とりあえず、普通の手段は諦めていいですか?『完結』   作:サルスベリ

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 フワッと思いつくは多くないのですが、この話はヒノカミ神楽を知った時に思いついたものです。

 鬼舞辻無惨を逃さないためにどうするかってことより、どうやって誘い込むかなんて考えた結果。

 軍人なら敵陣地への強襲とか、任務ならやるでしょうけど。

 できれば熟知した場所で戦いたいじゃない。

 そんなお話です。









初期目標の設定を間違えました

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 対鬼用城塞都市『鬼滅』。

 

 鬼の襲撃に耐えかねた村人たちの決意と、感銘を受けた炭十郎の願いを受けてアベルが設計した都市は、当初の建造目的は今とはまったく違うものだった。

 

 本来、城塞都市とは敵の侵攻を防ぐために、あらゆる防御を外側に向けたもので、できるだけ固く、できるだけ長い間、敵の侵攻を食い止めることを目的として都市設計から建造まで行われる。

 

 『鬼滅』も最初はそう考えていたが。

 

「隠れて終わるものなんだろうか?」

 

 炭十郎が不意にそんなことを言ったため、誰もが考えてしまった。

 

 鬼は許せない、鬼が来たら家族が怯える、永遠に明けない夜に怯えて震えて眠るなんてことあっていいはずがない。

 

「ではどうする?」

 

「人は困難に立ち向かっていくものではないか?」

 

 当たり前のように問いかけてきた炭十郎に、誰もが反論せず、むしろ納得してしまった。

 

 こうして『鬼滅』は当初の建造目的を一転。

 

 重要保護区画は要塞らしい防御を外側へ向けて、多くの人を護るために建造されたのだが、大半の都市部分は防御を『内側へ向けた』設計になった。

 

 鬼を誘いれ、鬼を逃さず、鬼を分断して、各個撃破するために。

 

 こうして世界でも、あるいは歴史でも類を見ないほどの内側に入った何かを外に出さないために、絶対に逃がさないための城塞都市。

 

 『鬼は絶対の滅ぼす侍達』の都市、『鬼滅』は完成した。

 

 鬼を誘い込み、多くのビーム・サーベル装備の侍達、都市の修復を担う補修部隊、戦闘時に侍達に鬼の位置を知らせる情報網の構築、戦闘時でも確実に物資や食糧を補充できる補給部隊など。

 

 村人たち、あるいは近隣から流れてきた人々を訓練して、その人にあった部隊に振り分けて、再度の訓練を行いながら鬼の襲撃に備えた。

 

 一方で、戦闘集団の基地に見えないように、普段は何処にでも有るような街に見えるように営みも行ってもらった。

 

 人の流れ、物流、外からの商人や旅行者、警察や軍、役人といった政府の関係者が入っても、不審に思われないように徹底的に隠し通して。

 

「すべてが終わったら、日本のために動いてもらえないか?」

 

 そんなことを、とある国家のトップが言ってきたそうだが、炭十郎は笑って否定したという。

 

 我々はただ、鬼を滅ぼすための存在でしかなく、それ以外の力は持ち合わせていない、とだけ。

 

 都合のいい話だが、何故か政府はそれを了承したという。

 

「・・・・彼を敵に回すよりはマシだろうな」

 

 そんなことを、何処かの首相が言ったというが、嘘か真かは解らないまま。

 

 こうして『鬼滅』は現在の姿となった。

 

 対鬼用城塞都市、そして鬼の首魁を滅ぼすための都市型の罠は、今も動き続ける。多くの人の願いと恨みと怒りを糧として、いずれ来る鬼との決戦のための牙を研いで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 炭十郎は、珠世との会談を終えた後、ジッと目的のものを見ていた。

 

 『鬼滅』が始まったときから覚悟はしていた。いずれ来ると考えてはいた。鍛練を怠っていない、誰もが装備を手にして訓練して、今では昔に使っていた道具よりも手になじんだ武器となった。

 

 直接の戦闘部隊ではない者も、最初の頃は疑問を口にして信じられないといっていた道具を、今では自分の体の一部のように使っている。

 

 誰もが、いずれ鬼の首魁を討つ、完全に滅ぼすことを目的に動いていた。

 

 その瞬間が来たのだろう。

 

「アベル君の予想も外れるものだね」

 

 少し炭十郎は苦笑してしまう。

 

 後二年。そう彼は言っていた。都市はできた、人の配置もできた、けれど鬼の首魁を、鬼舞辻無惨をどうやって誘い出すか、その方法は見つからない。

 

 鬼を分析し解析し、解剖して把握しているアベルが見つからないのだから、炭十郎達には見当もつかなかった。

 

「あの坊主の予想なんぞ、最初から外れっぱなしだろうが」

 

 田島のじい様の悪態に、炭十郎は思わず頷いてしまった。

 

 最初は自分だけが戦うといって、村人たちに押されて折れて。次に攻撃は自分がといって、炭治郎達に押し切られて。

 

「そういえばそうだった」

 

「まったく。それで、どうするんだ?」

 

「もちろんやるさ。鬼舞辻無惨を討つのに、ためらう必要はない」

 

 はっきりという炭十郎に、田島のじい様は小さくため息をついた。

 

「呼び戻すのか?」

 

「いいや、炭治郎達にはそのまま鬼殺隊のお館様にあってもらおう。そこで通信を繋ぎ、相手に話をしてみようと思う。相手も、鬼を滅するのは悲願だろうからね」

 

「他の部隊との共同か、上手くいくのかね」

 

「うまくいくかいかないかは解らないけど、どちらも目的は一緒だからね」

 

 鬼を滅ぼし、鬼舞辻無惨を討つ。そのための組織ならば、協力はできるはずだから。炭十郎はそう確信していた。

 

「なら俺は最終確認に行ってくる」

 

「頼むよ。決戦の場所は、ここになりそうだからね」

 

「・・・・・・来るか、あいつが?」

 

 田島のじい様には懸念があった。

 

 『鬼滅』は確かに鬼との戦いには、十分すぎるほどの性能を持っている。人が人のままで、あの化け物と戦えるように設備を整えた場所だから、どんな状況になっても勝てる要因は、これでもかってほど盛り込まれていた。

 

 しかしだ、今まで鬼を散々に葬ってきた。ここで滅ぼした鬼の数が、かなりの数になっている。

 

「そうだね」

 

 鬼舞辻無惨は臆病で慎重、一度目の失敗さえないように徹底的に調べて考えて、調査して、その上で石橋を叩くごとく狡猾に物事を進める。

 

 あの時、夜に遭遇した鬼舞辻無惨と戦った後、アベルが統合AI達に命じてプロファイリングしてもらった結果に、誰もが異論は挟まなかった。

 

 鬼と戦ってきた中、相手の情報は一切、出てこなかったから。どんなに追い込まれても、どれほどに圧倒されても、鬼達は首魁の名を口にしなかった。

 

 珠世からは呪があると教えられた。名を言った鬼は、鬼舞辻無惨によって殺されている。そこまで徹底して自分の名を伏せ、存在を隠している相手が、今まで攻め入った鬼がすべて消えている場所に、目的のものがあるからと襲撃してくるだろうか。

 

 答えは否だ。絶対にここに来ない。

 

「それにあいつの背後には空間転移の術者がいるんだろ?」

 

 誘い込んで囲んでも、それで逃げられたら終わりだ。

 

「さて、どうするか」

 

 炭十郎は昔にアベルが言っていたことを思い出す。

 

 空間転移には大きく分けて三つの種類がある。

 

 一つ目、座標点の同一化による移動。

 

 二つ目、座標点に対して、A地点とB地点を重ね合わせる移動。

 

 三つ目、座標点ではなく、移動する出入り口を形成することによる移動。

 

 よく意味が解らないが、一つ目と二つ目は防ぐのは簡単らしい。相手側に座標点を誤認させるか、あるいは座標点事態に空間凍結をかければすぐに終わる。

 

 問題は三つ目、座標点を狂わせても出入り口が開いている以上、移動する当人が出入り口に入ってしまえば、移動は完了する。

 

 防ぐ手段はあまりないとアベルは言っていた。

 

 『まあ、何とかしますけど』と、彼はその後に当たり前のように告げていたが。

 

「そのあたりも詰めようか」

 

「左様か。じゃアベル達にも知らせてから」

 

「え? 何故だい?」

 

 考えてもいなかったかのような炭十郎の答えに、田島のじい様はえっという顔を向けた。

 

「いやいやいや、決戦の話をするんだろ?」

 

「炭治郎達はお館様のところにいるのだから、一緒にすればいいじゃないか」

 

「その前に知らせておけよ」

 

「手間が増えるからね。それに」

 

「それに?」

 

 何故か、田島のじい様は嫌な予感がした。どうしてだろう、こんな気持ちは初めてだ。鬼がいるなんて知った時も、こんな感情は抱かなかったのに。

 

「さぷらいずというものだからね」

 

「・・・・・・・・」

 

 田島のじい様は何も告げずに、背中を向けて歩きだした。

 

 内心で、『そうじゃない』なんて叫んでいても、悪い顔で笑っている炭十郎には言わなかった。

 

 こうして、炭治郎とアベルはお館様と一緒に鬼との最終決戦を知るのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「解りました。その時はお願いします」

 

『こちらこそ、よろしくお願いします』

 

 目の前でのやり取りを、アベルは何処か遠い目で見ていた。

 

 そっと目線を反らすと、隣の炭治郎も同じ目をしていた。

 

「え、知っていた?」

 

「アベルさんこそ、知っていたんですか?」

 

「いや俺は聞いてない」

 

「俺もですよ。え、父さん、マジで?」

 

「最終決戦だよな? 鬼の首魁を討つって話だよな?」

 

「え、待って、なんで俺は話から外されていたの? どうしてここでその話を聞くことになったの」

 

 二人して大混乱中。普通、もっと前もって話があるべきじゃないか、少なくとも他の組織のトップに会いに行って、自分達の組織の最終目標への攻撃の話を聞くことになるなんて。

 

 いや予想は少ししていた。鬼殺隊と一緒に鬼舞辻無惨を討つことになるのは解っていたが、こんなにいきなり来る話じゃないはずだ。

 

 まずは合同訓練とか、戦い方をお互いに知ってからとか。

 

『そうそう、炭治郎、アベル君』

 

 炭十郎の声に二人は顔を上げた。

 

 そうか、これは前振りというやつだ。ここから話を纏めるか、準備を進めて行動開始となるはずだ。

 

 気を引き締めた二人の前で、炭十郎は笑顔で。

 

『さぷら~いず』

 

 ブイサインとかしやがったよ、この野郎。

 

 そして通信終了。

 

「ちょっと待ったぁぁ!!!」

 

 炭治郎が慌てて再コール。通信を繋ぐように焦った彼の耳に、信じられない言葉が飛び込んできた。

 

『お客様のお使いになった番号は、電波の届かない場所にあるか、電源が入ってないためかかりません。こちらは、『鬼滅』通信サービスです』

 

「・・・・・・・・何処の世界の通信サービスだこの野郎!」

 

 炭治郎ガチキレ。しかも音声が人工音声じゃなく、炭十郎のものだから怒りのボルテージが上がる上がる。

 

 思わず腰に手を伸ばした炭治郎を、アベルは慌てて取り押さえた。 

 

「待った! 待った炭治郎!」

 

「離してくださいアベルさん! この人は斬ります!」

 

「あれはおまえの父親! あの炭十郎さんなんだぞ!」

 

「離せぇぇぇ!!」

 

「お前が卍解しても笑顔で斬り捨てる炭十郎さんだぞ!」

 

「今ならコロナくらい出せる気がします! 今なら!」

 

「止めておけって! 『できそうだね』で重力の塊を斬る人だぞ! 竈門家最強じゃなくて『鬼滅』最強の剣士なんだぞ!」

 

「離せぇぇ! 俺がそれを奪ってやるから!」

 

「炭治郎ぉぉぉ!!」

 

「離せぇぇぇ!」

 

 必死に抑えるアベルを炭治郎は一蹴。アベル君の身体能力で炭治郎が抑えられるわけないよね、身の程を知りなさい。

 

「・・・・・・いい日だね」

 

 産屋敷耀哉はにっこり笑顔で告げた。 

 

「マジですかお館様?!」

 

 転がりながらアベルは、懸命なツッコミ。

 

「とてもいい日だよ」

 

 耀哉はそう告げて大きく頷いた。

 

 その後、騒ぎを聞きつけて突撃してきたカナエによって、二人は強制的に土下座したのでした。

 

「あのカナエさん?」

 

「反省していますから」

 

「さあ、戻りましょうね」

 

 笑顔なのに怖いカナエと、その背後に銀色の物体に首だけ出して取りこまれた二人が、産屋敷邸を後にしたのでした。

 

 ELSは思う、『こいつら別の組織のトップの家で何してんの』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アベルさ~~ん」

 

「え、あれしのぶ? え、何そいつら?!」

 

「アベルさん、お話がありますからね」

 

 G、襲来。

 

「私が知らない間に何してるの?」

 

「カナエ、誤解だから、あれは俺も持ってないから」

 

「嘘つかないの」

 

「そうですよ、アベルさん」

 

 何故か、カナエとしのぶから疑われたのですが、アベル君でもさすがに火星のG達を持っているわけがなく、どうしてここにいるのか理解できずに悩むのでした。

 

「ダネダネ」

 

「・・・・・・」

 

「カナヲ、俺は知らないから、俺は知らないって」

 

 無言で見つめてくるカナヲと、その足元で背中に花を咲かせたカメみたいな生物に、アベルの精神はさらに追い詰められることになりました。

 

「・・・・・・あれ、カナエさんの背中に浮かんでいるあれって」

 

 炭治郎、何かに気づく。

 

「え、まさか、そんなはずない」

 

 彼女とはまったく関係ないはずだ。花ともまったく関係ないはずだ。

 

『最終進化できました兄さん!』

 

『よくやったぞ弟よ! では手筈通り、私はしのぶ様に。妹を護るは兄の役目よ!』

 

『私はカナエ様に。姉とはすばらしい存在ですね!』

 

『さあ行くぞ!』

 

『もちろんです!!』

 

 『『無限力と縮退炉を搭載した我らに勝てるものなどない!』』

 

 どっかの馬鹿なターン兄弟が、最終進化しました。

 

「俺は何も見なかった、だよな流刃若火」

 

 炭治郎、乾いた笑みを浮かべて自分の刀を握るのでした。

 

 『今なら宇宙創造ヨユー!』なんて刀が言った気がするのですが、気のせいだと信じましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、始めよう。

 

「てめぇ!! 人間が人間風情が!」

 

「うっさい鬼だなぁ」

 

「今まで人を殺してきたのに、今更じゃないの?」

 

 左右から抑え込まれた鬼はわめきながら威嚇するものの、その体は自由になることなく。

 

「見ているな、鬼舞辻無惨」

 

 正面に立つ男はゆっくりと刀を抜く。

 

「これが欲しいなら、ここに来い」

 

 男は右手に刀を持ち、左手に『青い彼岸花』を持っていた。

 

 

 

 

「待っているぞ」

 

 

 

 

 そして刀は、太陽の輝きで鬼を滅ぼした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










 ついに最終決戦です。短編なんで、短いですが最終決戦です。

 頑張れればいいな。

 さて、本当にどれで無惨様に普通じゃない手段を味わってもらおうか決めないと。










 

「童磨、なんだよ、こいつ、嫌いだな」

 そんなことを言っていた人がいまして。

「あれ?」

 起きたら童磨になっていました。

「え、マジ? え、あれ」

 しかも、カナエとの決戦中に憑依。

「嘘ぉぉぉ?!」

 足元には倒れているカナエがいて。

 手の中には手紙があって。

 『ごめんね~~転生事故しちゃった。ごめんごめん。色々と転生特典つけて上げるから、許して。特別に神様の能力もあげるからさ』。

 とか、偉く気楽な神様からの手紙。

 『天照大御神』、『アグニ』、『ラー』、『ソール』。とか書いてある転生特典の説明書。

「俺は鬼なのに転生特典が太陽神だけって何の虐めだぁぁ?!」

 男は絶叫したのでした。

 こうして転生して童磨に憑依した男の苦悩が始まるのでした。

 あ、鬼舞辻無惨の呪と人を食わないといけないってのは外してあるからね。

 気休めにもなりません。

 能力を使えば全身が焼ける、でも使わないと血鬼術のみ。氷だから転生特典と相性が悪言ったらありゃしない。

 とりあえずカナエの傷を癒して、全身を大火傷。

「姉さんの仇!」

「殺してないから!!」

 しのぶに追われて全身に猛毒を貰い、でも太陽神の力で死ねずに。

「貴様は」

「上弦の壱が来るんじゃねぇぇぇぇ!」

 鬼からも追われて。

「どうして私を助けたの?」

 結構、好きだったキャラナンバーワンのカナエに睨まれて。

「なんだろ、俺って何か悪いことしちゃったかな?」

 『気がついたら童磨で転生特典が太陽神ばっかりなんですが、どうしたらいいですかね?』。

 そんな彼の明日はどっちだ?!






 なんて話を妄想して、書けるかって放り投げました。








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