乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったのに...さらに破滅フラグが舞い込んでしまった!?   作:オタクさん

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みんなを心配させてしまった...

布団の柔らかい感触....。

ゆっくりと目を開けると私は、泣いていたアンと目が合う。いつの間にか私はベットで寝ていたみたいだ。

 

「お嬢様!!」

 

アンは私の手を強く握り締めた。

痛いって言いそうになったけど、アンの姿を見てそんな気にはなれなくて我慢した。傍にいるのはアンだけではなく、お父様とお母様もいた。キースはいなかった。

 

でも、なんで私はベットで寝ていたのだろうか?眠る前の行動が思い出せない....。

 

「カタリナ。大事な話があるのだけど...」

 

「お父様...?」

 

考え事をしている私に、お父様であるルイジ・クラエスが優しく真剣に話し掛けてくる。

 

「いいかいカタリナ。ケロちゃんのことだけども...」

 

ああ!!思い出した!私はクロウカードを封印した時、魔力を使い過ぎて倒れたんだ!

みんなはあれからどうしたのかな?一応、私が封印したから大丈夫だと思うけど...。...あれ?ケロちゃんはなんで傍にいないの?どこに行ったの?

 

「カタリナ!話をちゃんと聞きなさい!」

 

考え事をしていた私に、お母様であるミリディアナ・クラエスが厳しく叱る。私と同じ悪役顔あって、余計に怖く感じた。

お父様は話を聞いていない私に苦笑いを浮かべていた。

 

「ケロちゃんはね、魔法省に引き渡すことにしたからね」

 

「魔法省?」

 

「そう、魔法省」

 

魔法省といえば、この世界で王族の次に権力を持っているところだ。

......でも、なんで、あそこにケロちゃんを連れて行くのであろうか?ケロちゃんは別作品のキャラクターだから、調べても何もわからないと思うんだけど...。

 

「なんでケロちゃんを、魔法省に引き渡すことにしたのですか?」

 

「カタリナそれはね。ケロちゃんも、クロウカードも、私達には手に負えられない危険な存在だから、魔法省に任せることにしたんだ」

 

「そんな!!?」

 

えっ!?あの大好きなキャラと離れたくないわ!それに、ケロちゃんは封印を守る獣だから、危険な存在ではないわ!...まあ、クロウカードは危険な存在に変わりないけど...。だけど!クロウカードは仲良くすることができた筈だわ!最終的にはさくらちゃんのことを守ってくれていたわ!詳しくは覚えていないけど!

 

「お父様!それは誤解です!ケロちゃんは危険な存在ではありません!クロウカードだって仲良くなれば!守ってくれる存在になります!」

 

「カタリナ......。今現在、クロウカードは危険な存在だよ。それに...クロウカードと仲良くなるなんて、どうやってやるんだい?確かにケロちゃんから聞いた話では、一枚一枚に人格はあるって聞いたのだけど、話せない相手とどうやって仲良くするの?」

 

「そ、それは....」

 

「カタリナ!いい加減にしなさい!あれは危ない存在なのよ!今でも周りによく迷惑を掛けているのに、これ以上迷惑を掛けないでちょうだい!!...カタリナ、なんで、あんな危険な物を好きになってしまったの......」

 

怒鳴っていたお母様だったが、突然手で顔を覆って泣き出してしまう。お母様の肩をお父様が手を乗せ、優しく背中をさすっていた。

 

「カタリナ。今回ばかりは、君の我が儘に付き合わないよ」

 

「でも!お父様!まだ二枚、封印してはいないのですよ!私がやらなかったら!誰がやるの....ですか......」

 

私が叫んでいる最中に一気に雰囲気が変わった。お父様は冴えない表情を浮かべ、アンは泣き崩れていた。あまりの変わりように、私は雰囲気に呑まれて勢いがなくなった。

 

「私が...!!私が...!!私が!怒りに身を任せたあまりに...!!」

 

「アン。君は悪くないんだよ。君だけではない。キースも、ジオルド様も、アラン様も、ニコル様も、メアリ様も、ソフィア様も、みんな悪くはないんだ。私だってあの場にいたらそうする」

 

「...お、お父様。一体...何が合ったのですか...?」

 

自分自身を責めるアンを見て、疑問に思った私が尋ねると、さらにお父様の表情は沈んでいく。握った拳は震えていた。

私はこの先の答えを聞くのが怖くなってしまって、耳を塞ぎたくなってしまったが、なんとかその気持ちを抑え込んだ。

 

「いいかいカタリナ。よく聞いて。....実は....」

 

意を決したお父様だったが、まだ言う気持ちは足りていないのか声が震えていた。

そんなに言いづらいことなの?なんだか、とっても怖くなってきたのだけど....。

 

「逃げ出したカードは、二枚だけではないんだ」

 

「...えっ......?」

 

お父様から告げられた衝撃の告白に、私の体に雷に打たれたような衝撃が走った。

...なんで、二枚だけではないの?私が風(ウインディ)って言って、吹き飛ばしたから、この事件が始まったんだよね?なんで状況が悪化しているの?

 

私が黙っていると、お父様は何度も深呼吸をして気持ちを整えていた。

 

「カタリナが倒れてしまった後、本気で怒ったアン、キース、ジオルド様、アラン様、ニコル様、メアリ様、ソフィア様はカードと本を燃やそうとかしたんだ」

 

みんな...なんで...。...そんなことをしたの?

 

「その結果.....半分以上のカードが逃げ出した。唯一幸いだったのは、ケロちゃんがすぐに止めてくれたから、半分だけですんだ。それでも、半分はどこかに飛んでいってしまった...」

 

「だから...カタリナ......。一枚だけでも苦戦していたのだから、もうカタリナには無理なんだ。ここは大人しく、ケロちゃんと魔法省に任せよう。...確かに、カタリナが呪文を唱えた責任はあるのかもしれない。でも、封印をきちんとしていなかったケロちゃんにも責任はある。だからカタリナ。そこまで気にしなくては良いんだよ」

 

そう言ってお父様は私の頭を優しく撫でた。

でもその心地よいリズムに身を任せてはいけない。私にはやるべきことがあるのだから。

 

「...お父様」

 

「なんだい?カタリナ」

 

「キースとお話がしたいのですが...」

 

「それはどうして?」

 

「キースがどうしてそこまで怒った理由を、知りたいのです!」

 

「カタリナ.....」

 

先程までの真剣な表情をしていたお父様が呆れ顔となる。大きな溜め息をつくと苦笑いをする。でも、その苦笑いは、私だけではなくお父様自身にも向けているようにみえた。

 

「そっかあ...そうだよね...。私も、ミリディアナも、互いの気持ちに気が付かなかったもんね。そういうところも似てしまったのかあ.....」

 

私はお父様やお母様ほど鈍感ではないわよ!ただ悪役令嬢だから、モテないだけよ!......なんだか、自分で言っておいて、悲しくなってきた...。そう言えば、前世でも、恋愛経験なんて無かったなぁ...。この世界では恋愛できるのかしら...。...って!思っている場合ではないわ!破滅フラグを回避するには恋愛している暇はないわ!

 

「わかった。その代わり...キースに対して、わかっているとは思うけど、絶対に怒っては駄目だよ」

 

「え?なんで私がキースに対して怒るのですか?」

 

「うん...そうだね。やっぱりカタリナはカタリナだね」

 

お父様は嬉しそうに笑いながら、私の頭をもう一度撫でた。

 

「わかった。でもカタリナ。体の具合は大丈夫かい?まずは体を休めることが大事だよ」

 

「ええ、大丈夫ですわお父様。私はただ単に、魔力を使い過ぎただけですから」

 

「そう...。やっぱり、ケロちゃんの言った通り、カタリナには知識があるんだね」

 

「はい!夢で見ましたから!」

 

「そっかあ...。こんな縁、要らなかったのになあ...」

 

「旦那様!縁とか決め付けないでください!こんなこと、ご冗談でも笑えません!」

 

「ごめんねミリディアナ」

 

お父様はお母様を謝りなながら、私を連れて部屋を出ていく。私は部屋を出る前にアンに言う。

 

「大丈夫よアン。たかがカードの数が増えただけよ。また頑張れば良いだけの話じゃない」

 

最初は驚いたけど、実は封印する数が増えたこと自体はあまり気にしていない。だって、元々の話では、風(ウインディ)のカード以外全て吹き飛ばしていたもん。

まあ...始まる前は物凄く不安だったけれども、今はどうってことはないわ!だって!魔力がしょぼいカタリナ・クラエスでも、なんとか封印ができたもん!成長をすればもっと簡単に封印ができるわ!それに、漫画やアニメの知識で封印の仕方は知っているわ!だから、なんとかなるでしょ!

 

それよりも...なんでみんながそんなに怒った理由の方が気になる。なんでだろう?

 

私はチラッとアンの方を見たが、先程よりも泣いていた。

どうしてそんなに泣いているの!?こんなこと、カードキャプターではよくあることだから、気にしなくていいのに。...あ!そうか!今回は私が被害に遭ったのだけど、自分も被害に遭ってしまうのではと思ったアンは、とても怖くなってしまって泣いているのね!でも大丈夫!このカードキャプターカタリナが、封印してみせるわ!!

 

そう決意した私は、お父様と共にキースの部屋に行くのであった。

 

 

 

コンコン

 

「キース。話があるのだけど....」

 

「ごめんなさいお父様。お父様に見せる顔はありません。僕が感情に任せてしまったせいで...!!」

 

ドアをノックして話し掛けたところまではいいが、秒で拒否られてしまった。

キース...。

 

「キース、私よ、カタリナよ!怒ってないから、出ておいで。ちょっとお話をしたいだけなの」

 

「義姉さん!...ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

キースが壊れたラジオのように呟き始めた!?

 

「キース!しっかりして!キース!」

 

私の必死の叫び声も虚しく、キースの呟きは止まらない。

 

キース......。

とても怖かったのね。そうだよね...。だって、前の家にいた時、その魔力で兄弟を傷付けてしまったもんね。私の倒れた姿を見てトラウマを思い出してしまったのね。

 

...うん?ということは...カードを放っておいたら、ヤバくない!だって、キースのように魔力にトラウマを持っている子は他にもいても可笑しくはない!カードが暴れ出してしまったら、他の子達も怖がらせてしまうじゃない!ううん、他の子たちだけではない。キースやアンは今現在怖がっている。いや、キースやアンだけではない、お父様も、お母様も、ジオルドも、メアリも、アランも、ソフィアも、ニコルもみんな怖がっているんだ!私だけは漫画やアニメでさんざん観たから、命の危険はあってもそれは見かけ倒しなだけで、死にはしないってことをわかっているけど、彼らはそんなことを知るよしもない。

...まあ、カードキャプターさくらの世界って結構危ないのよね。でも、この乙女ゲームの方が死ぬ。死ぬとはいっても、悪役令嬢カタリナ・クラエスだけだけどね。

 

私が安全だと知っていても、彼らには安全に終わらせたことを知らないし、それに...もうこれ以上、大切な人達を怖がらせたくない!脅えた姿も見たくない!これ以上怖がらせてたまるか!

 

決心した私は扉の前で叫んだ。

 

「キース!聞いて!」

 

叫んでもキースは反応してくれない。その反応は予め予想していたからそのまま続ける。

 

「キース、怖かったね。キースが強い魔力にトラウマを持っていることを知っているのに、私が巻き込んじゃってごめんね。それに...あんな怖い目に遭ってしまったら、カードに八つ当りしてしまっても仕方のないことなのよ。......だから」

 

 

「気にしないで、キース。キースは悪くないのよ。ううん、キースだけじゃない。ジオルド様も、アラン様も、メアリも、ニコル様も、ソフィアも、アンも、誰も悪くないわ。それとね私......カードキャプターをやっている少女の夢を見て...憧れていたのよ!やってみたいと思っていたのよ!」

 

「カタリナ!?!?」

 

お父様が隣で面食らっているが、今はそんなこと気にしている場合ではない。

 

「だからキース。カードが増えたことは全然気にしていないわ。寧ろ、どんと来なさい!このカードキャプターカタリナが....」

 

「義姉さんの馬鹿!!」

 

「そうや!このアホ!!!」

 

私の話の最中にキースが物凄い扉を開ける。

部屋の奥からケロちゃんの怒鳴り声も聞こえてきた。

 

「キース!ケロちゃん!」

 

キースの様子を一目見てから、ケロちゃんを探しにキースの部屋に勝手に入る。

 

キースは見たところ問題なそうであったが、顔付きが非常に険しく、まるでゲーム本編のカタリナを嫌うキースの顔そのものであった。幼少期だから怖さが半減していたが、大人の状態で睨まれたら凄んで、蛇に睨まれた蛙のようになってしまう程であった。

 

「ケロちゃん!」

 

ケロちゃんは部屋の奥で鳥籠の中に閉じ込められていた。私は急いでケロちゃんの元に向かう。私がなんとか開けようとする。

...助け出そうとしているのに、ケロちゃんは私のことを睨んでいる!?なんで!?

 

「おい!カタリナ!」

 

「何よ!?ケロちゃん!」

 

苛ついた私は叫ぶ。でも、ケロちゃんは私の目線を逸らさなかった。

 

「おまえさん!いい加減にしとき!」

 

「なんで!?私はただ!ケロちゃんを助けようとして...」

 

「そこじゃない!カタリナ!おまえさんは今!色んな人の心を踏みにじってんや!!」

 

「私が....色んな人の心を踏みにじっている....?」

 

「そうや!!」

 

そう言ってケロちゃんは、私の目線を真正面で受けとめる。ケロちゃんの瞳は真っ直ぐで、真剣で、厳しくて、でもどこか優しさがあって、まるで子を見守る父親のようであった。

 

「わいを助け出そうとする気持ちには感謝する。けどな!わいを助けて、カードキャプターを再開すれば、おまえさんのことを大切に想っている人たちの気持ちを、土足で踏みにじるもんや!...っていうか、カタリナ。なんで周りの人たちの気持ちを気付かへんの?...もう、ここまでくると...わざとか?」

 

「私が...みんなを傷付けている...?私の行動が...みんなを...追い詰める...?私は....みんなの気持ちに...気が付いていない...?」

 

私はケロちゃんの言っている意味がわからなかった。

助けを求めるようにキースとお父様の顔を見ると、物凄い勢いで首を縦に振っていた。特にキースの首の動きは目で追い付けない程であった。

 

「おまえさん....本当にわかっておらんかったのか.....」

 

私を見てケロちゃんは呆れて面倒くさそうに吐き捨てた。そして、私を馬鹿にするような長い溜め息を何度もついた。それから、気持ちを変えるように咳払いをして、私に指を指してケロちゃんは語り始める。

 

「いいか!カタリナ!みんなが怖がっていた理由は、クロウカードに巻き込まれたからではない!カタリナの傷付く姿を見て、失ってしまうと思ったからや!みんなが怒っている理由もそうや!カタリナを危険な目に遭わせたからや!」

 

「えっ....?私のこと...」

 

「ああ!おまえさんがわかるまで、何度でも言うたるねん!!みんなはな、クロウカードのことをそこまで怖がっておらん。おまえさんが傷付く姿を怖がっているんや!みんなが怒っとる理由も、おまえさんを巻き込んだからや!みんな!みんな!カタリナ!!おまえさんのことが、好きで好きで堪らないんや!命を懸けて守りたいほどにな!」

 

「...こんな...悪役令嬢の...私を......守りたいほど...」

 

「悪役令嬢.....?何、こんな時に寝惚けたこと言うてるねん!!...と言うか、おまえさん。なぜそんなに、自分が、愛されていないと思ってるんや?」

 

「それは......」

 

「カタリナ...」

 

「義姉さん...」

 

ケロちゃんの質問に私は口ごもる。そんな私にお父様とキースは悲しそうに見詰める。

...それは...言えないわ。だって、カタリナ・クラエスは、国外追放か殺される運命だもの。そりゃあ、破滅フラグの回避のために行動を変えたのだけど、それでも、自分が異性と愛し合う姿は想像できない。

 

「カタリナ!!」

 

「お父様!?」

 

急にお父様は私を力強く抱き締めた。私の頬が濡れる。お父様は泣いていたみたいだ。でもなぜ?

 

「ごめんねカタリナ。いっぱい愛情を注いだつもりだったのだけど、伝わっていなかったんだね...。これからはもっと愛情を注ぐから、そんな悲しい考えは捨ててね...。...カタリナ。君は愛されているんだ。私だけではない。ミリディアナも口うるさくしているけど、カタリナが貴族社会に馴染めるようにしているだけなんだ。キースも家族として愛している。アンもずっと君の側にいたいって願っているんだ。...だから、もうそのことを忘れないで...」

 

お父様を泣かせてしまった!?

お父様泣かないで!私はみんなに愛されていることを知っています!けど、ゲーム本編が始まってしまったら、絶対に主人公に負けてしまうのです!その時の対策を取らないと私死んでしまうのですよ!だから、お父様、気を悪くしないで...

 

考え事をしている私の背中に誰かが抱き付いてきた。

 

「義姉さん......」

 

「キース...?」

 

何故?キースもお父様と同じ行動を取るの?

 

「義姉さんがね...僕の気持ちに気が付いていないのは知っていたよ。けど......こんなに酷いとは思っていなかった。この家に来て、義姉さんに会うまで孤独だった僕でも、愛されている実感はあるのに...。姉さん...ううん、カタリナ。僕はね、義姉さんのことを、ひとりの女性として愛している。婚約に行って欲しくはない!ジオルド様に...ううん!誰にも取られたくない!...本当は言うつもりはなかった。けど、ケロちゃんに先にばらされて悔しかったから、伝えてみたのだけど......。義姉さんがここまで、鈍感だとは思っていなかった...」

 

「キース!?」

 

キースの声が段々、ゲームみたいに色っぽくなっていく。

もう色気を振り撒くの!?お父様もびっくりしているわよ!

 

私の顔が真っ赤になっているのに気にも止めないキース。それどころか、背中を抱き付く力が強くなる。

成長早くない!?

 

「義姉さん、愛しているよ」

 

「キ、キキース!?!?」

 

キースの突然の告白に私は動揺する。

どうしよう!?!?心臓がバクバクし過ぎて、可笑しくなってしまっているわ!流石乙女ゲームの攻略キャラ、威力が凄すぎるわ!告白なんてされたことないから、どうすれば良いのかわかんないよ!

 

黙ったままの私にキースは語りかける。

 

「ねえ、義姉さん」

 

「なな何よ!」

 

動揺したけどなんとか返事は出来たわ。

 

「どうして、義姉さんは、カードキャプターをやりたがっているの?あんなに危険なのに?...死んでしまうかもしれないのだよ!僕嫌だよ!!義姉さんの傷付く姿は見たくないんだ!!お願い!義姉さん!やめて.........やめてよ......。なんだって言うことを聞くから......カードキャプターだけは諦めて...」

 

キースが泣きながら私に懇願する。

キース...。...私は...どうすれば良いのかしら?みんなの言うことを聞いた方が良いわよね...。でも、このまま放っておいたら駄目だと思うの。それに...この世界なら、私以外の代わりなんて、いくらでもいるわよね...。お父様たちの言うことを聞いて、このまま誰かに任せてしまうことが良いことなのかな...。ケロちゃんだって、私に任せにくくなっているし...。やはり...魔法省に任せた方が.........う?何か引っ掛かるなあ......。どうしてだろう?

 

「あーーー!?!?」

 

「義姉さん!?しっかりして!」

 

「カタリナ!!」

 

「お、おい!大丈夫か!?カタリナ!」

 

私の頭の中でとあることが閃いて、思わず叫んでしまう。

私の叫び声を聞いたキース、お父様、ケロちゃんは私のことを心配して狼狽える。何もかも周りが見えない私はその場でしゃがみこんで頭を抱える。

 

よく漫画とかアニメで、人とは違う強力な力を持っている者はバレないようにしていて、その強大な力に振り回されているじゃない!!それに!力を解明するためならなんだってすることは漫画やアニメだけではない!テレビドラマ、映画、小説でもよくあること。それなのに!ケロちゃんが魔法省に連れて行かれてしまったら、私も酷い目に遭うに決まっているわ!私は選ばれたし、カードキャプターさくらに詳しいから、拷問されてもおかしくはない!!しかも魔法省は、王家の次くらいに権力があるでしょ。最悪の場合、クラエス公爵家ごと潰されてしまうわ!

あーもー!!神様!私を破滅フラグしかない悪役令嬢に転生させるだけでは飽き足らず、私の好きな物を使って、さらに破滅フラグを増やすとはどういうことよ!!そんなに私のことが嫌いなの!?前世で私は何か悪さしたの!?

 

このまましゃがみこんだままでいたいけど、ずっとそうはいってられない。意を決した私は立ち上がる!

 

「お父様!ケロちゃんを魔法省に引き渡さないでください!お願いします!」

 

立ち上がった私は、すぐさま膝をついて頭を床に擦り付ける。前世で住んでいた日本で一番、誠意を見せ付けられる土下座をする。

 

「カタリナ......。さっきから言っているけど、全部が君の責任ではないんだよ」

 

お父様の声色に哀れみを感じた。...もしかしたら、怒っているのかもしれない。そりゃあそうだよね、こんな迷惑なこと、巻き込まれたら誰だって嫌なもんね。でも!ここで諦めたら!ケロちゃんと私は破滅フラグを迎えてしまう!そんなの絶対に嫌!!

 

「お父様!キース!私の我が儘だけど、どうかカードキャプターを続けさせてください!お願いします!」

 

「義姉さん...。義姉さんは怖くないの?痛い目に遭うんだよ。死んでしまうかもしれないんだよ」

 

「大丈夫よ。夢でみた少女は、死ななかったし、怪我もしていなかったわよ。...お父様やキースの言う通りとても危険なことはわかっているわ。けどね...。クロウカードも殺す気はないわ」

 

怖がって震えているキースを安心させるように言う。

 

「えっ...?あれで!!?」

 

私の話に納得できる筈もないキースが驚く。お父様も驚き過ぎて口を開けっ放しだ。

 

「そうよ。もし本当に殺すのなら、逃げたカード全部まとめて襲い掛かってくる筈よ。なのにそれをしないってことは、殺す気はないでしょうね。きっと、クロウカードにとってはお遊びみたいなものだと思うわ」

 

さくらちゃんの時もそうだけど、彼らは本当に殺す気はないと思う。なぜならば、ちゃんと初期の方は一枚ずつ襲い掛かってくるからだ。あのさくらちゃんだって、初期の方に二枚以上来てしまったら死んでしまうと思う。それに、最初から対処できるカードしか来なかった。だから殺す気はないと思うし、クロウカードも遊んでいるだけだと思う。...周りへの被害は大きいけど......。これが私の根拠。

 

「それに...クロウカードを魔法省に預けるのは...とても信用できません」

 

「それはどうして?」

 

「たぶん...。......悪用すると思うからです」

 

お父様からの問いに、本当のことを言えない私は嘘をつく。

悪用できないと思うけど。......けど、するために、ケロちゃんと私は酷い目に遭うのであろう。魔法省のことを信用してるしてないの問題ではなく、クロウカードの力に目が眩んだ時のことを考えると怖いのだ。だから、教えたくはない。

 

 

 

「僕も今回ばかりは、カタリナの意見に賛成です」

 

「ジオルド様!?いつの間に!それに...みんなも!」

 

いつの間にか、いつものメンバーが集まっていた。みんなは息切れをしていて、ここまで来るのに必死だったことは容易に伝わる。友達想いのみんなに私は涙を流してしまう。

しかしお父様はジオルドの意見に、端正な顔立の眉をひそめる。いや、お父様だけではない、キースも、メアリも、ソフィアも、ニコルもお父様と同じ反応だった。アランだけは苦々しい顔をしていた。

 

「それは...どういうことですか?ジオルド様」

 

お父様が彼らを代表をしてジオルドに問う。

いつも穏やかな笑みを浮かべているお父様。でも今は、子供とはいえ王族を相手にしているのに、怒っている表情を隠していなかった。ジオルドはそんなお父様の態度を気にせず、真剣な表情で話し出す。

 

「僕は最後の方しか話を聞いておりませんので、あまりわかってはいませんが、カタリナの言う通り、魔法省はクロウカードを利用する可能性があると思います。もし、クロウカードの力に目が眩んでしまわれたら、知識を得るために手段を選ぶとはとても思えません。最悪の場合、カタリナも連れて行かれるのでしょう。どちらにしても、闇の魔力を持っている時点で、危険な人物として連れて行かれる可能性があります」

 

「闇の魔力...?ジオルド様、それってなんのことですか?それに私は、闇の魔力というものを持っていないですよ」

 

何故ジオルドは私が闇の魔力を持っている前提なのだろうか?そもそも私は、闇の魔力と言う言葉自体、今初めて知ったのだけど...。

頭がちんぷんかんぷんになっている私に、ジオルドは優しく語り掛ける。

 

「ではカタリナ。君があの魔法を使う時の言葉を、唱えてみてください」

 

「あの魔法?......ああ、クロウカードのことね!...コホン、闇の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の元カタリナが命じる。封印解除(レリーズ)。...ジオルド様、これで良いのですか?」

 

「はい、結構です。で、カタリナ...今、闇と言いませんでしたか?」

 

「ええ...言いましたわ...。.........もしかして...これのこと!?」

 

「そうです。このことが闇の魔力となると思います」

 

「ええ!?」

 

たった一言でだけで!?

 

「魔力は火、水、風、土、光だけではないのかい?」

 

私が驚いている間にも話はどんどん進んでいく。

お父様も闇の魔力を知らないようだ。

 

「それは表向きの話です。国の一部の者しか知りませんが、第六の魔力として、闇があると認められています」

 

「闇って...本当にそんなのものがあるのですか?聞いたことはないのですが...。この中で誰か、聞いたことある人いる?」

 

また私だけが知らないパターン?と思ったけど...みんなも知らないみたい。

本当可笑しいわね...。ゲームの情報だと魔力は火、水、風、土、光しか書いてなかった筈。ゲームにはない、この世界のオリジナル設定なのかしら?

 

「僕は聞いたことないよ、義姉さん」

 

「私も聞いたことないです」

 

「俺もない」

 

「私も聞いたことありませんわ。そもそも、闇の魔力とはどういったものですの?なんで隠しているのかしら?もし闇の魔力を持って生まれたお方はどうするのですか?」

 

新しく出てきた言葉にみんなが戸惑う。

ただ王族であるジオルドとアランは何か知っているよで...何故だろう?王族だけは知っている......。隠さないといけないことなの!?

 

「火、水、風、土、光の魔力は、直接その対象を操ることを皆さんもご存知だと思いますが、闇の魔力は従来の魔力と違い、闇を直接操るものではなく、人を操ったり、記憶をなくすことが出来る、言わば精神を操るようなものです。そして闇の魔力は、生まれ持った魔力ではなく、後天的に手に入れるものです」

 

「後天的...?」

 

「闇の魔力はある儀式をすることで、手に入れることができるのです」

 

ジオルドが辛そうな表情で語り続ける。

...答えを聞くのが怖くなってきた。でも、聞かないといけないわよね...。

 

「...ある儀式とは?」

 

「それは人の、誰かの生命を捧げることで手に入れる魔力なのです。なので、闇の魔力を持っている人は、過去に誰かを殺したことになります」

 

「ということは......私が人殺し!?!?」

 

自分の出した答えに全力で否定をしたくなる。

私はただ杖を握って契約をしただけよ!!

 

「義姉さんが人殺し!?ふざけるな!義姉さんがそんなことをするわけないじゃないか!!」

 

「カタリナ様がそんな野蛮なことを、するわけありません!」

 

「カタリナ様はそんなことしません!」

 

「ジオルド...冗談でもやめてくれ」

 

「ちょっと待てや!カタリナに契約させた際は、人なんて殺してへんで!杖を握らせただけや!」

 

「カタリナが人を殺すわけないとわかっています!!けど、それを、魔法省が信じてくれるとは思えません!」

 

私の代わりに猛反発してくれるキース、メアリ、ソフィア、ニコル、ケロちゃん。ジオルドはそれ以上に怒って反論をする。

みんながみんな自分のことのように、私以上に、感情的に怒って叫んだ。

 

「なあ、カタリナ」

 

「なんですか?アラン様」

 

この中でまだ落ち着いている方のアランが私に尋ねる。

 

「クロウカードって...何ができるんだ?」

 

「何ができる?そうですわね...火や水、風を操ったり、雨や雪を降らしたり、時を止めたり戻したり、空を飛んだり、眠らせたり夢を見せたりと...本当に色々なことが出来ます」

 

小(リトル)のカードがあるってことは、カード数はアニメ番の方だ。原作は十九枚くらいだったけど、アニメ番だと五十二枚。出来ることがかなり増えている。

 

私の答えにケロちゃん以外は顔を青ざめる。

 

「そんな...!!余計に知られては駄目じゃないですか!!」

 

「なら...俺たちがバレないように、手伝うしかないな」

 

アランがポツリと呟く。

その言葉に私も含めて全員が驚く。

 

「アラン!」

 

怒ったジオルドがアランに詰め寄る。今にも胸ぐらを掴む勢いだ。

 

「じゃあ!どうしろって言うんだよ!契約は破棄できない!下手に魔法省に教えたら、カタリナ自身にも危ない!もう、やるしかないだろ!」

 

アランの言う通りであった。

クロウカードが放っておくわけにはいかないし、誰かに助けを求めることはできない。

 

どうしようもない現状を作ったケロちゃんに、みんなは憎しみを込めた視線で睨み付ける。私はそんなケロちゃんを守るように、ケロちゃんの体を両手で優しく包み込む。

 

「カタリナ...」

 

「みんな...私のために怒ってくれてありがとう。でもそんなに怒らないで、私はずっと憧れていたのよ」

 

「カードキャプター...に?」

 

「ええ、そうよ」

 

カードキャプターと言うよりも、主人公に憧れていたのだ。あんな苦労の連続なのに、ずっと笑顔を絶やさないで、立ち向かうさくらちゃんが可愛くて、とても格好よかった。私もあんな主人公になりたかった。それなのに今の私は主人公を苛める破滅フラグしかない悪役令嬢だ。

 

だから選ばれて正直に言って嬉しい。例え苦労の連続でも。

絶対に破滅フラグと共に解決してみせる!

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