一京のスキルを持つ悪平等と転生者な僕   作:カステラプリン

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フラスコ計画参加者と戯れてみた その三

さてさて、宗像くんの所から毎度お馴染みの瞬間移動で離脱した僕な訳だけれど。原作順ってやつで行くなら、次に向かうべきは地下三階付近で待ち伏せしていた名瀬ちゃんと古賀ちゃんだろうけど、問題は彼女達がどのタイミングからあそこで待ち伏せしていたのか。と、思ったけど、瞬間移動の便利スキルのお陰で何処でもいーのか、別に。

 

 

なんて、短絡的に考えて、僕は二階と三階の間の階段から彼女達の所へ瞬間移動した。それが読まれているとも知らずにーー。

 

 

 

 

 

「さて……とっ!?」

 

 

瞬間移動して、まず視界に何があるか。それを把握しようとした僕だったがそれは腹部にいきなり叩き込まれた拳によって阻まれた。これまでに受けた攻撃の中で一番威力を持ったその拳を受けて、思わず片膝をついて、腹部を両手で抑え込んでしまう。

 

 

そして、そんな僕を見て、けらけらと笑う一組の少女達。言わずもがな名瀬ちゃんと古賀ちゃんだ。

 

 

「にゃはは! 名瀬ちゃんの言った通りだったね!」

 

 

「そりゃ、俺の読みに間違いはねーよ。なんたってこの先輩、まだ自分が目をつけられてねえと思って行動してんだからよぉ……俺を誰だと思ってんだっつうの。フラスコ計画統括の名瀬 夭歌だぜ?」

 

 

けらけらと笑う古賀ちゃんに統括の部分をやや強調して僕を目つき悪く睨みつつ言う名瀬ちゃん。ありゃ、思いのほか、目をつけられるのが早かったなぁ。

 

 

「あ、はは、どうやって見つけたのさ?」

 

 

「あん? 普通に監視カメラだろ。統括である俺がフロアの状態を確認できねー訳ねえだろ。まあ、プライベートな部分とか考慮して見えねーよーになってる所もあるけどよー」

 

 

……監視カメラ。原作でそんな設定あったっけか……? あ、でも、原作で待ち伏せが出来てたって事はそういう事なのか?

 

 

「さて、霧島先輩。俺としてはあんたを使って実験してえ所なんだよなー。実験内容は……そうだな、その不可思議な異常について、だ。さっきから見る限りどうなってんだ、あんた。場所から場所への転移におそらく、だが、高千穂先輩の異常にすげー似通った異常も持ってんだろ? あといくつ異常を持ってるんだ? 霧島先輩」

 

 

「……ふーん」

 

 

なるほどなるほど。どこまで把握されてるのかな、と思ったけど……この程度か。まあ、直接会ったのは初めてな訳だし、今から改造の異常で僕という異常を調べるんだろうけど。

 

 

……うーん、どうしよっかな。現時点でこれ以上把握されても面倒だしなぁ。思いつきでスキルを使えば、手はあるんだけど。ちなみにその思いつきってのはスキル 幻の幻覚の使い方の工夫にある。

 

 

まあ、工夫というか、なんというか、今まではこのスキルを使っての幻覚は空間そのものに幻覚を生み出したりして使ってたんだけど、例えば手の平で掴んだ相手に集中して幻覚をかけてみたら、どうなるだろうか。今ここで戦ったって記憶やら僕という存在をあやふやにできるくらいごちゃごちゃと、幻覚で記憶を弄ったりもできるのかな。

 

 

……まあ、これが出来なくて、失敗しても最悪さえまぬがれればそれでいいや。この場合の最悪ってのは僕が負けて捕まって名瀬ちゃんに隅々まで調べられる、だ。戦った相手の技を会得するスキルなんてのは調べられたら、おそらく原作を著しく壊す。なんたってめだかちゃんの完成に似通っている為、正体の判明が速くなり、おそらく原作を壊す。例えば、めだかちゃんの自己洗脳が読まれて、それに対しての対応策が練られたり、とかだ。

 

 

ま、でも、原作とは既に外れてきているし、僕もそれをもう覚悟して行動している訳だ。かと言って、僕という異常をこの時点で見切られるのはやはり嫌な気分だったりする。ので、失敗覚悟で僕は……先の案を実行する。まあ、思いつきでのスキルなんていつもの事だしね。

 

 

「おい、霧島先輩。聞いてんのか?」

 

 

「うん、聞いてるよ。いろいろ考えたけど、試す事にしたよ」

 

 

「……は?」

 

 

「だからね、初めて今、僕が出せる全力出すけど、後悔しないでね?」

 

 

きょとんとしている名瀬ちゃんに僕は笑顔でそう言うと表情を真剣なものにする。どうせ記憶が消せるなら全力だ。消せないでも捕まって調べられるよりはマシだ。だから、消せなくても全力だ。初めて出す全力。自分という人間の底を知るには丁度いい機会かもしれないね。

 

 

すう、と息を吐く。

そして、僕は転生してから初めて全力を出したーー。

 

 

僕の不穏な気配から何かを察したのか、古賀ちゃんが慌てて僕に詰め寄り、ライダーチョップとやらを繰り出すがそれを僕は高千穂くんの自動操縦で横に体をずらして躱す。と、同時に宗像くんの暗器を取り出す速度で三つ程スーパーボールを取り出し、冥利くんの計算能力で地面や壁に放つ。そして、それらは古賀ちゃんの後頭部を後ろから顎を真横から喉を下から捉える。

 

 

一度に急所たりえる箇所を捉えられて悶絶する古賀ちゃん。その古賀ちゃんの頭を僕は右手で掴む。そして、スキル 幻の幻覚を初めて個人に対して使う。この出会いが起こってなかった事に感じられるように幻覚を施す。成功していればまるで夢を見ていたかのように感じられて、僕に対しての記憶は理事長室、のみとなるだろう。まあ、古賀ちゃんにはこの程度でいいかな。

 

 

「う……あ……」

 

 

強力な幻覚をかけられた事によって意識を失った古賀ちゃんから手を放す。よって、古賀ちゃんはどさり、と床に倒れこんだ。

 

 

「こ、古賀ちゃん!?」

 

 

「……隙だらけだよ。僕のスキルのいくつかは把握してたんでしょ? 駄目じゃないか、余所見しちゃ」

 

 

古賀ちゃんが倒れて、慌てる名瀬ちゃんの後ろ。そこにスキルで瞬時にして移動した僕は先程と同じように右手で頭を掴む。右手に、目の前の相手に、幻覚を集中してかけ……ようとして、気づく。彼女が注射器を刺そうとしてる事に。

 

 

が、それを自動操縦で即座に反応した僕は瞬間移動ですぐに距離を取る。

 

 

「……古賀ちゃんが心配じゃないの?」

 

 

「……確かに俺に改造されてる古賀ちゃんがあの程度のダメージで今倒れているのは非常事態だ。だが、てめえから意識を逸らす訳にも行かねえだろ、霧島先輩……!」

 

 

僕の問い掛けに冷静、ぶって返す名瀬ちゃん。とはいえ、古賀ちゃんがやられて、表情に結構、怒りが出てるんだよね。

 

 

「ま、瞬間移動を読んで、反撃してきた辺りすごいよ。まあでも、僕という人間はその程度じゃ止まらない。見せてあげるよ、全力全開、最大最速……!」

 

 

今、戦った古賀ちゃんの異常は、既に、僕も会得している。スキル 人間強度と古賀ちゃんの強力なパワーを持つ異常。果たして、掛け合わせたら……それを今から試す。

 

 

地面を思い切り蹴って、身構えている名瀬ちゃんへと駆ける。反撃は全部自動操縦に任せる……と思ってたけど、どうやら思いのほか速かったらしく反撃される前に僕は正面から名瀬ちゃんの頭を掴んで幻覚のスキルを発動できていた。

 

 

名瀬ちゃんにかける幻覚は古賀ちゃんより少し強いものだ。僕との出会いそのものを幻覚で、まやかしだったと捉えさせる。今はまだ存在を悟られるのも面倒だ。

 

 

作業を終えて、意識を失った名瀬ちゃんから手を離して、床に落とす。と、同時に体がぐらりとふらつく……が、ここで意識を失う訳にも行かないので死力を尽くして、この場から瞬間移動で離脱した。




珍しく、苦戦回。圧勝でしたが精神的な疲労はかなりかかってます。
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