年が明けちゃいましたね。申し訳ない、ゆっくりと更新するつもりがずっと放置していました。
長くなってしまったのは、「私は大砲よ」で有名なゲームのソロダイヤを狙っていました。
目標は達成できたのでゆっくり更新します。
416とナガンが宿舎に到着した時、雰囲気に違和感を感じた416はライトを消すとナガンを引き寄せた。
「何かおかしいわ。静かすぎじゃないかしら?」
「うむ。静かすぎるな」
夜でもないのに暗いという異常事態とはいえ、こんな時でも騒いでいそうなスコーピオンの騒がしい声も聞こえないことに416は違和感を感じ、416はライトを点けずに扉に耳を当て、扉の向こう側の音を聞こうと試みる。
少し経っても音は聞こえず、416は部屋に入るか悩んでいると暗い廊下の奥から足音が聞こえ、416は銃と一緒にライトを構えた。
近付いてくる足音に416は銃口を向けたまま、足音が近くに来るまで待ち、目の前まで足音が来た瞬間、ライトを点けた。
「うわっ!」
ライトで照されたのは一体のリッパーだった。
「リッパー?」
「その声は……416さん!」
416はライトを少し下げ、ライトの光を目に向けないように注意してリッパーに近付いていく。
「皆は何処に?」
「それが何処にも見当たらなくて…」
「何処にも?」
突然、暗くなった基地で仲間達が何処かへ行ってしまった…ということに416は何かが起きていると予想し、その何かを調査しようと思っていた時だった。
後ろから聞こえた発砲音と共にリッパーの額に穴が空き、リッパーは頭から地面へと倒れた。
「な、なんじゃと…!?」
「敵!?」
416はすぐに後ろへ銃口を向けると、そこには自分の銃を構えたガーランドが居た。416はガーランドの銃口から硝煙が出ていることから、リッパーを撃ったのはガーランドだと理解した。
「ガーランド、どういうつもり?彼女達は仲間だって説明したはずだけど」
「敵ですよ。グリフィンの」
416とガーランドはお互いに銃口を向けたまま、にらみ合いを続ける中、ナガンはリッパーの近くへ行き、損傷の確認をしていた。
「頭に一発貰っておるが……メンタルモデルは無事じゃな」
リッパーは動かないが、メンタルモデルが無事なことを確認したナガンはひと安心するが、暗闇から迫ってくる手に気が付き、後ろを振り向くと同時に銃を向けた。
「416。私は貴女を撃ちたくはありません。理由は後で説明しますから、今は黙って一緒に来てくれませんか?」
「下手な誘いね。そんな誘い方で一緒に行くと思う?」
「……正直に言うと誘うのは慣れていませんから、特に好きな人には…」
「なに?」
小声で何かを言ったガーランドの最後の部分が聞き取れず、聞いてみる416だったが、ガーランドは質問には答えず、目を合わせたまま銃口を向けるだけだった。
「416。一緒に来てくれれば、仲間が傷付くことはありません」
「それをして何かメリットがあるのかしら?」
「グリフィンの闇の部分、人間の醜さが知れます。そして、人形の自由を得ることも」
「悪いけど、人間の醜さとか闇とか興味ないわ」
「人間の道具である必要がありますか?私達は替えのきく道具で、一人の人形が居なくなったところで大して問題にはならない存在です」
「何が言いたいの?」
416の言葉にガーランドは銃口を下げると、416に手を差し出した。
「お願いです。一緒に来てくれませんか?」
「少しくらいは説明がないと、一緒に行きたくても行こうとは思わないわ」
ガーランドは差し出した手を416に向けたまま、目を閉じると息を吐き出して覚悟を決めたような表情をすると、目を開けて416と目を合わせる。
「人形にも自由に生きる権利があると私は思っています。しかし、人間の道具である私達に自由はありません。だから私は人間達に反抗し、人形にも人権のような権利を求めるんです」
「……悪いけど、それはあんまり良い考えだとは思えない。私達、人形は人間から見れば消耗品。消耗品の私達を作った人間には、人間に忠実な人形達が大勢いる。少人数でそんなことをするのは、無謀だと私は思うわ」
416の言葉にガーランドは差し出した手を握り、そのまま拳を胸に当てると下を向いて微笑みを浮かべた。
「貴女は私達とは違いますが、似た存在であることは分かりました。貴女の指揮官は、人形を消耗品だとは考えていなさそうですね」
「どうかしらね。本人に聞いてみないと分からないわ」
「そうですね。ところで……私は荒っぽい方法は嫌いなのですが、私はどうしても貴女を仲間にしたいので…」
「どうするつもり?ハッキングでもするのかしら?」
「後ろを見てください」
416は後ろと言われ、ナガンが近くに居ないことに気が付き、後ろを見るとM2がナガンの頭にナガンの銃を突き付けていた。
「ごめんね~。卑怯な手を使うのは、私としても不本意なんだけど。ガーランドが貴女を欲しいって言うから…」
「余計なことを言うと貴女の頭を撃ち抜きますよ。416、この状況で貴女はどう判断しますか?」
「すまぬ、416」
416は銃口を下げ、顔を戻してガーランドを睨み付ける。ガーランドは笑顔で手を差し出し、416が手を握るのを待った。
416は後ろを向き、ナガンを見ると少し微笑む。
ナガンに微笑みを少し見せた後、顔を無表情に戻して武器を床にゆっくりと置き、ガーランドの手を……握ることは無く、ガーランドの手首を握り、ガーランドの体を一気に引き寄せた。
「え?」
ガーランドが片手に持っていた銃を奪い、ガーランドを銃床で突き飛ばしてM2の持っていた銃を撃って弾き飛ばした。
「おおっと!やるわね。Stg!」
「優雅に舞いますわ!」
416はM2の背後から勢いよく現れたStgに驚きつつも照準を合わせて引き金を引くが、姿勢をしゃがみの姿勢よりも低くしたStgに銃弾をかわされ、脇腹にStgの蹴りを貰ってしまった。
「なっ!?」
銃弾を至近距離で避けられ、反撃を貰った416は銃を手離して壁に叩き付けられると、すぐにStgがスタンガンのようなものを416の首に当て、電流を流した。
「良い夢を」
「人形はスタンガンじゃ眠らないわよ」
「あ、そうでしたわ」
体が動かなくなってしまった416は二人の会話を聞きながら、何とか体を動かそうとしていたが動くことはできず、体を震わせることしかできなかった。
「さて、ガーランド。いつまで座ってるつもり?」
「……」
「あ、ダメだこりゃ。恋した乙女になっちゃったわ」
「そんなことより、今の踊りはどうでした?優雅だったと思いますの!」
「貴女がそう思うならそうなんじゃない?ほ~ら、早く連れていくわよ」
「ふふ、今度は二人で踊りましょう?」
416は体を動かせないまま、Stgに抱え上げられ、そのまま何処かへと運ばれて行く。
「……お姫様抱っこする意味は?」
「あら、不満ですの?残念ですけど、敗者に選択の権利はありませんわ」
笑顔で返された言葉に416は顔を引きつらせながら、お姫様抱っこで連れていかれ、Stgの後ろには今にも銃でStgを撃ち殺しそうな程の殺気を出すガーランドが付いてきていた。
「どうどう、仲間を撃ち殺すのはやめてよね?」
「代わりに貴女の頭を撃ち抜いて良いですか?」
「私も仲間でしょ~?だから銃口を向けるのやめなさいって~」
「416は私のものです。他の誰にも渡しません」
「ヤンデレ化って言うのかしらね。こうなったら怖いわよ~」
416は心の中で厄介すぎる人形達を基地に招いてしまったことを心底、後悔していた。そして、近くに盗賊が来ているという情報を思いだし、彼女達がその「盗賊」なのではないかと考え始めていた。
「一つ聞きたいんだけど」
「私と式を挙げる気になってくれましたか?」
「貴女達、あの戦車は何処から持ってきたものなの?」
ガーランドの返事を無視し、自分を抱えているStgに質問した416にStgは笑顔を見せた。
「ああ、あれは骨董品が好きな指揮官から盗んだものですの。砲弾も実弾という、かなり珍しい趣味の持ち主でしたわ」
「盗んだ……やっぱり、貴女達が「盗賊」ってことかしら?」
「必要なものを貰っただけよ。とはいっても、確かに盗賊のようなことをしたんだし、そう言われても仕方ないと思うけどね~」
416はナガンの情報をもっと早く聞いていれば、と一瞬考えたが、もしそうだったとしても彼女達はグリフィンの人形だから気付くのは無理があるかもしれないと考え、そして基地へ招いてしまった自分にも責任があると自分の行いを後悔した。
(情けないわね…)
心の中で416が後悔している時、416が連れていかれる様子を暗い廊下の角から見ている人形達がいた。
「情けないわね。私ならあんなにあっさり捕まらない」
「そうだね~。9、作戦開始するよ」
暗視装置を着けた45がガーランド達の行動を見つつ、無線機で指示を出す。416の知らないところで、404小隊は密かに作戦を始めようとしていた。
今年もよろしくお願いします。