蘭が、タロスの心臓を持っているという捏造設定になっております。
※2020/06/09
ちょい書き加え。
古代文明は、現在の世界の礎である。
それゆえに、知っておくほうが良いだろう。
だが…、現在に古代を伝えるモノを暴いた結果がどうなるか……。
例えばエジプトのファラオの呪いと言われる謎の死が発掘者達を襲ったように。
しかし、それでも現在を生きる者達は、古き時代を探求する。
それが…、例え呪いの封印であろうとも。
近頃、奇妙な殺人事件が起こっていた。
最初のひとりを皮切りに、内蔵のひとつを引っこ抜かれた状態で発見される連続殺人事件だった。
犠牲者達の共通点は、内臓を引っこ抜かれている以外は接点はない。
ただおかしなことに、犠牲者はそれぞれ違った内臓を抜かれていた。
例えば、腎臓。例えば、肝臓。例えば肺。
「こりゃ、アレだな。」
「アレ…だね。」
「あれってなに?」
コナンが真剣にテレビで放送されている連続殺人事件のニュースを見ていると、後ろの方にいたアロクドとレミーがなんかそう言っていたので、コナンが振り返る。
「コイツだろ。」
「コイツだな…。」
アロクドは、店のポストに入っていた『未知の封印!? 歴史から消されたタロス王の秘密に迫る祭典』というタイトルのチラシをテーブルに置いた。
「これってエジプト文明の博物館のチラシだろ? まさか…、ミイラが犯人だとか言うなよ?」
「残念だな、コナン。」
最近、アロクド達の身辺のオカルトさに慣れてきたコナンであるが、非科学的なはずがないという希望をアロクドに速効で壊された。
「タロスって言えば…、親父も発掘を手伝ったって聞いてるが?」
「はあ? そーなのか? けど、このチラシじゃ、最近…。」
「…1回、掘り起こして、埋め直したんだぜ。」
アロクドは、当時のことを思い出しながらタバコを吸って吐いた。
「なんで?」
「タロス王ってのは、3000年前の当時残虐非道の限りを尽くした闇の王だ。エジプトの王…、ファラオってのは、ラーの化身として象徴される。だがタロスは違った。奴の墓は、復活のためのピラミッドじゃなく、地下に封じ込められた呪いそのものの虎穴だったのさ。発見した当初、タロスが入った棺が天井にぶら下がった底なし穴に、まず探検隊のひとりが落ちた。それでもなんとか棺を引っ張り出したら、今度は発掘隊が一斉に発狂した。俺は、棺を地下に戻して入り口を埋め直して発掘隊本部に虚偽の報告をした。発狂した連中は誰一人正気には戻らなかったぜ。」
「あ、あんたは、だいじょうぶだったのか?」
「気合いだ、気合い。」
「さいですか…。」
ひとり生き残ったアロクドの持論に、コナンは口元をひくつかせた。
まあ、なんだ? この男なら呪いもはね除けそうではあるな…っと、これまでのアロクドのことを思い出したコナンはそう思えてしまった。
「けど、掘り起こされた。」
「そうだな~。封印ってのは、いずれは劣化して破れるか、誰かが暴くかするかだ。たぶん、埋め直したタロスを見つけた連中も、事実を隠してはいるがかなりの被害はあったはずだ。タロスは、3000年後に復活するって預言を残してもいるしな。」
「ふっかつ?」
「テレビでもニュースになってるだろ? 近々、惑星直列が起こるってな。そのタイミングこそ、タロスが蘇る時だ。」
「ちょっと待ってくれって。だとしても、近頃起こっている連続殺人事件とどう結びつくんだ?」
「理由は至極簡単だ。殺された人間達は、タロスの臓器を持っている人間だからだ。」
「ミイラってのは、死体保存方法……。蘇りのために壺の中に重要な臓器を納める形を取る…。けど、タロスは違う?」
「そういうことだ、レミー。タロスの臓器は、後生大事に壺には納めて貰えるはずがない。時を経て様々な人間の体に転生した。さっきのニュースじゃ、まだ一番の重要器官である心臓だけは取られてないな。恐らく…、惑星直列の時に奪う算段だろう。」
「…タロスが蘇ると?」
「世界は、闇の王の呪いを受けるだろうな。イヤだろ?」
「けど、タロスの仕業だって証拠は…。」
コナンが難色を示していると、店の電話が鳴った。
アロクドが出て、話を聞き、受話器を置いた。
「いくぞ。仕事だ。」
「誰から?」
「秘密。」
「いつの間に?」
「博物館に置かれている棺の中の包帯は、古びの細工をした贋物だ。本物はとっくに動き出して内臓集めに勤しんでるってことだな。」
「どうやって相手をするんだよ?」
「相手は、まだ不完全なうえに、しょせんは死に体だ。この手の呪いに対する対策は古来から伝わっている。あらゆる手段を使って、惑星直列の時までに内臓を揃えなくさせればいい。それだけだ。」
「アロクドは、心臓の持ち主が誰か検討がついてるのか?」
「……コナンの身近な人間だ。女…って言えば分かるか?」
「なっ!?」
コナンの脳裏に、蘭の顔が浮かんだ。
「なにせ、この手の呪いの関係者ってのは、自覚がないからな。行くぞ。二人とも。」
そして一行は、トラックを走らせ、毛利探偵事務所についた。
小五郎を訪ねたが、蘭は帰ってきていないと言っていた。
「遅かったか…。」
「おい、どうしたんだ?」
小五郎が怪訝そうに聞く。
「最近起こってる連続殺人事件の最後の標的だ。お宅の娘さんがな。」
「なにー!?」
「急ぐぞ。」
「おい、待てって! どうして蘭なんだ!?」
「説明してる時間は無い。」
焦る小五郎を置いて、アロクド達はトラックに乗って急いだ。
「レミー、方角は?」
運転するアロクドが、隣で謎の装置みたいなモノで地図を照らし合わせているレミーに聞いた。
「この道の先の廃工場だ。」
「蘭…、無事でいろよ!」
コナンは焦る気持ちを抑えつつ歯を食いしばった。
人気の無い廃工場の出入り口のところで、蘭を発見した。
オロオロとしていたので話しかけると、園子が包帯に襲われて工場の中に引っ張り込まれてしまったと泣きそうな顔で言っていた。
「アロクド? 話が違うんじゃ…。」
「違わないな。狙いは間違いなく、蘭ちゃんだ。園子って子と思わせて、こっちを攪乱させるためだろ? タロス…?」
「えっ?」
『………貴様…。』
「よ~~、久しぶりだな。王様。」
工場の陰から現れたのは、シワシワに干されたような人間の男だった。
『やはり…、貴様だけは、殺しておくべきだった…。』
「そりゃどーも。けど、対策は取ってんだよ。さっきから蘭ちゃんの後ろに迫ってきている、あんたの洗脳を受けた園子って子が、近づけてないだろ?」
『!?』
「園子!」
「蘭……、タロス様の…心臓…を…。」
園子は、正気じゃない目でナイフを握りしめ、ブツブツと呟いている。
振り返った蘭の背中には、御札が貼ってあった。どうやらコレがタロスの呪いをはね除けているらしい。
『おのれぇぇぇぇえええええ!!』
「こいやーーー!!」
バトル開始。
不死身のタロスを相手に、アロクドは肉弾戦で応戦しつつ、持てるだけ持って来た呪物を使いまくる。
やがてタロスは、ミイラのように繭みたいに純白の包帯で全身を巻かれ、その上から大量の御札やら貼られたうえで、十字架をもした剣を何本も串刺しにされ、ドラム缶いっぱいの聖水までぶっかけられて、ギャアアアア!っと悶えた。
「あっ、惑星直列が過ぎた。」
レミーが時間を見て言った。
「だってよ? ターロスさん? まっ、とりあえず、奪った内臓を引っこ抜いて~、棺に戻して元の場所に埋め直してやるよ。次の惑星直列の時まで、あと数千年後だろうけどさ? その頃には俺もいないし、大人しく待つことだな?」
『ぐ、く…ぅうう…! ひぃぃううううう…。』
繭状態で顔が見えないが、タロスは、悔しくて、自分を片足で踏みつけているアロクドが怖くて泣いた。
廃工場内にあった、本物のタロスの古い包帯を回収し、内臓を返したくてもすでに持ち主が死亡しているためアロクドが処分し、どこでどうやって話をつけたのか、タロスを見世物にしていた博物館は、急遽閉館して、アロクド監修のもとタロスの棺は、もとあった場所に埋め直されたのだった。
「…封印はいずれ、劣化するか、誰かが暴くか…。数千年を待たずにまた誰かが掘り起こしたら?」
「……そこまでめんどーは見きれねーなぁ。」
タロスの洗脳が解けて重い頭痛に苦しむ園子を病院に送ったあと、レミーとアロクドはそんな話をしていた。
「……闇の呪いの王も、泣き出す男か…。」
「ソイツは、サイコーの褒め言葉だな!」
コナンの言葉に、アロクドは、タバコを吸いながらガハハハ!っと豪快に笑ったのだった。
悪魔も泣き出す、じゃなく、ミイラも泣き出す男。アロクドさんでした。
タロスがなぜ発掘された後、日本で自分の内蔵探ししていたかというと、映画と違って、日本に自分の内蔵の持ち主達が集中していたためでした。