ドールズフロントライン Rainbow   作:碧眼の黒猫

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牛乳美味しいですよ。
ココアとの併用が、最強の組み合わせだ。


存在しない者達

 マガジンの半分ほどを撃ち込んだ後、ドラグノフは416に駆け寄って銃を片手で持ち、体を起こす手伝いをした。

 

「危険だと言っただろう!死ぬ気か!?」

 

「ごめんなさい、でも死ぬ気は無いわ」

 

 真剣な表情で言われたドラグノフは少し強引に引っ張って立たせ、立ち上がった416は手を離すと自分の体を見て服に二つの穴が空いていることを確認した。

 

「全く!無茶をするな。いくら人形でもな」

 

「そうね。なるべく、今後は危険なことはしないようにするわ。スナイパーの確認をしましょう」

 

 服の汚れを払った416は銃を構えてスナイパーが居た位置へと向かい、人形の近くまで近付いた416はゆっくりと歩み寄りながら足のホルスターからハンドガンを取り出してライトで照らし、動かなくなったスナイパーに銃を向け、その人形の側まで行くと足で武器を蹴って人形から離した。

 

「鉄血?イェーガータイプみたいだけど……」

 

「鹵獲された鉄血人形だ。こいつは粒子銃じゃなくて、実弾を使っていたからな。誰かの差し金だ」

 

「実弾?それに差し金って……貴女、誰に狙われているのよ?」

 

「こいつらは私を狙ってる。誰が差し向けたのかはわからない。覚えるだろ?私達が待ち伏せにあった時も鉄血は実弾を使っていた」

 

「……そういえば、そうだった気がする。全然気にしてなかったわ。それにしても心当たりが無いのに狙われるなんて、相当人気者のようね。ドラグノフ」

 

「まあ、エリートだからな。自然と問題が起こるんだよ」

 

 ドラグノフは頭を撫でながら言うと、屈んで人形のゴーグルを取り、その人形の顔を見た。

 

「……鉄血を撃って罪悪感を感じるとは、私はおかしくなったのか?」

 

「なに?」

 

「いいや、何でもない。ん?」

 

 ドラグノフが草の音に後ろを振り返り、銃を向けると隣に居た416も同じように銃を向けた。

 

 416のライトで照らされたのは、404小隊の隊長の45の姿だった。

 

「404小隊?」

 

「なに?噂の?」

 

「ええ、大丈夫。味方よ。多分」

 

「多分じゃ信用できないな」

 

 416は銃を下げるが、ドラグノフは疑いの目で45を見ながら銃を下ろさずに頭を狙い続けた。

 

「安心してドラグノフ。私達は味方よ。貴女のところの指揮官にメールで頼まれたから、見守っていたのよ」

 

「へぇ、いつからだ?」

 

「さっきよ。もう疲れたから休ませてくれない?」

 

「……コイツが一人だった理由は、お前達が排除したからか」

 

「ええ、ついでにクラスターチャージだったかな?あれで装甲車の中で報告を待ってた奴らも消したから、援軍も来ないわ」

 

 45が二人に近付いて行くと後ろから他の三人も出てきた。

 416は404小隊の全員の足が泥で汚れていることに気が付き、長い距離森の中を進んで来たと推測した。

 

「久しぶり!そっちの416!」

 

「久しぶりね、私」

 

「久しぶり……また雰囲気が変わっているような……」

 

「随分と汚れているようだけど、もしかして徒歩で来たの?」

 

「途中までは指揮官が手配してくれたヘリで来たけど、貴女を狙っている相手に気付かれないように歩いてきたの。結果的にちょっと間に合わなかったけどね」

 

「大丈夫よ。ドラグノフ、もう銃を下げたら?」

 

 ドラグノフは416の顔を見てから銃をゆっくりと下げると、それを見ていた45 はドラグノフに笑顔を見せた。

 

「なんだか信用できないな……。特に奴の顔は見たくない、先に戻る」

 

「ええ、わかったわ」

 

 ドラグノフは去り際に一瞬だけ45のことを見て戻って行き、416はその行動をするのも無理は無いだろうと思っていた。

 彼女達は存在しない部隊、汚れ仕事もしているはずの部隊なのだから、ドラグノフが信用できないのも無理はなかった。

 

「さてと、指揮官の416?」

 

「なに?」

 

 45が笑顔で416に近付くと、ポケットから一枚の写真を取り出して見せた。

 その写真は白衣を着た同じ顔の金髪の女性が笑顔で写っているものであり、その二人の顔を見た416は45に顔を向ける。

 

「これ、指揮官?」

 

 その女性の顔は、指揮官と全く同じだった。

 もう片方も指揮官と同じ顔だったが、顔の右半分に焼けた痕があった。

 

「正解。正規軍にいた頃の指揮官よ」

 

「どうしてそれを?」

 

「うーん?ああ、見せた理由?それはね……どっちがお姉ちゃんに見えるかなって思ったからだよ」

 

「指揮官の隣に居るのがお姉さんでしょ?身長が少し低くて、胸が大きい……」

 

「残念、実のところ。どっちがお姉ちゃんなのか分からなかったのよね」

 

「そうなの?」

 

 416が聞くと45は頷きを返し、それからもう一枚写真を取り出した。

 今度はI.O.P.社の戦術人形PPKと顔が焼けた方の女性が一緒に写っている写真を取り出した。

 

「これがどうかしたの?」

 

「指揮官の方の情報が見つけられなかったから、彼女のことを調べたんだけど……興味ない?」

 

「指揮官の秘密?それは指揮官が許さないと思うけど?」

 

「バレなければ問題ないわ。彼女の名前はフリーデ・ラインハルト。指揮官とは血の繋がった双子の姉妹みたいなの」

 

「フリーデ……待って、それは指揮官の名前よ?」

 

「え?指揮官はニーベル・イルジオンでしょ?」

 

 驚く45と416はお互いに何回も瞬きすると、45が頭を押さえた。

 

「指揮官がそう名乗っていたけど……」

 

「きっと、嘘よ。指揮官は情報を消してご丁寧に偽物の情報を大量に用意しているから、妹の名前を名乗っても不思議じゃない。胸がないくせに」

 

「最後のは余計よ」

 

「とにかく、そっちが知ってる情報は多分偽物。私達だって情報は掴めなかったわけだし……」

 

「正規軍から来た人も博士を連れ戻しに来たって言っていたわ。あの人も騙されてる可能性が?」

 

「その可能性が高いわ。胸がないのに騙されるなんておかしな話ね」

 

「貴女さっきから余計な一言が……」

 

『アハハハ、もう…お姉ちゃんたら』

 

 突然聞こえた謎の声に全員が素早く銃を構えて周りを見渡すが、周りには誰も居なかった。

 銃を構えて周りを見渡していた45が雑音を出す無線機に気が付き、無線機を取ると段々と雑音が無くなっていった。

 

「どうしたの?45」

 

「周波数が勝手に……」

 

「え?なになに?どうしたの?45姉?」

 

「ゆ、幽霊!?ゾ、ゾンビなら平気だけど幽霊は……」

 

 指揮官の416が近付くと無線機に表示されている周波数が勝手に変わり、無線機の雑音が止むが特に何も起こらず、416達は無線機を見つめたまま固まった。

 

「……今の声、無線機から聞こえたような。指揮官にそっくりの声が……」

 

「フェイクに引っ掛かったから警告をしているんじゃないかしら?」

 

 404の416が45にそう言うと無線機から再び雑音を出し、今度はちゃんと声が聞こえてきた。

 

『あーあー……初めてじゃないのにどうして苦戦するんだろう……あーあー、聞こえてるー?』

 

「指揮官?指揮官ですか?」

 

『あ!聞こえてる?あー、えっと……はい!指揮官ですよ!』

 

「……違いますよね?」

 

『え!?あー、えっと……や、やだなぁ416。私だよ』

 

 無線機から聞こえてくる指揮官の声に違和感を感じた416はそう返すと、声の主は頑張って416の知る指揮官に似せようとした。

 

「嘘が下手ですね。どこの誰……」

 

「ちょっと待った。これ持ってて9」

 

 45は無線機を9に渡すと、416の腕を引っ張って無線機から少し離れた。

 

「ここは指揮官ってことにして、相手がボロを出すのを待つのが良いわ」

 

「なるほど……その手で行きましょう」

 

『聞こえてるよ?』

 

 45の作戦に乗ることにした416は9達のところへ戻り、45が9にハンドサインを送って416は9に無線機を渡して貰う。

 

「コホン、ごめんなさい指揮官。最近声を聞いていなかったので」

 

『覚えてるでしょ?嘘つかないでよ416』

 

「指揮官、お元気ですか?」

 

『え?無視?お願い、無視しないで……私、イジメには弱いの……』

 

「お元気そうで何よりです。ところで、お渡ししたお弁当はいかがでしたか?」

 

『あー!また嘘ついた!駄目だよ!嘘は!』

 

「えっ?もしかして……食べて……いないんですか?」

 

『へ?い、いや……お弁当なんて渡されて……」

 

「……そんな、私の作ったお弁当は……食べられないんですか?」

 

『え?ええ?……う、うーんと……』

 

「何処がいけなかったんですか?……お弁当箱が悪かったんでしょうか?それとも包みの縛り方でしょうか?」

 

『うぅんと……うぅんと…ね……』

 

 目の前で繰り広げられる偽物の指揮官を演技でいじめる416の姿に45は笑うのをこらえ、G11はその光景を半開きの目で見ていた。

 

「うわぁ……演技してる416って分かってても、面白い……」

 

「見るな。こいつでバラバラにされたい?」

 

「ま、待って……ランチャーを押し付けないで……」

 

 404の殺気を放つ416にグレネードランチャーを顔に押し付けられてG11は黙り、9は何かに気付くとその一点を見つめたまま動かなくなった。

 

『ううぅん!駄目!ごめんなさい!嘘つきたくない!最初に嘘ついたこと謝るから許してください!』

 

「許す。さあ、貴女の正体は?」

 

「はや、というか許しちゃうんだ」

 

 45がつっこむが416は気にせずに相手の返答を待つ。

 

『そうだね。じゃあ416。後ろを見て』

 

「後ろ?」

 

『うん』

 

 416が言われた通りに振り返るとそこには顔の半分が焼けた女性が笑顔で空中に浮いており、ライトで照らすと白衣を着た女性の体が透けて向こう側が見えた。

 

「あ…あわわわ……お、オバケ…むぐっ!?」

 

「馬鹿、大声出そうとしないで」

 

 G11が大声を出す寸前で404の416が止め、白衣を着た女性は浮いた状態で指揮官の416に近付いて行く。

 

『初めまして、416。私はフリーデ、フリーデ・ラインハルトです』

 

「フリーデ?貴女は……」

 

『見ての通り、私は幽霊なんだ。姿は見せられるんだけど、声は何かを触媒にしないと出せないの。メンタルモデルに入り込むこともできるけど、いきなり心に入ってこられるのは嫌でしょ?』

 

 彼女の言う通り、彼女の声は無線機を通して発せられていて、416の目の前にいる彼女が口を動かしても言葉を発することはなく、無線機だけから彼女の声が聞こえてきていた。

 

「確かにそうね。それで、フリーデはお話がしたいのかしら?」

 

『うん!お話したい!』

 

「そう、じゃあ場所を変えましょう」

 

『わかった』

 

「皆、聞いたでしょ。移動するよ」

 

「本物の幽霊って初めてみたよ……」

 

「あ、あたしはパス……近くで寝てるから……」

 

「なに言ってるの。アンタも来るのよ」

 

「嫌だ!幽霊とお話なんて!」

 

 G11は404の416に引きずられて後に皆の後に続き、嫌がるG11の言葉は誰にも届くこと無く、やがてG11は諦めて現実逃避のために目を閉じた。




早い登場の幽霊さん。
オリジナル設定とR6Sのネタとドルフロの世界設定と……頑張ります。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
私はミルクココアが好きです。ではまた次回!


「何をブツブツ言っているんだ?」by.ミュート
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