一京のスキルを持つ悪平等と転生者な僕   作:カステラプリン

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気づけば悪平等の端末扱いだった件について

あの、フラスコ計画を止める為の争いから一日。箱庭学園は特別変化なく、平和である。もちろん原作を知る僕からすれば、球磨川 禊率いる−十三組もとい新生徒会と黒神 めだか率いる現生徒会メンバーが生徒会を巡って、争う生徒会戦挙が起こるまでの嵐の前の静けさである。

 

 

そして、その頃には僕はついに原作にまともに介入している、はずだったのだけれど。

 

 

「……どうしたもんかな、しかし」

 

 

思わず、言葉が出てしまうも、昨日の出来事からダメージはないも、精神的に疲労を感じた僕が今いる場所は学園ではなく、ここ自宅。誰に聞かれる訳でもないので特に問題はない。

 

 

「と、でも思ってるんだろ、霧島くん。甘いぜ」

 

 

「!?」

 

 

突如、聞こえた声にソファーで寝転んでいた僕は思わず飛び起きる。僕以外いないはずの部屋なのに、と思い、辺りを見渡すもそこに人の姿はない。

 

 

「……って、その声、安心院さん?」

 

 

「へえ、声で分かるなんて霧島くんもやるね」

 

 

声から推測しての解答に謎の声、ではなく、安心院さんは否定せずに感心したように言葉を返してきた。

 

 

「異常性と過負荷の選り取り見取り、には隠された副次効果があってね。スキルの貸し借りには代償と交渉が必要って説明したでしょ? 異常性と過負荷の選り取り見取りはスキル 口区間を通さずに遠距離でスキルの貸し借りをする為のスキル。そして、その交渉をする為にはこうして離れた場所にいても、会話そのものが出来ないとだからね。ま、僕と霧島くんの間だけでのテレパシーみたいなものさ」

 

 

「なるほど、ってそんなの説明してなかったよね、安心院さん……」

 

 

「まあでも、なんとなく察しはついてたんだろ? 交渉ってワードを説明に入れてた訳だし」

 

 

いやいや、それはそうだけど、まさかここまで自由自在にテレパシーみたいな事ができるとは思わないって。せいぜい借りる直前くらいのしょぼい遠距離会話かと思ってたや。

 

 

「ま、察してようが察してなかろうがどっちにしろ、僕としては今、自由に動けないから霧島くんを介して、行動できそうだからいいんだけど」

 

 

「……自分の端末として動ける人間が億単位でいるくせに僕なんかと通信できて何のメリットがあるのさ」

 

 

安心院さんの言葉に思わず肩を竦める。が、安心院さんは特に気にした様子もなく、返答をしてきた。

 

 

「まあ、彼ら、彼女らは僕の端末である前に一人の人間なんだし、僕のスキルを複数借りて、自由気ままに動いてる君程動かしやすい端末はないからね」

 

 

「あはは……まあ確かに」

 

 

そう言われるとそうだ。自分も安心院さん側の立場なら自我があり、自由があり、生活がある端末よりも生活という部分を第一としない上に自らのスキルをいくつも借りていて使いやすい端末を動かす方がいいだろう。

 

 

なんて、考えてると二つの疑問が不意に浮かんだので安心院さんに訊いてみる事にする。

 

 

「ねえ、安心院さん。二つ質問いいかい?」

 

 

「ん。構わないぜ」

 

 

「これって僕からもテレパシーできるの? あ、あと、今はお互いに喋ってるけど、喋らずにテレパシーできるんだよね?」

 

 

「そこは電話と同じだね。僕に用事があれば出れないし、霧島くんも忙しければテレパシーなんて出来ないだろうし。あと、喋る必要はないよ、勿論。僕なりの演出ってやつさ」

 

 

なるほど、と頷き、そこでふと気づく。……よくよく考えたんだけどさ……これ、携帯電話と同じじゃない? むしろ、留守電がある分、携帯電話のが高性能なような……

 

 

なんて考えが浮かぶもスキルの貸し借りがメインであり、それこそが携帯電話なんてものよりも利点があるのでやはりこちらのテレパシーのが高性能だろう。

 

 

とまあ、これは置いといて。

 

 

僕は本題、二つ目の質問を安心院さんに投げかける。

 

 

「二つ目の質問するね。なんで今、このタイミングでテレパシーなんてものしてきたのさ?」

 

 

「えー? 暇潰し? ……ってのは冗談で。霧島くんが珍しく困ってたみたいだから知恵を貸しに来たんだよ」

 

 

「……知恵?」

 

 

よく分からない発言に少し首を傾げる。悩んではいたが、どんな風に初対面として会うか、って悩みに知恵がいるのかな?

 

 

「知恵、というかアドバイス、が正しいかもしれないや。霧島くんは原作とやらを把握している事で出会い方のタイミングを測ってるのかもしれないけど、それが今回は逆に足を引っ張ってるんじゃないかな」

 

 

「…………」

 

 

「めんどくさいのは分かるけど、ある程度の過程は踏まないと行けないんじゃない? 現状の借り物スキルだけで最良を求めるのが難しいってもんだろうし」

 

 

……実にその通りな訳で。そうなのだ、スキルでの無理矢理な関わり方はおそらくボロが出る。なにせ、生徒会メンバーには黒神 真黒、黒神 くじら、黒神 めだか、の観察や改造、解析に長けた三人がいるのだから。

 

 

つまり、答えは最初から出ていたのだ。ここまで戦いへの介入だけで作ってきた関係性とは別のベクトルで、普通に出会い、普通に知り合い、普通に生徒会メンバーの補助に回れる程の信頼を勝ち取るベクトルが一番安全である、結局。

 

 

「と、いう訳だ。おそらく理解しただろうし、ここら辺でテレパシーを切るね。また、次に面白い交渉待ってるよ」

 

 

その声を最後に安心院さんの声は途切れ。また、部屋には静寂が訪れた。




戦闘パートが長かった為、戦闘パート休み回となってます。
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