エリクシール職人の朝は早い。
繁忙期にはエリクシールを飲んでエリクシールを作る。
疲れきった彼はシェロカルテに辞表を提出し、金髪の錬金術師にブチ切れられて……

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エリクシール職人の朝は早い……

種族、ハーヴィン。

職業、錬金術師。

特技はポーションやエリクシールの作成。

 

今日も今日とて、シェロカルテに用意された工房でエリクシールを作り続ける日々。

 

飲めば瀕死の人間もたちどころに回復、疲労も消える秘薬。それ故に高額で、在庫を切らさない程度に納める程度で済んでいたのだが最近注文数が激増している。

 

今ではエリクシールを飲んでエリクシールを作る激務。

なんでも“何とかサイファー”なる騎空艇に乗る騎空団が大量発注をかけているらしい。

最も酷いのは“星の古戦場”と呼ばれる覇空戦争時代の激戦区にて星晶獣が活性化する時期なのだが、その日はエリクシールを10分に1本飲んで仕事をしている。

シェロカルテは笑って応援してくるだけだ。

 

 

「(あ、隠居しよう……)」

 

 

見た目はハーヴィン故に若く見えるが自分ももう40近い年齢。

結婚もしていないし、恋人は8年前に別れた。別れ際に「貴方エリクシール臭いのよ!」と言われたのは今でもたまに夢に見る。

 

古戦場が静かになる頃、シェロカルテにエリクシール作りを辞めて隠居する旨を伝えた。

 

「なるほど〜。それにしても急ですね〜。エクルシルカさんにはまだまだご依頼があるのですけれど」

「君は倉庫いっぱいに在庫を揃えているのを知っているのだが?」

「なんのことでしょ〜?」

 

騙されてはいけない。

発注よりも1割増でエリクシールを作らせていることを小耳に挟んだのだ。悪意のない顔で笑っていようが自分がエリクシールを作れなくなった時に備えていたことは知っている。

 

「とにかく、数年は離れることに決めた。そうだな……、やはり栄えた場所の方が色々と融通が効くだろうし“アウギュステ”に家を借りることにしよう。君の店もあるから何かあれば連絡も取りやすいだろう?」

 

人里離れた場所では妻探しに支障が出るであろうし、そうでなければシェロカルテには見つかってしまう。

開き直って予め伝えておけば、

 

「それでしたら丁度良い場所に心当たりがありますよ〜」

 

と、多少の優遇は行ってくれる。

10年以上の付き合いだ。願わくば厄介事に巻き込まれないよう、ひっそりと生活していくことにする。

 

 

 

 

 

アウギュステでの生活を始めて2年。

快活な印象の少年と蒼い髪の少女。金髪の錬金術師の少女、翼の生えた2人の女性、奇妙な着ぐるみを着たナニカを連れたシェロカルテが我が家を訪れてくる。

 

「隠居した身なのだが?」

「それがですね〜」

 

つい先日のサメ騒ぎでもポーションを作らされたのに、まるで悪びれずに話し始めるシェロカルテ。

聞けば、星晶獣の再生に自分の作ったエリクシールが効果があり、しばらく協力して欲しいとのこと。

 

「こいつがエリクシールだけに特化した錬金術師ねぇ……。ヘルメス錬金術学会とは完全に別系統の錬金術師か、おもしれぇ」

「……君は?」

「美少女天才錬金術のカリオストロだよっ☆」

「名前を聞いた訳では無いのだが……。まぁ自分は教本こそ読んだが独学だ。錬金術師として見るなら参考にはならない」

 

チラりとシェロカルテを見れば、彼女も苦笑い。

 

「それで……、彼? 彼女? の治療に自分の作ったエリクシールが必要というが、君はまだ在庫を抱えているのでは?」

「実はですね〜。度重なる天司の事件、活性化した古戦場の鎮圧、その他色々な事件にかなりの数のエリクシールが無くなっしまいまして〜。そろそろ復帰も考えて貰おうとしたのですが〜」

 

とても嫌な話だった。

もうエリクシールを飲んでエリクシールを作る生活なんて考えられないのだ。

同じ方法で作れる人物を見つけ出せなかったとはいえ、自分だけ苦労するのはあまりにも理不尽では無いだろうか?

 

「そこでカリオストロの出番だよっ☆ オレ様がお前の錬金術を見て、作り方を広めてやろうってのも今回の目的だ」

「なるほど……」

 

自分の製法はたまたま見つかっただけで、隠している訳でもない。

何故か他の魔道士も錬金術師も出来なかったのだ。

 

「材料はこちらに〜」

 

シェロカルテが空き瓶と袋を手渡してくる。

 

「……では始めよう」

 

その辺で汲んだ水に砕いた宝晶石を混ぜて錬金術。

瓶に詰めてこれで完成。

 

「……は?」

 

カリオストロが信じられないような物を見るような目で見てくる。

 

「それでは一応、ポーションの方も」

 

その辺で汲んだ水に錬金術。

瓶に詰めてこれで完成。

 

「………は?????」

「やっぱりカリオストロさんの目から見てもおかしいですよね〜」

 

この後めちゃくちゃ錬金術師について教えられた。




名前:エクルシルカ
属性:水
種族:ハーヴィン
HP:1800
攻撃力:8800
得意武器:杖

奥義
・エリクシール作成
味方全体に特殊強化(効果中に戦闘不能になった時復活効果、復活時HP全回復、復活時奥義ゲージ100%UP、消去不可)。効果時間5ターン

アビリティ
・キュアポーション作成
奥義ゲージを30%消費し、キュアポーションを1個生成。使用間隔3ターン

・オールポーション生成
奥義ゲージを50%消費し、オールポーションを1個生成。使用間隔5ターン

・エリクシールハーフ生成
奥義ゲージを80%消費し、味方全体のHPを全回復/弱体効果を1つ回復。使用間隔8ターン

サポートアビリティ
・完全支援
通常攻撃を行わないが毎ターン開始時に奥義ゲージ上昇(15%)

・お荷物
サブメンバーとの入れ替え不可


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