原作映画の、死体を生き返らせる呪われた土地については、捏造です。
『ペットセメタリー』の1作目を意識して書きました。
死体以外はなんでも売ります。買います。
これが、カーマン家が営業する店の方針だ。
「なんで死体はダメなんだ?」
「俺が嫌いだから。」
「そんな理由……?」
コナンが何気なく聞いたら、アロクドがそう答えたので、コナンは少し呆れた。
「店主が嫌がってるんだから、それでいいだろう?」
レミーがそう言った。
「処分の話は来ることはあるけど…。」
「しょぶん?」
なんか物騒な話が出てきた。
「まあ…、この日本でそりゃないだろうがな…。」
「アロクド。それをフラグと言うらしいぞ?」
プハ~と、葉巻を吹かすアロクドに、レミーが冷静に言った。
すると、店の電話が鳴った。近くにいたレミーが出る。
「アロクド…。仕事の依頼だ。さっきのフラグが早速立った。」
「あんだって?」
「“生き死体”の処分依頼だ。」
「いきしたい? 死体は扱わないじゃ…。」
「店じゃ売り買いしないってだけだ。死体を作ること、ソレを蘇らせることは、禁止してねーのよ。」
「よみがえらせる~? そんな非科学的な…。」
「ところがどっこい、この世の中には、オカルトが実在するわけなのさ。」
アロクドは、灰皿に葉巻を潰して消し、仕事の準備を始めた。
「け、けど…。」
「コナン。一般常識って括りで物事を量らない方が良い。そうしないと視野狭くなって、死ぬことになる。」
準備を終えたレミーがサッカーボールをいくつも入れたネットを担いだ。
「なんで、サッカーボール? まさか…。」
「働かざる者食うべからずだ。」
「っ! 死体を作る手伝いをしろってのか!?」
先ほどの言葉を思い出したコナンが二人を警戒し睨んだ。
「安心しろ。お前にやらせるつもりはない。ただ…お前の強化シューズのシュートなら、怯ませるぐらいならできるだろうぜ。」
「?」
「相手は……、死体だ。遠慮は要らない。遠慮すれば死ぬ。それだけだ。」
「なっ…。」
「行くぞ。二人とも。時間が惜しい。こうしてる間にも犠牲者が出ている可能性がある。」
「ぎせいしゃ!?」
「この手の依頼にはそれが付き物でな。救いたいなら急ぐぞ。」
「あっ、待っ…。」
「面倒だ。」
「うわっ!」
コナンが戸惑っていると後ろからレミーに抱え上げられ、そのままランドクルーザーに乗せられた。
依頼の場所に行くと、警察の黄色いテープが張られていた。
夕方の夜になりかけの時間帯の薄暗い中に、警官隊の赤いランプが明るく照らしている。
「目暮警部!」
「おや、コナン君じゃないか。それにカーマンのご一家も。ここは危険だ、すまないが…。」
「これは、警察の案件じゃない。」
「はっ? ちょっ、待ちたまえ!」
赤黒い土の付いたシャベルを担いだアロクドがテープを越えて先に進み、レミーもそれを追いかけた。
盾を構えた警官隊を押しのけてみると、そこには、出入り口が破壊された民家があった。
その民家の前に土まみれの大きな犬が、牙を剥いて唸っていた。
その犬の足下に、犬にかみ殺されたのか、民間人と警察官が首から血を流して倒れていた。
「やれやれ…。この匂い…。間違いないか。」
「いいか、コナン。頭を狙え。」
「これは…?」
「あの犬は、まさに“生き死体”の典型だ。もう以前の犬じゃない。」
「おい、君達危険だぞ!」
「彼らを下がらせろ!」
目暮警部がそう指示を出した直後、犬が吠えながらアロクドに飛びかかろうとした。
コナンは、サッカーボールをキック強化シューズで蹴り、犬の頭にサッカーボールを当てた。
ギャイン!っと鳴いて、アスファルトの上を転がった犬の首を、アロクドが容赦なくシャベルで叩き切った。
「アロクドさん!」
「こうでもしないと、起き上がってくる。コイツはそういう奴だ。」
その時、民家の中から、小さな人影が飛び出してきた。
その手にナイフを持つ、土まみれの子供だった。
殺意に歪んだその顔で、ナイフを手にする姿はまさに異常である。
アロクドは、突きのような蹴りを子供の腹と胸の間にお見舞いし、転がったところを、先ほどの犬のようにシャベルで首を切った。
「なんてことを!」
「アロクド、あんた…!」
「こうするしかないんだ。これが一番の供養だ。」
アロクドは、肩をすくめ、シャベルを手放し、両手を挙げた。
その後、アロクドは、警官隊に連行され、民家の中に警官隊が入ると、住民らしき酷たらしい死体が発見された。
連行されたアロクドは、子供の死体を解剖に回せば、理由が分かるだろうと言ったっきり、それ以上は答えなかった。
子供殺しのレッテルを貼っている目暮警部達は、そのいけ好かない態度に業を煮やすが、間もなく検死結果が来て、その内容を見て驚愕することになる。
子供は、死後、3週間以上経過している、という恐ろしくも信じられない内容だった。
犬の方は、死後1ヶ月程度ほどだと分かった。
さらに、民家の住民の殺害については、牙の形が犬であること、指紋が子供のモノと一致したという驚愕の内容で……。
つまり、今回の猟奇事件の犯人は、3週間前に死んだ子供と、1ヶ月前に死んだ犬の仕業だったということなのだ。
さらに調べを進めていくと、3週間以上前に、民家に住んでいた一家の子供が交通事故で死んでおり、葬儀があげられていたらしい。その前には飼っていた犬も交通事故で死んだという話を近所の者達が聞いていたそうだ。
ところが、ある日を境に、肉と土が腐ったような悪臭があの民家からするようになっており、近所の者達は不気味に思っていたそうだ。
「家の中と、死体に付着している土を調べさせて欲しい。そしたら、どこで子供と犬を生き返らせたのか分かる。それまでが仕事だ。」
解放されたアロクドは、目暮警部達にそう頼んだ。
今回の事件についてどう決着をつけるか警視庁で揉めている目暮警部達は、極秘という形ではあるが、土のサンプルを渡してくれた。
アロクドは、その成分を調べ、コナンを残してレミーと共にその土地へ向かった。
後日、土まみれで帰ってきて、誰から受け取ったのか、報酬金を店に納めたのだった。
なお、今回の猟奇事件については、犯人不明という形で未解決事件として世間から忘れさせるという結論に、警察上層部は決断したらしい。
この世の中に、未解決事件がどれだけあるんだろう?
そして、オカルトが現実に存在するんだろう?
そんなことを考えながら書きました。
なお、数週間前に死んでいるので、血も固まっています。
なのに動いていたという事実と、犯人がその動く死体だったという事実をもみ消すという決断をせざる終えなかった……っという結末に。