とある教室の中で。
相対するは僕こと霧島 響弥と球磨川 禊。
辺りにあったはずの綺麗に並べられていた机や椅子は見るも無残な姿になっている物もあれば、当初の位置から一度も動いてない物もある。
争っていても、規模を最小限にとどめて戦ってしまっている辺り、僕と球磨川くんの戦闘らしい、と感じてしまうや。
なーんて、思ってる間もないようで。
僕は床にうつ伏せに倒れていて、球磨川くんはとどめの螺子を今、まさに僕に突き刺す直前。万全なら軽々と迎え打てる所だけども、満身創痍な今の状態ではどうしようもない。
『何か言い残す事があったりする?』『まあ』『言わせないけどさっ』
かけられる声に応答する間もなく、床に倒れる僕の頭部に螺子は投げられる。螺子が飛んでくるのを視界に入れながら僕は何故こうなったかを、数十分前に振り返って、走馬灯のように思い返した。
ーー ーー ーー ーー ーー ーー
事は今より遡って、数十分前。
やや遅刻気味に登校した僕は自分のクラス、三年十三組に向かう、訳ではなくて、生徒会室に向かう、訳でもなくて。
僕が向かうのはマイナスの方の十三組。
用事があるのは球磨川くん、ついでに残りの過負荷。ついで扱いしてしまってるけど、戦う事によるスキルの習得は今この時点で出来たら行っててもいいな、とは思ってた。
幻の幻覚と足しげく通うを安心院さんとのスキル交換で一時的に失ってるとはいえ、僕の身体能力、スキルは充分に過負荷全員を相手には出来るだろうし。
なんて、そんな軽い考えで過負荷全員を相手どった事。それがあの状況を生み出したのだと、今になって分かった。
そして、あの状況を生み出した原因の中でも大きな原因。球磨川 禊、を甘く見過ぎていた事だ。一度勝った事で、めだかちゃんかそれ以上の戦闘能力を得ている事で、少なからず慢心していたのか、対処できる、なんて思っていた事。それが僕の隙だったようで。
あまり警戒せずに開けたマイナス十三組の入口の扉。その先で身構えていたとか、待ち伏せていたとかではなかったけど、想定していたけど、想定できていなかった事はあったみたい。
みたい、とは表すのは目には見えないものだからだ。
球磨川くんの僕に関する記憶。幻の幻覚で操作し、あやふやにした記憶だけど、大嘘憑きで幻の幻覚の効果を消されたら思い出されるかもなぁ、ぐらいには考えていたけども、僕の事を思い出している様子な上に、どうやら僕対策の戦法まで用意していたみたいで。
思い出すかも、までは想定して、対策されるかも、までは想定していない。楽観的な考えが僕を今頃になって苦しめて。
これから思い返すのは、過負荷全員との戦い、その一部始終。
自惚れた僕の敗北へと向かう物語である。