乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったのに...さらに破滅フラグが舞い込んでしまった!? 作:オタクさん
砂(サンド)のカードを無事に封印できて、二ヶ月近くほど経ち、季節は春から夏に変わっていた。
滝修行を行うには丁度良い季節で、朝にやろうか?夕方にやろうか?と悩む毎日。勉強や修行、剣や魔法の鍛練、クロウカードのお手入れ、みんなと遊んだりして充実していた日々を過ごしていた。そんなある日のことだった──
ベットの中で気持ち良く眠っていた私。
アンが起こしてくれる前に、ドシンドシン!と大きな揺れで目が覚める。FORTUNE・LOVERの世界では初めての地震で、前世である程度地震慣れをしている私でもかなり驚いた。様子を見に行くために、布団を持ち上げようしたけど...何故か持ち上がらなかった。全力で持ち上げようとしてもぴくりとも動かず、仕方なく布団の隙間から這うようにしてベットから出ようとする。なんとか布団から出れた私は立ち上がろうとするが...あれ...足がつかない...。というか...布団がやけに大きい...まさか──
体が小さくなっている!?!?
私が小さくなっていたから、人の足音が地震のように感じた!?いつの間にか小(リトル)によって体を小さくさせられてしまったの!?どうしよう!体を元の大きさに戻すのには小(リトル)を封印しなければならない。封印に行くとしても、鍵が入っている机まで自力で辿り着かないといけない。この小さくなった体でどうやって机まで行くのか...。誰か来てくれないかな...特に背中に乗れて飛べるケロちゃんが良いなあ...。
このまま誰かを待つか、それとも自分で動くべきか...う~ん、どうしよう...。机まで行ける方法が思い付かないし、動いている間にアンとかが来て踏まれたくない。ここは...枕の上に立って誰かに発見してもらおう!
私は必死になって枕の上を目指そうとしたけど...肌触りが良い高級生地のせいで上手く登れない...。まさか、高級生地がこんなところで仇になるとは...仕方ない、枕の上に登るのは諦めてその場でジャンプをして見付けてもらおう。
そうこうしている内に、血相を変えたアンがやって来て叫びながら部屋中を駆け回る。
「アン!私はここよ!!」
「カタリナお嬢様!どこにいらっしゃるのですか!?いたら返事をして下さい!!」
探していることはわかるけど、私が小さくなったせいでアンの言っているのかがわからなくなり、アンもまた私の言葉が聞こえなくなっていた。
私がいなくなっていると勘違いをしているせいか、クロウカードの影響とは考えられないみたいで、この部屋で探すことを諦めて出ていってしまう。
「これからどうしよう...」
頼みの綱の一人であるアンに気付いてもらえなかった...。
やはり自分で動いてなんとかしないといけないのか...。動くとしたらどうやってベットの下まで降りるのか、どうしたら踏まれないのか...これらの課題を解決しないと降りられないよね...。本当にどうしよう...。
試しにベットの脚?を触ってみると、こちらまたすべすべしていて降りられない。頑張って降りれたとしても、勢い余って怪我しそう...。木登りが得意な私でもすべすべなものは無理。ある程度ざらついていないと安全には降りられない。やっぱり...待つ?クロウカードの件だとすぐに気が付きそうなケロちゃんやソフィア、今は慌てているけど、落ち着けば先に話をしてあるから他の人たちもクロウカードの仕業だと気が付くだろう...。ここは待とうかな。人が歩くと地面が大きく揺れて歩きづらいし。
誰かが来るまでじっと待っていると、今度はケロちゃんが慌てた様子で部屋にやって来る。
やった!ケロちゃんなら話は通じるわ!ケロちゃんが行ってしまう前になんとかして引き止めないと!!
「ケロちゃん!ケロちゃん!!私はここよ!!!」
「お!カタリナ!そこにいたのか!」
私の大声が聞こえたケロちゃん。
良かった!原作通りに会話ができて!これでケロちゃんとも会話ができなかったら最悪だわ!ケロちゃんは大急ぎで私の下にやって来てくれた。
「変な風に移動せんで良かった。おまえさんの性格上、落ち着いてわいらを待てるとは思わなかったで」
「失敬な!私だって落ち着いて待つことくらいできるわよ!」
「嘘つくな!普段から、落ち着きがないおまえさんが言っても説得力ないわ!どうせ降りらへんからここで待っていただけやろ!」
なっ...!?なんでばれた!?
私がケロちゃんの顔をまじまじと見ていると、ケロちゃんはかなり呆れた顔をしていた。
「思いきり顔に出ていたで。まあ、ええわ。大人しく待っていてくれたから、これ以上は何も言わへんで。それよりも...早う小(リトル)のカードを捕まえないと大変なことになったわ。小(リトル)のカードを捕まえないとした護衛の人たちが、逆に触れられてしまい小さくなってしもうた」
「護衛の人たちが小さくなってしまったの!?大丈夫なの!?」
「それは大丈夫やで。わいが安全なところまで運んだからな」
「良かったあ...」
体が小さくなるだけと言っても誰かに踏まれたり、ゴキブリや鼠に襲われたら、いくら護衛の人でも一溜まりもない。まあ...この清潔なクラエス家でゴキブリや鼠が出てくるとは思わない。だけど、カードキャプターさくらと違ってこの屋敷には人がかなり多い。カードキャプターさくらだと家にいたのはさくらちゃん、知世ちゃん、お兄さんの桃矢君と.........桃矢君のお友達の雪兎さんだっけ?この四人。対してクラエス家は数十人以上とかなり多い。事前に知っていたとしても、踏まえれる確率はこちらの方がかなり高い。
「こっちは大変やったで。護衛の人を運ぶだけならまだしも、机の上に置かないでくれとか、物を壊したら弁償できないから場所を考えてくれとかな。...おい、カタリナ、聞いておるか」
「...あ、うん、聞いているわよ!この屋敷には高価な物が多いから仕方ないわよ!」
クラエス公爵家も他の貴族の屋敷と同じく、家には高価な家具や壺などがたくさん置かれている。お金持ちじゃないと弁償することは難しい。今回壊してしまっても事情があるからお父様は許してくれるとは思うが、前世で庶民だった私には護衛の人たちの気持ちがわかる。
ずっと愚痴っていたケロちゃんが正気に戻る。
「って...!こんなこと言うとる場合ではなかった!カタリナ!小(リトル)から受けた魔法の解除の仕方を覚えておるか!?」
「ええ覚えているわよ!小(リトル)に触れれば良いんでしょ!そしたら!小(リトル)が逃げる前に封印をするのよ!」
「せやで。わかっているのなら大丈夫そうやな。で...。いつもおまえさんのことを守ってくれとる人たちもおらんし、この姿ではカードは持てへん。...どないする?策を考えてから行くか?」
「大丈夫よ!私に任せて!」
私は胸を張って自信満々に答える。そんな私をケロちゃんは怪しそうに見ていた。
何よその目...そんなに私のことが信じられないの!?確かに、ケロちゃんが思っている通りに、100%自信があるわけではない。というか...さくらちゃんの時と同じく上手くいくとは思ってはいない。それでも!小さくなってしまった人が出てしまったのだから!やるしかない!大丈夫!きっとなんとかなるのよ!
「ほんまかな...。まあ、ええわ。長引けば、何時ものように誰かしら助けに来るからな」
互いに小(リトル)の封印方法を確認し合う私たち。
ケロちゃんに鍵を取ってもらった後、私たちは小(リトル)の封印しに部屋を飛び出した。
「凄いわ!」
いつもと違う目線で見る景色。走っている時よりも2倍は速いかも!ケロちゃんもこんなに速く飛べるのね!飛(フライ)のカードを使って飛んだ時とはまた違う。
「カタリナ!興奮しとる場合ではないで!そんなことをしとる暇が小(リトル)を探すんや!」
ケロちゃんに叱られてしまった...。気を引き締めなければ...。
色んな部屋に入ってしらみ潰しに探し回っている最中に、小さくなってしまったキースや護衛の人たちを見掛ける。無事だったのはお父様とお母様とアンと、一部の護衛の人と使用の人だけ。取り敢えず...みんなが無事で良かった!これ以上被害が大きくなる前に封印をしなければ!...それにしても...こういう時の声援って大概は頑張れー!とかの応援のはずなのに...みんなして無茶をするなと言われた...。特にキース、アン、お父様、お母様から念入りに無茶をするな、危なくなったら逃げろ!と念入りに言われてしまった...。しかも、アンは注意だけでは納得できず、自分も着いて行きます!と言って、何度私が拒否していても断固として譲らなかった。結局、お父様とお母様とキースの護衛で動けない護衛の人の代わりに、アンが本を持って後から合流することになった。
アンと約束した後も暫く探し回っていたが、やっとのことで、黄色くて小さな物体が空を飛んでいるところを見付ける。
「見付けたわよ!小(リトル)!」
私の叫びで自分が見付かってしまったことに気が付いた小(リトル)は、開いていた窓から外に逃げる。私たちも躊躇なく小(リトル)の後を追う。
「待ちなさい!小(リトル)!」
小(リトル)はきゃははと笑うだけで立ち止まらない。それどころか、噴水の水面ぎりぎりで飛んだり、案山子や木などの障害になる物の前をわざと通って捕まらないようにしていた。今も花を荒らして花弁を舞い散らし、花弁で私たちの視界を塞ごうとする。...本当に厄介なことをするのね。こんなことをされては、私よりも強い護衛の人が小さくされてしまうのも当然だよね。
すばしっこく、悪知恵を働かせる小(リトル)に悪戦苦闘をする私たち。
「カタリナ様!」
「カタリナ!」
小(リトル)が門に向かおうとしたその時、急いで来たであろうソフィアとニコルが門のところに立っていた。
ナッ...!!なんて悪いタイミングなの!?このままだとソフィアとニコルが小さくなってしまうわ!それだけはなんとしても阻止しないと!!
「ケロちゃん!投げて!このままだと!ソフィアとニコル様が小さくなってしまうわ!」
「嫌や!おまえさんを怪我させたら、わいがえらい目に遇う!大体!そんなことせいへんでも!普通に伝えて、何時ものように手伝ってもらえばええんやないか!ソフィア!ニコル!おまえさんたちの近くにクロウカードがおるで!!」
ケロちゃんの必死な叫び声が聞こえたようでソフィア、ニコル、護衛の人たちは小(リトル)を探し始める。
小(リトル)を見付けたであろうソフィアが指を指し、ニコルと護衛の人たちと共に風の魔法で小(リトル)の動きを封じ込める。小(リトル)が動けなくなっている間に一気に動く。
「確り捕まっておれよ!」
「うん!わかったわ!」
私の返事を聞いてから、ケロちゃんはソフィアとニコルが作り出した風の渦に近付く。
風に吹き飛ばされそうになりながらも、動けなくなっている小(リトル)になんとか触れようとする。触れた瞬間私の体は元の大きさに戻るが、ケロちゃんと小(リトル)と共に下に落ちてしまう。地面に落ちる前にニコルが私を受け止めてくれた。
「うわわわ!!?あ...ありがとうございます。ニコル様」
「べ...別に...礼は要らない...」
「流石ですわ!お兄様!」
私は抱き止めてくれたニコルはそっぽを向き、私が無事だと知ったソフィアは嬉しそうにしていた。
体の大きさが戻っただけで浮かれてしまった私たちだったが、地面に落ちていたケロちゃんが飛び上がって私たちを怒鳴る。
「そんなことをしとる場合か!!早う小(リトル)を封印せい!」
ケロちゃんに叱られた私は、直ぐ様我に返って鍵を杖にする。
「そうだったわ!闇の力を秘めし鍵よ。真の力を我の前に示せ。契約の元、カタリナが命じる。封印解除(レリーズ)!」
「汝の在るべき姿に戻れ、クロウカード!」
小(リトル)が動かない隙に思い切り杖を振り下ろす。
カードの形をした光が現れ、小(リトル)は黄色い煙となってカードの形をした光の中に吸い込まれていく。無事に吸い込まれたところを確認をした私たちはその場ではしゃぐ。
「やったわ!みんなのお陰よ!ありがとう!」
「おめでとうございます!カタリナ様!」
「ああ......良かったな......」
相変わらずニコルはそっぽを向いたままけど、声は嬉しそうにしていた。
そんな喜びに満ちたこの場をある出来事が破壊する。護衛の人の一人の焦った叫びだった。
「クロウカードだ!」
護衛の人たちがいきなり乱暴に私、ソフィア、ニコルを引っ張ったので私たちは転んでしまう。
クロウカードだ!と聞いて私は、事態を把握しようとして辺りを見渡していたら、近くに光の矢が落ちてきてなんのカードが現れたのかを理解する。
「矢(アロー)!?」
空を見上げれば、ショートヘアーの紫色の少女矢(アロー)がこちらに弓を構えていた。
矢(アロー)は矢を放とうとしていたが、護衛の人たちが風や火の魔法を使ったりして矢(アロー)の動きを止めていた。矢を放っても無駄だと感じた矢(アロー)はどこかに飛んでいく。
「大変!このままだと矢(アロー)が逃げてしまうわ!追いかけないと!」
「カタリナお嬢様、追いかけたい気持ちは我々も同じですが...優先すべきことは皆様の安全です。小さくされてしまった人たちのご無事を確認をし、もう少し人数を増やしてからではないと、あのような危険なカードを追いかけることはできません。こちらから魔法省に応援要請を致しますので......あ!カタリナお嬢様!?」
矢(アロー)を追いかけることができない、と聞いた私は急いで部屋に戻ってカードを取りに行こうとする。
後ろから私を引き止めようとする声が聞こえるが、それらを無視して私は全力で部屋に向かって走る。
「カタリナお嬢様を止めろ!」
小(リトル)との追いかけっこが終わったかと思いきや、今度は私と護衛の人の追いかけっこが始まる。
相手はプロの戦闘員、対しては私はただの令嬢。追いかけっこはどちらが勝つのかは明白で私は捕まりそうになっていた。そんな時に救世主が現れる。
「お嬢様!大丈夫ですか!?」
本を持ってきたアンが現れたのだ。
「アン!その本を私にちょうだい!」
「その本をカタリナお嬢様に渡すな!無茶をしようとしている!」
「えっ!?えっ!?一体何があったのですか!?」
アンはどうすればいいのかわからずに戸惑う。
アンは驚いて固まっている。このままアンのところまで走ろうとしても、あっちの方が速いからアンのところに辿り着く前に護衛の人に捕まってしまう。どうすれば......あ!そうだわ!
「飛(フライ)!砂(サンド)!私のところに来て!矢(アロー)を封印したいの!お願い!」
カードが私のところに来てくれれば良いのよ!あのカード動くんだし!原作でも小狼君の方がクロウカードに主に相応しいかもしれないと悩んでいた時、本から飛び出してさくらちゃんを慰めていたもん!私の時は来てくれるのかはわからないけど...言うだけでも試してみる価値はあるわ!
私の思いが通じたのか、二枚のカードが本から飛び出して私のところにやって来てくれた。
「ありがとう!飛(フライ)!砂(サンド)!飛(フライ)!」
私は飛(フライ)のカードに杖の先を当てて魔法を発動させる。
護衛の人に捕まえる前に私は空に飛ぶ。地上では私を止めようとする声が聞こえたけど、それらを聞こえない振りをして私は矢(アロー)を追いかけに行った。
「待ちなさい!矢(アロー)!」
クロウカードの気配を辿りに、矢(アロー)を追いかけていた私は遂に追い付く。
私に気付いた矢(アロー)は振り返って矢を放つ。放たれ、増えた矢を避けながら私は地面に降りようとする。地面に近付いても矢(アロー)の攻撃は執拗に続いており、杖から降りれなくなってしまった。
「封印方法はわかっているのに!矢から逃げることで精一杯でできないわ!」
そうこうしている間にも矢は放たれ続ける。
解決策を考えている最中に、小(リトル)の行動を思い出した私は小(リトル)の行動を真似て森の中に入る。木があってかなり飛びづらかったが、木のお陰で私のことが見えなくなっていた。よし!今がチャンスよ!
「砂嵐を起こしたまえ!砂(サンド)!」
カンッと甲高い音共に実体化した砂(サンド)が現れて、大きな砂嵐を起こす。砂嵐の中に閉じ込められた矢(アロー)は何も出来なくなっていた。動けない内に封印をしたいのだけど...矢(アロー)は空中に浮かんでいるため、杖が届かなくて私は何もできなかった。そこで、落ちている木や石を拾っては投げて少しでもダメージを与えようとする。
ずっと木や石を投げても変化はなかったので、重たい物を投げれば効くのかな?と思い、両手で支えるのがやっとな重い石をで投げると、何か重たいものが落ちてくる音が聞こえる。私は急いで砂嵐を止めて様子を見る。そこには、重い石に当たって気絶をしている矢(アロー)がいた。私はチャンスを逃さずに杖を振り下ろす。
「汝の在るべき姿に戻れ、クロウカード!」
薄紫色の煙がカードの形をした光の中に吸い込まれていく。
無事に矢(アロー)も封印することができた私は魔力の使いすぎで倒れてしまい、部屋で目を覚ました私は今回の騒動に関わっていた人たちは勿論のこと、今回の騒動に関わっていないジオルド、アラン、メアリにも物凄く叱られてしまった...。
アローも厄介なのですが、リトルも普通に考えたらかなり厄介なカードにですね。
訳あったとは言え、ネグリジェを着たまま行動するカタリナ。その姿を見たら照れるなと思い、ニコルはずっとそっぽを向くことになりました。カタリナには見られていませんが顔は真っ赤です。ネグリジェを着たまま行動したことについては怒られてはいないが、無茶をしたことで大分怒られました。