乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったのに...さらに破滅フラグが舞い込んでしまった!?   作:オタクさん

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最初はメアリ視点。次にカタリナ視点になります。


声を奪われてしまいました...

秋が近付き涼しくなってきたある日のこと。

 

「メアリお嬢様おはようございます」

 

使用人であるステファニーさんが何時ものように挨拶を私にしてきました。私も挨拶を返そうと声を出そうとしたのですが......

 

 

「......」

 

口が動いてくれませんでした。

ぱくぱくと口を動かすことしかできない私に、ステファニーさんは顔色を真っ青にしていましたわ。...この現象てもしかして──

 

 

クロウカードの仕業ですわよね。確か...声を奪ったのはヴォイスのカード...。ヴォイスのカードが何時現れても心の準備をしておりましたが...こうして現れると焦ってしまうものですね。

話せなくなってしまった私は急いでベットから立ち上がり、紙で大丈夫だとステファニーさんに伝えてなんとか落ち着いてもらい、カタリナ様とソフィア様に手紙を送って待つことに専念しました。

 

 

 

「ええ!?メアリの声が奪われた!?」

 

メアリからの手紙を読んだ私は思わずその場で叫んでしまった。

私の叫び声を聞いたアン、ケロちゃんは急いで真剣な表情で手紙を覗き込む。

 

「まあ...十中八九、声(ヴォイス)のカードの仕業やろうな」

 

「そうだとしても...ハント家はどのくらいクロウカードことを知っているのでしょうか?クロウカードのことをご存じないと、病気として判断されてメアリ様はずっと屋敷から出れなくなってしまい、お嬢様が封印できなくてメアリ様の声は戻せなくなりますね...」

 

「それはほんまに厄介やわ。しかも、あの家におる姉さんたち、メアリのことを嫌っておるから変なことされへんと良いけど...クロウカードを捨てたあいつら信用できへんで」

 

「流石に嫌っているからといって、メアリ様に危害を加えることはないと思います」

 

「それならええけど...。けどまあ、メアリが動けへんとなったら封印しづらいやろうな。ここに来てくれたら楽やけど、メアリが病気扱いされたら家から出れへんし、カタリナも表向きには病気扱いされておるからな」

 

「お嬢様の件は偶々その日は体調が良くて見舞いに行けたことにできますが...」

 

 

 

『これより、声(ヴォイス)のカードの封印するための作戦会議を開幕します。では、何か良い案がある方はいらっしゃいますか?』

 

『良い案と言われてもねぇ~』

 

『封じ方はわかっておりますが...』

 

『気付かれずに封印する方法なんてわかりませんわ...』

 

ハッピー、真面目、弱気なカタリナ・クラエスは弱音を吐かれていた。

気まずい雰囲気が流れる。このままだといけないと感じた真面目なカタリナ・クラエスは雰囲気を変えるためにもある提案をする。

 

『先ず...どのようにして声(ヴォイス)のカードを封印したのか、改めてお復習をするのはどうでしょうか?』

 

『異議なし!』

 

『カードキャプターさくらでは声(ヴォイス)のカードでは、音(ソング)のカードで知世ちゃんの声を再現して呼び出し、小狼君による魔法で逃げ場を無くし、声(ヴォイス)が戸惑っている隙に封印しました』

 

『そうだったわね!』

 

『ここには小狼君がいません。声(ヴォイス)のカードが逃げ出したらどうしましょうか...』

 

『風(ウインディ)や影(シャドウ)のカードが在りますし、逃げるとわかっているから冷静に対処できれば大丈夫でしょう。いざとなれば手伝ってくれる心強い仲間がいますので問題はないと思います』

 

『問題は...メアリのお姉さんたちを引き剥がし、メアリと二人きりのなる方法を考えなければなりません。しかも、声(ヴォイス)でメアリの声を再現しますので、今回はきちんと切り離さないとメアリの声に驚いて来てしまいます。今までのように見られても黙ってくれる相手とは限らないので、絶対にクロウカードを封印しているところは見られてはいけません』

 

『魔法省で開発してくれた魔法道具で眠らせるわけにはいきませんよね...』

 

『お金を渡して口止めをする。果たして、お金を渡したところで受け取ってくれるのでしょうか?また、受け取ってくれたとしても金額はいくらくらい必要になるのか、私だけでは判断できません』

 

『いつものみんなやマリアちゃんのように、口止めしてくれたら良いのですが...髪の色が違うだけでメアリを虐めるお姉さんたちは信用できません...』

 

『中々良い方法が思い付かないよねぇ~』

 

ハッピーなカタリナ・クラエスの言葉に再度会議の雰囲気は暗くなる。

また暫くの間暗い雰囲気に包まれる中、ハッピーなカタリナ・クラエスが間延びした声で突拍子もない話をする。

 

『光は駄目でも音は誤魔化せないかしらねぇ~。シンバルとか叩いて誤魔化すことはできないものかしら~』

 

『それは駄目よ!いきなり他人の家で楽器を鳴らすのは非常識よ!』

 

『そもそも我が家にシンバルはありません。ピアノやバイオリンならありますが...』

 

『やっぱりそうよねぇ~。音を鳴らすのは駄目だよねぇ~。でも、前世で病気で苦しんでいる人のために音楽会を開くことがあったからいけるかなと思ったけどやっぱり駄目だよねぇ~』

 

『シンバル鳴らしたところで音楽会にはならないわよ!音楽会を開くには楽器と人数が必要だわ!』

 

『病気で苦しんでいる人のために開く音楽会......チャリティーコンサート...』

 

 

 

「カタリナ。いつまで考え込んでいるのですか?」

 

私が脳内会議をしている間に、いつものメンバーが私の屋敷に集まっており、ジオルドたちが呆れた顔で私のことを見詰めていた。現実でも声(ヴォイス)のカードの封印するための作戦会議が始まっていた。

 

「全く...。メアリの声が奪われたというのに、ぼけっとしているのはお前くらいだぞ!」

 

「チャリティーコンサート...」

 

「はあ?チャリティーコンサート?いきなり何を言い出しているんだ?このアホ令嬢」

 

脳内会議で思い付いた言葉をそのまま呟いたら、アランに軽く頭を小突かれてしまう。

 

「義姉さん...いきなりなんでそんなことを言うのかな...。チャリティーコンサートって貧しい平民のために行われるもので、メアリは侯爵家の娘だからお金は困っていないんだよ」

 

「そうですね。何故カタリナがそのようなことを言い出したのは分かりませんが、仮にチャリティーコンサートをこちら側が善意で行ったとしても、相手側からしてみれば、ハント侯爵家は他人の施しを受けないと暮らしていけない一族だと思われて侮辱されたと怒る可能性があります。まあ、クラエス家はハント家よりも上なので怒ることはあまりありませんが、悪い印象を持たれるので止めた方が良いですね」

 

そうなんだ...。善意でも相手を怒らせてしまうことがあるのね...。貴族ってやっぱり難しいわね。私だったら素直に受け取ってしまうわ。

 

「チャリティーコンサートか...。いきなりなんでそんなことを言い出したんだ?」

 

ニコルがじっと見詰めてくる。

相変わらず凄いわね魔性のオーラ。このまま見詰め合っていたら意識が飛びそう。ただでさえ思い付いた言葉を呟いただけなのに、思い付いた理由を聞かれても...。ずっと見詰め合っているわけにもいかないし、理由は元からないから思い付いた時の言葉をそのまま言うしかないわね。

 

「びょ、病気で苦しんでいる人のために行うコンサートを思い出してね、それで、メアリを励ます音楽会を開いたら、音を誤魔化せるかなと思ったのよ!」

 

ニコルに見詰めながら答えたせいで焦ってしまったけど...上手く伝わったかしら。

私の話は上手く伝わったようで、怪訝な顔をしていたみんなも徐々にいつもの表情に戻っていく。暫くの間無言だったけど、ケロちゃんが腕を組みながら語り出した。

 

「わいとしてはありやと思うのやけどな。音を聞く状態になればみんな話しせんやろ。カタリナの口は軽いからな、喋らせない状況は作っておきたいんや。要は...相手にお金を渡さずに大袈裟にしなければ良いんやろ?メアリの婚約者であるアランは、音楽の才能があるみたいやし、二人の仲は悪くないんやから、メアリの為に歌を贈っても違和感は感じられへんやないか?個人のために行う音楽会さえも駄目なのか?」

 

「それくらいなら...不自然に思われませんが...。何故ケロちゃん、貴方がアランに音楽の才能を持っていることを知っているのですか?」

 

「あ―...それはな!カタリナがアランのことを、アラン様の演奏は凄いと褒めておったからな!それで知ったんやね!」

 

ケロちゃんが大慌てでジオルドに説明をしていた。

私...ケロちゃんの前でアラン様には音楽の才能があると言ったことがあったかしら?...まあ、友達を褒めることはよくあることだし、私が忘れていただけでケロちゃんに話をしたことがあるかも。それよりも...ケロちゃんはなんで慌てているの?そんなに焦ることなのかしら?

 

「...そうなのですか」

 

「ま、まあ!お前が弾いて欲しいと弾いてやっても良いぞ!」

 

いつもよりもテンションが低いジオルドと、やけに早口で何かを言い出すアラン。

なんだか変な空気になったけど、ケロちゃんが賛同してくれたことにより、声(ヴォイス)のカードを封印するための音楽会を開くことになった。

 

 

 

一週間後。

 

「ようこそハント家へ、御待ちしておりました」

 

「こちらこそ、御招待いただきありがとうございます」

 

長女であるリリア・ハントを筆頭に私たちに頭を下げる。私たちも挨拶をしてハント四姉妹とにこやかに挨拶をする。声を出せないメアリは一歩後ろに下がった場所に立っていた。

メアリは今すぐにでも私たちのところに行きたそうだったけど我慢していた。それでも表情は隠せなくて、私のことをうるうるした目で見詰めていた。

待っていてねメアリ!声(ヴォイス)のカードをいち早く封印をして声を取り戻すからね!

 

「本日はメアリを労る音楽会を開く許可を出していただき、誠にありがとうございます」

 

アランが綺麗にお辞儀をする。

いつも粗暴な態度が多いアランだけど、こうしてきちんと挨拶をしているところを見ると王家の人なんだなと実感をする。

 

「いえいえ、私たちにとってもメアリは大切な妹です。私たちもアラン様と同じ気持ちなので御協力をすることは至極当然のことでありますわ」

 

二人のやり取りを見ながら今日の作戦を振り返る。

先ずは普通にアランによる演奏会を始め、私とメアリは体調が悪くなりやすいということで部屋の隅で二人で固まる。演奏が盛り上がってきたところで体調が悪くったということで、私とメアリは部屋をこっそり抜ける。演奏をしている部屋から遠く離れたところで杖の封印を解き、音(ソング)のカードで声(ヴォイス)を誘き出して捕まえる。無事に終えたら、医者に扮した魔法省の人がメアリはもう大丈夫だと宣言をする。何かを聞かれたり、不振がられる前に私は体調が悪いことを理由にすぐに帰る。うん、完璧だわ。しかし......

 

 

今回はアランにかなり負担をかけることになるわね。何かお礼をしないと...お礼をするとなればアランの好きな物が良いよね。アランの好きな物って何だろう?...アランの誕生日にハンカチなど色んな物をプレゼントをしたけれど、誕生日プレゼントってどんな物でも嬉しい物だから、特別好きな物とは結び付かないのよね。物は思い付かないけど木登り、釣り、虫取、駆けっこなどの競争、ピアノの演奏、好きな遊びや行動なら思い付くのになあ......あ!そうだわ!

 

物が思い付かないのなら!特別な体験をプレゼントすれば良いのよ!

幸い!私にはクロウカードがある!特別な体験をさせることができるわ!どのクロウカードを使ってアランを喜ばせようかしら!甘(スイート)のカードで食べきれないお菓子を作ってお菓子パーティーを開こうかな。飛(フライ)のカードで私が2人乗りができるようになったら一緒に空を飛ぼうかな。凍(フリーズ)と創(クリエイト)のカードでアイススケートをしようかしら?

 

私が考え事をしているとメアリが私のドレスを引っ張る。どうやら考え事をしているうちに演奏会を始めようとしていたみたい。

リリアたちは心配してくれていたけれど、いつも一緒にいるメンバーはリリアたちに悟られない程度に呆れていた。

 

「クラエス様大丈夫ですか?」

 

「ええ、大丈夫よ。それよりもメアリのための演奏会を始めましょう」

 

「クラエス様が御無事なら良いのですが...メアリのために頑張っていただける御気持ちは嬉しいのですが無理はしないで下さい」

 

心配されてしまったが、無事に音楽会が始まった。

 

 

アランの演奏。いつ聞いても凄いわ。

そういえば...原作だとアランに音楽の才能があると知ったのは学園に入った後で、みんなの前で演奏をすることはなかったわね。どうしてアランは人前で演奏をするようになったのかしら...あ!そろそろ、曲も盛り上がってきたから抜け出さなくてわ!

 

「すみません、少し気分が悪くなったので別の部屋で休憩をさせてもらえないのでしょうか」

 

事情を知っている使用人に話して私たちは部屋を出る。

 

 

 

演奏をしている部屋から一番遠い部屋に着くと早速始める。

 

「闇の力を秘めし鍵よ。真の力を我の前に示せ。契約の元、カタリナが命じる。封印解除(レリーズ)!」

 

魔方陣いつ見ても綺麗だけど...今回のように気付かれてはいけない時に困るわね。音も光も気付かれないうちに早めに終わらせないと!

 

「奪われた声を再現したまえ!歌(ソング)!」

 

歌(ソング)のカードを取り出して杖の先に当てる。

杖から薄紫色の煙が出ると実体化した歌(ソング)が現れる。実体化した歌(ソング)はメアリの声を再現して歌い出した。暫く歌(ソング)が歌っているとピンク色のハーピーのような少女、実体化した声(ヴォイス)のカードが現れた。声(ヴォイス)のカードが来たところを確認してから歌(ソング)のカードを元に戻す。罠にはめられたと気が付いた声(ヴォイス)は急いで逃げようとしたが、魔法省の人が風の魔法で声(ヴォイス)の動きを阻害する。声(ヴォイス)が戸惑っている間に杖を振り下ろす。

 

「汝の在るべき姿に戻れ、クロウカード!」

 

逃げられないと悟った声(ヴォイス)は特に暴れることもなく、ピンク色の煙になってカードの形をした光の中に吸い込まれていく。声(ヴォイス)のカードの封印を終えると、ピンク色の小さい光の玉が現れてメアリの喉の中に入る。

声を取り戻せたメアリは何度か口を動かして確める。声を取り戻した実感をすると涙を浮かべて喜んでいた。

 

「カ...カタリナ様!」

 

声を奪われて怖くなっていたメアリは、私のところに駆け寄り力強く抱き締めてきた。

メアリ...声を奪われてしまって本当に怖かったのね。このままメアリの気が済むまで抱き合っていたいけど、早く帰らないといけないのよね。

 

「ごめんねメアリ、急いで帰らないといけないの」

 

「そんなあ...」

 

 

暫くの間、遊びに来たメアリは私に抱き付くようになっていた。慰める方法が思い付かなかった私は、メアリが抱き付いてきたらそのままにして、頭を撫でてあげることしかできなかった。

後、アランにお礼としてクロウカードで何をしてほしい?と尋ねたら物凄い勢いで拒否られてしまい、物でお礼をすると言っても断られてしまった...。そんなに嫌なのかな...あ!でも!空を飛べる飛(フライ)のカードには少し興味を示していたわ。やっぱり誰もが一度は空を飛んでみたいと願うものだよね。アランと一緒に飛べるようになるためにも、メアリみたいに被害者が出ても助けられるようにするためにも修行頑張るわよ!

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