一京のスキルを持つ悪平等と転生者な僕   作:カステラプリン

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問いかけ

再び目が覚めた時、そこは特に変わらず、あの教室で。封印なし安心院さん、通称完全院さんは床にうつぶせに倒れこんでいる僕の目の前の教卓に座っていた。

 

 

……つまり、だ。僕が辺りを見渡せば、いや、もっと言えば、僕が斜め上を見上げれば、安心院さんのパンツが……

 

 

と、思考がそこまで及んだ時、立ち上がった安心院さんが右足で僕の上がりかけた頭を踏みつけた。踏みつけ自体は痛くないけど、床に押し付けられて顔が痛い。

 

 

「むぎゅ……これは酷いんじゃないかな……」

 

 

「乙女のガードはかたいんだよ、霧島くん」

 

 

安心院さんの年齢で乙女って……と言いたくなるも冷ややかな視線が僕を見つめていそうなのでやめといた。すごくこわいし。

 

 

「とまあ、さておき、本来ならキミはあそこで意識を失い、大嘘憑きで自動的に生き返るはずだけども。訊きたい事があるからとどまってもらったんだ」

 

 

「訊きたい事……? え、というか異常と過負荷の選り取り見取りでの会話じゃ駄目だったの?」

 

 

無料通話のような一面も持つあのスキルなら直接会う必要もなさそうだけど。

 

 

「うん、あれじゃ駄目なんだ。ここじゃないとね」

 

 

そう言った安心院さんの表情は未だに頭を踏まれ、地面に顔が押し付けられている僕には見えない。

 

 

ただ、声色は普段より落ち着いているというか冷静というか、いや、これは冷酷とかのものに近いような……?

 

 

なんて考えていると安心院さんから声がかかる。

 

 

「ねえ、霧島くん」

 

 

「……なーに? 安心院さん」

 

 

初めて会った時から時折ある、軽いノリの問答、と内容は同じも雰囲気はどことなく重たい気がする。

 

 

「君は、何を目指しているのかな。今まで詳しく訊くつもりはなかったけど、さっき見かけたよくわからない行動がやっぱり気にかかってさ。ある程度は知りたいかなぁ。僕のスキルを貸してる以上は安全性の為にも、ね」

 

 

……まあ、さっきのを見れば気になるよね。でも、スキルで心を読んだり、強制的に自白させない辺りスキルで先の事を知るのを好まない安心院さんらしいや。

 

 

そして、この質問に僕は詳しくは答えられない。安心院さんが望まない未来の話であるからだ。

 

 

僕の原作知識はこの世界の主要人物には驚異である、が安心院さんからすれば、驚異となる部分は原作の流れを知っているという事だけなのだ。僕が安心院さんより優れている知識、それはあくまで原作の流れを知っているという事だけ。

 

 

まあ、気になるとはいえ、先述の通り、安心院さんは先の流れを知ろうとはしないし、別に僕から未来の情報を得なくてもそれはいつでも手に入れられる訳で。

 

 

転生した僕と一番関わっている安心院さんだけど、原作と変わらず、シミュレーテッドリアリティでこの世界が漫画や小説のような物と思っていて、僕が僕の世界ではこの世界が漫画である事を伝えても、安心院さんのスタンスは変わらない。

 

 

未だ、安心院さんにとって、この世界は漫画のような世界に感じられるだけで。僕の世界で漫画だろうとそれは変わらない。漫画の世界なんだ、とは捉えない。君の世界ではそうなんだね、程度の認識だ。

 

 

そう、もしかしたら逆にこの世界では僕が元いた世界が漫画だったりするのかもしれないから。

 

 

世界とは、見えなくて、離れていて、お互いに届かなくても、もしかしたら目には見えない何かが繋いでいて、物語として語り継がれたり、漫画として描かれていたりもするのかもしれない。あくまで自論だけどね。

 

 

っと、安心院さんに返答を返さないと。

 

 

気づけば僕を踏んでいた足は既にどいている。安心院さんは僕にパンツが見えない位置、角度で教卓に座ってこちらを見つめていた。

 

 

踏みつけられていた足もどいているので、僕は立ち上がり、先程の返答をする。

 

 

「この先の事に関わるから答えられない、かな。でも、目標は最初から変わらない。僕の世界での原作知識の最後にいる強敵を倒す、それだけ、だよーー」

 

 

 

 




前の話を前編としたら今回の話は後編となります。
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