乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったのに...さらに破滅フラグが舞い込んでしまった!?   作:オタクさん

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暫くの間は他のキャラクター視点となります。今回はソフィア視点です。


本棚が滅茶されてしまった...

最近私は、とある理由でお洋服作りを始めました。

ですが、とても難しくて中々上手くいきません。幸い、ドレス作りの本がありましたので頑張ればどうにかできそうです。

 

材料を集めて、今日も夜遅くまで頑張ろうと張り切っていたところ...

 

コンコン

 

「ソフィア、今日も裁縫か?」

 

「はい、お兄様」

 

お兄様が私の様子を見に、部屋のドアをノックして入ってくる。

裁縫で傷だらけの手をお兄様は、憂いた表情を浮かべるのですが、私、ソフィア・アスカルトは、カタリナ様に喜んでいただくため、今日も頑張ってドレスを作ります。

 

 

 

カタリナ様がクロウカードの封印を解いて早三ヶ月。私達を取り囲む環境は一気に変わりました。

カタリナ様以外の皆様は、この世の終わりを迎えたかのように、暗い雰囲気に捕らわれました。私も悲しみのあまり、泣きながらベッドに入りました。ですが、その日の夜夢で、木之本桜と呼ばれる少女が頑張ってクロウカードを封印をするところを見ました。

 

私は夢の中で頑張っている少女を見て思いました。

泣いているだけでは駄目だと。あの少女のように頑張らなければいけないと。

 

カタリナ様の言う通り、頑張れば誰も怪我をしなくて済むのです。私もカタリナ様と同じように、笑顔で立ち向かうことを決めました。

皆様もただ泣いているわけではありません。

お兄様、ジオルド様、キース様、アラン様、メアリ様、アンさんはカタリナ様の役に立てるように、魔力や剣の腕を磨きあげたり、常にお傍にいてすぐに立ち向かえるようにしております。私もドレスを作るだけではあらず、魔力の訓練を行います。

 

けど、お兄様は言うのです。

 

「ソフィア、危険だから逃げても良いんだよ」

 

「お兄様、私は逃げたりしません」

 

私はいつもこう言うけど、お兄様は困ったような笑みを浮かべるだけでした。

お兄様の方こそ、夜遅くまで剣を振り、魔力の鍛練を念入りに行っています。しかも稽古や習い事を休まず、きっちりと行っている。お兄様が倒れなければいいのですが...

 

それに、私にはとある目的があります。それは...

 

 

 

お兄様とカタリナ様をくっつけるのです!

恋は危機的状況の中で生まれ燃え上がると、ロマンス小説で何度も見ました!危機的な状況とお兄様の魅力を持ってすれば、カタリナ様を落とせるはずです!

 

夢の中で見たクロウカードの中には、部屋に閉じ込めるものがありますわ。その時を見計らって、お兄様とカタリナ様を二人きりすれば...

 

完璧ですわ。

お兄様とカタリナ様をくっつけるチャンスを絶対に逃したりしません!ですが...。先に剣(ソード)のカードの前に現れたりしたら、一溜りもありません...。そうならないように、祈るしかありませんわ。

 

なんだか先のことを考えると不安になってきました...。こんな時は!あの木之本桜の周りを思い出すのです!

あの夢の中では男の人同士、女の人同士、歳の差関係なく、誰もが恋に落ちていました!なんとも素晴らしいことですわ!私達もあのような姿になるべきですわ!

 

「...ソフィア、ソフィア!」

 

「お、お兄様!?」

 

「...また考え事をしていたぞ」

 

「...!ごめんなさい。お兄様」

 

色々と考えていたら、お兄様に心配されました。

次からは心配されないように気を付けなければ。

 

「色々と考えることがあるのはわかるけど、張り詰めて倒れてしまったら、意味が無いんだ。...ただでさえ、カタリナが危険なってしまっているのに、ソフィアまで倒れてしまったら...」

 

「大丈夫ですわ。お兄様。頑張って立ち向かえていれば、誰も怪我は致しません」

 

「......ソフィアも、カタリナも、同じことを言うよな。俺からしてみれば信じられないが...」

 

お兄様は私の意見に納得しませんでした。

当然のことですわ。私もあの夢を見るまでは、カタリナ様の言葉が信じられなかったですもの。

 

「まあ...この話になると切りがないから話を変えるけど、そのドレス...カタリナは着てくれないと思うぞ。俺が贈ったドレスを着て、クロウカードを封印をしたのは偶々だ」

 

「大丈夫ですわ。お兄様。ドレスを渡す時、あの言葉を言いながら渡せばいいのですから...」

 

 

"こんなこともあろうかと、コスチュームを、ご用意致しました"

あの黒髪の少女、大道寺知世は、そう言ってドレスを渡していました。だからカタリナ様にも、そう言って渡せば受け取ってくれると思います。

 

しかし...あの少女は本当に凄いのですね。

あんなにも可愛らしいドレスをなん着も作れるなんて...私は一着作るだけで、時間が大分かかってしまいます。...ただ、一つだけ、言いたいことがあります。

 

 

スカートの丈が短すぎませんか?

私が作るとしてもあの丈の短さは...

 

「ソフィア...疲れているようだね。明日のこともあるし、今日はもう寝た方がいい」

 

また私の考え事で、お兄様を心配させてしまいました。

それよりも明日...?...思い出しましたわ。明日はカタリナ様とキース様とケロちゃんがこの屋敷に遊びに来ますわ。お兄様の言う通り今日はドレス作りを諦めて、早めにお休みしましょう。

 

「お兄様、お休みなさい」

 

「ああ。お休み、ソフィア」

 

お兄様は優しげな微笑みをかけてから、部屋を出て行きました。私も明日のために、ベッドに入ってお休みします。けれども明日のことを考えると、ウキウキして眠れませんわ。

この頃、カタリナ様と本を読む時間はめっきりと減ってしまいましたから...。カタリナ様はクロウカードを封印をするのにお忙しくて...私も魔法の腕を磨いたり、ドレスを作ったりして、本をあまり読んでいませんから、明日はいっぱい本を読みましょう。

 

楽しいことを考えていると、私はいつの間にか眠りについていました。

 

 

 

「こうしてソフィアと本を読むのは久し振りね」

 

「ええ、そうですわね。カタリナ様」

 

待ちに待ったカタリナ様との小説トーク。

カタリナ様とこうして本人について語っていると、初めてお逢いしたことを思い出して、とても感慨深くなります。

 

だけど、今はあの時とは違って二人きりではなく、お兄様とキース様とケロちゃんもいます。

やはり、クロウカード騒ぎを警戒しているのでしょうか、お兄様もキース様も辺りの様子を伺っていますわ。

 

コンコン

 

私がお兄様とキース様を見ていたら、誰かが書庫の部屋の扉を叩きました。

 

「失礼いたします」

 

召使のローナさんがお茶とお菓子を持って、部屋に入ってきました。

 

「カタリナ様、キース様、ニコルお坊っちゃま、ソフィアお嬢様、お茶とお菓子でございます」

 

「ありがとうございます。いただきます」

 

「ありがとうございます」

 

カタリナ様は笑顔で早速お菓子を口に入れて、キース様は優雅にお茶を飲む。私とお兄様もお茶を一口飲む。ケロちゃんは名前を呼ばれなくて、少しむすっとしていた。

私たちが一息つくと、ローナさんが重たそうに口を開く。

 

「...皆様方に大事なお話があります」

 

ローナさんがそう言うと、扉を開けて二人の男性が部屋に招き入れました。二人はとても体格が大きい方でした。

 

「こちらの方は、皆様を守る護衛の者でございます。常に皆様方のお側にいることになりますが、気にしないで下さい。普段はいないものと扱ってもらっても構いません」

 

私達が有無を言う前に、男性二人の自己紹介が始まりました。

 

「初めまして、私の名前はマックス・リトリーと申します。宜しくお願い致しします」

 

金髪のお方はマックス・リトリー。

私達に深いお辞儀をして自己紹介をする。

 

「フランク・ホーキンスです。宜しくお願いします」

 

銀髪のお方はフランク・ホーキンス。

彼は軽く会釈して自己紹介をする。

 

「では、皆様、ごゆっくりと御過ごし下さい。何かご用がありましたら、いつでもお声を掛けて下さい。私は失礼いたします」

 

最後にお辞儀をすると、用事を終えたローナさんが部屋から出て行く。お兄様が急いでその後を追い掛ける。

 

部屋に取り残された私達は呆然としてしまう。

護衛のマックスさんとフランクさんは、まるで影のように黙って立っていますが、ケロちゃんに向ける視線がとても怖いです。怖くなったケロちゃんはカタリナ様の肩に乗って逃げます。

 

「ソフィア...これは...」

 

「ええ、キース様、実はもうバレてしまいまして...」

 

「やっぱり...」

 

「なんで!?もうバレているの!?」

 

カタリナ様が大変驚いていますが、あんな騒ぎがありましたらその日のうちにバレます。

私たちの場合は、召使の人がお父様とお母様に報告をしていました。騒ぎを知ったお父様とお母様は、私とお兄様のことを、泣きながらぎゅっと力いっぱい抱きしめました。私も安堵のあまり泣いてしまいました。泣いた私を見て、お母様は無事で良かった...。とさらに涙を流しました。

 

その日の夜、家族で会議を行いました。クロウカード騒ぎの中心であるカタリナ様とどう接するか。

私とお兄様は、カタリナ様を見捨てたくない!ということで、これからもカタリナ様と遊ぶに行くと決めました。けどお父様とお母様は、あまり納得をしていませんでした。そこで妥協案として、護衛の人をつけることにしました。ですが、今日いきなり、護衛の人がつくとは思いもよりませんでした。

 

いきなり護衛の人を連れてくるのですから、お兄様は驚いて聞きに行ってしまいました。

けれども、カタリナ様は全然気にしていないようです。それよりもバレていたことに驚いています。

 

こうしている時間も勿体ないことですし、ロマンス小説の話を進めましょう。

 

「カタリナ様!この本がオススメですわ!」

 

「へぇー、それは一体どんな内容なの?」

 

「この本は怪我をした少女が、その土地の領主様に救われて、恋に落ちる話ですわ!少女は領主様の恋心を伝えようとするけれど、少女と領主様はあまりにも年齢が離れていたため、少女は相手にされませんでした。ですが、少女は諦めきれず、領主様に想いを伝え続けるのです!とても健気な話で素敵ですわ」

 

「そうなのね...。ねぇ、ソフィア、この本は...」

 

「あ、その本ですか?その本は読み途中ですが、とても面白いですわ!」

 

カタリナ様が本棚から一冊の赤い本を取り出す。

 

「これは、一体どんな内容なのかしら?」

 

私が本を薦めると、カタリナ様はウキウキと楽しみに話を聞いてくれる。私はその気持ちに応えるため、頭の中で要点をまとめてから語り出す。

 

「その本は、一人の女性を巡って、二人の男性が争うのですが、争っているうちに、二人の男性が恋に落ちる話ですわ!」

 

「...ゴホ!!」

 

「ちょ!?キース!大丈夫!?」

 

「キース様?!」

 

私が力説していると、キース様がお茶を吐いてしまいました。この状況にカタリナ様、ケロちゃん、護衛の人のマックスさん、フランクさんも慌てています。私も驚いてハンカチを差し出すのに精一杯ですわ。

 

「キース様、大丈夫ですか?」

 

「ソフィア...君は...義姉さんになんでその本を薦めたの?」

 

「?とても面白かったからですわ」

 

「...そう...僕は何も言わないよ......」

 

キース様はとても疲れた表情になりました。

何がいけなかったのでしょうか?

 

「ね、ねえ!ソフィア!」

 

「カタリナ様?どうかなさったのですか?」

 

私が疑問に感じていると、カタリナ様から勢いよく声を掛けられました。

 

「ほ、他にお薦めの本はないかしら?」

 

「他ですか?他は...」

 

この頃本を読んでいなかったから、お薦めの本がもうないですわ...。なかったら、いっそ...

 

「一緒に本を探しませんか?」

 

「ええ、良いわね!そうしましょう!」

 

カタリナ様が私の背中を押す。

 

「カタリナ様、そう急かさなくても本は逃げませんわ」

 

カタリナ様に背中を押されて、私は書庫の部屋を奥に行く。その際に、とても疲れたそうにしているキース様の肩をケロちゃんが、優しく叩いているところを遠目から見えたのでした。

 

 

 

「本当にソフィアのお家は本がいっぱいね」

 

「ええ、一通りは揃えていますわ」

 

カタリナ様が嬉しそうにして下さる。それだけでとても嬉しですわ。もっと本をご紹介しなくては!

どの本を読みましょうか...あ、思い出しました!お薦めの本がまだありましたわ!でも、どの本棚に置きましたのでしょうか...。あまり覚えていません...。

 

「カタリナ様、お薦めの本がありますが、場所を覚えていなくて...一緒に探していただきませんか?」

 

「ええ、良いわよ。本のタイトルは?」

 

「呪いの姫様と一人の騎士ですわ」

 

「その本は一体どんな内容なの?」

 

「とある王国の姫様が、十三歳の誕生日の日に呪われてしまい、お姫様の周りでは様々な厄災が訪れて、誰もが離れていってしまいます。常に傍にいてお世話をしてくれた従者も、ずっと仲良かった親友も、最愛のお父様とお母様も離れていきました。ですが、姫様に一目惚れをしていた若い騎士だけは、姫様の傍を離れませんでした。このお話は、呪いに立ち向かう姫様と騎士の物語ですわ」

 

「なんだかその話...。今の私達と状況が似ているところがあるわね...」

 

私もカタリナ様と同じ、この本の話に親近感を覚えました。

だから、カタリナ様にオススメをしたかったのでしょうか...

 

「そうですわねカタリナ様。この呪いの姫様と一人の騎士と状況が似ていますわ。けど...私たちは、カタリナ様を見捨てたりしません!私も!お兄様も!キース様も!ジオルド様も!メアリ様も!アラン様も!アンさんも!みんなみんな!カタリナ様のお傍を離れたりしません!」

 

私は思わず泣きながら想いを叫んでいました。カタリナ様をきょとんと私を見ています。私が言い終えると、優しく微笑みを返し、私の手を握って下さりました。

 

「ソフィア...。本当にありがとうね。けど、本当に危なくなったら、逃げてちょうだい」

 

「私たちは絶対に逃げたりなどしません!」

 

私はこの本をお薦めしたかっただけはなく、自分の想いを伝えたかったようです。

 

 

 

「その本、見付からないわね...」

 

「そうみたいですわ...」

 

カタリナ様は私が落ち着くのを待って下さると、その本が読みたいと仰り、探しに行くことになりました。

けれども、呪いの姫様と一人の騎士は見付かりません。どこに仕舞ったのでしょうか?......あれ?私はいつの間にか本を適当に仕舞っていたのでしょうか?タイトル順になっておりません。私も気を付けていますが、召使の人達もここを掃除をしているので、こんなことはあり得ませんわ。

 

「私、ローナさんに聞きに行ってきますわ。カタリナ様はここで待っていて下さい」

 

私はそう言ってローナさんを呼びに行きました。

 

 

 

 

「このように散らかし放題で申し訳ございません」

 

ローナさんは本棚を見ると顔を青ざめ、慌てて謝りました。

 

「気にしないで下さい。探せば良いだけのことですから」

 

カタリナ様は笑顔で気にしていないと伝えますが、ローナさんの気が収まりません。

 

「そうはできません。カタリナ様とソフィアお嬢様は、休んでいて下さい。私が本を持って参ります」

 

ローナさんはお辞儀をして本を探しに行きました。

 

「本がなくなる...。そういえば、カードキャプターさくらにも、こんな話があったような...」

 

「そうですわね。カタリナ様。確か...移(ムーブ)のカードでしたわ」

 

「そうそう!さくらちゃんと小狼君の読書感想文に使う本を瞬間移動させたのよね!....って!?ソフィア!?なんで!?ソフィアが知っているの!?」

 

「私もカタリナ様と同じ夢を見ました」

 

私の言葉にカタリナ様を大分驚かせてしまいました。カタリナ様は驚きのあまり何か呟いていますが、すぐに尋ねてきました。

 

「それって...クロウカードを封印する少女の夢?」

 

「はい!」

 

「えーー!?!?」

 

カタリナ様は自分しか見ていないと思って、驚きのあまり屋敷中に響く程叫んでしまいました。その声にキース様、ケロちゃん、ローナさん、護衛のお二方、離れていたお兄様が集まって来ました。

 

「義姉さん!」

 

「どないしたんや!?」

 

「カタリナ様、何かございましたのでしょうか!?」

 

「カタリナ!」

 

「別になんでもないわ!ただ、ソフィアも私と同じ夢を見たって聞いて、驚いただけよ」

 

カタリナ様の説明に、今度は私の方に視線が集まりました。

 

「えっ...ソフィアも義姉さんと同じ夢を見たのかい?」

 

「はい。カタリナ様と同じ、カードキャプターの少女の夢を見ました」

 

私がカタリナ様と同じ夢を見たと言うと、先程以上に皆様の驚きが大きくなりました。

 

「そうなんや...。ということは、おまえさんにも資格があったちゅうことや。けど、なんで今さら、そんなことを言うんや?」

 

「それはですね...。今の状況がクロウカード騒ぎと似ていたからです」

 

「そうか....って!?なんやって!?」

 

ケロちゃんはクロウカードの気配に気が付いていなかったようです。

そういえば...夢の中でも気配を読み取りづらいものが、幾つかありましたわ...。

 

「それって...どんな騒ぎを起こしたんだ?」

 

お兄様が私に優しく尋ねてきます。私はゆっくりと勿体ぶって答えました。

 

「えっと...本をどこかに隠されました」

 

「それだけですか?ソフィアお嬢様」

 

「はい、そうです」

 

「なんと...子供の悪戯レベルのクロウカードですね。...大したことがなくて良かったです...」

 

ローナさんは安堵の溜め息を吐きました。

 

「クロウカードが暴れているのに、そこの守護獣とやらは、気が付かなかったんだ?」

 

「それは...魔力が少なかったからだわ!魔力が少ないと気配を感じずらくて、屋敷も広いから...」

 

フランクさんがケロちゃんを責めるように問い掛けますが、カタリナ様が思い出しながらフォローしました。

 

「これがクロウカードの現象なら、早速カードキャプターカタリナ様の出番ですわ!」

 

高揚した私はカタリナ様のいつもの呪文をせがむ。

 

「ソフィアったら...」

 

カタリナ様は私に苦笑いをすると、真剣な表情になって呪文を唱え始める。

 

「闇の力を秘めし鍵よ。真の力を我の前に示せ。契約の元、カタリナが命じる。封印解除(レリーズ)!」

 

呪文を唱えた瞬間、カタリナ様の足元には黄金色の魔方陣が現れる。カタリナ様が首のペンダントを外すと、鍵は段々と大きくなって杖となる。

いつ見ても最高ですわ!カタリナ様!

 

「唱えたのはええんやけど、どうやって探すか...」

 

「そんなの簡単よ!変化があったところを叩けばいいのよ!」

 

「ね、義姉さん...。そんな単純な話ではないと思うけど...」

 

キース様が呆れていらっしゃってますが、私としては自信いっぱいのカタリナ様は格好いいです!

 

カタリナ様は異変があった本棚の前に辿り着くと、早速杖を振り回しました。

 

「汝の在るべき姿に戻れ、クロウカード!」

 

結果は杖を本にぶつけるだけでした。

 

「あれ?可笑しいなあ...。ここではないみたいねえ...。まあ、次行きましょ!」

 

カタリナ様は特に気にすることなく、次の本棚に移動をする。

 

「汝の在るべき姿に戻れ、クロウカード!」

 

またもや結果は杖を本にぶつけるだけでした。

 

「ここでもないか...」

 

カタリナ様はめげずに杖を振り回します。

 

「汝の在るべき姿に戻れ、クロウカード!」

 

「汝の在るべき姿に戻れ、クロウカード!」

 

「汝の在るべき姿に戻れ、クロウカード!」

 

杖を振り回すカタリナ様の姿は、まるで土竜叩きみたいです。...土竜叩き?なんで私はそんなことを思い付いたのでしょうか?

 

何度目かはわからないけど、終に杖が本棚の手前でカンッとぶつかり、甲高い音を鳴らす。

だけど...

 

黄色の本が落ちて羽の生えた竪琴が空を舞う。

このまま逃げるようですが、逃がしません!

 

「逃がしません!」

 

「そこか!」

 

私とお兄様の風の魔法で本を包み込む。

そこにカタリナ様がすかさず杖を振る。

 

「汝の在るべき姿に戻れ、クロウカード!」

 

今度こそ、クロウカードは光に包まれて元の姿へと戻る。

本当にロマンス小説みたいで素敵ですわ!

 

魔力を使いすぎたカタリナ様がよろける。そんなカタリナ様をキース様が受け止めていました。

...そこは、お兄様が受け止めるべきですわ!

 

お兄様に合図を出しても、苦笑いを浮かべるだけで行きません。

...もう、お兄様ったら!

 

「ソフィアお嬢様、探していた本が見付かりましたね」

 

私が皆さんの様子を見ていると、ローナさんから黄色の本を渡されました。

 

「ありがとうございます。ローナさん」

 

私は黄色の本を受け取り抱き締めました。自分の想いを示すために。

私は、私達は、これからも、この本の登場人物のように逃げないで、一人の騎士のように、立ち向かっていきます。




やはり、少しシリアスな場面が入ります。

他の話でも、いつものメンバーの家族の考えを書きたいと思います。
ソフィアとニコルの両親の場合は、カタリナとの縁は切りたくないけど、クロウカード騒動が終わるまであまり会わせたくない考えです。ボディーガードの件については、今日ようやく決まったという設定です。
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