乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったのに...さらに破滅フラグが舞い込んでしまった!?   作:オタクさん

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初めてクロウカードを使ってみました...

『これより第一回、クロウカード捕獲作戦会議を開幕します。では、何か良い案がある方はいらっしゃいますか?』

 

私の脳内で議長カタリナ・クラエスが宣言をする。

 

『はい!』

 

強気なカタリナ・クラエスが自信満々に手を上げる。

 

『ではどうぞ、カタリナ・クラエスさん』

 

『魔力を鍛えれば良いのよ!』

 

『でも...。今まで破滅フラグを回避するために訓練をしてきても、土ボコが数センチしか上がらなかったのに...。あのクロウカードを相手にできるのでしょうか?』

 

弱気なカタリナ・クラエスが反論をする。

 

『じゃあ!仲良くなれば良いのよ!さくらちゃんが仲良くなったように、カタリナ・クラエスにも仲良くしてもらうのよ!』

 

今度はハッピーなカタリナ・クラエスが提案をする。

 

『でも...どうやって...仲良くなるのですか?それこそ、お父様が言ったように、相手は話すことができないです』

 

『あれ?確か...一部のカードは話せたと思いますが?』

 

『でも......。一部のカードだけですよね』

 

弱気なカタリナによって、場は悪い雰囲気に変わってしまった。

 

『ちょっと思い出したことがあるので、あれをご覧ください』

 

真面目なカタリナ・クラエスがスクリーンを用意する。

 

スクリーンには前世の懐かしい記憶が映る。

お墓が映っており、お線香を燃やしてお祖母ちゃんが手を拝んでいた。

 

『良いかい。御先祖様はね、常に私達を見守って下さっているのよ。だから、水とお線香をあげて、感謝を伝えるのよ』

 

夏休みのお盆の時期に、田舎のお祖母ちゃん家に遊びに来た私が、墓参りをしている時にお祖母ちゃんから説明を受けているシーンだった。

 

『懐かしいわ~。この時期のスイカやお萩、とても美味しかったわね~』

 

『で...!この話とクロウカードがなんの関係あるのよ!』

 

『確かに...。クロウカードとお盆の話はなんの関係もありません。ですが......』

 

 

『感謝の気持ちを述べれば、御先祖様のように、我々を守ってくれる存在になってくれるのではないのでしょうか』

 

『!?!?』

 

真面目なカタリナの発言はみんなを驚かせる。

 

『どのような人であっても感謝の言葉で、気を悪くする人はいません!感謝の言葉こそが、仲良くなるキーワードではないのでしょうか?』

 

『確かに...ありがとうって言われて、気分が悪くなることはありませんよね...』

 

『前世でお母さんに叱られるよりも、褒められた方が嬉しかったわ!』

 

『ありがとうと言う言葉良いよねぇ~』

 

『では...感謝の言葉を述べるとしましょう。ですが...この世界にはお線香がありません。水はともかく、お線香がないと効果が薄いのでは?お線香も欠かせない物と、お祖母ちゃんから教わりましたし...』

 

『だったら、アロマキャンドルを焚けば良いのよ~。とても良い匂いだから、きっと気に入ってくれるわ~』

 

『それだあ!!』

 

ハッピーなカタリナの意見によって、場は良い雰囲気に変わっていく。

 

『では、食べ物も用意しておきましょう。御先祖様にご飯などの食べ物を用意しておりましたので、何かあげるべきではないのでしょうか?...お供え物の定番物であるご飯やお萩などは無いので代わりに...クッキーやマカロンなどのお菓子、畑で収穫をした新鮮な野菜でよろしいのでしょうか?』

 

『異議なし!』

 

『だったら!水の代わりに紅茶にするわよ。水では素っ気ないわ!』

 

『では...。自分でお菓子を作ることはできませんが、紅茶なら自分で入れた方が心が伝わると思います。あと...それだけでは気持ちが足りないと思うので、持っているカードは毎日、タオルとかで丁寧に磨いて上げるのはどうでしょうか?』

 

『ピカピカなったら気持ちいいと思うから、良いんじゃない』

 

『もちろん、魔力を鍛えることも忘れずにしましょう。捕まえなければ意味がありません』

 

『では.........』

 

 

『毎日お菓子や新鮮な野菜をあげて、紅茶もいれて、感謝の言葉を述べてカードを丁寧に磨く。そして、カードをちゃんと捕獲出きるように、魔力を今まで通りに鍛えると。...ということで皆さん、よろしいですかな?』

 

『異議なし!!!』

 

議長カタリナが締めくくって、私の脳内会議は閉幕するのであった。

 

 

 

「義姉さん...何をしているの?」

 

「お嬢様、一体何をしていっらっしゃるのですか?」

 

私を怪訝な目で見る義弟のキースと召使のアン。

 

私は脳内会議で決めたことをしていたのだ。

カードを収容した本の手前に、アロマキャンドルを焚いて、今日貰ったお菓子と自分で注いだ紅茶を置いている。もちろん、手と手を合わして拝む体勢だ。

 

「カタリナ......。おまえさん、なにしてんねん!」

 

ケロちゃんにも呆れらてしまった。

...ケロちゃんって日本の漫画出身だから、お参りとか知ってそうなんだけどなあ....。

 

「カタリナ、遊びに来ました...よ...」

 

「お前また何やっているんだよ!」

 

「カタリナ様!遊びに来ましたわ...」

 

「カタリナ様...?」

 

「カタリナ...」

 

遊びに来たジオルド王子、アラン王子、アラン王子の婚約者メアリ、宰相の息子のニコル、ニコルの妹のソフィアが遊びに来たのだが、全員に呆れられてしまった。

この行動って、そんなに可笑しなことなのかしら?前世で住んでいた日本の習慣なんだけどなあ...。

 

「カタリナ...何をやっているのですか?」

 

ジオルドが呆れながら聞いてきた。

う~ん...。質問には答えられるけど...。みんな、クロウカードの件で責任を感じているから...あまり話題には出したくないわ...。それに仲良くなるって言ったところで、信用できないと思うし...。でも、説明しないと終わらないよね...。

 

「ジ、ジオルド様、あの、これはですね...。......そう!これは!お供え物です!!」

 

「...お供え物ですか...?」

 

「ええ!そうです!お供え物です!」

 

私は咄嗟に脳内会議で出した答えの一部を言う。

 

私の答えに訳が分からなくなったジオルドたちは、きょとんとして首を傾げる。

しかし...お供え物って言うと...なんだかなあ...。クロウカードが死んでいるみたいでなんか嫌だ。あれ...?そうなると......。私の行動自体駄目じゃん!あ!でも!お供え物は御先祖様だけではなくて、神様にもあげていたような気がするわ!......でも、神様ってクロウカードみたいに悪さをするの?あ...私には悪さをしているわね。...お供え物をあげたら少しは状況が良くなるかしら?

 

「お供え物ってなんだ?」

 

アランが尋ねてくる。上手い説明が思い付かない私はその場で固まってしまう。

どうしよう...。なんて答えよう...。...あ!閃いたわ!

 

「お供え物って言うのは、自分の好きな食べ物をあげる代わりに、守ってもらうことよ!」

 

「自分の好きな食べ物をあげる代わりに...」

 

「守ってもらうこと...」

 

メアリとソフィアがきょとんとしながらも私の言ったことを呟く。メアリとソフィアは納得したと言うよりも、考えが追い付いていない感じだった。

 

キース、ジオルド、アラン、ニコルの男子メンバーは物

凄い形相で私の話を否定してきた。

やはり、クロウカードのことが嫌いみたいだ。

 

「義姉さん!一体何を考えているんだ!そんなこと、無理に決まっているよ!」

 

「カタリナ...食べ物をあげたところで、助けてくれるとは、とても思えませんが....」

 

「はぁ!?お前じゃないんだから、食べ物なんかで連れねぇよ!」

 

「カタリナ......。食べ物では仲良くできないと思う」

 

「あらそうかしら?確かに食べ物は食べれないけど、気持ちだけでも嬉しいと想いますよ」

 

私の話を否定する彼らの気持ちは、正直に言えば正しいと思う。だけど根拠はある。

私の話で例えるのなら、マナーがそれなりに出来ている私に、マナーの本を渡してくるお母様だ。マナーの本を渡してくるのだったら、お菓子とか、鍬とか畑道具の方が良いわ。それでも、お母様が心を込めてプレゼントをしてくるのだから嬉しい。だから...相手にとって本当に必要な物ではないと、喜ばないのかと言われれば、私は違う!と断言出来るわ。それと......

 

 

召使のアンもそうだからだ。

はっきり言って私のプレゼントは、アンが本当に欲しかった物とは言えないし、役に立っているとは思えない。それでもアンは、私からのプレゼントを心から喜んでいると思っている。きっと、我が儘だった頃から世話をしてくれていたのだから、報われて嬉しかったのであろう。

 

だから、気持ちを伝え続ければいつか、想いが通じると思うわ!!

 

「みんなの言う通り、食べ物を貰っても嬉しくはないと思う。...けど、気持ちを伝えることが大事だと思うの。それに...初めから、何もできないと思って諦めていたら、本当に何もできない。たがら、やるということが大事だと思うわ!例え、気持ちが伝わらなくても!」

 

良いことを思い付いた私は得意気に語る。

最後にバシッと決め台詞を決めて、みんなの反応を伺ってみると...。

 

 

みんなの様子が可笑しくなっていた。

ジオルド、キース、メアリはずっと下を向いていた。ソフィアは笑ってくれたが、口元がピクピクと引きずっていた。ニコルもいつもと同じ仏頂面なのに、心なしか固まっているように見える。アンとケロちゃんは、かなり呆れてずっと溜め息をついていた。アランだけが様子は変わっていなかった。けど、みんなの変わりように戸惑っていた。

 

「まったくもう...おまえさんは...。もうこの話をしとると、他の奴らが可哀想やから、流れを変えるか。...せや!カタリナ!クロウカードを使ってみんか?」

 

「クロウカードを使う?なんでいきなりそんなことをするの?クロウカードを使う時って、他のクロウカードが暴れてからではないの?」

 

ケロちゃんからの提案に私は首を傾げる。

漫画やアニメを思い出すけど、さくらちゃんはクロウカードを必要な時以外は使わなかったわ。なのに私用で使っても良いのかしら?

 

「悪用しなければ好きな時に使っても構へんで。それに、おまえさんの力がどんなもんか、見とかなければいけへんしな。何か使ってみたいカードはあるか?」

 

「じゃあ!翔(フライ)のカード!空を飛んでみたいわ!!」

 

「え!?あの鳥のカードですか?!言うこと聞いてくれるのですか?」

 

「ジオルド様、翔(フライ)のカードを使った時の姿は鳥の姿をしていません。杖に羽が生えるのです」

 

「杖に.........羽が............生える.........」

 

「ほんと...なんでもありだな......」

 

私はカードを使えることにウキウキしているけど、ジオルドたちはやはり怖がっている。そこで説明をしたのだが、理解できなくなって呆然としていく。

...うん、これ、説明は難しいわ。でも、本当のことなのよねぇ...。やって見せた方が早いわ。

 

みんなにクロウカードを見せるために、私の提案の元庭に集まってもらうことにした。

 

 

 

「闇の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の元カタリナが命じる。封印解除(レリーズ)!」

 

杖を大きくして、翔(フライ)のカードを取り出す。

 

「翔(フライ)!」

 

杖を振り回しながら宝石の先端にカードを当てる。カンッ!と甲高い音が鳴り響き変化が訪れる。

 

宝石の真横に白い羽が生える。

......あれ?羽ってこんなに小さかった。さくらちゃんの時よりも、一回り二回り小さいのだけど......。人一人が限界そう...。やっぱり...魔力が少ないとこうなるの?

 

「おー...」

 

「凄いですわ!カタリナ様!」

 

「凄いです!カタリナ様!」

 

でも事情を知らないみんなは感心をしている。

 

「カタリナ...。頑張ろうな」

 

ケロちゃんだけは私の肩を優しく叩いた。

やっぱり少ないんだ...。まあ、気を取り直して!空を飛ぼう!

 

私は杖に股がる。

羽が何回かその場でパタパタさせると、あっという間に空へと上がる。小さくても力強いのね。

 

屋敷の屋根よりも高く、お気に入りの木より高く、どんどんと上へと上がっていく。いつの間にか、みんなの姿が見えなくなる程。

 

「わー.....」

 

私の目の前には美しすぎる光景が広がる。

遥か先の地平線、遠くの町、森や湖などの豊かな自然。手を伸ばせば雲だって掴めそうだ。私は今、誰もが憧れた空を飛んでいる。

行き先はどこにでも良い。とにかく飛びたい。

 

興奮した私は行き先もわからず飛んでいく。

 

「...カタリナ?って、おい!どこに行くんや!遠くに行ったら、ジオルド達が心配するで!あーもー!調子に乗るなさかい!」

 

そう魔力を使いすぎた私は一瞬クラっとしたが、なんとか体勢を整える。

 

「カタリナ、下に降りるで」

 

「うん...降りるわ...」

 

絶対に魔力をつけて!もっと空を飛ぶんだから!そう決意しても、今の私は虚しく降りるしかないのであった。

 

 

 

「カタリナ...調子に乗っては駄目ですよ」

 

「全く...義姉さんたら...」

 

「お前、何してんだよ...」

 

「カタリナ様ったら」

 

「そこがカタリナ様ですね!」

 

「............」

 

「もう...お嬢様は......」

 

疲れた私を待ち受けていたのには、呆れてながら待っているみんなだった。調子に乗ったことは事実なので、大人しくする。

......みんなも空を飛んだら興奮すると思うけどなあ...。

 

「まあ...空を飛んだら、気分が上がるのは仕方ないことや。それよりも、魔力を鍛えないといかんな。今みたく、翔(フライ)のカードで練習すればええやろ。せや...どのぐらい範囲ならバレへんで?」

 

ケロちゃんが私のことをフォローしてくれた!嬉しいわ!もう仲良くできているなんて!

 

「ここら一体はクラエス公爵家の敷地内だから、バレることはないよ」

 

「なら、低空飛行で練習や。羽が小さいから、周りにぶつかる心配は低いやろ」

 

「えっ?あの羽って、そんなに小さいのですか?」

 

「ああ、あれは小さい方や。本来はもう二回りあっても可笑しくはないからや。二人乗りぐらいは余裕や」

 

「二人乗りが...」

 

「出来る...」

 

私が感動している間に話は進んでいた。

もう本来の大きさではないっていうことをバレてしまったのね...。というか...やっぱりみんなも空を飛びたかったじゃない!二人乗りが出来るとケロちゃんに言われてから、目をキラキラさせているわよ!私の目は誤魔化せないわ!

 

「カタリナ...。頑張りましょう!そしていつか、二人で空で...」

 

「ジオルド様、抜け駆けは駄目です。それに...あんな高い場所で二人きりとは...義姉さんの身に何かあってからでは、遅いですから」

 

「キース、君はただの義弟でしょ。いい加減姉離れをしたらどうですか?それに僕は、カタリナの婚約者ですよ。デートくらい当たり前のことです」

 

「それは、今はでしょ。義姉さんには王様の妃は務まりません。それに僕だって、義姉さんのことをひとりの女性として見ていると、伝えましたからね」

 

「えっ?この騒動中にですか!?」

 

「ええ...。......そうでもしないと、義姉さんの考えが酷すぎたので......」

 

「酷すぎた...?一体何があったのですか?」

 

「実は...」

 

「やはり殿方はみんな狼ですわ。カタリナ様~!私と一緒に、愛の逃避をしませんか!」

 

「あ、皆さん狡いです!私も!...お兄様も、積極的に行動しないと遅れますよ」

 

「いや、俺はいいよ...」

 

「お前ら、何言っているんだ?下手に飛びに行ったら見付かると思うが...」

 

「それもそうですよね...。...私も、一緒に飛んでみたかったですが...。やめた方が良いですわね」

 

「よーし!みんなと一緒に空飛べるように頑張るわ!」

 

「こいつら...空を飛びたい理由が下心ありすぎやろ...」

 

やっぱり空を飛ぶことはみんなの夢なんだわ!そうだ!このことを切っ掛けに、クロウカードを嫌われなくなるようにすれば良いんだわ!もしかしたら、お母様とだって、一緒に空を飛べば仲良くできるかもしれないわ!

よし!この調子で頑張っていくわよ!

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