ドールズフロントライン Rainbow   作:碧眼の黒猫

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突然の訪問者

「ひどいざまね、ハンター」

 

「わからん。なぜだ……」

 

「私が鉄血の内部からあんたの命令を書き換えて、今回の混乱を引き起こしたのよ」

 

「バカな、なぜお前にそんな権限が!」

 

「知らないうちに手に入れた能力だけど、結構使えるみたいね」

 

 AR-15がハンターに近付いていき、壁にもたれているハンターの目の前で立ち止まる。

 

「私は本当に特別なのかもね。そう思わない?ハンター」

 

 ハンターはAR-15を睨みながら悔しそうな表情を浮かべる。

 

「まさか……わざと捕まったのか……」

 

 ハンターの問いにAR-15は答えることなく、表情も変えずに冷淡な目つきでハンターに銃口を向ける。

 

「……言ってたよね。本物のハンターは黙って獲物を待つものだって」

 

「くっ……」

 

「もちろんあんたは今から、永遠に黙ることになるけどね」

 

 AR-15が引き金を引こうと指に力を入れた時、指令所の壁が爆発によって破壊され、突然の出来事に驚いたAR-15は咄嗟に左腕で目元を覆った。

 

「ハハハッ、やあやあ間に合ったみたいだね〜」

 

「誰!?」

 

 空いた大穴から歩み寄ってくる人影に銃口を向けたAR-15は、指令所に響くほどの声でその人物に言った。

 

「見てたよ〜、面白いことできるんだね。それを使えば色々と面白いことできそうだ。ハハハッ」

 

「それ以上近寄らないで、近付いてくるなら…」

 

「アッハハハ!撃っちゃう?良いねぇ、その方が面白いからやってみなよ〜」

 

 謎の人物が持っていた何かを取り出そうとする動きを見たAR-15は一切の躊躇いなく引き金を引くと、人影が一瞬にして目の前から姿を消した。

 

「ハハッ!本当に撃ってきた!良いよ!良いよ!さぁ、こっちだ!アッハハハ!」

 

 音のする方向へ銃を向けるAR-15だったが、まだ晴れない土煙の中を目にも留まらない速さで動かれては追うこともできなかった。

 

「あんたも鉄血!?ハンターを助けに来たの!?」

 

 AR-15は音を頼りに相手が一瞬だけ動きを止めるはずの場所に向けて銃を撃ちながら謎の人物に言う。撃った銃弾はその人物に当たることなく、指令所の壁に当たって小さな窪みを作り、火花を散らすだけだった。

 

「いやいや、ちょっとお手伝いしに来たのさ」

 

 AR-15の背後から聞こえた声にAR-15が離れて銃を向けようとすると銃を掴まれ、銃口を強引に上に向けさせられる。

 

 銃を掴んできた人物は黒髪のツインテールに白い肌をした女子高生のような制服姿をしていた。

 

「鉄血の人形みたいだけど……」

 

「あ〜あ、この“体”は確かに鉄血製だね〜。ウロボロスだったけ?まあどうでもいいじゃん。そんなことより私と楽しいことしようよ」

 

「あんたは一体…」

 

 AR-15の体が宙に浮き上がると強く地面に叩き付けられ、首を掴まれて勢いよく大穴から外へ投げられる。指令所の外へ投げられたAR-15は頭を守って地面を転がり、瓦礫にぶつかって動きを止める。

 

 AR-15が立ち上がろうと瓦礫に手を付きながらゆっくりと体を起こすと近くにハンターが転がってきた。転がってきたハンターもAR-15と同じく瓦礫で動きを止め、咳をしながら膝立ちになる。

 

「う〜ん楽しみだ。最近までずっと眠ってたからね。久々の戦いで心が踊るよ」

 

 AR-15とハンターの近くにそれぞれ自分の武器が投げられ、武器を拾った二人は素早くお互いに武器を向けるが、少しの間だけ睨み合った後にツインテールの人形に武器を向けた。

 

「ハハハ!いいじゃん!盛り上がってきたねぇ!」

 

 謎の人形の腰にどこからか飛んできた小型のジェットブースターが装着され、ブースターに付属されていた鉄血のイェーガーが使うスナイパーライフルを手に持つと銃口を二人に向けて粒子弾を放った。

 

 謎の人形が放った粒子弾を避けた二人は別々の方向へ走り、挟撃を仕掛けようとする動きを見せた。

 

 AR-15とハンターのほぼ同時による攻撃をブースターを使った移動でかわした人形が、ハンターに向けて粒子弾を放ち、ハンターはそれをスライディングで避ける。

 

 ハンターに視線が向けられている間にAR-15が人形に攻撃を仕掛けたものの、AR-15が放った銃弾は避けられて反撃される。近くの瓦礫に身を隠して攻撃をかわしたAR-15に視線が向けられている間、今度は2丁拳銃を使った素早い連続攻撃をしながら、ハンターが人形に接近して行く。

 

「なかなかやるね!ハハハ!」

 

 近付いて来たハンターの攻撃を避けながら、ブースターで一気に近付いた人形は体をひねってハンターの脇腹へ蹴りを入れ、蹴られたハンターは少し地面を転がった後、両手足を使って勢いを止める。

 

「くっ…今の状態では…」

 

「満足に動けないよねぇ。でも大丈夫、完全に壊すつもりなんて毛頭無いからさ」

 

 ハンターが顔を上げると、いつの間にか頭上に来ていた人形と目が合い、頭を掴まれて地面に頭を押し付けられたまま引きずられ、ハンターは指令所の壁に叩きつけられた。

 

 激しい損傷を受けたハンターはゆっくりと目を閉じて機能を停止し、人形の手が頭から離れるとハンターの体は地面に落ちて一切動かなくなる。

 

「んじゃ、次はAR-15…」

 

 人形がそう呟いた時、遠くからヘリの音が聞こえてくる。人形が音の聞こえる方へ顔を向けるとヘリから誰かが飛び降りてくるのが見え、人形は笑いながら後ろへ飛び退いた。

 

 人形の居た場所に剣が突き刺さり、地面に剣を突き刺した人形が地面を抉りながら人形に向かって突撃し、剣を振るった。

 

「チッ!すばしっこい奴だな!」

 

 剣が当たることはなく、踊るようにかわされてエクセは一旦距離を取り、拳銃を向ける。

 

「ハハハッ!もう来たんだね。もう少し遊びたかったんだけど…まぁ、別の遊び場に行けばいっか!」

 

「ああ!?逃げんのか!おい!待ちやがれ!!」

 

 人形は笑みを浮かべながら、その場から空を飛んで去っていった。

 

 人形が逃げて行った方へ追いかけようと一歩足を前に出したエクセだったが、ハンターのことを思い出して舌打ちをしてから、倒れているハンターに駆け寄った。

 

「おい!ハンター!クソ、酷くやられてるな…。ハンター!おい!」

 

 エクセが体を揺らしたり頬を叩いてみたりするものの、ハンターは目を覚まさず、目を閉じたまま微動だにしない。

 

「クソ……あの野郎…」

 

 エクセは手を強く握りしめていた時、後ろから聞こえた足音にエクセは振り向いた。

 

「エクセキューショナー…」

 

 後ろから近付いてきたのは、銃口をエクセに向けているAR-15だった。エクセは銃口を向けてくるAR-15を一瞬だけ睨み付けるが、すぐにハンターに視線を戻した。

 

「さっさと消えたらどうだ?AR-15」

 

「それなら、消える前に貴女の後頭部に風穴を空けてやるわ」

 

「やってみろよ。俺はお前とやり合う気なんて最初から無い、好きにしろ」

 

 エクセはハンターを抱き上げると高度を下げてくるヘリに視線を向け、まだ数メートルほどの高さにいるヘリに向かって飛び、兵員室へ飛び乗った。

 

 エクセとハンターを乗せたヘリは高度を上げていき、そのまま山の向こうへと消えていった。

 

 エクセがヘリに飛び乗った後も最後までヘリに銃を向けていたAR-15だったが、引き金には指をかけているだけで引くことは無かった。銃を下ろしたAR-15は、ため息を吐き出した後、集合場所へ向かう為に歩き出した。

 

「あのヘリ、偽装されていたけどグリフィンのヘリね。どうして鉄血があのヘリを…?」

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