乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったのに...さらに破滅フラグが舞い込んでしまった!?   作:オタクさん

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誕生日会でみんなの気持ちを再認識することになりました...

みんなを心配させてしまった私は鍵を没収され、暫くの間お菓子抜きの刑にされてしまった。逆にカードは残っていたので、私の願いに応えてくれた飛(フライ)と砂(サンド)には何度もお礼を伝えた。

ケロちゃんからは叱りながらだけど、よう頑張ったな、初めて一人で封印できたな、と褒めてくれた。他の人に見付かったらかなり叱られるので影で褒める形になったけど...ケロちゃんに言われてからやっと気が付いた。本当の意味で封印ができたのはこれが初めてで、みんなを心配させてしまうから、一人で封印するのはこれが最初で最後なんだと。...みんなに助けてもらってやっと封印できる私が言うのはなんだけど...このやり方って──

 

 

正しいのかな?

前世では魔法は存在していないからなんとも言えないけど、こういう魔法の試練って本来は自分一人でやらないといけないのよね?みんなに手伝ってもらったらペナルティとかあるのかな?肝心のカードキャプターさくらで手伝ってもらった時どうだったのかな...手伝ってもらって特に怒られてはいないけど...なんでこんなにもやもやするのかな?カードキャプターさくらで一人で...まあ、考えすぎかしら。考えても答えが出ないから、もう考えなくても良いっか。

鍵が戻ってきたら、小(リトル)のカードを使ってケロちゃんを小さくして、ショートケーキなどのお菓子を堪能してもらおっと。...自分で言っておきながら、ケロちゃんが羨ましくて仕方がない。私も小さくなってお菓子を堪能したくなっても、自分自身に使うと魔力も小さくなって使うことができない。ああ...ケロちゃんが羨ましい。

 

結局私は考えることを諦めて、カードを使わなくても良い方法で魔力を高める訓練をしたり、剣の稽古をしたり、勉強をしたり、カードを拭いたりして鍵が戻って来るのを待った。

 

 

 

ほとぼりが冷めるのを待ってから、何時返してくれるのか聞いたところ、アン曰く誕生日当日に返すらしい。

うっかり私が結構長く返してくれないのね、と言ってしまったら物凄く叱られてしまった。返してくれるだけでもありがたいと思って下さい!本来であれば、今回の件で強制的にクロウカードとの関係を切らせるところでした!もう二度とあのような無茶をしないで下さい!と捲し立てるアンの剣幕は怖かった。

アンの件で懲りた私は、誰にも聞かないように気を付けながら日々を過ごした。こんなにも自分の誕生日が待ち遠しくなるなんて生まれて初めてだった。

 

 

 

時の流れは早く、クロウカード騒動が起きてもう二年。私は十三歳になった。

段々と原作の姿に似ていく私たち。多少あどけなさが残るものも大人になっていく。特に男性陣は身長がぐんと高くなり、いつの間にか声変わりが始まっていた。クロウカード騒動の方に意識が向いていたから全然気が付かなかったわ。このFORTUNE・LOVERの世界にはカメラはなくて、肖像画はあってもアルバムのように何時でも見返せる物はないから、もう二度と直では見れない貴重な子供の時に姿を目に焼き付けたかったなあ。...後悔しても仕方がない。クロウカード騒動に集中しないといけないのは当然のことだし、それにみんなとの縁が切れたわけではないから今から目に焼き付ければ良い。今日は誕生日会を楽しみながらみんなのことを注視しよう!その為にも準備をきちんとしなければ!

 

パーティーの主役になる私は朝から大忙しだ。

朝早くから起きて念入りに準備をするのだが...今日は誰も起こしてはくれない。いや、アンが起こしに来てくれていたけれど──

 

 

私の周りには何故か黒い膜のようなものが張ってあった!?そのせいでアンは私のことを起こすことができなかった。

涙目になったアンが必死になって黒い膜を叩いていた。この黒い膜には見覚えがある。これは......盾(シールド)のカードだわ!

 

盾(シールド)。

魔力を含む全ての攻撃を防ぐことができるカード。ケロちゃん曰くとてもいい性格で、大切なものを守ろうとする習性があり、アニメでは知世ちゃんと園美さんの大切な物が入った宝箱を守っていた。盾(シールド)のカードは剣(ソード)によってその効果を無効化することが可能で、このカードは珍しく魔力よりも守りたい、想いの強さでカードの強さが決まる。

 

どうしてそんなカードが私の周りに結界が張ってあるのかしら!?

どれだけ考えてもわからない。結界が張ってあった理由はカードを封印してからもいくらでも考えられる。問題なのは......今の私は鍵とカードを持っていなくて盾(シールド)を封印できないことだ!封印できないと私は閉じ込められたままだし、何よりもこのままだと私とみんなが待ち望んでいる私の誕生日会ができない!それだけは阻止しないと!

 

とりあえず全力で結界を叩いてみたけど駄目だった。

手が痛くなるだけで時間の無駄だった。私が叩いている間アンはいつの間にかいなくなっていた。もしかして...今日はソフィアがやって来るとわかっているから、ソフィアたちに助けを求めに行ったのかな?それなら私は大人しく待つとしよう。今の私もできることがないし。

 

 

 

待つこと数分。

息を切らしながらソフィアたちがやって来る。私は大声で挨拶したのだけど、声はみんなに届いていないようで唖然としていた。私やみんなが困っているとソフィアが使用人に何か頼み事をする。頼まれた使用人は急いで部屋を出ていく。急いで戻ってきた使用人の腕にはスケッチブックがあった。スケッチブックを受け取ったソフィアは、別の使用人が持ってきた筆を受け取ると何やらスケッチブックに書いて結界に押し付ける。

 

「カタリナ様、大丈夫ですか?大丈夫でしたら首を一回振って下さい。駄目でしたら首を二回振って下さい」

 

声が届かない私たちが会話できるようにするために、ソフィアが筆談を提案する。

私はみんなに安心してもらえるように大きく、ゆっくりと一回首を振った。私が大丈夫と伝えたら、みんなはほっと一安心をしていた。一安心をしたソフィアはまたスケッチブックに何か書き込んでまた結界に押し付ける。

 

「カタリナ様がご無事で良かったです。本当に無事だったことは良かったのですが、残念ながらカードや鍵を持っていないですよね?」

 

私が持っていないことは分かりきっていたことだけど、私から改めて伝えると、みんな肩を落として残念そうにしていた。没収されていなくても、寝ている時は絶対持っていないんだよね。

本当にどうすれば良いのかしら...。何考えても思い付かないから、いっそのこと盾(シールド)のカードに聞いてみよう!盾(シールド)は話せなくても言葉は通じるからやってみる価値はあるわ!

 

「ねえ!盾(シールド)!どうしてこんなことをしているの!?私をここから出してくれない!?」

 

シーン......。やっぱり駄目だった。

私が大声を上げても何も変化はなく、こちらが空しくなるだけだった。聞こえなくても、私がいきなり話し始めたものだからみんなは驚いたが、口の動きを見て私が何を言っているのかのか聞き取ろうとする。ソフィアだけはケロちゃんに何か言っていた。じっとケロちゃんたちを見ていると、他の人たちもケロちゃんとソフィアの方を見る。ケロちゃんとの会話を終えたソフィアはスケッチブックにまた書き込む。

 

「カタリナ様もご存知だと思いますが、盾のカードは守りたい想いが強ければ強い程、盾のカードも強くなります。さくらちゃんの時はどこに現れたのですか?そしてどんなことをしたのですか?」

 

ソフィアが提案したのは復習だった。

お復習は大事だよね、私もよく破滅フラグを回避するために思い出しているわ。さくらちゃんの時に現れた盾(シールド)は、知世ちゃんと園美さんの大切な物が入っていた宝箱を守っていて......

数分くらい経った頃だろうか、頃合いを見計らったソフィアが盾(シールド)が作り出した膜を叩き、スケッチブックを見やすい位置に置いて話を再開する。

 

「思い出しましたよねカタリナ様。では、今は誰が守られていますか?」

 

これは...首を振る回数では伝わらないよね。指で指せば伝わるよね?

私は自分に指を指して私だと答える。するとソフィアはにっこりと微笑んだ。

 

「そうです、カタリナ様が守られています。どうして守られているのか理由をご存知ですか?」

 

私が盾(シールド)に守られている理由!?そんなの私にはわからないわ!逆に知りたいぐらいよ!

戸惑っている私を見てもソフィアはにっこりと微笑んでいるままだった。私はすがるようにソフィアを見ていたら、いきなりソフィアの微笑みが消えて真顔になっていて、書き込んだスケッチブックを見せ付ける。

 

「私たち、矢のカードの件のことを怒っていますからね!私たちの想いが盾のカードにも伝わって、このようなことが起きたのだと思います」

 

えっ!?そうなの!?私があの時無茶したからこんなことになったの!?それは知らなかった...。でも...あの時無茶をしないと、矢(アロー)のカードがどこかに逃げてしまうし...。

 

「カタリナ様、その様子では全然反省をしていませんね。ですので、そこで反省をして下さい。私たちは先にカタリナ様の誕生日会を始めております」

 

そ、そんなあ!?反省したのにまだ足りないの!?

 

「カタリナ様が考えていました時、私はケロちゃんとお話をした内容を皆様に伝えました。私たちの心配が今回の盾のカードの騒動を引き起こしたのではないか?と考えられました」

 

「杖もカードもないカタリナ様。どうすれば盾のカードを封印できるのかケロちゃんとご相談したところ、私たちの気持ちが伝われば、もしかしたら盾のカードが作り出した膜が消えるのではないか?という結論が出ました。それで本当に封印できるのかはわかりませんが、今はそれ以外に方法はありません」

 

「アラン様の発案の元、カタリナ様の反省を促すのに一番良い方法はお菓子抜きということなりましたので、カタリナ様が反省するまでの間、私たちが代わりにお菓子を食べさせていただきますね」

 

私が恨めしそうにアランを見ると、アランも負けじと見詰め返してくる。ソフィアからスケッチブックとペンを取るとアランも筆談に参加する。

 

「準備するまでの間も待てなかったお前が悪い。そこで反省をしていろ。俺たちは先に行っている」

 

言いたいことを全て伝えたアランは、私の方を見た後部屋を出ていった。アランの後に続いてニコル、ジオルド、キース、ソフィア、メアリがかなりこちらのことを気にしていて、何度も私のことを見ていたが、最後は部屋を出ていってしまった。残されたのは盾(シールド)のカードに閉じ込められた私、アン、ケロちゃんだけだった。私は呆然と部屋から出ていったみんなの背中を見詰めることしかできなかった。

 

出ていってしまった...。手を伸ばしたところで何も掴めないのに、思わず手を伸ばしていた。

そんなあ......私はただ、矢(アロー)のカードを見失う前に、どこかで誰かを傷付けてしまう前に、封印をしたかっただけなのにどうして......。楽しみにしていた私の誕生日会に参加できないだけではなくて閉じ込められるなんて......。

 

 

ごめんなさい!!ちゃんと反省をしているから許して下さい!!もう二度としないから!!

私が泣き叫んでも膜が消えなかった。どうしよう...。鍵も剣(ソード)のカードもない。どれだけ泣き叫んでも何も変わらない。どれくらい時間が経ったのかはわからない。塞ぎ込んでいたらアンが膜を叩いていた。アンと目が合うとアンは必死に膜に指を指していた。疑問を感じた私が膜を見てみると──

 

 

黒い膜が揺れていた。

どんな時も頼もしくさくらちゃんを守っていた、盾(シールド)のカードが作り出した黒い膜が揺れて不安定になっている時があった。

な...なんで!?何もしていないのに黒い膜が揺らいでいる!どうして!?

 

例え、黒い膜が不安定になっていたとしても、鍵とカードがない私には何もできない。だから──

 

 

「ごめんなさい!もうしないから許して下さい!」

 

土下座だ。

心優しい性格の盾(シールド)のカード相手だからこそできる方法。これで膜を消すことができなければもう他に手立てはない。暫く間土下座のままで待っていたのだが...時々膜が不安定になるだけで進展はしなかった。誠意が足りないと思った私は謝罪の言葉を述べる。

 

「二度とみんなには迷惑をかけません!」

 

「ちゃんと言うことを聞きます!」

 

「心配もさせません!だから──」

 

 

「その黒い膜を消して下さい!お願いします!」

 

反応はなかった。それでも私は土下座を続けた。

重苦しい時間だけが過ぎる。相手が態度を変えてくれないのなら、こちらも反省の意を示し続けて納得してもらうしかない。

 

「あ...!!お嬢様!」

 

アンの声が聞こえてきて驚いた私は顔を上げた。顔を見上げれば、あれほど私を苦しめた黒い膜はすっかりといつの間にか消えていた。近くにはカードに戻っていた盾(シールド)が落ちていた。

 

「カタリナ!」

 

「お嬢様!!」

 

泣きながらアンが私に抱き付く。

 

「アン~!ケロちゃん~!」

 

無事に盾(シールド)がカードに戻ったことにより、安堵した私は思わず泣いてしまった。

 

「気持ちはわかるが、今は封印が先やで!ペンでカードに名前を書くんや!」

 

ケロちゃんの指摘で落ち着きを取り戻したアンは私から離れ、少し離れた場所に置いておいたペンを私に渡す。

 

「お嬢様これを...」

 

「ありがとうアン!今すぐ書いて終わらせるわ!」

 

泣き落としだけど無事に封印完了!

本当に良かった!これで私も自分の誕生日会に出られる!...よくよく考えてみたら主役がいない誕生日会って大分おかしいのだけど...。まあ!いっか!無事に盾(シールド)のカードを封印できたから参加できるし!安心したらお腹空いちゃった。

私は急いでみんなの下に行くために扉を開けようとしたら...

 

「では、お嬢様。準備を致しましょう。その格好では誕生日会を始められません」

 

「そ、そんな~!?」

 

「当たり前です。お嬢様。先ほどまでは特別な事情があったから、そのようなお姿を皆様に見せても仕方のないことでしたが、問題を解決をした今では違います。いくら身内だけの誕生日会とはいえ、公爵令嬢として身嗜みを整えることは当然です」

 

結局すぐに誕生日会を始められなかった。しかも、ばっちりと念入りに整えたものだから、かなり時間がかかってしまって誕生日会が始まったのがお昼を過ぎてしまっていた。

ずっと待っていてくれたみんなに喜んでいた私だったが、アランにやはり、お菓子抜きが一番効くんだな、と言われてしまって少しイラっとした。その怒りも誕生日会が始まればすぐに消えた。

 

これからもみんなと楽しく過ごせますように、と思いながら私は誕生日会を満喫するのであった。




盾だけを壊すのは至難の技だろうし、事情があっても彼らにはカタリナを攻撃が出来ないのでこのような方法になりました。納得して頂けると幸いです。
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