ドールズフロントライン Rainbow   作:碧眼の黒猫

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重い話を作ることに躊躇いが生じてしまうのが悩みです。
可哀想と思う気持ちとイマイチ重いのか分からない話になってしまうので。


見習いのエンジニア

 廃墟の地下室への扉が開かれ、銃に付けられたフラッシュライトで暗い階段を照らしながら下りていき、部屋に入ってきた45は部屋の中で埃を被った端末を見つけた。

 

「何かあるわ……」

 

「気を付けなさい、あの指揮官が防衛装置を仕掛けてないとは限らない」

 

「大丈夫よ。ここに電源は来てないみたいだし、9 が転ばなかったら見つけられなかった場所だもの」

 

 45は端末の近くにあったビデオテープを回収し、他に何か情報が無いか近くの棚の引き出しを探ってみたり、クローゼットを開けて調べていると、45はクローゼットの中から一枚の紙とドイツ製の武器を見つけ、紙を手に取った。

 

「これ……もしかしてあの指揮官のかしら?」

 

 45が紙を調べてみると金髪の女性の顔が上から半分黒く塗り潰され、口元が分かる程度の写真が紙に貼り付けられ、個人情報と思われる情報が紙に書かれていた。

 ほとんどが詳細不明で、年齢も生年月日も経歴も全て詳細不明、紙に書いてあるのは名前と性別、その他には一番下にある短い文だけのようだ。

 

「ニーベル・イルジオン?……偽名かしら?」

 

「45姉!これ見て!」

 

 45が紙に目を通していると9がガスマスクを持って45に近寄り、持っていたガスマスクを見せる。

 

「このガスマスク、指揮官が着けていたのと同じね」

 

 紙に書かれている個人情報と写真は指揮官かもしれないという憶測をする45だが、情報が少なすぎる為、紙に書かれている最後の文に頼ってみることにした。

 

「彼女に関わるのは人形だけが許され、人間が関わることは許されない。私も例外ではない、私自身もこの書類もきっと、上層部の目に触れること無く霧によって覆い隠されてしまうことだろう……神よ、救いたまえ」

 

 しかし、短い文も使えるような情報ではなく、調査員がこの世界から消えたと思わせるようなことが書かれているだけだった。

 書類をクローゼットの中に戻し、他に何か無いかクローゼットを探す45だったが、他に使えるような物はなかった。

 

「416、そっちには何かあった?」

 

「いいえ、何もないわ」

 

「……これ以上は何も見つからなさそう、依頼主の所に戻ってビデオを見てみましょう」

 

「わかったわ。……ところで、こんなものを見つけたんだけど……」

 

 416はガスマスクをした金髪の女性二人の写真が入った写真立てを45に差し出し、それを受け取った45は何かを思い付き悪い笑みを浮かべた。

 

「お手柄よ。これを使えば色々とわかりそう」

 

「ふん、渡さなければ良かった。あんたのその笑顔は気に入らない」

 

「人の秘密を知るのって嬉しいことじゃない、存在しない人形の特権みたいなものでしょ?」

 

「好きにしなさい、私は興味ない」

 

 そう言うと416は眠そうにしているG11を連れて階段を上って部屋から出ていった。

 45は写真立てを持ってガスマスクを持っている9と共に416達の後を追うようにして部屋から出ていった。

 

 

 ~見習いエンジニア416~

 

 

「うへぇ……疲れた~」

 

「お疲れ様。ほら、水でも飲みなさい」

 

「おっありがとう、416。ぷはー」

 

 416がスコーピオンに水を渡し、それを一気に飲み干したスコーピオンは満足そうな顔をして息を吐き出した。

 416とスコーピオンは後方支援の負傷者の搬送を行い、少しばかり休憩をしているところだった。

 鉄血との戦いで人形が負傷し、前進できずに撤退してきた人形達を治療するため、前線基地から後方の医療キャンプへ搬送する手伝いと護衛をするのが416とスコーピオンが指揮官に任された仕事だ。

 

「……あのトラック、動かなくなったみたいね」

 

 休憩中の416は輸送で使われているトラックの一台が動かなくなって困っている運転手を見て、指揮官から貰ったイェーガーが被っている物を再現したヘルメットを被った。

 

「スコーピオン、ここで待ってて」

 

「うん、待ってるよ~イェーガー」

 

「その呼び方は止めなさい、こっちだと鉄血のスナイパーのことになるから」

 

「あ、そっか。ごめんごめん、へへ」

 

 スコーピオンの耳元で小声で注意した416は反省するような素振りを見せないスコーピオンの事を本当に大丈夫なのかと心配に思いながら、トラックの運転手のところへ向かった。

 416の思った通り、運転手は木箱の上に乗ってボンネットを開け、少し煙が出ているエンジンに頭に手を当てていた。

 

「参ったな……こりゃ、自力じゃ直せねぇな。どうするか……」

 

「エンジントラブルかしら?」

 

「ん?ああ、そうなんだ。でも、お嬢ちゃんには関係ねぇよ。大丈夫、なんとか動かしてみせるさ」

 

「私はエンジニアよ。まだ見習いだけど、見てみましょうか?」

 

「うん?エンジニアって……お嬢ちゃん、ヘリパイロットみたいなヘルメットをしてるが、車も直せるのか?」

 

「もしかしたら、直せるかもしれないわ。ヘリと違うことはわかってるから、無理だと思ったら手は出さない」

 

「ほぉ……それじゃ、見るだけ見て貰うか。ついでに直ったらラッキーってことだな。上がりな」

 

「ええ」

 

 男が416が乗れるように横へ寄り、416は木箱の上に乗ってトラックのエンジンを覗いた。

 直せると判断した416が必要な道具を男に用意して貰い、トラックを動けるように修理した後、試しに運転して問題ないか確認をしてもらった。

 

「問題は?」

 

「バッチリだ。なにも問題はない、凄いなお嬢ちゃん」

 

 帰ってきた運転手がトラックから降りてくると何も問題ないことを笑顔と親指を立てて伝え、その様子に416は一安心した。

 

「それは良かった。でも、帰ったらちゃんと専属のエンジニアに見てもらった方が良いわ。私はまだ見習いだから」

 

「わかった、そうするよ。助かった、ありがとうな」

 

「どういたしまして。そろそろ私は行くわ」

 

「悪いな、折角の休憩時間を取っちまって」

 

「気にしなくて良い、私が勝手に見てやっただけのことだから」

 

「そうかい、助けてもらって礼しか言えないのが悔しいが、仕方ない。ありがとう、本当に助かったよ」

 

 運転手がトラックに乗り込み、手を上げてトラックがゆっくりと走り去って行くのを見届けた416はスコーピオンの所へ戻った。

 スコーピオンと一緒に再び負傷者の搬送に戻った416は別の運転手が運転するトラックの荷台に乗り込み、前線基地へ向かっているトラックの中で様々な陸、海、空の乗り物のエンジンの直し方について書かれた本を呼んで移動の間の時間を過ごしていた。

 

「今日はこの後もまだ何回かするんだよね?」

 

「ええ、資源が少ないから数をこなさないといけないのよ。しっかり頑張りなさい」

 

「わかってるって。あ、そういえばさっき運転手さんから板チョコ貰ったんだけど、416も食べる?」

 

「スコーピオンが貰ったものでしょ?私のことは気にしなくて良いわ」

 

「まあまあ、貰ってよ。何か食べればちょっとは緊張も和らぐと思うからさ」

 

「スコーピオンが居るだけでも十分和らぐけど……。でも、そこまで言うのなら貰わないのは失礼ね。一口だけで良いわ」

 

「へへ~、そう言われると照れちゃうな~。はい!」

 

 スコーピオンは板チョコを半分に割り、半分を416に差し出すと嫌そうな顔をしている416を気にもせずに板チョコを食べ始めた。

 

「私、一口って言わなかった?」

 

「細かいことは気にしない、気にしない」

 

 そう言ってチョコを食べるスコーピオンを見た416は不本意ならがもチョコを少しずつ食べ始める。

 本を見ながらチョコを食べていると視線を感じた416がスコーピオンの方を見るとすぐにチョコを食べ終わってしまったスコーピオンが416が持っているチョコを見ていた。

 すぐに外へ視線を逸らしたスコーピオンだったが、欲が強いのか目だけを動かして一瞬だけ416の方を見た。

 

「……もう、欲しいなら欲しいって言いなさい」

 

 416は食べてない部分を包み紙から出して割り、スコーピオンに差し出した。

 

「べ、べっつにぃ……ほ、欲しいわけじゃないよ~……」

 

「半分渡したこと気にしなくて良いから、欲しかったら受け取りなさい。要らないなら私が食べる」

 

「うっ……い、いただきます!」

 

 チョコを受け取ったスコーピオンはゆっくりとチョコを食べ始め、一口だけのサイズになったチョコを416は口に入れ、本に視線を落とした。

 チョコが無くなった頃、二人はそれぞれ外を見ていたり、本を見ていたりして時間を過ごしているとトラックがゆっくりと速度を落として停車した。

 

 トラックの外から人形の叫び声が聞こえてくることに疑問を感じた416が目出し帽を被ってヘルメットを被り、外へ出てトラックの前方を見ると先頭のトラックから護衛の人形達が降りて銃を構えていた。

 

「何があったの?」

 

「ん?ああ、先頭が人形が道端に倒れて居たのを見つけたらしい。だから今罠じゃないか警戒しながら回収しようとしてるんだ」

 

 運転席から顔を出している運転手に416が停車した理由を聞いた416はスコーピオンがいる荷台へ戻った。

 

「スコーピオン、戦闘になるかもしれない。すぐに準備を……」

 

 416がスコーピオンに戦闘準備をするように言おうとした時、前方のすぐ近くで爆発が起こり、突然のことに416は姿勢を低くしてトラックの影から前の様子を見ると、前のトラックが横転して護衛の人形が近くで倒れていた。

 

『待ち伏せだ!!』

 

 任務の為に繋いである無線から人形の怒号が聞こえ、416は負傷した人形の救護のためにすぐに前のトラックへ向かった。

 倒れている人形に近付き、万が一のことを考えてADSを近くに設置する。

 

「ガーランド、しっかり…立てる?」

 

「くっ…はい……なんとか……」

 

 見た目は軽傷のM1ガーランドを起こし、416は近くで倒れているM3を起こしに向かうと、M3は爆発で気絶してしまったのか、大した損傷はないものの意識を失っていた。

 

『敵が向かってきてる!トラックを早く脱出させるんだ!』

 

『まあ、待てトカレフ…何だったか』

 

『トカレフM1938だ。同志ドラグノフ』

 

『そうか、大丈夫だ。トカレフ、この私が何とかしてやろう。エリートであるこの私がな』

 

 無線から聞こえる二人の会話を聞きながらM3を背負い、416達が乗るトラックの荷台にM3を乗せたあと、ガーランドに手を貸して連れていき、スコーピオンと一緒にガーランドをトラックに乗せた416は運転手の救助に向かった。




重い話が嫌いなわけではないので、作るつもりではいるんですがなかなか決まらないです。
あと416にはイェーガーに近い感じにしようと考えています。

それでは、また次回。


「多分、それで行けるだろう」by.イェーガー
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