乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまったのに...さらに破滅フラグが舞い込んでしまった!? 作:オタクさん
この話が終わったら、また違う人の視点になります。
私は今、自分の部屋でクロウカードを心を込めて綺麗に拭いている。
だけど...う~ん...
「集まるペースが遅いわ。...やっぱり、私の魔力が少なすぎるからね...」
集まった枚数はたったの五枚。
飛(フライ)のカード、水(ウォーティ)のカード、泡(バブル)のカード、移(ムーブ)のカード、抜(スルー)のカードの五枚。このペースだと終わるのはいつになるのやら...
私が先のことを考えながら、カードを丁寧に拭いていると...
使用人たちの慌てふためく声や、皿を割る音が屋敷中が鳴り響き、騒がしくなる。
「何事!?」
静かに立っていたアンでさえも驚いてしまう。
「お嬢様はこの部屋で待っていて下さい!私が様子を見て参ります!」
「ちょっ!?アン!」
私の呼び止める声を聞かずにアンは、急いで私の部屋を出ていく。
ここは私が見に行くべきではないの!?
バタン!
「義姉さん!大丈夫!?」
「キ、キース!?」
私が呆然としていると、今度はキースがノックもせずに入ってきた。
「驚かせてごめんなさい。...でも、義姉さんが心配だったから...」
私を驚かしたことに申し訳なさそうにするキース。
最初は私を破滅フラグに導く存在であったのだけれど、今の私にとっては最高の弟だわ!原作のカタリナはこんな可愛い弟を虐めて、本当に最低よ!
「義姉さん、ぼーっとしているみたいだけど大丈夫?」
考え事をしていたらキースに心配されてしまった。
考え癖を気を付けなければ...
「全然平気よ。それより...私は行かなくて良いのかしら?」
「騒ぎの原因がクロウカードだと決まった訳じゃないから、良いんじゃないのかな?」
「この屋敷で、クロウカードの気配を感じ取ったわ」
「あ、やっぱり...」
あ、やっぱり、騒ぎの原因はクロウカードなのね...。
ケロちゃんも私の部屋に入ってきて報告をする。
「今回のカードは何?」
「今回のカードは影(シャドウ)のカードや!」
「影(シャドウ)!?だとすれば...夜に動き出すわね」
影(シャドウ)のカードかあ...。確かこの話で、智世ちゃんにカードキャプターということがバレたのだよね...。それと!こっから、あの可愛い衣装が始まるのよね!あの衣装いつ見ても素敵なの!
「せやな」
私が思い耽っている間にケロちゃんが頷く。
「義姉さん、今回はどのようにすれば良いの?」
キースが真剣な表情で訊いてくる。
魔法に関してあんな嫌な思い出があるのに...本当にキースはお姉ちゃん思いの子ね!私もキースやみんなを困らせないように、頑張らないと!!
「影(シャドウ)のカードは光に弱いから、屋敷中に灯りをつけて弱らせれば良いのよ」
「そうなんだ。...またジオルド様が有利になる条件だ...。...うん?ところで義姉さん、ケロちゃん」
キースは何か小言を呟くと首を傾げる。
「どうしたの?キース」
「夜に動き出す筈なら、なんでもう騒ぎが起きているの?」
「それはな、影を奪うことだけやったら、昼間でもできるからな」
「ええ!?影を奪われた人たちは大丈夫なの!?」
「影を奪われただけで害はないから大丈夫や。影(シャドウ)のカードを封印すれば、影は取り戻せるし、問題は特にあらへんで」
「そういう問題かなあ...。...まあ、とにかく、義姉さん。何かあったらいつでも僕を呼んで。部屋に居るから。この前みたいに一人で先走るのは駄目だよ。いい?」
「わ、わかっているわよ!」
「そう?それと...」
キースがグイッと私に一歩近付いてくる。
「今後、ジオルド様とは二人きりにならないでくださいね」
「え?なんで?...あー!もしかして!この前みたいになるから?」
「......そうだよ義姉さん。危険だから勝手な行動をしないでね」
何故かキースは酷く疲れたそうな顔をする。
けれども溜め息を吐いて立ち直ると、私に釘を刺して自分の部屋に戻る。
「どうかしたのかしら?」
「あの小僧も、ライバルが多いから大変やな~」
「ライバル?ケロちゃん、なんの話をしているの?」
「おまえさん、まだ気が付いておらんのか!?」
ケロちゃんが口をあんぐり開けて驚く。
私...そんなに可笑しいこと言った?
「このアホーー!!ええ加減に気付け!......もう...疲れたからええわ...」
そう言ってケロちゃんはクッションの上に座り込む。
だから、何がそんなに可笑しいの?
私の疑問を全く気にも留めずに、ケロちゃんはクッションの上で寛いでいる。
「なあ...カタリナ...」
けど、急に、私の気持ちが届いたのか、ケロちゃんが振り返る。
「何?ケロちゃん」
「おまえさん...」
「ほんまに好きな人はおらへんのか?」
ケロちゃんは今までに見たことがないほど、真剣な表情で尋ねてくる。
ケロちゃんって、人の恋路に興味があったキャラだっけ?あんなに真剣になっちゃって...こっちの方が驚くわ。
「ケロちゃん...そんなに人の恋路に興味があったの?」
「いや、興味はないや」
「?じゃあなんで?」
あんなに真剣なのに...
「いや、なんというか...おまえさん、この前、ジオルドと二人きりになっておったのやろ?」
「うん...そうだけど...。それがどうかしたの?」
いまいちピンと来ない反応ねえ...。だったら、なんで、そんな真剣な表情で訊いてくるのかしら?
「ジオルドのことが好きなのかなあと、思ったんやけど、次の日からのおまえさんの行動を見ても、全く何も変わっておらへんから、どういうこっちゃと思ってな。結局、二人きりになってまだ話したかったことはなんや?」
なんだ。そんなことなのね。あまりに真剣に尋ねてくるから驚いたわ。
「二人きりになってまで話したかったこと?話をしたかったと言うか...ただ...。ジオルド様が最近、私のせいで疲れているでしょ。だから元気付けをしたくて...」
「ほほう。だから、二人きりになったというわけか」
「そうなのよ。ジオルド様は私の大事な友達よ。友達が元気が無い時は傍にいて励ましたいと思うでしょ!」
「まー...。それは...そうやな」
「そうでしょ!」
私の返事にケロちゃんは腕を組んで悩む。私が何が声をかけようとした時、ケロちゃんはなぜか真顔になる。
「ふーん...。まあええけど...」
ケロちゃんはそう言って背を向ける。呆気なく引くケロちゃんに私は疑問を感じる。
いつもなら怒鳴ったりするのに...。
ケロちゃんが部屋を出る前にぽつりと呟く。
「なあ...カタリナ」
「何?ケロちゃん」
私が声をかけてもケロちゃんはそっぽを向いている。
本当にどうかしたのかしら?今日のケロちゃん、いつもと違う...。
窓を開けたケロちゃんは、私の方を振り替えると一言告げる。
「愛してくれとる人の気持ちを気が付かんと......いつか、大変なことになるで」
「えっ......?それってどういうこと?ケロ...あ、行っちゃった...」
私の質問に答えることもなく、ケロちゃんは窓から外に出ていってしまう。
ケロちゃん...何が言いたかったのだろうか?
どれだけ考えても私の中で答えは出なかったのであった。
私が悩んでいると、みんなが遊びに来る時間になる。
「また、カードが現れたのですね。今度はどんなカードなのですか?」
「今度は影(シャドウ)のカードよ」
「それはどんなカードなんだ?」
「影を操るカードよ。使い方としては捕まえたり、追い掛けたい人の影を見付けて、探してくれるの」
「相変わらず色々なことが出来るもんだな」
「カタリナ様、そのカードはどのような対策が必要なのですか?」
「影(シャドウ)のカードは光に弱いから、屋敷中に灯りをつけて、姿を現させれば捕まえられるわ」
「光に弱いのですね。でしたら、僕の火の魔力が有効でしょう。ですから...絶対、僕を連れていってくださいね」
「クッ...!またジオルド様が有利ですわ。いつになったら、水の魔力が必要になりますの!?」
「メアリ...。そこまで気にしなくて良いと思うぞ。人には向き不向きがあるんだから気にするな。...ジオルドはジオルドで、いつまでも勝ち誇った顔をすんなよ」
「婚約者の役に立てられるということは、物凄く嬉しいことですから、これは仕方ないことですよ」
「私にだって、いつかはお役に立てる日は来ますわ。その時は必ず、ジオルド様よりも役に立ってみせますわ!」
「お前らはなんでそこまで張り合っているんだよ...」
本当、みんな仲良くて平和ねえ~。
「そういえばなんだけど、カタリナ」
「はい、なんでしょうか?ニコル様」
私がお茶を飲みながらほんわかしていると、ニコル様が私に尋ねてくる。
...真面目に訊ねているのに、真剣にこっちを見てくるものだから、ドキドキしてしまうのよねえ...。
「なんでもう、シャドウのカードってわかっているんだ?俺たちは現場に行かなくて良いのか?」
「それはですねニコル様...。影(シャドウ)のカードの騒ぎは起きているからです」
「もう騒ぎが起きているのか!?」
驚いたニコル様は席を立ち上がってしまう。私が説明をする前にソフィアが説明をする。
「そうみたいですわ。お兄様、アンさんの足元をよく見てください」
「アンの足元?......!?」
「お兄様のお気付き通り、アンさんの影が無いのです」
「ソフィア様の仰る通りでございます。いつの間にか私の影が取られていたのでございます。私の他にも、魔力を持っていない人の影が、全員取られてしまいました」
「だからあんな騒ぎが起きたんだね」
「はい、申し訳ございません...」
「気にしなくて良いよ。影を取られたら、誰だって取り乱してしまうよ」
謝るアンにキースが慰めていた。
「影が取られたんだろ!クロウカードを封印しなくても良いのかよ!?」
焦ったアランが怒鳴る。
アランが怒鳴るのは当たり前だ。今も危険を放置しているのだから。
「影(シャドウ)のカードが本格的に動き出すのは夜なの。だから、夜にならないと捕まえられないわ」
「時間指定もあるのかよ...。ということは、俺たちは夜までいないといけないみたいだな」
私の話にアランは納得をする。
「アラン様!?そこまでしてくださらなくても...」
アランの話に今度はアンは焦り出す。
「けど、このアホ令嬢を放ってはおけられない。一人で先走って怪我しそうからな」
「そうですわアラン様!お友達として最高の決断ですわ!」
アラン...。アホ令嬢って...そんな言い方は酷くない!?
「そうですわ!私たちは常に一緒ですわ!」
メアリもアランの意見に同意をする。
「アラン様やメアリ様の仰る通りでございますわ!私達は常に一緒です!それに...」
「こんなこともあろうかと、コスチュームをご用意しました~」
ソフィアが自慢げに見せる。
...って!?その衣装!?あの...カードキャプターさくらのアニメ一期のオープニングで着ていた衣装じゃない!
ピンク色の部分は水色に変わり、スカートの丈はずっと長くなって、赤いリボンと靴は青いリボンと靴に変えられていた。背中には原作と同じ白い羽が付いていた。
「す......凄いじゃない!!ソフィア!さくらちゃんが着ていたのとほぼ同じだわ!!」
ソフィアが作ってきた衣装の出来に私は、飛び上がる程興奮をしてソフィアの手を握ってしまう。
「もー!ソフィア様も狡いですわ!ソフィア様だって風の魔力をよく使われますのに!さらに、カタリナ様が望む衣装を作れるなんて卑怯ですわ!」
メアリが怒ってしまった。
私が狼狽えていると、アランの困惑が雰囲気を変えてくれる。
「ちょっと待てソフィア!なんでお前が、そのサクラが着ていた衣装を知っているんだ!?」
「それは...ですね...。私もカタリナ様と同じ夢を見たからですわ!」
「ソフィア、お前もか!?」
「ソフィア様ですか!?」
「ソフィアまで...カタリナと同じ夢を見ていたのですね...。ところで...カタリナ、キース、ニコルは驚いていないようですが...三人は知っていたのですか?」
アラン、メアリが驚く。ジオルドだけは冷静に驚いていない私たちに質問をする。
「ええ...移(ムーブ)のカードの騒ぎがソフィアとニコル様の屋敷で起きて、その時にソフィアから私と同じ夢を見たと聞いたわ」
「僕も義姉さんと一緒にいたから、その時に知りましたよ」
「俺もその時に知った。...あまり、人に言いふらすものではないからな、ずっと黙っていた」
「まあ...確かに...ニコルの言う通り、言いふらすものではないですからね...」
ニコルの説明で納得をするジオルド。
ソフィアが私と同じ夢を見ていたことがバレたけれど、特に変わらず、クロウカードの封印を終えるまでみんなは屋敷に留まることになった。
遂に夜が来て、本格的にクロウカードが動き出す時間が来る。影(シャドウ)のカードを動き出させるため、原作と同じように屋敷の明かりを消してから、私たちいつものメンバーは屋敷を出て庭に集まる。
早速私は、ソフィアが作ってくれた衣装に着替えて、張り切って行くわ!
「とても似合っていますよ。カタリナ」
「似合っているよ。義姉さん」
「悪くは...ないと思う...ぞ」
「カタリナ...。似合っているぞ」
「カタリナ様、とてもお似合いですわ!」
「素敵ですわ。カタリナ様」
「ほんま、作ってもらえてよかったな」
みんなが似合っていると褒めてくれた。嬉しい思いをソフィアに感謝を言って伝える。
「ソフィア、本当にありがとうね。大切に着るわ!」
「カタリナ様に喜んで頂けるだけでも、私はとても嬉しいです!」
「ソフィア様...私にも衣装作りを手伝わせてください!!」
「はい、一緒に作りましょう!私一人だけだと、結構時間が掛かってしまって...人手が丁度欲しかったところです!カタリナ様には是非!原作を再現をしてほしいですわ!」
「ええ、ソフィア様。今度からは一緒に衣装を作っていきましょうね!」
「はい!」
ソフィアとメアリが仲良く話をしている。
私はクロウカードが動き出すに呪文を唱え出す。
「闇の力を秘めし鍵よ。真の力を我の前に示せ。契約の元、カタリナが命じる。封印解除(レリーズ)!」
夜だからか、いつもよりも黄金色の魔方陣の輝きが強く感じる。
呪文が唱え終わり、鍵が杖になるのと同時に...
屋敷から奪われた人の影が、庭の中央に集まって大きくなる。
影が大きくなり始めると、屋敷に残っていた召使の人たちが灯りをつけ始める。
屋敷中に灯りが点ると影(シャドウ)のカードは弱くなり、本来の姿である黒いローブを纏った人の姿になる。
「はっ!」
「はぁ!」
ジオルドと護衛人のマックスが、火の魔力で影(シャドウ)のカードを弱らせる。ソフィアとニコルも、風の魔力で影(シャドウ)のカードを包み込んで、逃げられなくする。
私はその隙に杖を振るう。
「汝の在るべき姿に戻れ、クロウカード!」
影(シャドウ)のカードの手前で杖がぶつかり、甲高い音が鳴り響く。
光がクロウカードに包み込み、暫くして...
カードは元の姿に戻って封印される。
「やったわ!」
今日も私はみんなの力を借りて、クロウカードの封印に成功するのであった。
ところで、みんな...帰るの遅くなったけど本当に大丈夫?