ドールズフロントライン Rainbow   作:碧眼の黒猫

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思ったより時間がかかってしまった。

今回はあるガジェットが出てきます。

ヒントはシャープシューター、スカンクです。
下品なのは苦手なので動物の名前ですが、スカンクはアレが有名ですよね。そういうことです。

随分と言い遅れてしまいましたが、お気に入り登録してくれた皆様、ありがとうございます。


得体の知れない薬と煙

 ヘリで崩壊した世界を遊覧飛行、おかしな話だけど気晴らしには良いものだ。

 ついでで必要になりそうな燃料は途中で見付けたヘリの残骸やら車の残骸などから抜き取ってヘリに積み込み、使えそうな物も積み込んで私はヘリを飛ばしていた。

 

「いや~、それにしても鉄血の人形達が多いねぇ~。一人くらい貰いたいところだけど、何処か下ろせる場所は~っと」

 

 私は地上に鉄血の人形達がやけに多く居ることに鉄血人形を一体くらいは貰いたいと考えていた。

 とりあえず安全そうな場所にヘリを下ろして、私は護身用のPPKと対人形用の特別製ナイフを持って物陰から物陰に移動しながら周りに人形が落ちていないか、あるいはまだ動いている人形がいないか確認しながら進んでいく。

 

「あんまり無理はしないようにして……」

 

「あの……」

 

「ん?」

 

 油断しているつもりはなかったけど、私はあっさり背後を取られていた。

 ガスマスクを改良しないと音がよく聞こえない、なんて言い訳か。

 

「えぇっと、見たこと無い戦術人形だけど……それを見るからにM4A1ってところかな?」

 

「はい……あなたは?」

 

「私?私はね……この近くの基地の指揮官だよ」

 

「そうですか……私を探して?」

 

「ん?……あぁ、それは違う人がやってるんじゃないかな。これは偶然だよ」

 

「……それなら何も話すことはありませんね」

 

 彼女はそのまま立ち去ろうとしたが、足を引きずるようにしていることが気になり、彼女の肩を掴んだ。

 

「まあまあ、迷惑かけないようにって気持ちはわからないでもないけど、その足じゃ私でも追い付けるよ?」

 

「心配いりません。このくらい大丈夫です」

 

「別に基地に連れて行こうなんて思ってないよ。それは私の仕事じゃないし、今私にできるのはその足を治してあげるくらいだからね」

 

「直す?」

 

「そうそう、ほら、そこら辺にいっぱい修復する材料はあるからさ」

 

「嫌です。鉄血のクズの部品を使うなんて……」

 

「汚い言葉使わないでよ。もう、じゃあヘリに修復する材料はあるから付いておいで、勿論鉄血の部品は無いよ。安心して」

 

「大丈夫です」

 

「むぅ、無理矢理何かをするってしたくないから、普段なら仕方ないって言うところだけ…どっ!」

 

 私は素早く取り出したピストルを彼女に向けて撃ち、彼女は背中に何かを撃ち込まれて驚いた表情でこっちを振り向いた。

 

「な、なにを!…するん…ですか……?」

 

 彼女は自分の足が動かせるようになったことに驚きを隠せないようだった。

 

 それもそのはず、このピストルに装填されている一発の注射器のような弾丸には、人形が最低限は動けるようになる修復液が含まれているのだ。

 

「フッフッフ、驚いたかな?これ試験品だから多分、完全に修復された状態と同じになったと思うけどね」

 

「な、何ですかそれは!?変な物を撃ち込まないでください!」

 

「変な物とは失礼な!結構、自信作なんだよこれ?」

 

「いいえ!変です!そんな得体の知れない物を撃ち込まれたら誰だって同じ反応になります!」

 

「それはそうかもだけど、便利じゃん?」

 

「だから……はぁ、もう良いです。ありがとうございます。それでは」

 

「身体は大切にしなよ~」

 

 彼女はこっちを見向きもせずに走って行ってしまったが、あの様子ならどこも問題無さそうだ。

 彼女の背中を見送った後、そろそろ鉄血の人形を探そうかと思っていると、背後に誰かが居ることに気が付いた。

 

 今度は味方じゃなさそうだ。

 

「おい、お前」

 

「はいはい、何ですか?鉄血の方?」

 

 振り向くと長い黒髪に白い肌、剣のような大きい武装にハンドガンを持った鉄血の人形が居た。

 名前は知らないけど。

 

「今、ここに黒髪でドクロのバンダナを巻いた……」

 

「M4ちゃんのことかな?」

 

「そう、そいつだ。そいつがどっちに行ったか知らねぇか?」

 

「さあね、残念ながら敵さんには口が固いんだよね。私」

 

「そうかよ。じゃあ、吐いてもらうまでだ」

 

「おっと、そう上手く行くと思うのかな?」

 

 私は腰に下げていたポーチから緑色の瓶のような見た目の缶を取り出して、よく見えるように前に出して見せた。

 

「あぁ?……なんだ、そりゃ?」

 

「知りたい?これからわかるよ」

 

 そして、ポケットから取り出した起爆装置を押すと缶が小さく爆発し、私は一瞬にして緑色の煙に包まれた。

 煙に包まれた私から離れた相手は、この煙がなんなのかはわかるだろう。

 

「なんだ…?お前まさか!」

 

「そんじゃ~ねぇ~!!」

 

「おい、待て…クソ!」

 

 煙を避けて追ってこようとする人形に私は缶を取り出し、進路上に投げて近付けないようにして相手の進路を妨害しながら逃げ続ける。

 

「そーら、食らいな!」

 

「クソ!……洒落になんねぇぞ、お前!」

 

 煙が辺りに充満し始めると相手は諦めたらしく、それ以上は追ってくることはなかった。

 走って煙の中から抜け出し、私はポーチからあらゆる病原体や菌を除染する煙の入った缶を取り出して爆発させ、身に付けているものを除染してからヘリに乗り込んだ。

 

「いや~危なかった~。まあ色々実験もできたことだし、良しとしようかな」

 

 ヘリを急いで飛ばし、帰路に付いた私は瓦礫の影からM4がこっちを見ていることに気が付いた。

 彼女なら逃げ切れるだろうし、心配することはないでしょう。

 

 

 ~その頃、人形達は~

 

 

 416はヘリの信号を手がかりにSIGと共に行動し、他のARとSMG達はチームを組んで別行動をしていた。

 

「416、信号は動いてますの?」

 

「動いてはいるけど……この進路は……SIG、戻りましょう。指揮官が帰ってくるわ」

 

「ふぅ……良かった……」

 

「気を抜かないで、周りを警戒しつつ戻りましょう。私と貴女しか居ないんだから」

 

 416はSIGの横を通り過ぎながら緊張が解けそうになっているSIGにそう言い、警戒しながら来た道を戻り始めた。

 

「……SIG、先に戻って」

 

「416 ?どうしましたの?」

 

「落とし物をしたみたい、すぐに戻るわ」

 

「え?ま、待って…行ってしまいましたわ…」

 

 走って戻っていった416をSIGは追うことができず、その背中を見送ることしかできなかった。

 416が何をするのかはわからなかったSIGだったが、とりあえず一人基地に戻ることにした。

 

 SIGから離れた416は気になっていたことを確かめるため、人気の無い建物の中に入り、相手が姿を現すのを待っていた。

 

「居るなら出てきなさい、気付いてないと思っているの?」

 

 銃を構え、誰も居ない空間に話しかけると足音が聞え、416は足音のした方へ銃口を向けた。

 両手を頭と同じくらいの高さまで上げた人形が暗がりから出てくると、416に向かって微笑んだ。

 

「こんにちは、流石416ね」

 

「……UMP45?」

 

「ごめんなさい、まだできたばかりの基地なのに416が居るものだから、つい後を付けちゃった」

 

「下手な芝居はしなくていい」

 

 416は銃を下ろし、周りを見た。

 

「その様子だと、他にも居ることに気が付いているのね」

 

「……404小隊」

 

 暗がりから三体の人形が姿を現し、416はその中に自分と同じ人形が居ることも確認した。

 雰囲気や佇まいから数でも実力でも相手が上だと悟った416は下手な真似をしないようにと自分に言い聞かせ、慎重に言葉を選ぶことにした。

 

「それで、どうして貴女達が私達を追いかけるのかしら?」

 

「ん~、それはね……貴女達が持っているものが原因かな?」

 

「……興味があるなら、指揮官と直接話をしたら?こそこそ調査するより、そっちの方が早いと思うけど」

 

「確かにそうだけど、私達今は忙しいの。たまたま面白いもの見ちゃって、気になって追いかけただけだからそんなに気にしなくていいわ」

 

「あの416、こっちの416と雰囲気が違うね……」

 

 404小隊のG11が416に対してそう言うと、隣に居た416が横目に威圧していた。

 

「お、怒らないでよ……」

 

「怒ってないわ」

 

「やっぱり怒ってる……」

 

「怒ってないって言ってるでしょう?」

 

 腹を立てて言葉が段々強くなっていく404小隊の416が苛立っていることは、もう一人の416にも伝わっていた。

 そして、もう一人の416は自分はあんなに怒りっぽいのだろうかと思うのだった。

 

「喧嘩は良くないわ。二人とも」

 

「そうだよ。仲良くしよう!」

 

 それを笑顔でなだめようとするUMP姉妹、そんな光景を見せられてため息を吐くもう一人の416。

 

「はぁ……もういい、敵じゃないなら気にする必要もない。私は帰るわ」

 

 416は自分専用装備のグレネードランチャーを取り出すと、それを壁に向けた。

 

「また見たくなったら来てもいい、指揮官も喜ぶだろうから」

 

 416はグレネードランチャーの引き金を引くとランチャーから勢いよくドリルグレネードが発射され、壁に食い込むと少し間を置いて爆発し、人一人が余裕で通れる程の大穴が空いた。

 

「へぇ、じゃあ近い内に寄らせてもらおうかしら」

 

「待ってるわ」

 

 416は穴から外へ出ていき、その場を立ち去った。

 404小隊の人形達もゆっくりと暗がりに消えていき、建物には大穴と静寂だけが残った。

 

「416のグレネードランチャー、あんなに強かったかな?」

 

「弾が改造されてるからよ。壁を破壊することはできても、あんなに大きな穴は空かないわ」

 

「ますます興味が湧いてきちゃった。一段落したら、寄りましょう」

 

「私達にもあんな感じの装備、貰えたりするのかな!?」

 

「どうかしら、どんな指揮官なのかわからないからなんとも言えないけど、気前がいいなら貰えるかもね。9」

 

「貰えるならどんな装備が貰えるのかな?トラップ?最新の装置?もしかしたらさっきの416と同じものかな?45姉?」

 

「はいはい、今は任務に集中しましょう?9。そしたら連れていってあげるから」

 

「はーい!」

 

 UMP姉妹は小さな楽しみができたことに大喜びだったが、G11は何処でも眠れる物を望み、416は自分と同じ人形に密かに対抗心を燃やしていた。




こっちは黄色のような色ではなく、緑色です。

ええ、ドルフロの世界にある緑色の危ないもの……と言いたいところだったのですが調べてもわからなかったので、とりあえず人間にとっても人形にとっても猛毒な煙と覚えてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
では、また次回。


「センサー設置」by.パルス
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