ドールズフロントライン Rainbow   作:碧眼の黒猫

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今回は、ボディアーマーのお話……ではないです。


仲間を信じている

 416が運転席で出られなくなっている運転手の所へ駆け付け、蜘蛛の巣になっているフロントガラスを銃底で割って外へ引っ張り出した。

 

「畜生……足が動かねぇ……」

 

「大丈夫、助けに来たわ」

 

「悪い、助かる……」

 

 運転手を背負おうとすると銃声と共に多くの銃弾が飛んできて416の足元で砂が飛び散り、トラックに当たった弾が火花を散らした。

 416は姿勢を低くして一気に運転手を担ぐと急いで後ろのトラックへ避難した。

 

『ドラグノフ!二時の方向にスナイパーだ!』

 

『了解した。任せろ…っ!いや待て!他にも居るぞ!』

 

『十一時の方向にスナイパーだ!マズイな、ここを離れよう。運転手に伝えないと……』

 

『わかった。援護する!』

 

 運転手を荷台に乗せた416が先頭車両へ向かい、何処からか飛んでくる砲撃に注意しながら近付いてくる鉄血の兵器、プラウラーを破壊しながら前へ進んでいるとヘルメットに弾がかすり、416はすぐさま地面に伏せてホフク前進で先頭車両にたどり着いた。

 

「手伝うわ!援護して!」

 

「ああ!」

 

 隙を見て車両の近くで膝立で狙撃をしているドラグノフの肩を叩いた416は援護するようにお願いをして運転席へ向かおうとすると運転席の近くで撃たれて倒れているSVT-38を見つけた。

 

 影からスナイパーの位置を確認し、一瞬だけ顔を出して狙撃を誘い、狙いどおりに一発の弾丸がトラックに当たった瞬間に銃を素早く構えてスナイパーがいる場所に射撃しながらSVT-38の元へ向かい、近くまでたどり着いた416はSVTを引きずって後ろまで運んだ。

 

「よし!一人やった……おい!大丈夫か!?」

 

「ああ、大丈夫だ……多分な……」

 

「大丈夫、応急手当でなんとかなるはずよ。でも、長くここに居るわけにはいかない。運転手はどうしたの?」

 

「駄目だった……どうやら爆発と同時に運転手は頭を撃ち抜かれたらしい……」

 

「そう、わかったわ。私が運転する、その前に少しここで待ってて」

 

 416は横転したトラックの近くに置いたADSを回収しに向かい、回収したADSを持ってスナイパーの狙撃をかわしながら先頭車両へ戻った。

 

「お、おい!トカレフは大丈夫なんだろうな!?」

 

「大丈夫よ。落ち着いて、応急手当をすればなにも問題ない。荷台に乗せるのを手伝って」

 

「あ…ああ、わかった」

 

 416が慣れない手付きで応急手当を行い、ドラグノフと一緒にSVTを荷台に乗せると416はトラックの荷台にADSを置いて運転席へ向かった。

 姿勢を低くしてスナイパーから狙撃をされながら運転席の扉を開けて運転手を引きずり下ろそうとするがベルトをしている為、まずはベルトを外さないと下ろすことができなかった。

 

「……貴方は」

 

 416は運転手を見て驚いた表情と言葉を漏らした。

 撃ち抜かれた運転手はエンジンが故障して困っていた人物で、さっきまで会話をしていた人間だった。

 

「くっ……ごめんなさい……」

 

 ベルトを外して運転手を引きずり下ろし、運転席に座った瞬間にスナイパーの弾丸がフロントガラスを割った。

 伏せてかわした416は伏せたままアクセルを踏み、トラックを走らせ始め、体をゆっくりと起こして狙撃に注意しながらドアミラーを見て後ろを付いてきているかを確認すると、後方のトラックも走り始めて追ってきた。

 

「そう、そのまま……」

 

 このまま走り抜けることができればと416が考えている時、ミラーに映るトラックのフロントガラスが割れ、左右に揺れ出すと、そのまま道から外れて勢いよく横転してしまった。

 

「そんな……」

 

 416はアクセルから足を離してブレーキを踏もうとするが、このまま走り抜ければSVT-38とドラグノフを助けることができるかもしれないが、ここで止まったら最悪全滅してしまうと思った416は、ブレーキを踏まずにアクセルに足を戻した。

 

「……わ、私は……どうすれば……」

 

『416!あたし達は大丈夫だから行って!』

 

「スコーピオン!?貴女、大丈夫なの!?」

 

『大丈夫、大丈夫!全然、平気だよ!三人のことは任せて!迎えが来るまで耐えるから!』

 

「馬鹿言わないで!アンタの銃じゃ、スナイパーとは戦えないでしょ!すぐにそっちに……」

 

『駄目だよ!戻ってきたら416達が危ないじゃん!大丈夫!あたしには秘密兵器があるから!』

 

「秘密兵器?」

 

 416はスコーピオンの言う秘密兵器がわからず、何かあったかと考えても短い間ではわからなかった。

 

『そう!指揮官からこういう時の為に持たせてくれた物があるんだよ!』

 

「本当に?……アンタ、私を戻らせない為に嘘付いてるんじゃ……」

 

『大丈夫、あたしを、仲間を信じてよ。416』

 

 その言葉に416は少し迷った後、スコーピオンを信じると決め、アクセルを踏む力を強めて速度を上げた。

 

「アンタを信じてるわ。スコーピオン、三人をお願い」

 

『そっちもね、416』

 

 その言葉を最後に通信が切れ、416はすぐ近くの前線基地までトラックを走らせ、救援を呼ぶことだけを考えて前線までトラックを走らせた。

 

 スコーピオンは走り去っていくトラックの姿が見えなくなるまでトラックの影から見送ると、横転したトラックの中へ戻った。

 横転したトラックの中ではM3が衝撃で目覚め、ガーランドは一見取手の付いた柱のように見える物の下敷きになり、M3がそれをなんとか生きている運転手と一緒に退かしていた。

 

「もう……今日はなんてついてないの……」

 

「案外、重たくないなこの柱」

 

「ガーランドさん、立てますか?」

 

「立つならなんとか……でも、逃げるとなると走れません……」

 

「大丈夫!そんなに暗い顔しないで!あたしに考えがあるから!」

 

「言っちゃ悪いとは思うんだが、アンタは頼りなさそうに見えるぞ」

 

「大丈夫だって!これを上手く使えば、きっと救援が来るまで耐えられるから!」

 

 スコーピオンはトラックの中で散らばっていた4本の柱を集めて持つと自信満々で三人にそう言うものの、三人は明らかに元気が無くなっていた。

 

「それなんですか?……それで鉄血を殴り倒すとか言い出したりしませんよね?」

 

「これ?これはね、補強材だよ」

 

「補強材?わかった……。どうやら本気で殴るつもりらしいぞ」

 

「違う違う!これで壁を補強するとどんな弾丸も防いじゃうんだよ!ヒートチャージだと壊れちゃうかもだけど、銃弾や爆発じゃ絶対に壊れないから!」

 

「たった4本の柱を並べたところで銃弾や爆発を防げるわけが……」

 

「並べる?そんな必要無いよ?」

 

「……はい?」

 

 全く理解できていない顔でガーランドは首をかしげ、運転手は何も言わずにずれたヘルメットを直していると、スコーピオンは補強材の説明を始めた。

 

「えっと、まずこの取手が上に来るようにして、壁に密着するように置いて、取手を上に引っ張って、次に出っ張りを持ち上げてレバーが出てきたらそのレバーを横に動かして、横にいっぱいまで動かしたら最後にレバーをいっぱいまで押し上げたら壁の補強完了!」

 

「………えっ?」

 

「こんな状況でそんな元気があるとは、泣けるね」

 

「……ス、スコーピオンさん、壊れちゃったんですか?」

 

 理解できずに目を見開いたままのガーランド、メンタルが壊れたのかと心配するM3と諦めた様子の運転手の三人にもっと簡単な説明をしようと考えようとしたスコーピオンだったが、鉄血がそこまで迫ってきているかもしれないと考えると実際にみせた方が良いという考えになった。

 

「う~ん、見せた方が早いね。まずここから出よう!」

 

「ま、待って……情報の整理ができなくて……。スコーピオン、壊れたわけじゃないですよね?」

 

「壊れてないよ!正常だよ!」

 

 まだ理解できずにM3と同じ考えになってスコーピオンを疑い始めているガーランドだったが、そんな彼女を置いてスコーピオンは外へ飛び出した。

 

「ちょ、ちょっと!やっぱり壊れてるんじゃ……」

 

「と、とにかく今は他にできることもありませんから、付いていきましょう?」

 

「……もう、こうなったら信じましょう。鉄血なんかに屈しない、最後まで抗ってやる!」

 

 M3に肩を貸して貰いながら銃を持ってトラックの外へ出る二人は急いで森へ入っていったスコーピオンの後を追いかけ始める。

 

「お、おい!俺を置いて行こうとするなよ!」

 

 置いていかれてしまいそうになった運転手はなんとか立ち上がり、痛みを感じる足を引きずりながら三人を追いかけた。

 

 二人を置いていかないように見える距離を保ってスコーピオンは先に進んでいると、廃村を見付け適当に選んだ木造の家の中へと入った。

 家の中に補強材を置いたスコーピオンは崩れかけの家の中で補強する場所を考えるが、敵が何処から来ても大丈夫なようにするには4枚では明らかに足りなかった。

 

「えっと、今来た方向からは来るでしょ……向こうは山だから、もしかしたら来ないかもしれないから、こっちとこっちで……でも、もし来ちゃったらどうしよう……ううん…もう!分かんないよ!」

 

 一人悩むスコーピオンだったが、守り方を考えていると指揮官の言葉を思い出す。

 

『あるからって使っちゃうのは良くない、残してその時が来たら使うのも考えの一つだよ』

 

「そうか、残しておけば良いのか!」

 

 家の中に入ってきた二人が独り言を言っているスコーピオンを見て立ち尽くしていると、自分達が来た方向から鉄血の部隊が迫ってきているのを見たガーランドはM3から離れて窓の近くで狙撃する準備を始める。

 

「敵が複数向かってきてる。どうするんですか?スコーピオン?」

 

「よし、じゃあまずは二人の為そこを補強するよ」

 

「はぁ…はぁ……まったく!置いていくなよ、死ぬかと思ったぜ……」

 

 逃げてきた運転手が家の中に入ってくると、丁度スコーピオンが三人が柱と勘違いしている補強材を使って壁を補強しようとしているところだった。

 

「よいしょ、うぅん…思ったより重い…なぁ!」

 

 補強材を半分まで上げたスコーピオンはレバーを横へいっぱいまで動かすと背伸びをしながら両手でレバーを押し上げると、スコーピオンの身長よりも高い鉄の壁が出来上がった。

 

「はぁ…はぁ……重いよ…これ……」

 

 たった一枚補強しただけで疲れてしまったスコーピオンは次の補強材を取りに行こうとすると二人が驚いた表情で詰め寄ってきた。

 

「な、なんですか、それ!?そんなもの見たことありませんよ!」

 

「す、凄いですね!木の壁が少しの手間で鉄の壁になっちゃうなんて!」

 

「ほぉ、まるで壁に貼り付けるシャッターみたいだな」

 

「えぇ?ちょ、ちょっと二人とも…ひえぇっ!」

 

 スコーピオンが二人に詰め寄られて困っていると無数の銃弾が家を襲い、三人は慌てて補強した壁に身を隠して飛んでくる銃弾から身を守った。

 壁だった場所が崩れ、窓が破壊されてガラス片や木の破片が飛んでくるが補強された壁は一発の弾丸も通すこともなく、破壊されることもなかった。

 

「さぁ、二人とも準備して。ここでなんとか持ちこたえよう!」

 

「りょ、了解です!」

 

「了解、こんなものがあるんですね……」

 

 まだ驚いている様子のガーランドと緊張気味のM3と一緒にスコーピオンは戦いの準備を始め、スコーピオンは隙を見て補強材を一つ取り、もう一枚壁を作るのだった。




補強材の仕組みどうなってるんでしょうね。
あんなに小さい柱みたいなものから三メートルぐらいの鉄の壁が出来上がるのは不思議です。

補強材は防衛側用の持ち物の一つであってユニークガジェットではないです。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
今後も頑張って書いて行きます。


「この壁はもう大丈夫だ!」by.イェーガー
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