ほむほむに転生したから魔法少女になるのかと思いきや勇者である 作:I-ZAKKU
ここまで応援してくださる方がいるのに毎日投稿できないおのれの筆力が憎い!!
どうか今後もほむほむと勇者部をよろしくお願いします!
「「勇者部?」」
全く想定外の言葉が飛んできたわね。勇者といえば文字通り勇気ある者、誰もが恐れる困難に立ち向かう者だとか良い意味がある言葉だけど逆に何か胡散臭く感じるわ。
……偽造サークルみたいに変な宗教に引きずり込むつもりじゃないでしょうね。神様なんて訳の分からない存在、神樹様だけでもう十分よ。
「何ですかそれ……とってもワクワクする響きです!」
「「えっ?」」
いけない、勇者なんてかっこいい言葉は友奈に興味を持たせるのに十分な力があるわ。まさか「勇者部」って名前は友奈みたいに子供っぽい性格の子をおびき寄せるための罠?
「あっ、分かる!? フィーリング合うねぇ!」
「……彼女も友奈と同じ感性のようね」
「ふふっ、そうみたい」
私の声は呆れを含んでいたものだったが、東郷のは愉快そうな声だった。やはり東郷は友奈みたいに明るくて前向きに突っ走るような人間が好みなのだろう。私は少々面倒だと思うが、東郷にとっては場の空気が和やかになる方が喜べるのね。
それで結局勇者部って何なの……と言おうとしたところでチラシを手渡される。勇者部部員募集中と書かれたそのチラシに記載されていた活動内容はごみ拾い、迷い猫探し、公園掃除、フリーマーケット、古着の回収、そして子供会の手伝い……これって要はボランティアってこと?
「勇者部の活動目的は世のため人のためになることをやっていくこと。各種部活動の助っ人とか、ボランティア活動とか」
「はえ~! 世のため人のためになること……」
「うん。神樹様のステキな教えよね~」
やはりその通りだった。名前の割には結構地味な部活なのね、勇者部って。
それに友奈には好印象みたいだけど、これって思った以上に大変な部活じゃないの? いろんな活動を引き受けたらキリがないんじゃないかしら。
「と言ってもアタシ等の年頃は、何かそういうことしたいけど恥ずかしいって気持ちがあるじゃない? そこを恥ずかしがらずに勇んでやるから勇者部!」
「……なるほど。敢えて勇者という外連味のある言葉を使い、みんなの興味を引くことで存在感を確立しているのね」
「それだけじゃないわ東郷。勇者という言葉は基本的に前向きに捉えられるわ。その名を背負い、部活動と言えども地域活動で学外の人達にその功績を認められれば学校の評判もアップ。そして学校はその部員に内申書で大きなプラス点を与えざるを得なくなるという魂胆も」
「あいや、そこまで深くとかセコいこととか考えていないって……」
さすがにそこまでの下心はないか。そもそも仮にあったとしたら、わざわざ勇者部なんて大変そうな部活に入らないで別の手段を取る方が効率的だし。
一応、名前通り立派な志を持った部活ではあるのね。友奈が目をキラキラさせていて興味津々だわ。
「私憧れていたんです。勇者って言葉の響きに……かっこいいなぁって!」
「その気持ちがあれば、君も勇者だ!」
「おぉー! 勇者!」
「凄いところに食いつくのね」
「でもなんだか友奈らしいわ」
「そうね」
犬吠埼先輩の後押しも相まって友奈が俄然勇者部に惹かれていた。どうやら友奈の入る部活は決まったみたい。
「決めました! 私は勇者部に入ります!」
「おおっ! 君みたいな立派な子が来てくれれば勇者部の未来は安泰だ!!」
「ありがとうございます! 私、讃州中学1年、結城友奈です!! 趣味は押し花で、好きな食べ物はうどんと東郷さんが作ったお菓子です!!」
興奮冷め止まない友奈は廊下だというのに大声で入部を宣言する。他の人達が変なものを見るかのようにチラチラ横目で見ながら通り過ぎて行くから、私は溜め息がこぼれてしまう。無関係だと否定して逃げられないのが辛いわ。
「同じく讃州中学1年、東郷美森です。不束者ですがよろしくお願いします」
「えっ、東郷?」
「いらっしゃいいらっしゃい! 勇者部は来るもの拒まず! いつだってお姉さんを頼りにしてもいいのよ?」
「やったー!! 東郷さんも勇者部に入るんだ! 一緒に頑張ろうね、東郷さん!」
「うん! 頑張ろう友奈ちゃん!」
「アタシはスルーですかおーい……」
え、待って、東郷も勇者部に入るの!? それっぽい素振りなんてどこにもなかったじゃない!
友奈が入るから? あなたどれだけ友奈のことが好きなのよ?
……友奈と東郷、それから犬吠埼先輩が期待の眼差しで私を見つめているわ。これってつまりアレよね? 私も入部宣言しろって言いたいのよね……
ええっと、こんな時にクーほむが取るべき行動は……ファサ…してから後ろを振り向いてシャフ度で……首が無理!
「………それじゃあ頑張って、二人とも」
「「「ええっ!!?」」」
うわ、予想通りのリアクション……やはり彼女達の頭の中では私は勇者部に入っていたらしい。
あれ? 私は後ろを振り向いたわけだけど、これからどうすればいいのかしら? 何事も無かったかのように前を向き直すのはなんだか情けないわ!
「どうして後ろを向いたの?」とか言われてしまう! そもそもどうして後ろを振り向いたのよほむほむ!?
ここはそのまま立ち去るしか…!
「ちょっと待ってよほむらちゃん! 一緒に勇者になろうよ!?」
「そうよほむらちゃん! クラスが違うんだったらせめて同じ部活で一緒になろう?」
「ほら、二人だってこう言ってることだし…! あなたって新入生代表挨拶をした暁美さんでしょ? アタシとしてもやっぱり優秀な子が入ってくるとなれば嬉しいし!」
しかし回り囲まれてしまった! というかこの先輩、早速友奈達と息ぴったりじゃない!?
いやまぁ、確かに友奈や東郷と同じ部活が良いとは思うわよ。先輩に期待されているのも初日の反応で分かり切っているし。だけど……
「……犬吠埼先輩、一つお聞きしたいのですが」
「うむ何かね? お姉さんが何でも答えてしんぜよう」
「勇者部の部員は何人なんですか? この二人以外に」
「………アタシだけ……あははっ…」
決まったわね。私が勇者部に入るとなれば必然的に苦労人のポジションに着くのが目に浮かぶわ。友奈は言わずもがな、東郷もまともかと思いきや場合によっては友奈以上の爆弾になりかねない。犬吠埼先輩も友奈と同じフィーリングときた。
……勇者部はヤバいわ。楽しいだろうけどきっとほむほむが倒されてしまう。ストレスで。
「お願いします暁美さん!! 是非ともあなた様のお力を我が勇者部へ!!」
「ちょ、廊下で土下座しないで…! あなた先輩でしょう!?」
「ほむらちゃーん! 勇者部に入ろうよぉ! 二人よりも三人揃っての方が絶対楽しいよ!!」
「あ、こらっ! 足を離しなさい!」
この二人には恥も外聞もないのかしら。今日日花の女子中学生が廊下で土下座して、その相手の足に必死になってしがみつくなんて……しかも二人も! 今までのどの部活動の勧誘よりもたちが悪い!
「……ほむらちゃんは私達と一緒の部活は嫌なの?」
「……そういうわけではないわ。ただ勇者部に入ってしまえば今まで以上に苦労しそうだと思ったからよ」
「苦労なんてどの部活も同じだって。だけどウチならそこいらの部活とは全然違ったエキサイトな毎日を送れるわ!」
……あなた達三人を同時に相手しなくちゃいけないってのが苦労の源なんだけど。
でも友奈と東郷ともっと一緒にいられる時間が欲しいと思っているのも紛れもない事実ではある。毎日疲れるしイライラさせられることも少なくないけど、それ以上に二人と共に笑い合える日々は今のほむほむライフにおいて何よりも楽しく、幸せだと実感できる。この世界に転生できて良かったと、心からそう思えるぐらい。
「ほむらちゃん!」
「友奈?」
ちゃんと起き上がった友奈が私の両手をしっかり包み込む。真っ直ぐ私の目を見ながら語りかける。私がこの子と友達になりたいと思うきっかけとなった、屈託のない笑顔で。
「やっぱり私はほむらちゃんと一緒に勇者部に入りたい! 大好きな友達と一緒に人のために戦うっていうのもまさしく勇者みたいじゃないかな?」
「いや、戦わないでしょう。勇者部の活動はボランティアみたいなものって犬吠埼先輩が言っていたじゃない」
「あはは…そこはなんとなく。でも私はほむらちゃんと東郷さん、それと犬吠埼先輩が一緒にいてくれたら何でもできるようになるって思ってるから!」
そこに私達の手が更に上から優しく包まれる。そこには犬吠埼先輩に車椅子を押されていて近付いた東郷がいた。……何やら少し膨れっ面だったけど、妬いたのかしら?
「ほむらちゃん、私も友奈ちゃんと同じ気持ち。ほむらちゃんがいるのといないのとではやる気の持ちようが全然違うわ」
「東郷……」
「ほむらちゃんは私の大切な友達だから。友奈ちゃんとほむらちゃんしかいないの。いつまでもずっと一緒にいたいと思える人は……」
そして今度は私の肩にポンと手が置かれる。犬吠埼先輩が愉快そうに微笑みつつ、友奈と東郷の援護射撃をする。
「アタシはまだ知り合ったばかりだから上手く言えないけど、勇者部は誰か一人に苦労を押し付けるなんて絶対に無いわ! 部員同時助け合い、支え合って楽しい思い出をたくさん作るのも勇者部の活動なのよ!」
「………ふふふっ!」
「え、ちょ!? なんでアタシの時だけ笑ってるの!」
ふふふ、ごめんなさい先輩。なんだか馬鹿馬鹿しく思ってしまって……本当、どこまで私は愚かなの。
そうよ、苦労人になるのが何だって言うのよ。友奈と東郷の友達になっている時点で既に苦労人じゃない。むしろそうじゃなければつまらないと感じるようになった癖に。
断る理由なんて何も無かったわ。私の
「讃州中学1年、暁美ほむら。勇者部部員としてこれからよろしくお願いします」
「「「本当!!?」」」
「何驚いてるのよ。私もあなた達と一緒じゃないと何も意味がないのよ」
言い終わるやすぐに三人は手を取り合ってはしゃぎだした。絶対ここが廊下だということを忘れているわね。先生が叱りに来るまでに静かになるのかしら。
馬鹿みたいに騒がしい毎日でもそれが楽しい日々ならばとても素敵なこと。勇者部はそんな幸せな時間をみんなで生み出せるだろう。
これからの私はただのほむほむではない。
勇者部部員、暁美ほむらことほむほむ。それはとっても嬉しいなって……なんてね。
当初ほむほむは仮入部で話を進めるつもりでしたが、勇者部との関わりはやはり強くしようと思い正式に勇者部部員にしました。