平和な回を書くのは楽しい、しかしキャラ崩壊しかねないので難しいです。
基地に帰ってきた私は帰ってきて早々に416から説教を食らい、今後外出する際はちゃんと理由を他の人形達に伝えてから外出する約束をしました。
416が頑張って私を探してくれていたことに感謝して頭を撫でてあげると、満更でも無さそうな顔をして解放してくれました。
「おぬし……話があるんじゃが……」
やっと416に解放されたのに、今度はナガンから勝手に出ていったこと、DP-28に変なことをしようとしたこと、最後に皆を心配させないようにして欲しいと説教をされ、ナガンの説教から解放されてもうクタクタになった私は司令室にあるソファに仰向けになって寝た。
「今………何時だろ……」
タブレットを起動して時間を見てみると既に深夜の3時になっていた。
確かガジェットを作ろうと言ったのが午前中のことで、皆の為にパソコン用意してガジェット作ってたのが昼過ぎぐらいで、救出任務が来たのが日が落ちそうになっていた頃で、救出任務が終わったのは夜になってからで……。
そして私は、何も食べていないことに初めて気付くと、正直な私のお腹が鳴り出した。
重い体を起こして司令室に元々置かれていた冷蔵庫から軽食のサンドイッチを取り出して机に置き、椅子に座ってガスマスクを外したところで今度は服が流石に汚れすぎていることが気になってしまった。
「ぬぅぅっ!ああ!もうっ!……はぁ、面倒臭いなぁ」
とりあえず軽食を食べてから考えようと無心になってサンドイッチを頬張っていると、司令室の扉が開いた。
すぐにガスマスクをしようとするも、何も考えていなかったせいで片手にサンドイッチ、もう片方は水の入ったペットボトルと両手が塞がっていたことで、私は入ってきた人物とガスマスク無しで目が合ってしまった。
「指揮官?」
「や、やぁ416 ……とナガンかな?」
「そうじゃ。ほぉ、そんなに良い顔をガスマスクで隠しておったのか?おぬし」
416の後ろから料理が乗ったトレーを持って現れたナガンは、私の顔を見るなり褒めてくれた。
確かに顔には自信があるけど、褒められても本当は見られたくなかったから、私は苦笑いをすることしかできなかった。
「指揮官、お腹が空いてると思ったので料理を持ってきました。急いで作ったので、少し味に自信がありませんが、食べられない程ではないはずです」
「ありがとう416 、ナガンもありがとうね」
「気にせんでいい、説教をしておぬしの時間を奪ってしまったのじゃから、これくらいはせんとな」
「別に気にしてないのに……」
「ほれ、温かい内に食べるんじゃぞ」
二人の気遣いに私は心を打たれ、人の温かさを感じたような気がした。
思えば前のところは研究室に籠りきりだったし、仲間同士仲良くやるというか蹴り落とし合いみたいな空気で、雰囲気は最悪だった。
毎日ストレスを溜めるくらいならと、一人で黙々と研究して、研究報告書を提出して、料理も洗濯も自分でやって、時には研究に夢中になりすぎて一日一食なんて日もあったな。
前の職場とは違い、ここは雰囲気が温かい気がする。
こんなにも誰かが居ることは良いことなんだと実感したのは初めてかもしれない。
「指揮官?……どうしたの?」
「いいや……なんでもないよ、416。さて、じゃあいただきます!」
私は感謝を込めた言葉を言ってから料理を食べ始め、お腹が空いていたこともあってか、すぐに料理を食べ終わってしまった。
もっと味わって食べたかったけど、とても美味しかったことは確かだ。
「ご馳走さま!」
「食べるのが速いのう。そんなに慌てて食べなくても良いのに」
「慌てて食べた訳じゃないよ。美味しかったからこそ、手が止まらなかっただけだよ」
「そうかそうか、良かったのう416」
「ええ、そうね。満足してもらえて嬉しいです。指揮官」
「私もこんなに美味しい料理食べさせてもらえて嬉しいよ、416。さて、そろそろ着替えるから二人は……」
料理を食べ終わり、後は汚れた服を二人が出ていった後に着替えようと考えて二人には部屋から出てもらおうとすると、二人は私の腕を掴むとそのまま何処かへ引っ張って行こうとした。
「ちょちょ、ちょっと二人とも!?」
「なんじゃ?風呂に入るんじゃろ?ワシらもまだ入っていないからの、早く来るんじゃ」
「いやいや、大丈夫…大丈夫だから!一人で入るから!」
「指揮官、抵抗しないでください。子供じゃないんだから」
「心なしか416は嬉しそうにしてる気がする……!」
「細かいことは気にせんでいい、ワシらも早く入りたいんじゃ。あまり抵抗せんでくれ」
「えぇ……もう、わかったよ……」
あまり気乗りしないけど、二人の誘いを断る方が嫌だったのでそのまま大人しく二人に引っ張られて基地にある大きな浴場まで一緒に行った。
そして、人形達も人間が作った思考のせいか私が裸になるなり胸を見てきた。
まるで申し訳ないことをしたというような顔で。
「あー、なんというかじゃな……すまぬ……」
「ナガン、気にしなくて良いこともあるんだよ。だからね、そんなに申し訳ないって顔で謝らないで良いんだよ?」
「申し訳ありません、指揮官。その……」
「416。貴女が何を喋ってもこういう時は全部逆効果だから何も言わず、気にしないのが良いんだよ。覚えてね」
「……はい、わかりました。指揮官」
過去に何度もからかわれたけど、別に胸が無くたって生きていけるし、この方が軽くて体も洗いやすいし、胸が無駄にある女性よりは早く風呂を上がって研究をできるんだから、私のような人間にはこれ以上恵まれた体型はないと思っている。
女性としては魅力が少ないけど、魅力よりも私は研究が好きだ。
誰かの評価よりも自分で納得の行く研究をして、開発して、誰かの幸せを願う私は胸なんか気にしない。
「くっ、自分で悲しくなってちゃった……。いいや!絶壁がなにさ!私は自分の体が好きだし、何より研究が好きなんだから胸なんて無くたって平気平気!」
「あぁ……本当にすまんのう……」
「だから止めてよぉ!もう!折角、二人が優しくしてくれたからいい気分だったのに、これじゃ台無しになっちゃうよ!」
「ナガン!胸がなくても指揮官は完璧よ!」
「言っちゃったよ。胸無いって言っちゃいけない人が言っちゃったよ!」
416は普段は服装でよくわからないけれど、脱げば凄いものを持っていた為、実は少し傷付いていたのに傷口に塩というよりナイフを刺し込まれた気分だ。
「むうぅぅぅ!!ほら!二人とも!早く入ろう!下らない話は入ってからでもできるでしょ!!」
私は気にしたくないことは気にしたくないので、涙目になりながら二人を引っ張って浴場に入っていった。
湯船にゆっくりと浸かり、二人も湯船に浸かると大人しくなってくれていた。
「……指揮官」
「ん?どうしたの?416?」
「実は……指揮官が帰ってくる時に私は404小隊と話をしていました」
「404小隊ねぇ。……存在しない人形の部隊だっけ?」
404小隊、存在しない人形達のことは私も知っている。
少し調べてはいたけれど、彼女達が凄い人形なのは経歴を見るだけでもわかった。
普通の戦術人形の前には滅多に現れないらしい彼女達だが、何故416の前に姿を見せてくれたのだろう。
「はい、彼女達に尾行されていたので少し話をしたのですが……」
「どうだった?その404小隊の人形達は?」
「そうですね……。一言で言うならば、精鋭と言えますね。私と同じ人形も居ましたが、恐らく実力は向こうが上です」
「へぇ……416がそう言うなら、本当にそうなんだろうね」
「……このことは、ナガンに聞かれても問題ないと思いますが、指揮官はどう思いますか?」
両手を使って水鉄砲のように水を飛ばして遊びながら416の話を聞いていると、416が近くに寄って耳元で小声で話しかけてきた。
「うーん、大丈夫だよ。ね、ナガン?」
「なんじゃ?湯船が気持ちよくてのう。何も聞いとらんし、聞こうとも思ってないぞ」
「ほら、大丈夫。それで、彼女達はここに来るとか言ってた?」
「はい、正確には私が誘いました。申し訳ありません、勝手なことを……」
「大丈夫だって、彼女達が私達を潰そうとか思ってない限りは安全だよ。もし来てくれるなら口止めに良いものを作ってあげようとも思ってたし、丁度良いかな」
UMP姉妹に416は問題ないけど、G11はちょっとあげるものに悩んじゃうけど何とかなるはず、どんな状況でも寝られる寝袋とかあげれば良いかもしれない。
「……それにしてもおぬし、綺麗な金髪じゃな。手入れをしておるのか?」
突然、ナガンが私の腰くらいまである髪の毛を触りながら聞いてきた。
「うん?普通に洗ってるだけだよ?」
「そうか、おぬしの魅力は髪だったりするかもしれんのう」
「ナガン、それなら肌も綺麗で髪も綺麗で顔も良い指揮官は完璧だと思わない?」
「ど、どうしたんじゃ?急に?……あっ、おぬしさっきのこと気にしておるのか?」
ナガンが416にそう言うと416は一瞬だけ動揺を見せた。
また醜い争いが始まってしまうのかと二人の会話を聞いていると、416は両手を使って水を水鉄砲のようにナガンに向けて飛ばした。
「ぶあっ!なにするんじゃ!この!」
ナガンが対抗して両手で水を飛ばそうとするものの、いまいちコツがわからないようで全く飛ばすことができていなかった。
「察したならちゃんと合わせなさいよ」
「くぅ……えぇい!こうなればこうじゃ!」
ナガンは両手で水をすくって飛ばす方法に切り替え、私を巻き添えにして416に大量の水をかけてきた。
「うっ!やったわね、この!」
416も両手で水をすくい上げて水をかける方法に切り替えて反撃し、その間に挟まれてしまった私は大量の水を被ることになった。
「ま、待って!私、味方!味方!」
「この!容赦せんぞ!」
「完璧な私に勝てると思ってるのなら、大間違いよ!」
「ぶふっ!フレンドリーファイヤーしてるよ!聞いて…うわぁっ!」
二人は水をお互いに被せ合い、私はそれに巻き込まれてしまっていたが、彼女達が楽しそうにしていたので、止めようにも止めることができなかった。
二人が疲れて止めた時には私は頭からびしょ濡れになって、二人には頭を下げられて丁寧に謝罪された。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
平和な話だと特に書くことが無いので、とりあえず「皆が幸せならOKです」とだけ言っておきます。
「バリケードの用意ができたぞ」by.キャッスル