とりあえず、普通の手段は諦めていいですか?『完結』   作:サルスベリ

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 鬼滅の刃を調べてみる。

 太陽の光が弱点、でも克服できる可能性はある。

 首を落とす、でも再生している場合もある。

 ということは、こういうことなら大丈夫ってことですね?!












相手が生物ならやりようはあるな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 妙な噂がある。

 

 最近、光の刃を使う剣士がいるって。

 

「・・・・・」

 

「いや本当なんだよ、アベル。夜なのに、お天道様が出たみたいに明るくてな」

 

「え、あ、はい」

 

「廃刀令でお侍さまから刀を取り上げたのに、未だに刀をさしているお侍がいるのは知っているんだよ」

 

「へぇ~~」

 

 源さんが言っていることを聞きながら、アベルは冷や汗が止まらない。

 

 心臓がドクドク言っている。視界が少し揺れている。

 

「にしたってお日様みたいな刀なんて、あるのかねぇ」

 

「そ、そうですね」

 

 不味い、不味い。今までもビーム系の攻撃はしていたし、手駒が接近戦をしなかったなんてことはない。今までも攻撃はやっていたのに、広まることがなかったのは念入りにフィールドで覆っていたから。

 

 攻撃が外に漏れないように、誰にも見つからないように。完全に隔離した空間の中で攻撃していたから、誰にも見つからず噂にもならなかったのに。

 

 あの二人に口止め、というか注意しておくの忘れた。

 

「なあ、坊主」

 

「はい?!」

 

「おまえさん、そんな刀、作れないよな?」

 

 あたりです、ビンゴでした。なんてアベルは内心で思いながら、苦笑をうかべて首を振る。

 

「俺には無理ですね」

 

「だよなぁ~」

 

 うんうんと頷いた源さんは、『邪魔したな』と告げて背を向けた。

 

「そうだ、坊主。仕事が出来て収入が増えたって言ってもな」

 

「はい、何ですか」 

 

 誤魔化せたと安堵したアベルは、その背を見送りながら次の仕事へと手を伸ばしていた。

 

「いくらなんでも妾をもらうのは速すぎないか?」

 

「・・・・・・え?」

 

「いや美人さんで大変に結構、男ならそうじゃなくちゃな」

 

「え、いや待った!」

 

「でもなぁ、あの子らって姉妹だろ? 姉妹を食っちまうのはなぁ」

 

「待った待った! 源さんは何か勘違いしてるから!」

 

「勘違いねぇ。おまえさん、あの姉妹と夜の街に消えたって噂、知らないのか?」

 

 首だけ振り返って鋭く見てくる目線に、アベルは胸を抑えてしまった。

 

 心当たりがあり過ぎる。送っていくって夜の街を歩いたことが、何度かあったりする。

 

「美人さんに手を出して傷物にしておいて、責任とらねぇなんてこと、ないよな?」

 

「・・・・・もちろんです」

 

 あまりに鋭く殺気交じりの瞳に、アベルは頷くしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 胡蝶・しのぶは今日も上機嫌だった。

 

 久しぶりに楽しいと思える日々だ。

 

 確かに鬼の脅威はある、今の世界の何処かで鬼のために泣いている人がいるかもしれない。

 

 一刻も速く、鬼を討伐しないと。その首魁の首を落とし、人が安心して眠れる世の中にしたい。

 

「なんて建前ですね」

 

 心の中で嘘をついて、彼女は『刃』を振るった。

 

 鬼の首が飛ぶ。

 

 以前なら、どんなに力を入れても斬れなかった鬼の首が、あっさりと宙に舞って消えていく様を見つめ、薄く笑みを浮かべてしまう。

 

 自分は、とても浅はかで傲慢だ。

 

 鬼の首が切れなかったから毒を作ろうとした。姉の姿を追って、鬼を狩る道を選んだ。両親が殺されたから、仇を討とうと思った。

 

 色々な理由をつけて、自分で考えて決断して始めたことなのに、出来ないからと諦めるでもなく別の道を見つけてでも、最初に決めたことを続けようとした。

 

 逃げているようで嫌だったから。決意を否定しそうになって怖かったから。姉だけに押し付けてしまいそうだったから。

 

 いや違う、自分はそうやって逃げて迷って、できない『弱い自分』を認めたくなっただけだ。

 

「本当に私は嫌な子ですね」

 

 二度、三度と刃を振るう。血のりなんてつくわけなく、肉片や油で切れ味が落ちることなんてないのに、刀を使っていた時の癖で振るった刀は、その刀身を消して手の中に柄だけを残した。

 

「これがあれば、まだまだ続けられるなんて、喜んで。本当に私は」

 

 棒みたいな形になった刀を腰に吊り下げ、しのぶは歩き出す。

 

 また、こうなった。

 

 最初は上機嫌に鬼を狩れるのに、終わるころには嫌悪感が満ちてくる。

 

 本当に嫌になる。鬼の首を狩れるのに、鬼を倒せるって言うのに。それが自分一人の実力じゃないことが、とても嫌になって気持ち悪いくらいに嫌いで。

 

 でも、鬼を狩れることを喜んでしまう自分がいて。

 

「はぁ」

 

 小さくため息をつくしのぶの背後、森の木々が僅かに揺れる。

 

 ハッとして刀に手を伸ばすが、すぐに手を離して歩きだす。

 

「あの人はまったく」

 

 木々の上、周囲の景色に溶け込んだ『何か』が動いていた。

 

 光学迷彩と説明を受けたのだが、しのぶの頭では理解が出来なかった。要するに姿を消している、と簡単に結論を出して納得した技術を使った存在達は、しのぶが動くと同時に動きだす。

 

「私も鬼殺隊の剣士ですよ」

 

 しのぶを中心に動いている集団に向かって告げるのだが、相手からの返答はない。

 

「心配症なんだから」

 

 小さく呟くしのぶの表情は、こぼれた不満とは裏腹に少しだけ笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや心配しているわけじゃなくてね」

 

 後日、ビーム・サーベルの充電に訪れたしのぶとカナエに、どうして護衛をつけているかを尋ねられたアベルは、素直に話すことにした。

 

「噂になっているんだよ。『お天道様の刀を持つ剣士』って」

 

「そんな凄い剣士様がいるの?」

 

「日の呼吸と言ったところでしょうか?」

 

 なんだろう、そんな返答が戻ってくるとは思わなかった。

 

 カナエは天然なところがあるから、しっかり説明しないといけないと思っていたのだが、まさかしのぶまで勘違いしているなんて。

 

 日の呼吸なんて、あるのだろうか。花とか風があるのだから、お日様みたいな呼吸もあるか。炎の呼吸はあるらしいし。

 

 アベルは少しだけ現実逃避した。

 

「いや二人のことだから」

 

 はっきり伝えよう。察してとか回りくどい言い方をして、二人に不利になったら申し訳ないから。

 

「え、そうなの?」

 

「まさか、姉さん、夜に使い過ぎじゃないですか?」

 

「ええ? しのぶだって使い過ぎじゃないの?」

 

「私はそんな・・・・・・こともないって言いきれない」

 

「ほらみなさい。私は・・・・・・あ、まだ刀を貰ってない」

 

「姉さん!」

 

「だってだって! 使い易いのよ?!」

 

「それは認めますけど!」

 

 何故か、はっきりと伝えたら姉妹ケンカになりました。お互いに言い合っているのに、どうしてか微笑ましい雰囲気しかないのは、二人が美人だからだろうか。

 

 アベルはそんなことを思いながら微笑んで見守っていた。

 

「やっぱり私じゃなくてしのぶじゃないの?!」

 

「私だけじゃないはず! 姉さんだって使いっぱなしじゃないの?!」

 

「だって刀がないんだもん!」

 

「もんって何よ! もんって!」

 

「女の子なんだからそのくらい言うわよ!」

 

「私だって女の子なんですけど!」

 

「しのぶは可愛いから大丈夫!」

 

「姉さんだって可愛いんだから注意してよね!」

 

 アベルは思う、自分はいったい何を見せられているのか。姉妹ケンカが始まったはずなのに、今はお互いのいいところを大声で言い合っている。

 

 これがノロケか。

 

 アベルはもう現実逃避ではなく、現実を無視して仕事を再開することにした。そのうち、戻ってくるだろうと思いながら。

 

 結局、姉妹が正気に戻ったのは源さんが仕事を持ってきた時だった。

 

「おまえんところの嫁さんはにぎやかだな」

 

 ニヤリと笑う源さんの一言で、二人は止まった。止まったのだが、今度は別方向に感情が動いた。

 

「嫁さん?! そ、そんなこと」

 

 カナエ、顔を真赤にして首を振っている。

 

「まだ違いますから!」

 

 しのぶ、その言い方はおかしいのだが、本人は気づいてない。

 

「そうかそうか」

 

 源さんはニヤニヤと笑いながら、アベルの肩をバンバンと叩いた。

 

 そして、問題のアベルは深くため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 検証事項、二百六十回。

 

 内容、『鬼は生物であるか否か』。

 

「てめぇ何もんだ?! ここは何処なんだよ!?」

 

 ナノマテリアルと次元結晶で作られた檻の中、鬼が喚いている。

 

 目標の活動は活発にして、身体はとても強靭。人体の枠の収まらないほどの大きさを持つため、鬼の『実験台』としてはかなり有効。

 

「聞いてんのかよ?! てめぇ!!」

 

 鬼が手を伸ばすも、その手が触れることはない。

 

 目の前に浮かぶ影は檻を引きながら、ゆっくりと進んでいた。

 

 この鬼を見つけたのは、とある山の中。何やら複数の鬼が山の中をうろついていたから、その中でも特別に大きなこいつを選んで持ってきた。

 

 藤の華が咲いている山だったので、とても印象深い。もしかして、藤の華と鬼には何かの因果関係があるのか。

 

 事項の検証項目として記録する。

 

「聞いてんのかよ?! この手鬼様をどうするつもりだぁぁぁ?!」

 

 答えることなく影はゆっくりと『浮かぶように』進んでいく。

 

「ここ何処だよ!? ふわふわ浮いて気持ち悪いんだよ!」

 

 答えはなく長い筒のようなものを進んだ後、影がピタリと止まった。

 

 終着点。そう手鬼が思っていると、影がゆっくりと振り返る。

 

 今まで姿が見えなかった、本当に影のように真っ黒で見えなかった姿が、徐々に見えてきた。

 

「ヒ?!」

 

 それは、鬼から見ても異形。

 

 金属の塊で出来たような姿、両手両足もすべて金属。生物としての場所などまったくない、すべてを金属で描かれた人型。

 

 不自然に長い手足、背中の下ほどから突き出した尻尾のような突起物。

 

 『それ』は知っている人が見たら、間違いなくこう言うだろう。

 

 『ガンダム・バルバトス・ルプスレクス』と。

 

「なんだよ、なんなんだよおまえは?!」

 

 手鬼が叫ぶ。彼が視線を忙しく動かすと、影以外にも何体かの金属の人型がいるのが解った。

 

 胸に獅子の顔を持ち、右手にハンマーを持った者。

 

 青い巨体に背に円環を背負っている者。

 

 左肩に楯を持って輝く金属の刃を持つ者。

 

 それらは知っている人が見れば、こう答える者たち。

 

 『ジェネシック・ガオガイガー』。

 

 『ネオ・グランゾン』。

 

 『ダブルオークアンタ』。

 

 アベルが持つ中でも、特級戦力を持ち、殲滅戦に投入される機体は、『人間と同じ大きさ』になって、手鬼を見ていた。

 

「なんだよ、なん」

 

 言葉は途中で止まった。何かが抜ける音と同時に、檻は吸い出されるように外へ。

 

 闇の底、夜かと手鬼が思った瞬間、彼の体は破裂した。

 

『検証結果、鬼は生物と認められる。宇宙空間への耐性なし、放射線への耐性なし。現宙域における『目標』の反応消失を確認、念のため侵食魚雷と相転移砲による掃討を行う。データを保存、続いて『毒』及び『ナノマシン』への耐性、対応能力の確認に入る』

 

 淡々と声が流れ、四機はそれぞれの場所へと戻って行った。

 

『情報統括、担当『オラクル』』

 

 最後に、報告を読み上げたアンドロイドの青年の姿が浮かび、やがて何事もなかったかのように光が消えて闇となった。

 

『検証事項』

 

 そして、また次の実験が始まる。

 

 繰り返し何度も、何万回でも。相手が未知の存在だから、調べ過ぎるなんてことはない。

 

 相手の性質を調べ、相手の戦術を読み、相手の動きを把握して、そして殲滅戦に移行する。

 

 それが、『我らが軍勢』。剣士ではなく、騎士でもなく、ただ相手に勝つための軍人としての彼らの矜持だから。

 

 こうして、今日も宇宙空間に存在するアベルの母艦艦隊では、鬼を使った実験が行われているのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日も長閑な一日が終わる。

 

 襲撃とかあったけど、アベルの周辺五メートルに入られたことはなく。

 

「最近、鬼が少なくなったかなぁって」

 

「そうですね」

 

 暇なのか、暇なんだろうな、最近は二人が店にいる時間が多くなった気がする。

 

 見た目は可愛い美人姉妹がいるのは、男としては嬉しい限りなのだが、手に持った棒がそれを台無しにしている。

 

 二人の顔と手の仕草は語る、『鬼が斬りたい』って。

 

「そうだ、アベル君、私ね夢があるの」 

 

「へぇ~」

 

 唐突にカナエが手を叩き、顔を向けてきた。

 

「そう、私ね、鬼と仲良くしたいの」

 

「・・・・・・・はぁ」

 

 嬉しそうに語る彼女に、『相手の主食が人間である以上、無理じゃないかなぁ』とアベルは思った。

 

「また姉さんはそんなこと言って」

 

「えぇ~~いいじゃないしのぶ。私はいつか、鬼と仲良くできるって信じているから」

 

「そんなこと」

 

 妹でさえ否定することを、カナエは心の底から信じているのだろう。

 

 そういう考えもあるのか、とアベルはちょっとだけ感心してしまう。今までアベルは殲滅戦しかしてこなかった。

 

 相手を徹底的に調べ、相手の戦術を学び、相手の思考を誘導して、会話などせずに倒してきたのが彼であり、その結果が『軍勢のアベル』の通り名。

 

 相手を完全に理解しながら、話し合いをせずに倒してきた彼にとって、敵であっても理解して仲良くしようとするカナエは、とても眩しく見えた。

 

「アベル君もそう思わない?」

 

 眩しくて暖かい笑顔を見せるカナエに、彼は頬笑みを返すだけにした。

 

 自分にはとてもできないけど、それを否定するだけの意見も言えるけど、彼女の夢を否定できる権利を、自分は持っていない。

 

 アベルはそう思ったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 













 鬼って、あんだけいるから実験台に最適、なんてこと考えてしまったので、こんな話になりました。

 真菰、可愛い。手鬼、ちょっと殺しておこう、なんて考えてないですよ。

 鬼は人間を殺したり遊んだり、ならそんな鬼を実験につかう非道な主人公って感じで。

 いや軍人ってリアリストだから、未知の生物を捕まえたら真っ先に検証するでしょう。








 

「初めまして、私は『グランド・キャスター』、花の魔術師のカナエです」

 FGOにおいて、藤丸の隣に杖を持ったカナエがいる夢を見ました。

 いやどっちかっていうと、

「私とお友達になりましょう」

 とか言って手を差し出して蟲を手なずけるナウシカ的なカナエのほうが、あっているだろうがって起きてから一人突っ込みしました。








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