乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったのに...さらに破滅フラグが舞い込んでしまった!? 作:オタクさん
クラエス公爵家の敷地はとても広い。その中でたった三枚のカードを見付けることは、不可能にも等しい。それでも探さなければならない。
ああもう、庭の外に出てないよね!?
「...おい!おい!話聞いてるんか!?」
私の手から抜け出したケロちゃんが、私の顔の前で飛んでいた。
こんな非常事態なのに、なんでケロちゃんは急いでいないのかしら?今一番困っているのはケロちゃんなのに...。
「ケロちゃん、今は話をしている場合じゃないでしょ!早くカードを見付けないと!暴れ出す前に!」
「せやけど...って、まずは話を聞かんかい!おまえさんは人の話は聞きましょうって、習わんかったのかい!...って言うか...」
「なんでおまえさんは、そんなに焦っているんや?、なにか知ってんのか?」
「そ、それは...」
怪しむケロちゃんに内心ドキッとしてしまう私。
どうしよう...。漫画やアニメでさんざん読んだり観ました。と言える訳ないし...。
こうして考えている間も、ケロちゃんはずっと睨んでくるし...、なんて言い訳をしよう...。うっ...うぅ...。良い言い訳が思い付かないよ...。
「大体!カードを探すうって言っても、カードがあの形にとどまっているとは、限らんで!」
「それは..そうだけど...」
「せや!カードは...って!なんで、カードの形が変わるって知ってるんや!?」
ケロちゃんが疑っている。
どうしよう...なんて言い訳をすればいいの!?
私が頭を抱えて悩んでいる間にも、ケロちゃんはジト目で疑い続けている。
「それは......」
「夢で見たから!!」
私は咄嗟に変な言い訳をしてしまう。
「...はあ?」
ケロちゃんもなに言ってんねん?こやつは?と、思いっきり呆れ顔になっていた。暫くの間呆けていたが、首を振ると話し出した。
「なら、夢で見たのはどんな内容だったんや?」
取り敢えず話を信じてくれるようだ。私は心の中でほっと息を吐く。
「私と同じくらい歳の少女が、風(ウインディ)を唱えて、私と同じ失敗をするのよ。で、さくらちゃ...ではなくて!その少女の場合だと、私と違って、全て吹き飛ばしちゃうんだよね」
「なんやと!今の状況よりも、酷くなるんかい!」
「まあね。それでその少女は、カードキャプターになって、色んな危機を乗り越えながら、カードを封印していくのよ」
「なるほどな...。で、夢の中でわいは、クロウカードについて、説明しておらんかったか?」
「ええ、していたわよ」
「なら、なんて言ったのか言ってみん」
ケロちゃんが真剣な声色で私を試すように尋ねる。私は目を閉じて思い出そうとする。
できれば、原作に近い言い方が良いよね...。
私は深呼吸をして落ち着いてから応えた。
「クロウカードの封印が解かれる時、この世に災いが訪れる。そのカードは、クロウ・リードという凄い魔術師が作った、特別なカード。一枚一枚が生きていて、凄い力が宿っているが、それぞれ好き勝手に行動をしたがる上に、並みの者では歯が立たたん。せやから、クロウ自身がこの本を作って、封印の獣であるわいを、本の表紙にした。......こんなものね」
びっくりしたケロちゃんは目を見開いている。
そりゃあ驚くよね。だって、ちゃんと説明できたんですもの。
「なら!なんで!風(ウインディー)のカードを唱えたんや!」
ちゃんと説明出来た私に、ケロちゃんは褒めるどころか怒り始めた。
もしかして.....私がわざとやったと思った!?違うわよ!私は悪役令嬢だけど、こんな悪さはしないわ!......いくらあのカタリナ・クラエスでもしないわよね!?ねっ!?
「誤解よ!わざとやったわけではないわ!私はケロちゃんがクロウカードと言うまで、思い出せなかったから!」
「...ふ~ん。まあ、その態度を見る限り、嘘はついてなさそうやな...。なら、責任を取ってもらうで!」
「責任を取るって...?まさか!」
「そう!そのまさかや!」
ああ、この流れは!
「おまえさんがカードキャプターになって、クロウカードを封印するんや!」
やっぱりこの流れだ!!
さくらちゃんと同じパターンだ。
私にできるかな?あ...でも...あの憧れのさくらちゃんと同じ道を行けるなんて、正直嬉しい!だって私が転生したのは誰もが憧れる主人公ではなくて、破滅フラグしかない性格の悪い悪役令嬢ですもの。
...でも!あのカード騒動に巻き込まれたら、私死んでしまうわ!
「無理よ!私の魔力はしょぼいわ!だって、土ボコしできないもの!」
「土ボコ...?なんやそれは?....とにかく!本の封印を解けたのやから、多少なりとも魔力はあるちゅうことや」
「ほんのちょっとしかないわよ!」
「けど、素質はあるんや。...まあ、あの男どもと比べたら、魔力は少ないな。...けど!クロウカードのことを夢で見たって言うんなら、なんらかの縁があったんや!」
「なんらかの縁?」
「せや!おまえさんとクロウカードはなんらかの縁があって、選ばれたんや!」
私がクロウカードに選ばれた!?
正直に言って...
凄く嬉しいわ!!
だってあの憧れの魔法を使えるのよ!ただでさえ、魔法のある世界に生まれたのに、土ボコしか使えないだもん!
「まあ...確かに...おまえさんの魔力はしょぼい。けど!そのやる気を買いたいんや!わいの目は誤魔化せんで、おまえさん、時々嬉しそうに目を輝かせていたや!...魔力なら大丈夫や!身体が成長するんやから、魔力だって!成長する筈や!」
ところどころバレていたのね。
...でも、あの憧れのキャラに認めてもらえた上に、励まされるなんて...飛び上がりたい程嬉しい!!
「おまえさんの名前は?」
「カタリナ・クラエスよ」
「では、カタリナ、少し離れたところで立ってみん」
「うん!」
私がケロちゃんから少し離れた場所に立つと、ケロちゃんはあの赤い本を取り出した。
いつの間に持ってきていたの!?
ケロちゃんの体が少し光り、私の足元には魔方陣が浮かび上がる。
「封印の鍵よ。汝との契約を望むものがここにいる。少女の名はカタリナ。鍵よ。少女に力を与えよ」
「レリーーーーーズ(封印解除)!!」
うお!眩しい!アニメみたいだわ。
私の目の前にさくらちゃんが始めに持っていた杖が現れる。
「カタリナ、杖を取るんや」
「うん!」
勢いよく返事をしたいのは良いけど、眩しすぎて歩きずらい。
一歩ずつ慎重に歩いて杖を取る。
杖を取るのと同時に、カチーンと金属の甲高い音が鳴る。それと同時に光が収まった。
「カードキャプターカタリナの誕生や!」
私の手にはさくらちゃんが持っていた同じ杖があった。でも、色は違って、ピンク色の持ち手が水色に、赤いルビーのような宝石が、蒼いサファイアのような宝石に変わっていた。
憧れだった、おもちゃではない、本物の杖を感慨深く強く握り締めた。今、手を放してしまったら、夢から覚めてしまうのではないかと思ったからだ。
「カタリナ!」
「義姉さん!」
「お嬢様!」
「カタリナ様!」
「カタリナ様!」
「カタリナ、無事か!」
「おい、カタリナ大丈夫か!?それに、いまの白い光はなんだ!?」
契約する際の強烈な光に呼ばれて、ジオルド王子やキース、アンだけではなく、遊びに来たメアリ、ソフィア、ソフィアの兄ニコル、ジオルド王子の弟のアラン王子もやって来た。
「私は平気よーー!」
みんなを安心させるために私は大きく腕を振る。
それでも皆は、私の元に辿り着くまでペースを落とさなかった。
「カタリナ様!あの白い光を見て、何かあったのではないかと、心配しましたわ!でも...ご無事でなによりですわ!!」
「私もです!カタリナ様!」
「メアリ...ソフィア...」
そう言って私に抱き付くメアリとソフィア。
「義姉さんもう、先に行かないでよ。しかもなんだか、強烈な白い光が現れたのだから、義姉さんの身に何かあったのではないかと、心配したんだよね」
「僕もとても心配したのですよ。...カタリナがいつも突拍子のないことを仕出かすのはわかっていますが、時と場合を選んでくださいねカタリナ。まあ...それが出来るのなら、苦労しませんが...」
「本当に皆様心配したのですからね。...それにお嬢様、お話を聞いていないのに、どうやって探しに行くのですか?」
キースとジオルとアンは呆れていた。
けど、その表情はどこか安堵の笑みを浮かべていた。
「みんな!」
私は心配をしてくれたみんなを見て嬉しくなって、メアリとソフィアに抱き締める力を強くする。
「じゃあ...あの白い光はなんだったんだ?カタリナ、お前はあの白い光について、何か知っているか?」
「...確かに気になるな。カタリナが無事だったとはいえ、あの白い光の原因を知らないとあまり安心はできない」
「ああ、あの白い光?それは私がカードキャプターになったからよ!」
アラン王子とニコルの質問に、私は杖を見せびらかして自信満々に答える。
「はぁ!?カードキャプターって、ふざけているのかおまえは」
「義姉さんがまた可笑しなことを言っている...」
「相変わらずのカタリナですね...」
「まあ!素敵ですわ!カタリナ様!」
「それで!その杖を使って、悪い奴らをやっつけるのですね!私、ロマンス小説で読みましたから、知っていますわ!」
「.........」
「またお嬢様は可笑しな行動を...」
男子メンバーとアンは呆れ、メアリは褒めてくれた。ソフィアロマンスの小説のようだ、と目をキラキラ輝かせていたが、悪い奴らをやっつけることはないけど...。
けど...ある意味ロマンス小説のような出来事なのは私も思う。
...あ!今は話をしている場合ではなかったわ!
「と言う訳で、私はカードを探しに行くね!」
「ちょっと待ってよ義姉さん!全然説明になっていないよ」
「どういう訳かわかりませんが...そんなにあのカードを探しに行きたいのなら、手伝いますよ」
「私もです!カタリナ様!」
「私も!」
「俺も...探してやるよ」
「カタリナ、俺も時間が許す限り手伝うよ」
「みんな~ありがとう!...って、やっぱり駄目よ駄目!危ないわ!!みんなを危険な目に逢わせるわけにはいかないわ!」
「危ないって、それはどういうことですか!?カタリナ!」
ジオルドの質問にみんなは真面目な顔つきになる。
嘘をついたって、すぐにバレてしまう。あのカード騒動はかなり目立つからだ。誰だって絶対に気が付く。
私は正直に話すことにした。
「ええぇ!?危険な目に逢うことをわかっていて、了承した!?!?」
「はい...」
みんなの絶叫を受けて私は地面に正座をする。
怒っているジオルドは無言で私の側を通る。
ジオルドだけではない。キースもメアリもソフィアもニコルもアランもアンもだ。
その姿に内心私はゾッとした。
私が身構えていると...
「ひぃ!」
ケロちゃんがジオルドに乱暴に掴まれていた。
私の位置から少し離れているのに、ケロちゃんの体からギシギシという体の軋む音が聞こえてきそうだった。
「どうしてカタリナを選んだのですか!?」
「そ、それは...封印を解除できたし、なぜかクロウカードを知っておったし、やる気があったからや...」
「やる気だと!そんな危険なこと!気持ちだけで解決できるか!!」
「そうだよ!...そんな危険こと...義姉さんが巻き込まれるのなら、僕が契約をすればよかった!!」
「こんな契約を取り消してください!!今すぐに!」
「どうして...こんなことに...」
怒りながらケロちゃんを問い詰めるジオルド。問い詰めながらもなんとか答えるケロちゃん。本気で怒るアラン。自分を責めるキース。泣きながら訴えるメアリ。俯くアン。黙ってケロちゃんを睨むニコル。最初からずっと泣いているソフィア。
そんな彼らを見て私の気持ちは、罪悪感でいっぱいになった。
どうすればいいの私!?
やりたがっていた気持ちが段々と萎んでいく。ケロちゃんも寝ていたとはいえ、私も薄々違和感を感じながら呪文を唱えてしまったのは事実だ。私にも責任がある。だから......
みんなを止めなきゃ!
「やめて!ケロちゃんを責めないで!私だって違和感を感じながら唱えてしまったのよ!ケロちゃんだけのせいではないわ!」
「カタリナ....」
ケロちゃんが私を見つめる。
私の叫び声で静かになったけど、私は構わず声を荒げ続けた。
「どんなに危険で大変なのか知っている!それでも私やりたいと想ったの!!」
「みんなには迷惑をかけないから!...だから!......だから!」
「カタリナ」
泣きながら訴える私の手を取るジオルド。
先程前の怒りが嘘のように消えて、私に優しく声を掛ける。
「そんなに...やりたいのですね。...わかりました。僕も手伝いますよ。婚約者の身を守るのは当然のことですから」
「僕だって、義姉さんのことを守る!!姉さん、義僕のことを頼ってね!この魔力で姉さんを守ってみせるよ!!」
「そこまで仰るのなら、私も!命を懸けてお手伝いしますわ!」
「私も!命を懸けてお手伝いします!」
「俺も全力で手伝うよ」
「俺も手伝う!三枚なんだろ!さっさと終わらせようぜ!」
「私もできる限り手伝います」
「みんな....!本当にありがとう!大好きよ!」
私は涙を流しながら感謝を述べる。
こうして、みんなを巻き込んだカードキャプターが始まるのであった。
探してくれる人も増え屋敷、畑、茂みの中などしらみ潰しに探したのだけど見付かることはなかった。
夕方になってしまいジオルド、アラン、メアリ、ソフィア、ニコル、私もキースも屋敷に戻らないといけない時間になってしまった。
けど、私は諦めることはできなかった。あのカードが実体化してしまえば甚大な被害が出てしまう!
絶対に!見付けるまで諦めるもんか!そう決意した私は探し続けたのだが...
「お嬢様方、もう帰る時間でございます。今日は諦めて、明日また探しましょう」
「嫌よ!まだ一枚も見付かっていないわ!私一人だけでも探し続ける!」
アンによって止められる。
「私どもで探しますから、お嬢様方は屋敷に戻ってください。今日はずっとお探しになっていたのですから、もうお休みになった方が宜しいかと」
「まだよ!絶対に見付けてみせるわ!」
「そう言われましても...。...それに、風が強くなってきました。これ以上強くなると危ないですので、屋敷に戻ってください」
アンに言われて私は、強めの風が吹いていることに気がつく。
...?強い風...。確か...こんな現象を起こすクロウカードがあったような....。
私は空を見上げる。
夕暮れの空の向こうに、白い大きな鳥が空を飛んでいた。
「あーー!!翔(フライ)のカード!」
「あーー!!翔(フライ)のカードや!」
私とケロちゃんが同時に叫ぶ。
「えっ!?カードですか。見付かって本当に良かったですね。カタリナ」
「おっ、カードが見付かったのか、早速取りに行こうぜ」
「見付かって良かったですわね。カタリナ様!」
「姉さん、見付かって本当に良かったね」
「カタリナ様!早速取りに行きましょう!」
「良かったな。カタリナ」
「はぁ...。わかりました。見付けたカードだけ、取りに行きましょう。...で、そのカードはどこにあるのですか?」
私がカードを見付けたと騒ぐと、みんなは私が喜んでいると思って喜んでいてくれている。だけど、私たちは喜んでいる訳ではない!物凄く焦っているのだ!
「ああ!もう!カードが実体化してしまったわ!」
「えっ?!カードが実体化したのですか!?」
「そうや!空を飛んでいるで!!」
ケロちゃんが空に指を指して叫ぶ。
みんなは指した方向を見て驚き、信じられないと顔に出ていた。
「あの大きな鳥がカードなのですか!!?」
「せやで」
「カードが鳥に変わるなんて有り得ないよ!!」
「でも、現に飛んでいるや!」
「馬鹿馬鹿しい。普通、カードが鳥になるのか?て言うか、大体どうやって!あんな馬鹿でかい鳥を捕まえるんだ!!」
「それは力を持ったクロウカードだから、出来ることや。そして、それをなんとかするのが、カードキャプターやで!」
「そんなの無理ですわ!!やっぱり!今すぐ!契約を取り消してください!!」
「契約を取り消すことはできないのか?!」
「ちゃんとカードを封印するまでは無理や」
「どうして!ちゃんと封印をしていなかったのですか!!」
「いやあ...。三十年間寝ておってな...うわ!?何するねん!」
「君がちゃんと封印すれば良かっただけの話ではないか!!」
「こんなこと!お嬢様には無理です!貴方の力だけで封印することはできないのですか!!」
どうやって封印をすればいいのかを考えているうちに、みんながまたケロちゃんを責め始めている!
早くなんとかしないと!でも...どうやれば、捕まえられるのだろう。そもそも、あんな離れた場所までどうやって行くのか...。
......全然わからない!翔(フライ)が使えれば、一番楽なのだけれど、今から捕まえるのが、翔(フライ)のカードだ。
...ええい!!わからないから、取り敢えず!あの杖を使ってみよう!そうしよう!
「闇の力を秘めし鍵よ。真の力を我の前に示せ。契約の元、カタリナが命じる。封印解除(レリーズ)!」
私がそう唱えると足元には魔方陣が現れた。
小さかった鍵が大きくなり、段々と伸びながら杖となる。
「闇!?」
「闇だと!?」
「カタリナ様凄く格好いいですわ!!」
「カタリナ様とても格好いいです!!」
メアリとソフィアは私を格好いいと褒めくれて、キースとニコルは無言で見ていた。王子組にいたっては闇という言葉に驚いていた。
...というか、なんで、ジオルドとアランはあんなに驚いているのかしら?確かに闇はこの乙女ゲームは存在していないけど...。初めて聞く力だからってそんなに驚くことなの?
...って!いけない!今はそんなことよりも!クロウカードを捕まえなくちゃ!!
「ケロちゃん!行くわよ!」
「お、お、おう...行くで....」
始まる前からやけにぐったりしているケロちゃん。
ケロちゃん元気出してよ。これからクロウカードを捕まえるのに、このままだとケロちゃん、やられちゃうわよ。
あ...そうだ!翔(フライ)のカードを捕まえたら、お菓子をあげよう!美味しいし、きっと元気が出る筈だわ!プリンとか好きだったし、喜んでくれるわ!ケロちゃんは、これから私の大切なパートナーになるのだから、これくらいのことは当然よ!
「...で、ケロちゃん、これからどうしよう?」
「そんなことすら考えてなかったんか!こんなんで大丈夫やろか...い、いや、なんでもあらへん......」
私がケロちゃんに相談していたら、急にケロちゃんの顔が真っ青に青ざめていた。ケロちゃんが見ていた方を見ると、そこにはみんなが私とケロちゃんのことを見ていた。なんか心なしか...目付きが悪いような...。
もしかして、怒りのあまり睨んでいた!?そうだよね!ケロちゃんに会わなければ命懸けの事件に巻き込まれなかったし、私もいつもみんなに、迷惑を掛けてしまっているものも!しかも今回は命掛けだし!今回はいつもことだからで済ませることはできないわ!!怒るのも仕方ないわ!
みんなごめんね!!この件が終わったら、絶対何かお詫びをするから!!
私が翔(フライ)のカードの様子を見るため空を見上げると、杖に反応したのか翔(フライ)のカードがこちらに向かって...飛んできた!?!?
「みんな逃げてーーーー!!」
私の叫び声に反応してみんなは空を見上げる。
こっちに翔(フライ)のカードが飛んできていることに気が付いたのに、みんなは驚きのあまり動けなかった。でもキースが、立ち向かうように前に走り出る。
「キーーース!!」
私が叫んでもキースは無視をしていた。
キースはある程度前に行くと、地面に手をついて魔法を発動させる。巨大な土の壁を作り出して、翔(フライ)のカードの動きを止めようとする。
「義姉さんは僕が守るんだ!!」
ああ!キース!なんてお姉ちゃん思いの良い子なのかしら!!
「カタリナ!カードの動きが鈍くなっておるで!」
「あっ!そうだったわ!」
私がキースの行動に感動をしていると、ケロちゃんに指摘される。
そうだった!キースが頑張っているのに、私がボーッとしていたら意味ないじゃない!!
私は土の壁にぶつかって動きが鈍くなった翔(フライ)のカードの元へ走る。
「義姉さん!!!!危ない!!!」
「カタリナ!行っては駄目だ!」
「おい馬鹿!止まれ!アホ令嬢!!」
「カタリナ様!危ないです!戻ってきてください!!」
「カタリナ様!行かないで!!」
「カタリナ!!」
「お嬢様!!行ってはなりません!!」
切羽詰まったみんなの叫び声が聞こえる。
特にキースの叫び声に悲痛を感じた。巨大ゴーレムで、私を吹き飛ばしてしまった事件を思い出してしまったのであろう。
でも今回は大丈夫よ!この杖で封印が出来るから!
私は杖を振りかざそうとするが....
翔(フライ)のカードが作り出した風で吹き飛ばされてしまった。
私の体は藁のように飛ばされ、あっという間に叫ぶ暇もなく空高く飛ばされていた。
「ぐぬぬぬぬ...」
でもケロちゃんが私の襟を噛んで、少しずつ降ろしてくれた。
「よくも!!義姉さんを!!!」
私の飛ばされた姿を見てキースは怒り狂っていた。
いつの間にか巨大土人形を作り出し、今度こそ翔(フライ)のカードの動きを完全に止める。
私はもう一度、翔(フライ)のカードの元へ駆け寄り、杖で封印をしようとする。
「汝のあるべき姿に戻れ、クロウカード!」
カンッと、蒼い石のような部分が空中に当たると音が鳴る。翔(フライ)のカードが暴れ出し、蒼い石の先にはカードの形をした光が現れる。
「本当に凄いですわ!!カタリナ様!!」
「とても格好いいです!!カタリナ様!!」
メアリとソフィアが興奮して褒めてくれるのは良いのだけど...
魔力がしょぼいから中々終わらないわ!!
ちゃんと漫画やアニメで観たシーンを思い出して、上手くいく方法を想像しているのに、全然カードに戻ってくれない!!
やっぱり悪役令嬢のカタリナ・クラエスは駄目なの!?さくらちゃんのような清らかな乙女の主人公じゃないと駄目!?さくらちゃんはいないから無理よ!!どうするのよこれ?!
「カタリナ!援護をしますよ!!」
私が心の中で愚痴っていると、ジオルドが魔法で援護をしてくれた。
しかし...流石王族の魔法ね。炭になりそうな勢いで燃やしているもの。......あれ?クロウカードを捕まえるのに、こんなに痛め付けないといけないものだっけ?でも、そうしないと、魔力のしょぼいカタリナじゃ捕まえられないしなあ......。これ、燃えつきないよね?
クロウカードがかなり弱まったお陰で、やっと大人しくなり、カードが元の姿に戻る。
「本当に.....元の姿に戻るのですね」
みんなが感心している最中、私ははしゃぎながら、カードを持って彼らの元へ向かおうとするのだが...
あれ...?急に...眠気が....
私は地面に倒れ込みながら思い出す。
そうだった....。さくらちゃんが....,魔力を使いすぎた時....補うため...眠くなるんだっけ....
みんなが心配して叫んでいる中、私は地面に倒れ込んでしまうのであった。