『ミート・オブ・ザ・デッド』と、『ザ・クレイジーズ』同時事件。
『ミート・オブ・ザ・デッド』は、狂牛病っぽいゾンビかな?
割と最近ぐらいに見たゾンビ映画だったが、よく分からんかった記憶がある。
なんか人体がやけに柔らかげだった。
『ザ・クレイジーズ』は、昔の古い映画だけど、リメイクされて新しくもなっている細菌パニック物。
個人的に発狂したおばあちゃんがにこやかな顔で滅菌装備をした軍人を毛糸針で刺したのがトラウマ。
どっちが面白かったかって言ったら、『ザ・クレイジーズ』かな?
筆者的には。
ゾンビ。
それは、ネクロマンシー(死霊魔術)にルーツを持つ、生きた死体という矛盾した存在を示す。
大元のゾンビは、ネクロマンシーの技法で死体を支配して操るものであるが、最近の架空の映画などにより、人を食うことと、噛まれるとゾンビになるなどの新たな要素が付与されていった。
ゾンビに限らず、中国のキョンシーなど、古今東西様々な形で生きる死体という共通した物は存在する。だがすべて実在しないというのが普通だ。
最近の架空の作品に描かれ、有名となったゾンビであるが。
だが実在したらどうだろう?
もしもである。
多くの場合、ゾンビを題材にした作品は、世界が滅びるほどの大惨事になっていることが多々あるが……。
まあ、小規模でのゾンビというのもあるにはあるのだ。
その小規模ゾンビパニックに巻き込まれた時……、どう対応するか…、それは人それぞれだろう。
ドッ!と首から上が地面に転がる。
「ふーい…、とりあえずこれで最後か? 誰も噛まれてないよな?」
「だいじょうぶだ。」
「…あんたらの場慣れ具合も慣れてきたぜ。」
コナンは冷静沈着な、カーマン親子を見ながら呆れていた。
「しかし、どーなってんだ?」
汗と土汚れまみれの小五郎が、アロクドが倒したゾンビを見つめる。
「何が起こってるんすかね?」
「……病気の類だと思うけどな。」
「びょうきー? こんな病気があるんすか?」
「噛まれて感染するなら病気の類いか、呪いの類いと考えられるが……、さっきレミーが牛に襲われたって言ってたから、牛が感染源って可能性があるな。」
「牛ゾンビ?」
「人間がゾンビになるのに、他の動物がならないってのはおかしな話だ。」
「そーっすね…。」
想像した小五郎が顔色を悪くした。
「信じられない…。ゾンビが実在するなんて…、映画や漫画の世界だと思ってた。」
「人間の想像する範囲でのことは実在する可能性がある。」
「あっ、これレミーの持論な。」
「なんか…説得力あるな。」
レミーが言うことは妙な説得力があり、すんなり頭に入って来るのでコナンはずっと不思議に思ってた。
「まー、とにかく明るいうちに車で脱出だ。暗くなったら逃げにくくなる。」
「そうですね。蘭、立てるか?」
「うん。だいじょうぶよ。コナン君もはぐれないでね。」
「分かってるよ。」
こうして一行は、駐車場に止めてある車に急いだ。
その道中に生き残りの村人を見つけて保護して一緒に脱出を目指した。
しかし……。
「キャハハハ!」
急に保護した村人の娘が発狂した。
更に、離れた場所で炎に包まれながら祈るように死んでいく村人の男とを見つけたりもした。
「あー…、これは…。」
「アロクド、知ってるのか?」
「なるほど…、事件は二つ同時にか。」
「なんだなんだ!? なんに起こってるんです!?」
「細菌兵器だ。」
「へ…。」
「これと同じ症状を出す兵器を知っている。まさかまだあったとはな…。」
「なんですかソレって…?」
「水に混じって飲んだ人間を発狂させる細菌兵器だ。そういえば、この村の近隣に墜落事故があったらしいな。たぶん、それだ。」
「み、水だって!? それじゃあ、我々も…。」
「事故が本当なら村の出入り口も周辺も、もう封鎖されているはずだ。軍にワクチンがあるから、そこまで行くのに発狂しないことを祈るしかない。」
「発狂したら…?」
「終わりだ。」
「そんな!!」
あんまりなことだとアロクドとレミー以外が驚愕した。
「とにかく発狂するしないに関わらず、急いだ方が良い。最悪一掃作戦なんて出られたら命がヤバいからな。」
「なんで…あんたそんな冷静に…。」
「別に好き好んで冷静でいるわけじゃない。いそ…、っ。」
「あんた! なにを!」
持っていたナタでアロクドに斬りかかろうとした村人の男が、泣き笑いの顔で震えていた。
「あ、あああ、あんた分かってたんじゃないのか…? もしかしてこの村をメチャクチャになることを知ってて…、ああああ、あんたが悪いんだ! あああああああああああああ!!」
「ダメだったか…。」
「ち、ちくしょう! なんてこった!」
アロクドは、肩をすくめ、小五郎は悔しさをにじませた。
発狂した男が襲ってきたためレミーがハイキックをかまし、更に暴徒と化した発狂集団も来たため、発狂してない者達で頑張って切り抜け村の外を包囲しているであろう軍を探した。
結局、無事な村人はおらず、発狂の予兆が蘭に見られ始めた時、防菌装備をした軍に接触でき、アロクドが謎の交渉をして保護してもらいワクチンを貰うことが出来た。
そしてすぐに蘭に与えられ、奇跡的に後遺症も無く蘭は助かった。
今回のことは決して公になることも無く、あまりに現実味がなかったため、人に話しても信じて貰える話でもなく、巻き込まれた者達は、各々の心や記憶の中に封印しておくしかなかった。
「ところで、発狂させる細菌兵器をなんで知ってたんだ?」
「取り扱ったことあるからな。」
「へっ?」
「うちの店で。」
「!?」
「コナン、あまり詮索しない方が良い。うちはそういう店だ。」
ギョッとして固まるコナンの肩を、レミーがポンッと叩いたのだった。
蘭はね、主人公ヒロイン補正ですね。無事だったのは。
『ザ・クレイジーズ』じゃ、ヒロインらしき人も漏れなく狂ってましたけど。
なお、このネタでは、ゾンビと細菌兵器は無関係で、偶然同じ場所で起こってしまったことです。
滅菌ついでにゾンビも駆除されました。