ほむほむに転生したから魔法少女になるのかと思いきや勇者である   作:I-ZAKKU

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第七十一話 「王子」

 とても静かで、重々しい空気が充満している教室。いつもの教室の形から異なるのは、二人の少女が居ないという事のみ……。

 若葉さんと千景さんが重傷を負って入院。誰も決してその状況を受け入れられないまま、重々しい空気を引き摺ったまま、それが既に2週間は続いている。

 

「………」

 

 この日だって同じだった。お気に入りのラブソングを聴いていても、本来心に染み入る曲調や胸を焦がす恋にときめくような気持ちになれなくて……そっとイヤホンを外してポケットに仕舞い、溜め息をこぼす。

 

「「はぁ……あ」」

 

 たまたますぐ側で音楽を聴いていたタマっち先輩も、イヤホンを外して同じ様に。

 

「……あんずもやっぱそんな気にはなれないよな……」

「うん……」

「全然気分が上がんないぞ……。タマの大好きなノリのあるパンクロックだってのに……」

 

 私とタマっち先輩、音楽の好みは違っていても決して良い気持ちになれない現状は同じ。もしこれがなんともない、平穏ないつもの日常と同じだったら私達はお互いに好きな音楽を共有し合っていたかもしれない。片方の好きな歌の方が良いって軽い口喧嘩をしていたかもしれない……平和に、仲睦まじく。

 とても今はそんな事が出来るような心境じゃない。千景さんと若葉さんがあんな風になってしまって、そんな中で何事にも喜びを見い出せる訳が無いんだから……。

 

「杏ちゃん、球子ちゃん」

 

 二人して良い気分に浸れないでいると、まさに私達の心境を案じるかのような声で名前を呼ばれる。ごく自然に私とタマっち先輩は名前を呼んだ彼女の方に目線を向けた。

 

「二人とも大丈夫かなと思って。やっぱり元気があるようには見えないし……」

「まどかさん……」

「そりゃぁ……そうだろ」

「ですよね。私達も同じですし……」

 

 一向に良くなりそうにない私達の様子を気にしてくれていたのだろう。まどかさんの後ろからはほむらさんの姿もあって、心配そうな表情を浮かべているように見えた。

 

「まどかさんの方も、背中の方は…?」

「うん、もう平気だよ。蹴られた時は痛かったけど、別に骨とか折れたわけでもないし」

「……よかった、大した怪我じゃなくて、本当に……」

「……ただ、千景さんの事を思うとどうしても……」

「「「………」」」

「あっ、いや……だからって千景さんが悪いなんて事は全く思ってなくて……」

「言わなくても分かってるよ……」

 

 どうしても、胸が痛い。蹴られた事よりもそっちの方の痛みが強く残っている……言われなくても分かっている……。

 あの時の千景さんを見て彼女が悪いなんて誰が言えるの。ほむらさんの言葉に私もタマっち先輩も頷く。ただほむらさんの表情は自分を庇ったせいでまどかさんが痛い目に遭った事を悔やんでいるのか、私達よりも強い悲しみが滲んでいる様子だ。

 

 そしてタマっち先輩の方は、思い出した感情に肩を震わせてた。

 

「悪いのは…全部あいつじゃないか……!」

 

 怒りを込めるように拳を握るタマっち先輩。そんなタマっち先輩に私達はかける言葉を見つけられない。

 

「千景の事も若葉の事も全部全部! あの暁美のせいじゃないか!!」

「「「………っ!」」」

 

 叫ぶような大声に、私達は無言で俯いて応える。

 千景さんの件は……正直よく判っていない。どうして二人が争っていたのか、経緯は判明していない。でも千景さんは肩と心に大怪我を負い、友奈さんが向かっていなければ千景さんは殺されていた……死んでいたかもしれない。

 

 若葉さんの件は、信じたくはないけどお互いに合意の上で行われた決闘だった。ちゃんとお互いが決めたルールに則って戦い、若葉さんは負けてしまった。文句や糾弾する資格は無い……無いはず。悔しいけどそれは負けてしまった若葉さんを却って侮辱するとも取れてしまうから……

 ……でも、明らかにやり過ぎだった……! 全身を滅多打ちされたように打撲傷が酷く、骨だっていくつも折れていたりヒビが入っていたり、いくらルールに則った決闘だとしても、あんな傷だらけの若葉さんの姿を見てしまえば湧き上がる感情なんて限られるよ……!

 

「……乃木さんが勝てなかったって事は、あの人はこの前言った通りに動くんだよね」

「その……これからは暁美さんもバーテックスと戦うっていう……」

 

 決闘が行われた話は千景さん以外の全員が、その場に居合わせたひなたさんと歌野さんから聞いている。若葉さんは暁美さんの勇者としての力を没収しようとし、失敗した。

 没収できなければ、当然暁美さんは行動を起こし続ける。彼女自身が私達の前で宣言した通りに。千景さんと若葉さん、遡れば水都さんとタマっち先輩も傷つけた力を、使い続ける。

 

「ざけんな!! これ以上あいつの好き勝手されてタマるか!」

「でもタマっち先輩、私達はもう……」

 

 私達はもう、暁美さんと関わってはいけない。そういうルールが二人の決闘によって成立してしまったから……。

 

「……球子ちゃん、お願いだから、変な気は起こさないで……」

「……わかってる……わかっている…けどさ!!」

 

 まどかさんに諭され、タマっち先輩は少し冷静になったようだけど、それでも納得がいっていないと言わんばかりに唇を強く噛み締める。

 

「土居さん……」

「……悪ぃ。これでも我慢しなきゃって思ってるんだ……ただ」

「……大丈夫、言いたいことは分かりますから……」

「……ああ、そっか。ほむらにはバレバレか」

「似た者同士ですから。私と土居さんは」

 

 ほむらさんとタマっち先輩は何か通じ合うものがあったのか、二人とも不安気な表情の中で小さく笑った。

 ただ、タマっち先輩はすぐに表情を引き締める。

 

「……でも、じゃあどうすればいい? あいつがまた誰かを傷付けないとも限らないだろ……」

「「「……」」」

「タマは今、そいつが一番怖いんだ……」

 

 私達の間に重苦しい沈黙が流れる。これまでの出来事から、暁美さんが私達の事なんて何とも思っていないことは明白。爆弾なんて危なっかしい武器を、私達を巻き込む事を厭わずに使うなんて事も十分あり得る話だった。

 タマっち先輩はそうなってしまう事を不安に感じている。不安に感じない訳がない、重すぎる問題。誰もが答えを見出せず、口を閉ざしている。

 

「……もし、あんずがあいつに傷付けられたらと思うと…タマは……!」

(……あ)

 

 タマっち先輩が発したその言葉には、一際大きな感情が込められていた。それに感づいて、だからさっきほむらさんはタマっち先輩の心境を察したのかが私にも分かる。

 似ているとはそういうこと。不安を感じて後ろ向きになるのはそうだけど、私はその言葉にモヤモヤを感じずにはいられなかった。

 

「……らしくないよ、タマっち先輩」

「あ、あんず…?」

 

 その言葉は私にも大きな不安を伝染させるものだったから。タマっち先輩が、私が傷ついたらっていうもしもの話を怖がっている……。

 無理もない事だけど、私にはそれがどうしようもなく嫌で、無意識の内にタマっち先輩の手を握っていた。

 

「約束してくれたじゃない……私を守るって……」

「………!」

 

 私が初めてタマっち先輩と出会ったあの日から、目の前の可愛い女の子は私の一番の勇者だった。幼い頃から憧れた創作の世界に夢見た、格好良くて、勇敢で、優しくて、私を救ってくれる王子様……それが土居球子という私の……お姉ちゃんだった。

 

 ずっとタマっち先輩は頼もしく立っていて、太陽みたいに眩しい笑顔で臆病な私の手を引っ張ってくれる。バーテックスを怖がっていた私に、守ってやると力強く言い放ってくれた姿は忘れられない。

 

 それだけ私に大きな希望を与えてくれた存在、それがタマっち先輩なのに。

 

「………あんず」

「……っ」

 

 手を握る力が強くなる。タマっち先輩が私を守ってくれないの?なんて不安を上乗せに。

 

 ……タマっち先輩だって女の子。不安になっちゃいけないって言うわけでもないけど、どんな時だろうと不安になってほしくなかった。どんな時でも前を向いていてほしかった。勝手な話だけど、目の前で信じ続けた光が曇る事が私には耐えられない……!

 

「タマっち先輩は私の……ヒーローなんだよ……!」

 

 次の瞬間、小さな身体が私の身体を強く抱き締めた。強く優しく、温かい。それらはみるみるうちに芽吹き出そうとしていた暗い気持ちを無くしていった。

 

「そうだよな。タマはあんずのヒーローだもんな!」

 

 力強く、カッコイイ、私の大好きなタマっち先輩の声が。

 

「ごめんな、あんずが不安になるような事を言って……でももう一回約束するぞ!」

 

 3年前のあの日、バーテックスに怯えていた私を助けてくれた時と同じ、太陽のような眩しい笑顔が。

 

「あんずは必ずタマが守ってやるからな! バーテックスからも、例えあいつがまた襲ってきたとしても!」

 

「だから、タマに任せタマえ!」

 

 私のお姉ちゃんは、そう約束してくれた。

 

 

 

ビーーーッ

 

 3度目の襲撃が起こる、直前に。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 タマ達の目の前には、鳴り響いた警報の音を聞いてしまって不安気な表情のまま止まってしまったまどかがいる。つまりこの警報は間違いでもない、マジだってことだ。

 

「土居さん! 伊予島さん!」

「おう! 行くぞほむら、あんず!」

「うん!」

 

 急いで自分達の武器を手に取る。それから、この前思い付いた秘密兵器も。

 そう時間が立たない内に教室の窓の外から眩しい光が。今から3回目の戦いが幕を上げる。

 

 何があっても必ずあんずは守るんだ。あんずだけじゃない、他のみんなだって、バーテックスをぶっ飛ばしてタマが守るんだ。

 あいつが変な事をしようとも、絶対にそいつは止めてやるんだ…!

 

 タマの中で決意を固め、光はタマ達を包み込む。まだ慣れちゃいないから眩しさに目を瞑っちまうが、そいつが収まって目を開くと世界は樹海になっていた。

 

 今ここにいるのはタマとあんずとほむら。勇者は全部で7人、若葉と千景、友奈と歌野がここにはいない。友奈はいつも通りで、歌野は用事があるとかで。

 が、怪我してる二人はともかく、残りの二人はすぐに来てくれるはずだ。タマ達は人数が少ない事に戸惑ったりすることなく、戦うために携帯のアプリを開き勇者に変身した。

 

 そして、その点についてはやっぱり心配するような話じゃなかったって答えが返ってきた。

 

「おーい! みんなー!」

「高嶋さん!」

 

 勇者に変身した友奈がタマ達の方に大ジャンプで近づいて来るのが見えた。そのまま着地し、みんなと顔を合わせる。

 

「あの、友奈さん、やっぱりお二人は……」

 

 あんずが訊ねたのはこの場にはいない3人の内2人の事。今日友奈はひなたと水都と一緒に若葉と千景のお見舞いに行っていた。今日はじゃなくて、今日もか……友奈は付きっきりで千景の側にいるからだ。

 だが、話を聞く限りじゃこの前の一件は千景にとってもダメージが酷く、友奈ですらまともな会話にならないらしい……。ほむらを暁美と勘違いして襲いかかって、まどかを思いっきり蹴りつけた事を後悔して、思い返す度に罪悪感に震えているとか……。

 

「……うん、樹海に変わった時、私の近くにはいなかったよ」

「……今回ばかりはそれで良かったです。今の乃木さんと郡さんを戦わせるわけにはいきませんし」

 

 そんな千景と同じく病院にいる若葉は樹海には来ていない。ほむらの言うように、それで良かった。戦力が大きく下がる事よりも、怪我をしている二人に無茶をさせない事の方が何万倍も大事だ。

 

「ああ。若葉と千景の分も、タマ達で戦うんだ!」

 

 タマの言葉に全員が力強く頷いた。みんなが同じ気持ちだ。あいつらが戻ってくるまでの間、あいつらの意志を継いでやるっていう……。

 

「ザッツライト! 今こそ私達のパワーを見せ付ける時よ!」

 

 突然タマ達の後ろの方から、もう一人の勢いの良い仲間の声が響き渡る。樹海化によって出てきた草木を掻き分け、現れたそいつは……歌野は

 

「私達が頼りなかったら若葉も千景さんも安心してリカバリーできないもの! ファイトよみんな! オーー!!」

 

 農業王って書かれたTシャツとジャージ姿だった。オマケになんかでっかい袋を手にしている。

 つまり、全く戦える状態には見えないぞ! おい!!

 

「「早く勇者装束に着替えてください!!」」

「ほえっ?」

「お前勇者システムのインストールはまだできてないだろぉおおーーー!!!!」

「あわわわわわ…!」

 

 タマとあんずとほむらの叫びが樹海に木霊する。友奈も状況のヤバさにパニクっていた。

 歌野が勇者システムを持っていないから、勇者装束に直接着替える形だってのは前回の事で誰もが知っている。そのマズさもだ。

 だからこの前の襲撃の後、歌野にもタマ達と同じ様に携帯に勇者システムをインストールしようという話になったんだ。だが、歌野はタマ達とは違って神樹様に選ばれた勇者ではなく、諏訪の土地神様に選ばれた勇者だ。詳しくは分からんが、神様の性質の違いみたいなやつのせいですぐにインストールができなかった。いくつか設定をいじる必要があるみたいで、いずれは可能らしいが今はまだ……その重要性が分かってないのかこいつは!?

 

 でも、歌野は平然としていた。

 

「だいじょーぶ! とうっ!」

 

 勢いよく着ていたジャージとTシャツをバサッと脱ぎ捨てて……って。

 ……着込んでいたのは黄緑と白色の一風変わった服。というより、こりゃぁ歌野の勇者装束じゃないか……!

 

「あれからいつ戦闘があっても大丈夫なように、バトルスーツはオールウェイズ身に着けるようにしてあるわ」

 

 それから持っていた袋の中から、武器の鞭を取り出した。勇者システムを使わずあっという間に歌野の姿は勇者に早変わり。

 

「ああ、なるほど……」

「ビックリしたー……でも良かった!」

 

 言われてみれば、ここ最近歌野は勇者装束と同じ色の手袋をしていたな……。花の髪飾りは簡単に付けられるだろうからいいとして、最近冷えてきたし、スカートの下も白色のタイツを履いているのかと思っていたが、これ全部勇者装束だったのか……。

 制服の内側にも折り曲げればなんとか収まりそうでもある。今まで気づかないわけだ……。

 

「これならスクランブルにも対応できる。何かがあっても今度こそ……」

 

 ともあれ、ここにいる全員このまま戦えそうだ。バーテックスの姿はまだ見えないが間もなく出て来るのは分かってる。

 みんなで一ヶ所に固まっていたからそれぞれ散って、間隔を空けて位置を取る。いつでも動き出せるように、敵が現れるであろう方向に体を向けて……

 

「……っ」

「友奈さん? どうかしまし……」

 

 友奈と、少し遅れてからあんずの二人が息を飲んだ。二人とも表情はこの一瞬の内に暗く、そこに宿っている感情は……不安。そして怯え。前方を見る前にタマタマ樹海のある一ヶ所が目に付いただけで、二人はそこから目を離せずにいた……。

 

 なんでそうなってしまったのか、他のタマとほむら、歌野もその方向を見る前から分かってしまった。そして同時に、二人の視線の先を辿り睨み付ける。

 

 そこに奴がいるからだ。タマ達から見えるのはそいつの後ろ姿だが、グツグツとメチャクチャ熱い激しい怒りムカつきが溢れ出す……この最低最悪の人でなし野郎がッ!!

 

「………」

 

 無言で少し離れた崖の上に立っている、暁美ほむら……あいつを見てこの感情を抑える事なんて出来るわけが無いだろ!!

 

「……どの面下げて…ここに来やがった…ッ!」

 

 勝手に溢れ出してしまう、抑える事が難しい感情。あいつらの受けた苦しみが、タマの胸の内にあるそれを激しい炎で燃やすような感覚に包まれる。

 これまでにタマが感じた事のない怒りを以て睨み付けているんだ……きっと奴も、自分にそいつが突き付けられては居ることに気づいているだろう。呟きも聞こえてしまっただろう。

 だが、奴は動こうとしていなかった。顔は見えないが、タマには何となく分かってしまう。あいつは今、表情一つ変えず、眉も動かさず、タマのこの怒りを完全に無視してやがる……!

 

「クッ……!」

 

 いや、あいつがここに来ることは分かっていたはずだ。だがそれでも、ごく平然とした様子でそこに立っている事が我慢ならない。タマの手は固く握り拳を作り、そして足はあいつの方へと駆け出しそうになる。頭の中も真っ赤に、熱くなる。

 タマの怒り、千景と若葉の怒りをぶつけたいという事だけはイヤにはっきりとしていた。

 

「ダメ! タマっち先輩!」

 

 怒りのあまり前に走り出しそうなタマの足をあんずの声が止めた。タマにこれ以上前に進むなと目で訴えていて、それが納得いかなかった……いくわけがないだろうが……!

 

(あいつのせいで、千景と若葉が!!)

 

 ダメだと分かっているのに、あいつら二人の事を思うだけで……! あいつら二人がここにいないのに、その元凶がそこにいるなんて許せない……!

 

「タマちゃん!」

「……っ!」

 

 気がつけば少しばかり離れた所に位置取っていたはずの友奈がタマの手を掴んでいた。

 

「……駄目だよ……行っちゃ駄目なんだよ……」

 

 友奈の手は、震えていた。俯いていて、それでも見えてしまった友奈の瞳には、明らかに怯えの色が浮かんでいた。

 ……そうだったな。友奈は千景がやられちまったのを直接見てしまっている。トラウマだって、デカいはずだ……。

 

 あの友奈がこんな顔をしちまうなんて、それこそあいつがタマ達の前に現れまで一度も無かったことだ。それを思ってしまえばやっぱりむかつくしかないが……関わらない方が身のためなんだって言うんだろ。友奈の言う通りだ。

 

「……わかったよ。我慢する」

「……お願い。どの道、あの子からは私達と関わる気は無いみたいだし……」

 

 あいつが無視するんだってならこっちも無視だ! 無視!! 相手にするのも馬鹿馬鹿しいって向こうが言ったんだとすれば、それはこっちのセリフだ馬鹿!!

 どうでもよくなった事を頭をブンブン振って振り落として、心配してくれた友奈に気にするなって気持ちを込めて向き直る。ところが、友奈は俯いたままでタマの顔を見ちゃいない。

 

 コイツ……不安を誰よりも背負い込んでいやがる。無理も無いが、そんなしみったれた顔はやめろ! 苛ついたタマは柔らかい友奈のほっぺたを摘まんでグイグイ引っ張ってやった。

 

「だぁあーーーもぉおーーー!! そんな顔すんな!! 友奈らしくない!!」

「いひゃいいひゃいいひゃい!! やめへ~~っ!!」

 

 あいつのせいでそうなっちまったんだって嫌でも思ってしまう! タマは暁美の野郎が作ったそんな顔が大ッッッ嫌いなんだよ!!

 

「う~~……ヒドいよタマちゃん……ほっぺた痛い……」

「いつまでもうだうだしてっからだ。そんなんじゃいつまで経っても、千景の仏頂面をまた崩せるようになれないぞ?」

 

 あいつの名前を出してやれば、友奈はまた俯いちまうが今度は違う。

 

「それは……嫌だな……うん!」

 

 それは友奈にしかできない事だからな。責任感を強く感じ、今度はしっかり前を向いてくれた。いつもの友奈にとても近い感じで。

 

「私達は私達で、若葉ちゃんとぐんちゃんの分まで頑張ろう……! 世界を救うのが私達の役目なんだって…きっと二人もそう言うだろうから!」

「おう!」

「ありがとう、タマちゃん」

「なーに言ってんだ。そいつはタマのセリフだぞ!」

 

 やっぱり、友奈はこうでなくっちゃあな。いや、それはタマもか。タマと友奈はみんなのムードメーカーだもんな!

 

「タマっち先輩! 友奈さん! 前方の方から敵が! ものすごいスピードで接近中です!」

「「っ!」」

 

 良い気分の中、遂にその時が来る。すぐにあんずの言う方向に向き直すと、かなり奥の方で何かが動いている。

 勇者に変身した今、いつもよりも視力もかなり良くなっている。だから遠く離れたそいつの姿も見えたんだが……

 

「今回は最初から進化体……かな?」

 

 ……なんか、変な見た目のヤツだ。口だけの雑魚バーテックスとは全然違う見た目なんだが、進化体と言う割にはだいぶ小さい。この前の進化体は2.30メートルはあったのに、そいつの大きさ的には雑魚バーテックスとあまり変わらないように見えた。

 

「人型っぽいよな……」

 

 でも二足歩行で全力疾走していやがる。人間の下半身のような姿で、気色悪いフォームで……。

 

「…………」

 

 ……一瞬だけ見えてすぐにタマは目を逸らしちまったが、暁美のヤツが物凄く嫌そうな顔をしてやがった。

 

「みんな! 私アレなら知ってる! 進化体よ!」

「やっぱりそうですか?」

 

 おおっ! ここに来て歌野が知ってるバーテックス! 

 

「小回りが利いてスピードも見た通りよ。機動力がとんでもなくて、こちらの攻撃もヒュンヒュン避けるの」

「ではどうすれば……」

「とにかくアタックの手を弛めないで。スピードはとんでもないけど、ディフェンスは大したこと無い。小さな体だし、たった一撃でも向こうには大ダメージになるわ」

「当たりさえすればこっちのものか」

 

 厄介な機動力だが、それさえ分かればなんとかなりそうな気がしてきた。この前のは避けるのに精一杯だったから、それに比べりゃ余裕だろ。こっちには勇者が五人もいるんだし。

 

 ……それに……

 

「……ふっふっふっ」

「タマちゃん?」

 

 タマにはこの状況に相応しい秘策がある!

 

「ここはタマに任せタマえ!!」

「球子さん、何かプランが?」

 

 みんなの視線がタマに集まる。讃えるがいい、この完璧な作戦を閃いたタマの頭脳を!

 

 あいつのせいで今は若葉も千景もいない……だから最近はいつでもバーテックスと戦えるよう、この秘密兵器を用意してた。旋刃盤と一緒に取り出していたそれを懐から手に取りみんなに見せつけるように掲げる。

 

「そ、それはまさか……!」

「タマだけに、うどんダマだあああっ!!」

 

 それを思いっきり、進化体がこれから通るであろう地点にぶん投げた。

 

「その手があった! しかもあれは……! 土居さん凄い!」

 

 やはり気づいたか、ほむら。若葉やタマと同じレベルでうどん好きなお前なら分かると信じてたぞ!

 

「知っているの!? ホムちゃん!!」

「ええ!」

 

 興奮のあまり、ほむらはその場でぴょんぴょんと飛び跳ねている。あいつだって普段お目にかかれない伝説のものが、これから新たな歴史を作るのだ。そうなって当然だろう、なあ!

 

「最高級手打ちうどん……讃岐うどんの申し子、吉田麺蔵さんが素材を厳選し打ったという至高の一品…! その喉越しは食の愉悦その物とされ、世界の全てを食するのに等しい恍惚感に包まれるとされる…!!」

 

 説明乙だ、ほむら! そう、タマが投げたのはうどん玉、それも超高級の一品!

 バーテックスに知性があるのは周知の事実。ならばこの誘惑には抗えないだろう。間違いなくこのうどんに食いつくはず。

 

 そうなればこっちのものだ。歌野も手こずった機動力を完全に封じるも同然、奴には致命的な隙が生まれるのだ。

 そしてこれは、始まりに過ぎない。今回の戦いで成果を上げることは間違いない。そうなれば次の襲撃でもその次の襲撃でも、このうどんトラップは大活躍。次々に奴らの隙を生み出し、バーテックスは為す術なく倒される……つまり!

 

「世界はうどんによって救われると言っても過言じゃないの!」

 

 なっはっはっは!! ノーベル賞はタマの物だーーーっ!!

 

「……なるほど。確かにパーフェクトなプランね」

「へへっ! そうだろそうだろ~!」

「……でもそれは、うどんじゃなくてこっちを使ったケースだったらって話よ!! せぇえーーーいっ!!」

 

 高笑いするタマの目に、宙を飛ぶ物体が映った。歌野の持っていた袋の中から取り出された、大きな四角形。それはタマの投げたうどん玉のすぐ側に落ちると、その場に堂々と鎮座した。

 

「本当はこんな所でポイするためにゲットしたんじゃないけど、このワンステップで全ての状況をリメイクできるんだったらやるしかない! さあ、思う存分食らいなさい!!」

 

 そこでタマ達は目にした……思いがけない宿敵の姿を……。

 

「なっ…!? 蕎麦……だと……!?」

 

 信じられない……驚愕に満ちた表情を歌野の方に向ける。歌野は渾身のドヤ顔だった。

 

「しかもあの形……あれってギフトセット用として贈るような物なんじゃ…!?」

 

 ほむらの叫ぶような声に思わずハッとしてしまう。タマのうどん玉と比べて、歌野の投げたそれは説明不要なほどデカいのだ。

 

「そう、私とみーちゃんのホームグラウンドが誇る信州蕎麦! 中には50gの束が16束入っている。球子さん、ほむらさん……果たしてたった1玉のうどんでバーテックスが満足できるのかしら?」

「「ぐぬぬ……!」」

「麺のプリンス、信州蕎麦ならオールオッケー!!」

 

 歌野のヤツ……なんて汚いマネを!!? パクりやがった!! だが、いったい何なんだ、あの蕎麦の箱から伝わるこの魔力……! 吉田さんのうどん玉の放つ輝きと拮抗してる……だと……!!?

 

 ……だ、だが、認めん……タマは認めんぞ!!

 

「な……なぁーに言ってんだ! 麺の束なんて茹でないと意味ないだろ!! 食べられないじゃないか!!」

 

 絶対に吉田さんのうどんの方が効果があるんだ!! 蕎麦には負けない……あの吉田さんのうどんなんだ!!

 

「信州蕎麦なら茹でる前のパリッパリでもナイススメルなのよ!! だいたいそっちのうどんだってボイル前の味のしない麺オンリーじゃない!! ノットデリシャス!!」

「吉田さんのうどんを嘗めないでください!! 伝説の職人技で打たれた究極のうどんなんだから!!」

「アルティメット!?」

 

 ほむらの援護射撃!! やっぱり大好きだぞお前ぇ!! お前みたいな仲間を持てて、タマは幸せ者だ!!

 究極のうどんと聞いて歌野が仰け反った。だが、歌野は長い間若葉と闘い続けている、あいつの宿命の好敵手……! すぐに闘う意思を示し、口撃に出やがるつもりだ。

 

 負けるものか……! 吉田さんのうどんの方がすごいんだ!

 

(歌野を黙らせるぞ、ほむら!!)

(こんな所で負けるわけにはいかない……行こう、土居さん!!)

(……この人達、直接脳内に……)

 

「ふ、ふんっ! それを言うなら信州蕎麦はウルトラスーパーアルティメットよ!!」

「ちっがーーう!! 吉田さんのうどんはウルトラスーパーグレートハイパーアルティメットだ!!」

「あらソーリー、ちょぉっとだけ抜けていたわ!! 信州蕎麦はウルトラスーパーグレートハイパーミラクルスペシャルアルティメット!!」

「吉田さんのうどんはその程度ではありません!! ウルトラスーパーグレートハイパーミラクルスペシャルエクセントリックメガトンアルティメット!!」

「男子小学生!?」

 

 くっ…! この高度な攻防について来るとは、やはり歌野は侮れない……!

 

「あ、あのさ……もうあの進化体もうどんと蕎麦の所を通りそうだし……」

「そ、そうですよ……仲間内で言い争う意味なんて……」

 

 ……つまり、判定はあの進化体が決めるってわけか……

 

「「「上等だ(よ)!!!」」」

「「はぁ……」」

 

 タマ達の視線は今なお全力疾走のバーテックスに向けられる。信じているぞ……お前が蕎麦ではなくうどんを選ぶ事を……!

 進化体バーテックスがうどんを取るまで残り30メートル……20メートル……10メートル

 

 ……ん? なんだあれ? あのうどんと蕎麦の間に飛んできた、黒い筒みたいなヤ

 

 

 ドグオオォン!!!!

 

 

 

「「「……………」」」

 

 ……声が……出ない。幻がタマの世界を写してる。

 

 変な幻だなぁ。さっきまでうどんがあった所に真っ黒い煙が上っていて、地面の上をパチパチと音を立てながら燃えている炎が見えるなんて。

 それに判定を決める進化体バーテックスが木っ端微塵に吹き飛んだなんて……なあ? それじゃあ誰がうどんと蕎麦、どっちが良いのか決めるんだって話だろ。

 

 って、ありゃ? うどんと蕎麦が見当たらな無いぞ? なんか変わりにボロボロになった、真っ黒な燃えカスが二つあるが。まさかあの爆発でそうなったって訳じゃないよなー!

 

 あははははは!! 何言ってんだタマは! 爆発だなんてないない、あるわけ無い! 爆発だなんて……爆発……爆……………あはははははははははは

 

 

 

「「吉田さぁあーーーーーーーん!!!!」」

「オーーノォオーーーー!!!! プリンスゥウーーーー!!!!」

 

 タマとほむら、歌野も、目の前の残酷な光景に膝から崩れ落ちた。幻なんかじゃあない……! うどんと蕎麦は……爆発した……!

 

 い、いったい何が起こったんだ……! あの進化体が自爆したのか!? だが吉田さんのうどんはバーテックスも大好きなんだ!! バーテックスがうどんを吹き飛ばす訳がないんだ!!

 

 ……あの直前に飛んできた黒い筒………っ!!?

 

 地面に両手を付いたまま、タマは顔を上げた。呆然と、思い当たる節を確かめるべく。

 視線の先に立ち尽くすそいつは横目でこちらを見ていた。こちらを心底蔑むような、冷酷な眼差しと目が合って。

 

 ……タマの考えた答えが合っていると、確信した。

 

 

 

 

 タマはこの日の出来事を一生忘れる事はできないだろう。

 この日感じた、言葉にすることの難しい憤りを一生……

 

「暁"美"ィ"イ"イ"イ"!!!! お前ってヤツは……お前ってヤツはーーッッ!!!! お前の血はぬわに色だァアアア!!!!」

 

 

 千景を殺されかけ、心までもズタズタにされた。

 

 若葉を手酷く痛めつけられ、誇りまでもボロボロにした。

 

 そして今回、タマの用意した特製吉田麺蔵さん手打ちの高級うどんを無惨にも爆破された。

 

 タマはこれ以上ないレベルで怒っていた。うどんでバーテックスの隙を作るっていう完璧すぎる作戦を何も考えていないあいつに呆気なく潰された事に。作戦を邪魔されただけじゃない、そのうどんが誰にも食べられる事無く黒炭にされ消し飛ばされた事に。

 

「許せない許せない許せない!! 人類への冒涜じゃない!! ……たった今…完全に確信した……!! 同じ顔をしていてもあの人とは決して分かり合うことはできないって!!」

「ふっっっざけんじゃないわよ!!!! 信州蕎麦を美味しいって言って食べたくせに!!!! 知り合いに無理言って貰ってきた一つなのにデビルの所業だわーーー!!!!」

 

 全く同じ理由でほむらも怒り狂っていた。歌野もうどんじゃないけど蕎麦で、同じ様な理由で怒りを叫んでいた。

 当然だろ、うどんなんだから。前にお店で知り合ったおばあちゃんが言っていた……人が決してやってはいけない事が二つある。仲間を泣かせる事とうどんを粗末にする事…って。蕎麦? 蕎麦はいつか完璧に打ち負かす宿命の相手って若葉が言ってた。

 

「この鬼ぃーーー!!」

「悪魔ぁーーー!!」

「バーテックス!!」

「ちょっ、みんな落ち着いて……!?」

「許せない気持ちは分かりますけど今は──」

 

 タマは地面に座り込んだまま、怒りを叫ぶ。ほむらも、歌野も。友奈とあんずはそんなタマ達を落ち着かせようと、こっちの方に意識が向いていて……

 

 もう一度だけ言う。タマはこの日の出来事を一生忘れる事はできない。言葉にすることの難しい憤りを一生忘れない。

 

 その後に起こった惨劇によって、そこに永遠に焼き付いたのだから。

 

 冷め切った奴の冷酷な眼差しが、獰猛な殺気を帯びた。そのまま身体を勢いを付けて右回転。あいつの手から、黒い物体が猛スピードで放たれる。

 

「バーテックスと戦わ……」

「ッッ!!?」

 

 最初に動いたのは、歌野だった。一瞬で顔中に汗を流し、そこから全力で飛び出した。10数メートル離れた仲間の元へ。

 歌野が鞭を伸ばした時、タマは……気付いた

 

 気付いたその時には、奴が投げつけた爆弾が

 

 

 

 

 あんずの身体に直撃する寸前だった。

 

「あん──!!!!?」

「え…」

 

 あんずも気付く。突然迫り来る、命の危機に。

 

 爆弾があんずの身体にぶつかる……瞬間、歌野が伸ばした鞭の先端が、爆弾を突き飛ばした。

 

 だが、その結果は爆弾の軌道をあんずの身体から僅かにずらしたのと、時間をほんの僅かにだけ延長したにすぎない。

 

 あんずの身体に当たる衝撃から、鞭に当たった衝撃に変わっただけなのだから。

 

 

 

 

ドグオオォン!!!!

 

 耳鳴りが酷い爆音、肌を襲う熱風。

 

 爆発の衝撃で宙を舞う──

 

 

「あんずぅうううぅううううう!!!!!!!!」

 

 守るって約束した、タマの妹……

 

「伊予島さんッ!!!?」

「アンちゃん!!!!」

 

 そのままあんずの身体は、地面に落ちた。受け身を取らず、叩き伏せられるように……。

 

「あんずっ!!!! あんずーーーッッ!!!!」

 

 ようやくタマの身体は飛び出した。あんずの元へ……。心臓がバクバク音を鳴らす。全身からぶわっと嫌な汗が流れる。止まらず、歯がガタガタ震えて……止められない。前が見えない。息が苦しい。

 そんな状態でタマは、倒れたあんずの側に着いた。それで倒れたあんずの身体を起こし……て

 

「……ぁ……あ……あぁ…」

「タマちゃん!!!! ………そ…んな………」

「いよ…じま……さん……」

「…………くっ…!」

 

 左腕と……タマの一番の自慢のあんずの可愛い顔が、左半分が……

 

 

 焼けただれていた……

 

「う………ぁ………」

 

 息は……ある……でも、弱々しい。激痛に、熱さに苦しんでいる。

 

 涙が……

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

 あんずの顔に、ボロボロと大粒の涙が落ちる。あんずのこの姿が、あんずが今感じている痛みが、全てがタマの痛みだった。

 

 守るんだって約束していながら、守れなかったタマが憎くて苦しかった。

 

 

 

 なんで

 

 そいつら全部を包み込む、疑問と憎悪。

 

 あいつがあんずを傷つけた。いきなり……なんでだ。

 

 なんであんずに爆弾を投げつけた。なんでお前はあんずに爆弾を投げられた。なんでタマに爆弾を投げなかった。

 お前が爆弾を投げたのは、タマ達がお前に悪口を言ったからか? あんずは言っていないのになんで狙ったんだ? なあ、おい、なんでだ。

 

 

 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで

 

「なんでだあああああああああああああーーーーッッ!!!!!!」

 

 タマの怒りに世界が震え出す。絶対許せない。謝ったところであんずが受けた痛みがもう……無かったことにはならない!!!!

 この意思が勇者らしくないものだって分かっている……それが何だ!!? タマの宝物を傷つけられて黙っていられるか……!!!!

 

 力を借せ……!!!! あいつを……力を

 

輪入道!!!!

 

「精霊!? 土居さん!!!!」

「うるせぇ!!!! あいつはタマが───」

 

 そのための力を!!!!

 

「ぶっ殺す!!!!」




 ゆうほむがあんずんを狙った理由は消去法。かつてのやり取りで、勇者は自分よりも他の人に何かが起こる方がダメージが大きいと気付いているため、粛清対象の三人を除くとターゲットはたかしー&あんずん。しかしたかしーは仲間のご先祖であるため狙う訳にはいかず。

ゆうほむ「よくも決闘の約束を反故にして暴言をほざいたわね。殺してやる……」
かなほむ「ヤバいです土居さん!!」
タマっち「くっ!」
あんずん「大変ですねあなた達」
ゆうほむ「殺してやるわ伊予島杏」
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