めてです......。私は...なんで...こんなにも...悲しい気持ちになっているのでしょうか......」

 

ソフィア自身も自分の感情に戸惑っているようで、ぎこちない動きで涙を拭っていた。

ソフィアの突然の涙に私たちは声を掛けることさえもできなかった。

 

ソフィアはなんで泣いてしまったのだろうか?それはやはり、クロウカードが原因なのだろうか?正式な主とは一体どういうことだろうか?

 

私とソフィアは正式な主について、一生懸命に思い出そうとしたのだが......

 

結局...

 

 

思い出すことはできなかった。

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