ドールズフロントライン Rainbow   作:碧眼の黒猫

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416とナガンの共同作業のお話になります。


ただのバッテリー開発

 指揮官が本部へ向かった後、ナガンと416はタブレットにあるユニークガジェットの設計案の中で何か作れないかとお互いに意見を出しあっていた。

 

「この、ただのバッテリーみたいな物って書いてあるのはどうかしら?」

 

「バンディットのショックワイヤーじゃな。しかしな、よく見るとじゃ……触れない位までギリギリに近付けた金属に電気を流すという理解できない設計になっとるんじゃよ」

 

「……とりあえず、バッテリーだったらヘリ用の物があるから、それを試しに補強壁に使ってみましょう」

 

「こういった物はワシはわからんからのう、スケアクロウを呼んで助けて貰いたいところじゃが……」

 

 ナガンはスケアクロウに助けを求めるか悩むが、鉄血に情報を流さないとも言えない為、他に頼りになるような人形もおらず、ナガンは今は416しか頼りになる人形が居ないことに悩んでいた。

 

「何とかしてみる。そうね、とりあえず外に出ましょう。ここにいてもなにも変わらないわ」

 

「そうじゃな、行こうかの」

 

 司令室から出た二人は基地の前でヘリ用のバッテリーと、外に出ると襲撃の際に壊された壁を補強した基地の壁の近くでしゃがみ、線を繋げて電流が流れるか道具を使って調べながら実験を始めた。

 

「はぁ……なんじゃろな。わかっておったが、思っているのと違うのう」

 

「そうね、電流計を見ても指揮官が作りたいと思っているのと違うわね……はぁ」

 

 補強壁から電流が流れているように見えない、バッテリーから線を伸ばしている為、指揮官の作りたいと思っている触れない位置で電流を流すものとは違うことに二人はため息を吐く。

 タブレットを見ながら電流計を見た416は、指揮官の考えるショックワイヤーはただのバッテリーと言えるのか疑問に感じていた。

 

「ナガン、指揮官の視点でやってたら……」

 

「まず、無理じゃな。あやつとワシらでは何かが違うんじゃろ」

 

「そうね、比較的簡単かと思ったのが間違いだった。これは中々上手く行きそうに無いわ」

 

「そもそも指揮官は短い間によく…あれだけのガジェットを再現したものじゃな……」

 

「そうね、ADSみたいな難しいものも設計図無しで作っていたから、指揮官はただ者じゃないわ」

 

「流石、正規軍の上層部に気に入られるだけのことはあるのう」

 

「そうね……」

 

 二人は指揮官の技術力を改めて知り、指揮官からすればただのバッテリーですら自分達には再現は難しいのではないかと感じて空を見上げた。

 

「今日は雨が降りそうね」

 

「そうじゃな、中に入って考えるとしよう」

 

 雲行きが怪しくなって来たことで二人は基地の中へ戻ることにし、司令室に戻ってきた二人はガジェットの研究を一旦止めて、指揮官の作った予定表を一緒に見ることにした。

 

「一ヶ月分もあるけど、そんなにかかるのかしら?」

 

「どうじゃろうな。何かあればメールで送って来るじゃろうし、指揮官なら早く帰ってくるかも知れんしのう」

 

「確かにそうね。じゃあ、とりあえず今日は全員居ることは確認してあるから……遠征部隊を編成して出発させることから始めましょうか」

 

「了解じゃ、おぬしが副官をやった方が良いかもしれんのう」

 

「私はどっちかと言えば実戦に出た方が良いわ。遠征任務で付近の掃討に出て貰うかもしれないって指揮官が言っていたから、私が選択肢にないとなると指揮官の代わりが務まるのはナガンぐらいよ」

 

「うぅむ、そうは言うがのう。ふむ、まあそうかもしれんのう」

 

 ナガンは被っていた帽子を座っているソファに置いて頭を撫でるとナガンの頭に一本の長い毛が立つ。

 その毛に目が行った416は静かに立ち上がって何処かへ行こうとするとナガンがそれを止めた。

 

「待て、これは直せんぞ。おぬし、濡らしたタオルを持ってこようとしておったろ?」

 

「寝癖かと思ったわ」

 

「違うんじゃ……うーむ、言って良いのか……」

 

「何よ、言えないことなら言わなくても良いのよ?」

 

「うーむ、まあ良い。実はな、ワシは元々子供を持てない家族の為に作られた子代わり人形じゃったんじゃ。その名残じゃよ」

 

「それは貴女だけ?他のナガンも癖毛があるのかしら?」

 

「無いそうじゃ。しかし、ワシはどうしてもこれを直してほしくなかったからのう。お願いして記憶も体もできる限り変えずにナガンとして変えて貰ったんじゃ」

 

 そう語るナガンが表情を暗くすると癖毛が沈み、まるでナガンの調子と同調しているかのように見えた416はナガンの手を引いて一緒にソファに座った。

 

「ナガン、落ち込んだ顔を見ると心配になるから止めて欲しいわ」

 

「すまんな、ちょっと昔のことを思い出しただけじゃ」

 

「……夜に話を聞いてあげるから、まずは仕事を終わらせましょう」

 

「おぬし、母親のような雰囲気出しとるがワシは平気じゃぞ?」

 

「暗い顔してる貴女が平気だと思っても、私は気になるから話したいの。それに心配だからよ」

 

「母親については触れんのか……」

 

「話を曲げたくないだけよ。とにかく、夜になったら風呂場でも部屋でも話を聞くわ」

 

「わかったわかった。話せば良いんじゃろ?仕方ないのう」

 

「それで良い、じゃあこれを持って。さあ、行くわよ」

 

 ナガンにタブレットを持たせて手を引き、司令室から出た416はナガンと一緒に遠征部隊の編成と出撃の見送りを行い、お昼に休憩を挟んで午後には銃の整備と少し散らかっていた司令室の掃除、自室にてスケアクロウとゲームで試合をした後にゲームから僅かに得たヒントから自室でガジェットの製作に取り組む。

 

 しかし、悪戦苦闘する416は三時間経ってもショックワイヤーを開発することができなかった。

 設計図通りにやったとしても何処かで不具合が起き、416が感電して気絶したり、突然煙を上げて使い物にならなくなったり、そもそも動かないなど問題を処理しきれなくなってきた416は休憩をすることにした。

 

「くっ、まだよ!……まだ諦めないわ!」

 

 上を脱いで上半身下着姿で作業をしていた416を気遣って黒のタンクトップを持って部屋に入ってきたナガンは、部屋にある冷蔵庫から取り出したと思われる飲み物を飲みながらそんなことを言っている416を見て微笑む。

 

「ほれ、そんな格好で作業していると危ないじゃろ。これを着るんじゃ」

 

「ありがとう、ナガン」

 

 タンクトップを受け取った416はすぐに着ると手袋を着けて立ち上がろうとしたところをナガンが止めて座らせた。

 

「まあまあ、慌てんでも良い。休憩は大事じゃぞ」

 

「そう、確かにそうね。何がなんでも作るわ」

 

「慌てるなと言っておるのに……」

 

 気合いが入りすぎている416を何とか休憩させられないかと思ったナガンは、スケアクロウから餅つきと言われるバンディットとテルミットの攻防戦を教えて貰ったことを思い出し、先ほど試合で何度か二人がやっていたこともあって聞くことにした。

 

「そういえば、餅つきじゃったか?あれは何か重要なこととかはあるのかのう?」

 

「餅つき?ああ、テルミットのヒートチャージを貼らせないあれね。そうね、スケアが殴って穴を空けて音が聞こえやすいようにしてから補強していたから、餅つきで重要なのは間違いなく音と自分の居る位置ね」

 

「ほう、音と居る位置とな」

 

「そうよ、ショットガンで大きな穴を空けたほうが簡単に聞こえるようになるから、味方にショットガン持ちが居るなら補強壁一枚の中心になる辺りを1発撃って貰うのも手ね。居る位置は真ん中が理想だけど、真ん中でわからない時はどっちかに寄るのが良いかもしれない。でも、すぐに置けないと間に合わないことがあるから注意が必要ね」

 

「普通のSMGで穴を開けるのでは駄目なのかのう?」

 

「一発だと小さい穴だから聞こえない、大きな穴を空けるには弾が多く必要だから、ショットガン以外はあまりしない方が良いわ。サブならリボルバーで大きい穴を空けることができるから、リボルバー持ちに穴を開けてもらうのも良いわね」

 

「普通のハンドガンはSMGと同じ理由じゃろうな。注意点はあるかのう?」

 

「そうね、例えば山荘のステージではグレネードをドローンが通れる穴から入れられたり、スケアは使っていなかったけど、火矢を飛ばされたり、コンカッション?だったかしら、それでショックワイヤーの設置を阻止されてしまうことがあるから投げ物対策が必要になる。こんな感じでステージによって気を付けること、協力しないと餅つきができないステージもあるから、仲間との連携が大事よ」

 

「なるほどのう。休憩なのにわざわざ説明させてしまって悪いのう」

 

「別に良いわ、復習になるから。そろそろ休憩は終りね」

 

 そう言って416は立ち上がるとショックワイヤーの開発に戻った。

 ショックワイヤーを作る416の背中を見ながらナガンは静かに開発を見守っていた。

 

 二時間後、416がショックワイヤーの開発を一旦止めて夕食にしようと考えて後ろを振り向くとナガンは椅子に座ったまま、タブレットを持って居眠りをしていた。

 

「よく寝られるわね。とりあえず汚れを拭いてからベッドで寝かせようかしら……」

 

 両手から手袋を取って作業台に置き、冷蔵庫から水の入ったペットボトルを取り出してタオルを濡らし、汚れを拭き取った416は帽子を取ってからナガンをベッドに寝かせて離れようとした時、ナガンが手を離さず強く416の腕を掴んだ。

 

「ナガン?」

 

 呼び掛けても反応は無く、何も言うこと無く掴んでいるだけだった。

 仕方なく、416はベッドに座ってタブレットを操作して指揮官の考えたショックワイヤーの設計案を見てヒント探しをして時間を潰すことにした。




あれ?っと書いている時に思いながら進めていたのですが、これはこれで良いのでは?と思ったのでそのまま投稿してしまいます。

ナガンはお婆ちゃんの立ち位置で居ることが多いですが、見た目的に子供ぽっいのでこういうのもありじゃないかと個人的には思います。
おばあちゃんキャラは保ったままにする予定です。

次回はこの後のお話です。


「前はスパイをやっていた。服役もした……薬も売った……人殺しだって……そして腕が良すぎたせいか……ここまで昇進した」by.バンディット
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