ドールズフロントライン Rainbow   作:碧眼の黒猫

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ダンスといえば結構前ですが流行りましたね。
今ではあまり聞きませんが、まだダンスしているアイドルは居るんでしょうか。


ダンスと煙でおもてなし

 まだ日が沈んでいない午後五時頃、鉄血の大軍が基地へと迫っていた。

 鉄血の人形達が一言も喋らずにただ前へ、目標へ向かって進軍していた。

 

 その頃、処刑人は進軍している軍の後方でその様子を見ながら通信を行っていた。

 

「スケアクロウ、何かわかったか?」

 

『まだですわ。貴女が見逃したりしなければ、こんな手間をかけずに済んだのですが……』

 

「見逃したわけじゃねぇ、イカれた頭のおかしい奴に邪魔されたって言ってるだろうが」

 

『どうでもいいですわ。逃がしてしまったことは事実、幸い向こうもM4の居場所は掴めていないようですから、何とかして見せますわ』

 

「ああ、頼んだ。オレは今から邪魔な奴を潰してくる」

 

『お好きなように』

 

 スケアクロウとの通信を終えた処刑人は進軍する人形達を眺めながら、相手がどう抵抗するか楽しみにしていた。

 

「前の奴はちっとも面白くなかったからなぁ。楽しませてくれりゃ良いんだが……まあ無理だよな」

 

 目の前に見えている基地の規模に処刑人は前よりもつまらない戦いになるだろうと感じていた。

 地形も見通しがよく、緩やかな坂の上に基地が建てられているだけで、こちら側に少し高低差のハンデがあるくらいで他には何もなかった。

 

 前の戦いでは、処刑人が率いる鉄血人形達と墜落現場に救出に来ていた部隊との交戦、餌にしていた人間を始末した後、甚大な被害を受け撤退した人形達を追いかけ、その人形が所属する基地を占領、破壊した戦いがあった。

 だが、その戦いは戦いと言えるのか怪しく、救出に来ていた時には良い指揮が取れていたものの、基地へ襲撃した際には物量の前に統率が取れずに一方的な虐殺になり、呆気ない戦いとなっていた。

 

「あそこの奴、昨日会った奴じゃねぇし、また救出隊が来たと思ったら少人数、それで追いかけてみりゃ小せぇ基地だし、つまんねえしムカつくな」

 

 M4の追跡を邪魔されたことを思い出した処刑人は剣を振って近くに立っていた木を切り倒し、大きなため息を吐いて切り株に座った。

 

「チッ、あのイカれた野郎。絶対に見つけ出して、殺してやる」

 

『はいはい、イカれた奴はここにいますよ~』

 

 突然通信が入り、処刑人は少し驚いたが通信してきた相手は間違いなく、昨日邪魔をしてきた人物の声だった。

 処刑人は基地の方を見ると基地の入り口でこっちに向かって手を振るガスマスクをした人物がいた。

 

「お前、どうやって通信に割り込んで来やがった……」

 

『ん~?通信してたから話に入れてもらおうと思ったんだけど~、片方は切っちゃったみたいだね』

 

「おい、質問に答えやがれ。まあ、答えなくても良いけどな。どうせお前は死ぬ、見えるだろ?お前の居る場所に迫ってくる軍勢がよ」

 

『うん、見えてるよ。それがどうかしたの?』

 

「チッ、イライラするなその喋り方……てか、どうかしたなんて言える余裕があるんだな。じゃあ、楽しませてくれよ。このイカれ野郎が!」

 

『おっ?ストレスが溜まってるんだね。わかりました!じゃあ我が基地のおもてなし、お楽しみくださ~い』

 

 割り込んできた人物の通信が終わると、その人物は基地の中へ戻っていき、人形達が基地前で何やらスピーカーや音楽機材を用意し始め、そこにヘルメット被った人形がよく見える場所に三脚付きのLMGを置くと、何か合図をしているようだった。

 

「何の真似だ?たかが軽機関銃一丁でどうにかしようってか?」

 

 処刑人が人形達も気が狂ったかと思って見ていると、離れている処刑人の所まで聞こえてくるほどの音楽と共にLMGを上下に揺らし、左右に揺らし、円を描くように揺らしたりとパフォーマンスを始めた。

 

「あぁ?」

 

 処刑人はパフォーマンスをしている人形が何をしたいのか理解できなかった。

 敵の大軍が迫ってきていると言うのに目の前で行われるよくわからない状況に処刑人はうつむいて肩を震わせ始めた。

 

「フ…フフ……フフフフ、アッハハハハハ!これが!…お前らの…おもてなしって奴かぁ!?…フフ、ハハハハ!……ハハ、ハ………はぁ……笑えねぇ……笑えねえな、クソ共!良いぜ、オレの手でテメェら全員スクラップにしてやるよ!!」

 

 相手の挑発と受け取った処刑人は立ち上がり、剣を持って前進している鉄血人形達を押し退けて基地へと向かって行った。

 

 

 ~アイドルの本気~

 

 

「良いね~、良いね~。その調子、その調子!」

 

 スコーピオンがDP-28のダンスを見て音楽と共に体を揺らしている中、416は敵の動きを双眼鏡で偵察していた。

 416は鉄血の人形達の間を走ってくるハイエンドモデルを見つけ、流す音楽を任せているナガンに曲の変更をするようにハンドサインを行う。

 ここにいる全員がヘッドセットで音楽の音から聴覚機器を守っているため、声ではなくハンドサインで連携を取っていた。

 

 ナガンが音楽をソ連の音楽であるタチャンカを流し始めると、DP-28が銃をしっかりと敵に向けて構え射撃を開始した。

 それに合わせて近くで伏せていたG3とK2もDPと一緒になって射撃を開始した。

 

「あれ?うわぁっ!」

 

 416がスコーピオンの服を掴んでDPから離れさせるとハンドサインで毒ガスを取りに行くよう指示する。

 

「あー、えっと指揮官の所に行けだね!わかった!」

 

 指示を勘違いしたまま基地の中へと入っていったスコーピオンを見送った416は、近くで積み上がっている毒ガスの缶を確認し、今度はDP以外に防護服を着るように指示を出した。

 

 ガスマスクと防護服を全員が着たか416が確認を行っていると、鉄血側からの銃弾が飛んできた。

 DPの銃にはシールドが付けられているが、あまりの銃弾の多さにシールドがすぐに蜘蛛の巣になって見えなくなってしまい、DPはシールドを自ら押し倒して外し、射撃を続けた。

 

「DP!?全く、無茶なことを……」

 

 その様子を見ていた416はDPに近付いて肩を叩いて顔を自分に向かせようとすると、DPが416の頭を無理矢理下げさて地面に伏せる。

 すると416達の近くで爆発が起こり、設置していたADSが反応して降ってきた榴弾を撃ち落とし、416の近くに榴弾だったものが転がってきた。

 

 銃弾と砲撃で音楽機材が駄目になり、音楽が無くなるとDPが撤収作業を始め、416は毒ガスの缶の所まで這いずっていき、箱の近くに来た416はガスマスクを着けて立ち上がった。

 

 416が缶を手に取り、向かってきている敵に缶を投げ始めると、それを見たナガン達も手伝い、一箱が無くなると起爆するスイッチを押して投げた一箱分の缶を一気に爆発させた。

 

 一瞬にして鉄血の人形達が煙に包まれるが、416達はまた一箱分の缶を煙の無い場所へ投げ、一気に爆発させる。

 DPが銃と一緒に屋内へ撤収した後、基地内からスコーピオンとステン、ワルサーによって運び出された大型の毒ガスボンベ、ゲームで爆弾解除などで見られる物と似たような物が三つ基地の外に設置されると、416達はバルブを回して中身を勢いよく外へ放出させた。

 

 そこまで待たない内に辺りが緑色の煙に覆われ、非常に視界が悪くなった。

 さっきまでの激しい銃撃も砲撃も無くなり、416達の呼吸する音だけが聞こえていた。

 

「全員、無事ね?」

 

「大丈夫じゃ」

 

「ステンも大丈夫です」

 

「私も大丈夫ですよ!」

 

「G3、無事です」

 

「あたしも大丈夫だよ!」

 

「K2も大丈夫よ!」

 

 416は全員から返事が返ってきたことを確認し、鉄血の様子を見に行こうとすると誰かがゆっくりと近付いてきているのが見えた。

 

「く…そ……んだよ…この煙…は…」

 

 銃を構え、歩いて向かってくる人影にレーザーサイトのレーザーを当てるとその人影は目の前で膝を着くと、手を前に出してそのまま倒れた。

 416が近付いて確認を行うと、鉄血のハイエンドモデルである処刑人がそこに倒れていた。

 

「ターゲット確認、回収するわ」

 

 416は処刑人に銃口を向けたままゆっくりと近付き、足で頭や体を蹴る等して確認をしてから、慎重に回収を行った。

 416達は処刑人を回収すると、入り口の簡易除染室で除染をしてから基地の中へ入り、指揮官の人形用拘束具で拘束して指揮官の元へ連れていった。

 

 

 ~鉄血のハイエンドモデル~

 

 

「指揮官、処刑人を回収しました」

 

「おっ、ありがとー。じゃあ、他の鉄血人形達もお願いねー」

 

「わかりました」

 

 防護服を着た416は頷いて答えると、研究室から出ていき、研究室には私と処刑人ちゃんだけになった。

 早速、処刑人ちゃんの治療に取り掛かり、毒ガスの影響で甚大なダメージを受けているメンタルモデルの治療と外観の治療も行った。

 

 治療が順調に進み、少し長くなってしまったものの、処刑人ちゃんの治療は無事に終わった。

 ちょっとさっきの元気な時よりも性能が落ちちゃったかもしれないけど、動けるようにはしたから怒らないで欲しいと一人願う私だった。

 

「さてさて、さりげなく情報をいただきましたが。フムフム、鉄血の人形も大変だねぇ……」

 

 治療のついでに貰ったデータは自分専用のファイルに保存して、彼女の体の構造や他の鉄血のハイエンドモデル達が持つ武装や得意とする戦法、好きな戦術を彼女視点のものだけど入手できたことに私は満足だった。

 

「さてと、それじゃ……」

 

 私は研究室の扉の鍵を閉めて処刑人ちゃんを担いで隠し通路の扉を開けた。




今回は主人公達がテロリストでしたね。
防護服とガスマスクはレインボーチームの物を想像して書いてました。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
では、また次回。



「来るなら来てみろ!」by.タチャンカ
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