「ぐっ……ふっ……!」
不可逆の拳を受けて。激しい痛みと共に、数十メートル吹き飛んだ僕。既に意識は遠のきかけている。
反射的に普段のくせで超回復のスキル、全治死。なかった事にするスキル、大嘘憑き、の二つを発動しようとするがこの拳は不可逆の一撃である。
幻の幻覚での自分への暗示は予想以上に出来がよく、不可逆も原作をしっかりと再現しているようだ。
「……な、んて、分析してる、場合じゃない……よね」
「ふむ、儂の一撃を受けて、まだ意識があるとはな。げっげっげっ! 新しいではないか!」
そう、分析なんかしてる間にも、獅子目 言彦は楽しげに笑い、更なる追撃を仕掛けようとして迫ってきている訳で。
「……あーあ、仕方ないか。この方法くらいしか浮かばないし、何よりここで死んだら多分……」
生きて、現実には帰れない。口調や表情は平静を装っているけど、実際はその言葉を口に出すのも恐ろしく感じていたり。
……ごほん、失言だったや。とりあえず、思いついたプランでどうにかしよう。
思いついたプランは二つ。そして、可能性を上げる為、それらを同時に行う。
……思い浮かべるは現実世界。今いるこの空間ではない。目の前の敵も、僕の不可逆の傷も、そして、この世界さえも、存在はしないのだ。
そう、決して存在はしない。ここはあくまでまやかしの世界。これは空想に過ぎない。
と、幻の幻覚で自身に暗示をかける。僕の予想ではこの世界に入り込んだ暗示を解くのは容易ではない。だって、僕の暗示は現実世界にいる肉体や精神にかかっている訳だし。
だから、ここにいる暗示がかかった僕という存在に逆転の暗示をかける事で最初の暗示の解除を試みているのだ。
とはいえ、最初の暗示はかなり強くかけたし、おそらくこれじゃ現実世界に帰りきれない。多分、出来ても現実世界でかろうじて、スキルが無意識的に使える程度だろう。
そして、暗示が解けないのは既に推測済みで、実は今から行うこれこそが僕の二つ目のプラン。
逆転の暗示をかけつつ、現実世界の僕に無意識下でスキルを二つだけ発動させる。まず、瞬間移動のスキル、足しげく通うを発動。細かい場所指定は出来そうにないので、どこかの空中、に瞬間移動する。
次に空中にて王土くんのスキルを一瞬に集約し、全力で発動させる。制御下にないスキルの全力発動はもはや暴走ともいえ、その暴走は僕の体を中心に巨大な放電現象を瞬間的に起こし、そして、僕は、放電に、飲み込ま、れーー
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「……あのさ、霧島くん。一体、何をどうしたらあんな死に方をするのさ」
真っ暗な世界。突然、聞こえた聞き慣れた声に僕はゆっくりとまぶたを開ける。
「あ……安心院さん……」
「あ、じゃないぜ、まったく。座禅してるかと思えば、急に放電しだして空中で真っ黒こげになるんだもの」
呆れる安心院さんに、僕は苦笑で返す、とその直後、あの空間から逃れて、安心した為かまた意識が薄れて、僕はまた深い眠りについた。
実はあと二つ、別のパターンで物語を進める事も考えてました。一つは先のネタバレになるので控えます。もう一つのパターンは人外な悪平等なあの人に助けてもらうってパターンだったり。まあ、ボツ案になりましたけどね笑