基地を出発した416達はトラック二台を使って発電所へ向かっていた。
416の運転するトラックに付いていく、先程運転方法を説明されただけのG3は緊張しているものの、問題なく運転ができていた。
スケアクロウは外で浮遊しながらトラックに付いていき、周辺の警戒とG3の様子を見守っていた。
「416 、あれがそうですの?」
「ええ、意外と近くにあるのよ」
「基地より大きいですわ……」
見えてきた大きな建造物にSIGが指を指すと、416が答えると速度を落としてトラックを一旦止め、無線を使って武装したイェーガーの二人を下ろして高所から発電所を監視するように指示を出した後、トラックを再び走らせた。
トラックを走らせて十数分、基地の近くにある発電所に着いた416達は発電所の近くにトラックを止めて全員で中へと入って行った。
416を先頭に銃を構えて中へ入っていくAR部隊、その後に続いて入ったスケアがビットを飛ばして工場内の偵察を行うが反応は無い。
「敵の反応、ありませんわ」
「外の二人、何か異常は?」
『イェーガー1、今のところ平和です』
『イェーガー2、同じく異常無し』
「了解、それじゃ分かれて発電所内部の確認を行いましょう。スケアと私でAチーム、SIGとL85でBチーム。両チームは警備班を半分連れて確認をする。G3は入り口で見張りを、何かあったらすぐに知らせて」
「了解しました」
「問題は無い?それじゃ、行動開始」
分かれて行動を開始した2チームは警戒を怠らずに進み、汚れて放置されていると言われても納得してしまうほど管理されているようには見えない発電所内を進んでいった。
416は銃を構えて警戒しながら中を進むが、先にスケアのビットが先行しているため、スケアは疑われているのかと心の中で思っていた。
「416」
「何?」
「君は私を疑っていますの?」
「そう見える?」
「ええ」
「慎重なだけよ。疑っているわけじゃない、貴女じゃなくても安心できない場所なら警戒する。それに、不測の事態も起こり得るから」
「そうですか……フッ、フフフ」
スケアに顔を向けずに警戒しながら416は言うと、後ろに居たスケアは小さい声で笑い始め、それを聞いた416は一旦立ち止まって振り返った。
「なによ?」
「いえいえ、ゲームでも慎重だったと思い出しただけですわ。その慎重さが長所であり、短所でもありますが、それが貴女なのだと再認識しただけですの」
「それの何処に笑う要素があるのよ。今は集中して、さっさと終わらせることを考えなさい」
416は頬を赤くしながら少し怒り気味に言って振り返ると、警戒しながら早歩きで進んでいった。
「恥ずかしがるようなことではないでしょう?416。面白いですわ。フフフ」
先に進んでいく416の後を微笑みながら付いていくスケアを見た鉄血人形達は、まだ指揮官の手によって直される前の記憶にあるスケアとは違うことに驚きを隠せずにいた。
「スケア様、柔らかくなってないかな?」
「こ、これがあの基地の指揮官様のなせる技ですか……」
「見事に敵対していたとは思えない表情でしたね。我々も似たようなものですけど」
「ちょっと、進んでよ。置いていかれちゃうよ」
「あぁっと、そうでした。行きましょう!」
急ぎ足で少し遅れてスケア達の後に付いていった鉄血人形達は、ゲームの話を始めた二人の会話を後ろで聞きながらスケアのからかいに416が表情を赤らめて静かに怒ったり、仕返しとしてスケアの失敗を言って顔を背けるスケアなどの光景を後ろで微笑みながら見ていた。
その頃、L85A1とSIGは鉄血人形達と工場内を進んでいたが、L85が緊張を和らげるために童謡を歌い始めた。
「ロンドン橋落ちた~♪落ちた♪落ちた♪ロンドン橋落ちた♪マ~イ、フェアレディ~♪」
「ちょ、ちょっと驚かさないで欲しいですわ。いきなりどうしましたの?」
「あ、ごめんなさ~い。皆、緊張した様子でしたので、少しでも和らげようと思ったんですよ~」
「だからって〖ロンドン橋〗を歌わないで欲しいですわ。ただでさえ、ここは静かで不気味な雰囲気と言うのに……」
「それじゃ、夜に聞こえてきた綺麗な歌を歌いましょうか?」
「えっ?え、L85?そ、それ、ほ、ほほ、本当ですの?」
「ええ?本当ですよ。えっと……」
「ま、まま、待ってくださいな!よ、夜に聞こえてくる歌ってなんですの!?と言うより、歌おうとしないで欲しいですわ!」
青ざめて銃を抱き抱えるSIGを見たL85は首をかしげ、その様子を見たSIGが後退りして壁にぶつかると体を震わせ始めた。
「あ、ああ、貴女……まさか、に、偽物?……」
「ち、違いますよ?そんなに怯えないでください。あら?」
「お、オバケ?」
「に、人形でも乗っ取られることが?ヒィッ!」
「オバケなんて居ないさ……オバケなんて嘘さ……ハ…ハハ……アハハ……」
「み、皆!しっかりして!」
L85の発言にすっかり怯えきっている鉄血人形達とSIG、これにはL85もどうしたものかと困っていると工場内に乾いた金属音が鳴り響き、鉄血人形達は一斉にそっちへ視線を向けた。
「うん?何か…キャッ!?」
L85が音のした方を見るとすぐに誰かに抱き付かれ、後ろを見たL85が見たのは涙目になって今にも泣き出しそうなSIGの姿だった。
「な、なに?なんですの……?」
「大丈夫ですよ、SIG。怖がらないでください、私が様子を見てきますから」
「ま、待って!今は離れないで欲しいですわ!」
「そう言われましても……そうだ。では、ここで416さん達が来るのを待ちましょうか?」
「それが良いですわ!絶対に!それが良いですわ!」
SIGの返事に鉄血人形達も強く頷いて返し、L85は無線で416達を呼んでその場で待機することになった。
しかし、短い時間が長く感じていたSIGはL85に抱き付いたまま些細な音にも過剰な反応をしてしまうようになり、発電所の外から聞こえる風の音にも怯えていた。
そんなSIGを支えるのはL85の笑顔と頭を撫でる行動だった。
しばらくそんな状態が続いているとL85達の所へ416達が駆け付けた。
「あ、すみません。お呼びしてしまって」
「構わないわ。どうしたの?」
「少し怖い話題になっていたところに金属の音が鳴り響いてしまったので、動けなくなってしまいました」
「そう、その金属音はどこから?」
「あっちの方からです」
「分かった。スケア、一緒に来て。確認するわ」
「ええ、分かりましたわ」
416とスケアが確認を行い、金属製の部品か物が落ちていないか確認をしたが、それらしい物は一つも見当たらなかった。
「スケア、そっちは何かあった?」
「いいえ、何もありませんわ」
「そう……戻りましょう」
「ええ」
416は二人のところへ戻ると、L85が鼻歌で子守唄を歌っていた。
その鼻歌を聞いた416とスケアは立ち止まり、その歌に耳を傾けた。
「あの鼻歌は……」
「昨日、夜聞こえたものと同じですわ」
L85の鼻歌に二人は顔を見合せ、416はL85の側へ行ってSIGの肩に手を置いた。
「何もなかったわ、安心しなさい。これからは一緒に行動しましょう」
「怖すぎますわ……もう、動きたくない……」
すっかり怯えているSIGを見た416は何を言っても無理そうだと思い、どうするか考えを巡らせた。
「はぁ、仕方ない。L85、地図によるとここを進んですぐに休憩室があるはずよ。そこで人形達と待機してて」
「分かりました。気を付けてください、皆さん」
L85はSIGを背負うと人形達と一緒に休憩室へ向かい、416達はL85達が居る休憩室を外れて先へ進み、発電所内の確認を再開した。
その頃、SIGが怖い思いをしているとも知らずに入ってきた入り口を見張っているG3はL85が歌っていた子守唄と同じものを聞いていた。
「素敵な鼻歌ですね。それより、何処から聞こえてくるんでしょうか?」
周りには誰もいない、しかし歌声は近くから聞こえてくる矛盾にG3は周りを見るも、人一人影すらも見えなかった。
「報告した方が良いんでしょうか?でも、鼻歌が聞こえてくるだけですし……」
416に報告しようか悩んでいたG3は一瞬、光のようなものが見えた気がした為、もう一度周りを見ると顔が半分焼けている白衣を着た女性が見えてしまった。
G3が女性の姿を見て固まっていると、その女性は瞬きを素早く繰り返した後、空中に浮かび上がった。
G3がずっと女性を見続けていると、笑顔で手を振った後、何処かへと女性は飛び去って行った。
「い、今のは……幽霊でしょうか?」
初めて見たものに驚きを隠せなかったG3だったが、不思議と恐怖は感じていなかった。
「なんだったんでしょう……。不思議なこともありますね」
G3はまた姿を現さないかと思いながら周りを見渡してみるも、女性の姿は見えず、416達が確認を終えて戻ってきた後も女性を再び見ることはなかった。
416が施設に異常は見当たらないと判断し、基地へ帰ることとなった。
帰り道でG3はトラックを運転しながら助手席に乗るL85の鼻歌が発電所内で聞こえた歌と同じと気付くが、運転に集中しなければいけなかった為、詳しくは聞くことができなかった。
ホラーぽっい展開を何回か続けようと思いますが、夜か昼近くか悩みます。
幽霊と言えば、イアナのホログラム強いですね。
武器は強い、フラグ持ち、偵察系ユニークガジェット、早く解放して使ってみたい。
それでは、また次回。
「離れるな、よそ見はするな」by.カプカン