世界を構築する霊的エネルギー、『レディ・オブ・フォース』を操る異能者、レディ。
彼女たちはこの世でもっとも高貴な存在として、人々の羨望を一身に集めていた。
しかし、その絶対的力に溺れた一部のレディは、その力を悪用するようになった!
以後、レディは高貴なるライトレディと、欲深いダークレディとに分かれ、熾烈な戦いを繰り広げていた!
そんな中、一人のレディが誕生する!
彼女の名はレディ・キリヤ! 彼女こそ、後に世界を救い、『ザ・デスワ』の称号を得ることになる、偉大なるライトレディである!
これは一人のレディの、名誉と、誇りと美しさと、未来をかけた!
大スペクタクル令嬢列伝である!!
世界は震撼した!
ダークレディの一人、レディ・シニューラが、レディ・オブ・フォースの根源に到達! 無限のレディパワーを手に入れ、ここに史上最悪の『ザ・デスワ』が誕生したのだ!
『全レディの抹殺と全人類の支配』を目論むレディ・シニョーラは、ライトレディたちの必死の抵抗を蹴散らし、仲間であったダークレディすら薙ぎ払っていく!
このままでは残虐なレディ・シニョーラの手によって、世界が闇に覆われてしまう!
だが! 絶望が世界を脅かす中、一人のレディが立ち上がる!
負けるな! レディ・キリヤ! 世界の命運は君に託された!
「ぐはぁっ!」
レディ・キリヤがビルの壁に叩きつけらえる!
すでに彼女の身体はボロボロだ! ドレスは千切れ、黄金のドリルヘアはほとんどが切断され、扇子は粉々になる寸前だ!
対するレディ・シニョーラは無傷!
圧倒的実力差! あれほど猛烈な攻撃が! あれほど強烈なレディ・パワーが! 蚊に刺されたほども効いていないというのか!
「まだ分からないのですか? あなたは所詮レディに過ぎない。ザ・デスワとなった私に、敵うはずがないでしょう?」
「だとしても! 私は諦めませんわ!」
レディ・キリヤが立ち上がる!
例え体はボロボロでも、その瞳は苛烈に輝いていた!
「無為なことを。早めに諦めれば、苦痛は少なくて済みますよ?」
「そうしてあなたの野望を見過ごせというのですか? そんなこと、ライトレディの一人として、出来るはずがありません!」
「…………鬱陶しいレディども。やはりあなたたちは目障りだ。私がこの手で、殺しつくしましょう」
「させません!」
レディ・キリヤは祈るように両手を握りしめる!
その右手に黒い闇が、その左手に白い光が!
「『闇に光を! 光に闇を! 呑み干し喰らい砕きなさい!』」
「だから、言っているでしょう…………」
首を振るレディ・シニョーラ。彼女に向けられたレディ・キリヤの両手が、闇の光に覆われる!
これこそ彼女の最終奥義! 幾人ものダークレディを打ち滅ぼした最強の必殺技!
その名も!
「『キムラヌート・マクルト』!!」
レディ・キリヤの両腕が虚無に覆われる!
全てを呑み込む高位の力! 防御不能の一撃必殺!
打ち砕けレディ・キリヤ! 我らが敵、世界の闇を打ち払え!
「…………無為だと!」
レディ・シニョーラが赤い波動を放った!
波動は『キムラヌート・マクルト』を消滅させ、レディ・キリヤを再び吹き飛ばす!
「きゃあッ!」
轟音、轟音、轟音!
レディ・キリヤの身体は廃墟となったビル群を貫通していく!
圧倒的パワー! これがザ・デスワの力なのか!
「ぐ、うぐぅ」
「どうしました? 私は力の一割も出していませんよ?」
レディ・シニョーラは、地面に叩きつけられたレディ・キリヤに嘲笑を浴びせる!
ばかりかレディ・キリヤの頭を踏みつけ、顔面を地面に擦り付ける!
なんという残虐さ! これまでのダークレディの悪意が、まるで赤子のようだ!
「諦めて、私に服従を誓いなさい。そうすれば悪いようにはしませんよ」
「戯言を!」
「答えが違う」
レディ・シニョーラがレディ・キリヤを蹴り飛ばす!
「この世界は、力こそが全てなのですよ。弱者は黙って、勝者の命令に従っていればいいのです」
「わたし、は」
「諦めない? あぁ、聞き飽きた言葉です。くだらない。拘っても諦めても、力の前では――――」
レディ・シニョーラはレディ・キリヤの体を持ち上げると、自らの扇子にレディパワーを込める!
今更解説するまでもないだろう! これこそレディ12奥義が一つ、レディスラッシュの構え!
レディ・シニョーラが狙いを定める! 視線の先は――――ま、まさか!
「やめ」
「――――無価値なんですよ!」
レディ・キリヤの胸に輝くレディクリスタルを切断した!
なんという事だ! レディクリスタルはレディの力の源! クリスタルを失ったレディは力も失ってしまう!
ああ! レディ・キリヤの黄金のドリルヘアが! 純白のドレスが! 深緑の扇子が!
消えていく! レディ・キリヤの力が消えていく!
レディ・キリヤがただの人間になってしまう! 人類最後の希望、レディ・キリヤがッ!
「――――すべて。力の前では、すべて」
レディ・シニョーラの手から、力を失ったキリヤが滑り落ちる。
「何の意味も、ない」
もはやドリルヘアはない、ドレスはない、扇子はない。
彼女はもはや、ただの村娘だ。
力のない、ただの…………
「…………」
がしり。
キリヤが、レディ・シニョーラの足を掴む。
「邪魔」
どこまでも無造作に、レディ・シニョーラがキリヤの身体を蹴り飛ばした。
彼女は手加減したのだろう。しかしただの人間のキリヤに、ザ・デスワの一撃はあまりに強力過ぎた。
キリヤの上半身が下半身から千切れた。
上半身はそのまま吹っ飛び、地面に叩きつけられる。
叩きつけられた衝撃で、傷口から内臓が飛び出した。
「――――」
もはやキリヤに言葉を発する力はない。
口からはヒューヒューという苦しげな呼吸音がするのみ。
「だから言ったのです。早めに諦めろと。そうすれば、生きていくことくらいは出来たのですから」
レディ・シニョーラは足を持ち上げる。
先ほどと同じように、キリヤの頭を踏みつけるために。しかし、結果は先ほどと異なるものとなるだろう。
ザ・デスワの彼女にとって、ただの人間の頭部は、あまりに脆い。いかにレディ・シニョーラが加減しようと、容易に粉砕されるだろう。
キリヤは動かない。動けるはずがない。
彼女にできることは、ない。
それでも。
我々は信じている。
レディ・キリヤの胸に宿った、誇りの炎を。
「…………たし、は」
動かないはずのキリヤの体が動く。
見上げる彼女の瞳は、未だ熱く燃えていた。
「わたし、は…………あきらめない! 絶対に!」
「諦めて、死ね!」
死の風が吹く。
レディ・シニョーラの足が振り下ろされる。
避ける力も防ぐ力もないキリヤに、抗う術はない。
それでも――――その胸に、誇りの炎があるのなら。
「『ドレス・アップ』――――」
キリヤの口が動く。
自然に。それが当然の行為であるように。
「――――『レディ』!!!」
それは、奇跡の言葉。
それは、覚悟の言葉。
それは、矜持ある人間を、力あるレディに変える言葉!
直後! キリヤの身体から膨大なエネルギーが放たれる!
「な、何事だ!?」
レディ・シニョーラが、ザ・デスワが吹き飛ばされた!
何事か? 実に簡単なことである!
キリヤが、レディ・キリヤへと変身したのだ!
「バカな! 貴様のレディクリスタルは確かに砕いた! もう貴様にレディの力はない!」
「――――力なら、ありますわ」
レディ・キリヤが立ち上がる!
黄金のドリルヘア! 純白のドレス! 深緑の扇子!
我らの希望、レディ・キリヤが復活した!!
「そう、力なら、私の胸に、常にあったのです」
「力だと? そんなものがどこにある!?」
「心に!」
再生した下半身で、レディ・キリヤが跳ぶ!
再生した拳で、レディ・シニョーラを倒すために!
「バ、早っ」
「レディの力。それは!」
レディ・キリヤがレディ・シニョーラを殴る!
レディ・シニョーラは吹き飛んだ!
ビル群を貫通し、地面に叩きつけられる!
「バカな、何が」
「驕らず! 溺れず! 酔い痴れず!」
起き上がろうとするレディ・シニョーラの頭を踏みつける!
「自らの生き様を誇り、他者の魂を敬う!」
抵抗しようとするレディ・シニョーラを蹴り飛ばす!
「『誇り』こそが、私の力だッッ!!」
レディ・シニョーラは崩れ落ちた!
「な、何なんだ。こんな力、どこから…………」
レディ・シニョーラは狼狽する!
ザ・デスワとなった彼女が手も足も出ない! 一体何が起こったのだ!
その時レディ・シニョーラは気付く! 宿敵を覆う白銀の光に!
「この輝き。この力。まさか、伝説の『真のレディ・オブ・フォース』か!?」
真のレディ・オブ・フォース!
それはレディたちに言い伝えられる伝説!
レディの本当の姿を体現したもののみが操れるとされる、真のレディの力である!
そう、今の彼女こそ、真実のレディ!
人類が待ち望んだ、偉大なる希望! 究極の令嬢である!
「…………どうやら、ただのレディと侮っている余裕は、無いようですね」
レディ・シニョーラが立ち上がる!
覚醒したレディ・キリヤに付けられた傷は、ことごとく治癒していた!
これがザ・デスワの力か!
「来なさい、レディ・キリヤ」
「ええ。往きますわ! レディ・シニョーラ!」
レディ・キリヤが跳ぶ!
レディ・シニョーラが迎え撃つ!
拳と拳が互いを捉えた! 力は互角、いや!
「ぐっ!」
「ぐはああぁぁあッ!」
レディ・キリヤは腹を殴られるも、踏みとどまった!
レディ・シニョーラは顔面を殴られ、そのまま吹き飛ばされた!
「はあッ!」
「ぐのおぉぉおぉッ!」
レディ・キリヤが跳ぶ!
レディ・シニョーラは慌てて体勢を立て直す!
「ぐぅッ!」
「ぐはぁッ!」
レディ・キリヤは顔面を殴られ、僅かに姿勢を崩す!
レディ・シニョーラは胸部を殴られ、大きくふらつく!
「はあッ!」
「ぐ、はぁッ!」
レディ・キリヤが蹴りを放つ!
レディ・シニョーラは遅れて扇子を構える!
「ぐぬッ!」
「ぐ、ギィッ!」
レディ・キリヤは逆袈裟の斬撃を受け、姿勢を崩す!
レディ・シニョーラは腹部を蹴られ、姿勢を崩す!
「は、あッ!」
「は、あッ!」
レディ・キリヤは扇子で斬りかかる!
レディ・シニョーラは蹴りを放つ!
「ぐ、ギィッ!」
「ぐぬッ!」
レディ・キリヤは腹部を蹴られ、大きくふらついた!
レディ・シニョーラは唐竹の斬撃を受け、僅かに姿勢を崩す!
「ぐ、はぁッ!」
「っは!」
レディ・キリヤが拳を放つ!
レディ・シニョーラが蹴りを放つ!
「ぐはああぁぁあッ!」
「ぐぅッ!」
レディ・キリヤは腹部を蹴られ、そのまま吹き飛ばされた!
レディ・シニョーラは顔面を殴られるも、踏みとどまった!
「ぐ、うぅ…………」
吹き飛ばされたレディ・キリヤが顔を上げる。すると、おぉ、何という光景か!
レディ・シニョーラの顔面に付けられた傷が、見る見るうちにふさがっていくではないか!
再生している! レディ・キリヤが、自らの負傷もいとわずあたえつづけた、ダメージの全てが!
「これが、ザ・デスワの力です」
言葉と同時に、レディ・シニョーラが赤い波動を放つ!
「うぐぉ、おおぉぉおぉ!」
レディ・キリヤは慌てて体勢を立て直すと、扇子で波動を切り裂いた!
しかしその隙に接近したレディ・シニョーラ! 必殺の踵落としによって再びレディ・キリヤを地面に叩きつける!
なんという事だ! 我らの希望が! 真のレディ・オブ・フォースに覚醒したレディ・キリヤが! 二度も地面に沈むとは!
「私はレディ・オブ・フォースの根源から無制限の力を引き出しています。その恩恵はパワーだけでなく、再生力にも適用される。対して真のレディ・オブ・フォースは、パワーを無限大に増幅させても、再生力までは与えてくれなかったようですね」
「だったら、どうしましたの」
「あなたの、負けということです。あなたの底は見えた。もう、あなたに私は倒せない」
「だったら、どうしましたの!」
レディ・シニョーラの足を払いのける!
レディ・キリヤは飛び起きると同時に、扇子で斬りかかった!
「無意味」
レディ・シニョーラが後ろに跳ぶ! 同時に放たれる、波動波動波動波動!
赤の波動が一瞬にしてレディ・キリヤの視界を埋め尽くす! なんと悪魔的光景か!
レディ・キリヤは何とか波動を排除しようとするが、あまりの数に対処が間に合わない!
防ぎきれなかった、躱し切れなかった波動が、レディ・キリヤの体を叩き飛ばす!
「ぐあっ!」
それでもレディ・キリヤは止まらない!
血を吐きながら拳を構え、跳んだ!
「無価値」
接近したレディ・キリヤから放たれた拳をあっさりと躱すと、レディ・シニョーラは彼女の顔面を殴り飛ばした!
「ぐあっ!」
それでもレディ・キリヤは止まらない!
扇子を構え、斬りかかる!
「無駄」
レディ・シニョーラが扇子で迎撃する!
同時に放たれる20の波動がレディ・キリヤの扇子を弾き飛ばす! そのままレディ・シニョーラはレディ・キリヤを切り裂いた!
「ぐあっ!」
それでも、レディ・キリヤは――――
「無力」
再び挑もうとするレディ・キリヤを、レディ・シニョーラは無情に蹴り飛ばした!
レディ・キリヤがビル群に激突する!
いやそれだけではない! 彼女の身体はなおも空中を飛び続ける!
蹴りのエネルギーは、レディ・キリヤの身体を、ビル群からさらに数キロ先まで吹き飛ばした!
そして彼女の身体が地面に叩きつけられた時、レディ・キリヤには起き上がる力すら残されていなかった!
「ぐはッ!」
「れ、レディ・キリヤ!?」
レディ・キリヤが落下した場所。そこには傷ついたライトレディたちが集まっていた!
みな負傷を回復させ、一刻も早く戦線に復帰しようとしていたのだ!
レディ・キリヤは、その一団のど真ん中に落下していた!
「み、みん、な…………」
「まぁなんて傷! レディ・シニョーラにやられたのですか? 今すぐ手当を!」
「に、にげ、て」
「遅い」
邪悪な囁きが、レディ・キリヤの、周囲のライトレディたちの耳に届く!
みなが空中を見上げれば、そこにいたのはレディ・シニョーラ!
空を飛んで追いかけてきたのだ!
「おやおや、虫けらどもがうじゃうじゃと湧いていますね。これは駆除のし甲斐がありそうです」
「レディ・シニョーラ…………!」
「害虫がしゃべるなよ。私の耳が穢れたらどうしてくれる」
隠しもしない嫌悪感! 同時にレディ・シニョーラの背後から紅い波動が出現する!
その数は十、百、いや、千に及ぶ!
圧倒的物量! 彼女はここにいるライトレディを文字通り『駆除』するつもりなのだ!
「みんな、にげて――――!」
レディ・キリヤの悲痛の叫び!
ただでさえザ・デスワと通常のレディには絶望的実力差が存在している!
その上でこれほどの物量を浴びれば、この場の全てのレディが、例え万全の状態であってもひとたまりもない!
「…………いいえ」
しかし、ライトレディたちは諦めない!
レディ・キリヤを介抱していたレディが、否! その場にいたすべてのレディたちが立ち上がる!
「あなたは、傷ついたわたくしたちの代わりに戦ってくださいました。今度は、わたくしたちが同じことをする番です」
レディの瞳には、例外なく強い炎が灯されていた!
レディ・キリヤと同じ、誇りの炎が!
「見れば、あなたは強大な力を手にした御様子。わたくしたちが時間を稼ぐ間に、体力を回復してください。そして、あの邪悪なレディ・シニョーラを…………!」
「みんな、そんな、ダメだ!」
「ダメではありません。無理でもありません。ただ――――成すだけです!」
覚悟の叫び!
そしてすべてのライトレディが飛翔した!
目指すは上空のレディ・シニョーラ! 邪悪なるダークレディの頂点に、恐ろしきザ・デスワに、ライトレディ軍団が挑む!
「虫けらが。そんなに飛びたいなら、羽虫のように飛んで死ね!」
レディ・シニョーラが波動の飽和攻撃を放つ!
赤の衝撃が嵐となってライトレディたちに襲い掛かる!
全てのライトレディが武器を構えた! 拳、脚、ドリルヘア、扇子、ドレス! そのすべての攻撃が集約され、巨大な黄金の槍のような形状を取る!
これを読む皆さんなら覚えているだろう! かつてレディ・ダームを倒すため、レディ・キリヤとレディ・フィーユが放ったあの奥義を!
レディ12奥義が最終秘技! 『レディ・オブ・ファイナル』を!
レディ単体では決して放てない、複数のレディが心を一つにした時のみ放てる究極のレディ奥義!
それを今、何百人ものレディが、その力の全てを結集して放っているのだ!
これこそがライトレディの力! 矜持と尊敬を胸に、光を進む者の力!
ダークレディには決して到達できない、善なるモノの究極点!
それが今、邪悪なるザ・デスワに、レディ・シニョーラに向かって放たれたのだ!
「――――虫は」
レディ・シニョーラは邪悪に笑う!
「虫だ――――!」
赤の暴風と、金の巨槍が衝突する!
暴虐と矜持の対決は一瞬の均衡を見せ――――そのまま暴虐が圧勝した!
僅かの揺らぎも見せない波動の暴風! 『レディ・オブ・エンド』を軽々と打ち砕くと、全てのライトレディを圧倒的質量で呑み込んだ!
『ぐはぁッ!』
あぁ何という事だ!
数百人ものライトレディたちが!
不可能と知ってなお挑んだ、気高きレディたちが!
次々と地面に墜落していく! まるで黙示録の最後の日のように!
それは絶対的絶望の光景であった!
「無力。あぁ実に無力! しかしこれが必然だ! ザ・デスワとなった私に勝てるものなどいない! 屁理屈も夢想も何の意味もない! すべては絶対的力の前に屈服する! それが運命だ!」
哄笑! 哄笑! 哄笑!
未だ天にあるレディ・シニョーラは見せつけるように両腕を広げた!
「この力で、私は全てのレディを絶滅させる! そして残された脆弱な人類を、この手で支配する! ああ見えるぞ! 頂点に君臨した私が、あらゆる全てを支配する姿が!」
止める者のない哄笑が天に轟く。
「男も女もガキも老いぼれも! すべてが私に跪き、許しを請うのだ! 食べる自由を! 動く自由を! 思う自由を! そして何より生きる自由を!」
語られるのはおぞましき未来展望! 想像するのも恐ろしい、絶望の光景だ!
「そして私は! 跪くゴミどもを踏み潰す! 懇願する弱者どもを、顔も見ずに消費する! 未来も素質もすべて無視して! あぁ何という快楽か! 全ての人類が、私の暇をつぶす消耗品になるのだ! こんなに素晴らしいことはない!!」
邪悪な絶叫! 邪悪な願望! その言葉を止める者は、もうこの世にいないというのか!
否! 一人いる! 我々の唯一の希望が!
立て! レディ・キリヤ!
多くのライトレディが、君に希望を託していった!
ならば君は、立ち上がらなければならない!
誇りある、ライトレディの一人として!
彼女らの意思を、意味あるものとするために!
立ち上がれ! レディ・キリヤ!
「…………そんな、ことは」
ささやかな、つぶやきがする。
「…………そんなことは、絶対に」
例え哄笑に掻き消されるとしても。
「絶対に、させはしません!」
決して折れない、誇りの声が!
レディ・キリヤが立ち上がる!
我らが希望、レディ・キリヤが!
「レディ・シニョーラ! 人の魂は! 世界の運命は! あなたのものには絶対させないッ!」
レディ・キリヤが跳ぶ!
例えドレスが千切れようと! 例えドリルヘアが荒れ果てようと! 例え扇子がへし折れようと!
レディ・キリヤは屈しない!
「…………人の興に、水を差すな!」
レディ・シニョーラが迎撃する!
放たれる赤い波動!
レディ・キリヤは扇子で波動を切り裂いた!
「これで…………!」
その隙にレディ・シニョーラが接近する!
これでは先ほどと同じだ! またレディ・キリヤが倒されてしまう!
「えぇ、これで――――!」
否ッ!!
レディ・キリヤは、既に構えていた!
「バカな!」
「はぁッ!」
レディ・キリヤの拳と、レディ・シニョーラの拳が衝突する!
お互いの攻撃は、お互いの拳を破壊した!
「ぐッ! だが、まだ!」
「いいえ! すでに!」
レディ・シニョーラは拳を引く!
だがレディ・キリヤは拳を引かない!
そのまま強引に押し込んだ!
「はあッ!」
「ぐはぁッ!」
レディ・キリヤの拳が腹部を捉えた!
レディ・シニョーラが吹き飛ばされる!
「逃がしませんわ!」
レディ・キリヤは追撃する!
レディ・シニョーラは体勢を立て直そうとする! だが間に合わない!
「はぁッ!」
「ぐはぁッ!」
レディ・キリヤの扇子がレディ・シニョーラを切り裂く!
レディ・シニョーラは腕を切断され、扇子を取りこぼした!
「まだまだッ!」
レディ・キリヤが蹴りを放つ!
レディ・シニョーラは反応できない!
「はあッ!」
「ぐはぁッ!」
レディ・シニョーラは顔面を蹴り飛ばされた!
「そん、な! この私が、ザ・デスワとなった、この私が!」
「あなたはザ・デスワなどではないッ!」
レディ・キリヤのドリルヘアがレディ・シニョーラを締め上げる!
「力に驕り、欲に溺れ、悦に酔った! 今のあなたは、レディではないッ!」
レディ・キリヤの純白のドレスが、レディ・シニョーラを袋叩きにする!
「『闇に光を』!」
黒を纏った右手で、レディ・シニョーラを殴り飛ばす!
「『光に闇を』!」
白を纏った左手で、レディ・シニョーラを殴り飛ばす!
「『矛盾し調和し超越なさい』!」
黒と白の両手で、レディ・シニョーラを殴り飛ばす!
「こんなところで、私の野望がッ!」
「あなたの野望は、ここで終わりだッ!」
黒き右手を! 白き左手を!
互いで互いを握りしめる!
全なる虚無が、収束する!
「『バチカル・ケテル』!」
それは神域の絶技!
それは万象の頂点!
あらゆる奇跡の先に待つ、真実の鉄槌であるッ!
「うおぉぉおぉおおぉぉぉおぉぉッッッッ!!!!!」
「バカなッ! バカなぁッッ!!」
レディ・キリヤの絶対奥義がレディ・シニョーラを捉える!
レディ・シニョーラの防御を粉砕して! 最大に強化された再生力をねじ伏せて! レディ・シニョーラの魂を消滅させる!
「まだ、まだだぁッッ!」
あと一歩でレディ・シニョーラが絶命する、その瞬間!
レディ・シニョーラが、すでに崩壊した部位を切り捨て、頭部と右腕だけになって攻撃してきた!
何という執念! なんという執着! なんと往生際の悪い姿か!
しかし有効である! レディ・キリヤは必殺技を発動させており、防御も回避も不可能だ!
レディ・キリヤがドリルヘアを動かす!
だが間に合わない!
「はあッ!」
「ぐはぁッ!」
渾身の力を込められたレディ・シニョーラの右腕が、レディ・キリヤの胸部を貫通する!
「知るがいい! 勝利者とは、力あるものだと!」
「――――」
レディ・キリヤのドリルヘアが蠢く!
それは死に瀕したものの悪あがきか?
否ッ!
そも彼女は、防御のためにドリルヘアを手繰ったのではない!
「な!? バカ、な…………!」
レディ・キリヤのドリルヘアが唸る!
そうッ!
彼女は最初から、攻撃のためにドリルヘアを操ったのだ!
「これが、誇りの炎を心に灯した――――」
レディ・シニョーラは躱せない! 彼女はもはや、腕も髪も動せない!
「い、いやだッ! 死にたくな」
「――――栄誉ある、レディの力だ!」
レディ・キリヤのドリルヘアがレディ・シニョーラを粉砕した!
残された胸部の一部を! 突き刺さった腕を! 足掻こうと蠢くドリルヘアを! 恐怖に歪むその顔を!
すべて、すべて、すべて! 徹底的に打ち砕くッ!!
僅かに残った頭部の破片が、『バチカル・ケテル』の虚無に呑み込まれた!
そして! ついにッ!!
史上最強のダークレディにして、史上最悪のザ・デスワ、レディ・シニョーラは敗北したッ!
我らが希望の令嬢、レディ・キリヤが勝利したのであるッッ!!!
次回予告!
ついに最悪のザ・デスワ、レディ・シニョーラを打ち倒したレディ・キリヤ!
しかし戦いは終わらない!
レディ・シニョーラが接続していた、レディ・オブ・フォースの根源が暴走!
世界を呑み込もうと暴れまわる!
世界の滅亡を回避するため、全てのライトレディと、すべてのダークレディが結集!
レディ・キリヤは、彼女たちが生み出した史上最大級の『レディ・オブ・ファイナル』を、自らの真のレディ・オブ・フォースで無限倍に増幅!
対神級最終兵器、『アウター・ザ・レディ』を発動させた!
そして全人類の希望を抱き、レディ・キリヤは概念の海に飛翔する!
次回! 『レディ・キリヤの伝説』!
括目せよ! これがレディの真実だ!